もてない男 3 (親友/昔話)

つづき

そのもてる男に最近また再会した。1泊する高校時代の同窓会が関西であり、じじいがはるばる関東から出席した時に、近くに住む彼が旅館まで訪ねて来てくれたのだ。高校の同窓会と言うが、来年1年のうちには全員還暦という年齢である。

彼は、マネキンさんを派遣する会社をずいぶん前に母親から引継ぎ、社長になっていた。最近、知的障害のある児童向けの施設を始めたと言った。「こうした施設は一人資格のある人を置いておけば、他の人は資格がいらんから、うちの派遣社員をそのまま使えるメリットがあるわけよ。それに運営費の大部分が自治体の補助金から出て、残りは児童の親が負担するから、金が確実に入ってくる。赤字になる心配がないんや。これは大きいで。府会議員さんは、みんなこうした福祉事業をやってはるわ。」

彼の話は、北新地(高級クラブで有名な梅田の一画)の話になる。「最近、高校時代の同級生と北新地へ行ったんやんか。そいつらは、公務員とかサラリーマンとかで、普段そんな高級な店に行ってないわけや。いつも、居酒屋とか赤ちょうちんで飲んどる。そのへんわしら自営業とはちょっと金銭感覚がちゃうやろ。そやけど、そういうクラブのホステスと話してたら、話も上手やし、どんな話にもついてきよる。それで、結構盛り上がったんや。当然、最後に会計になるわけや。一人あたりにしたら結構な金額になるけど、そんな額をそいつらから取れへんやろ。そやから、一人一万円ずつ集めて、残りは俺が払ろうたんや。そしたら、『安かった、おもろかった。』言うてみんな感激しとった。それでそいつらだけで、別の日にその店にまた行きよったんやな。そんで、会計したら、高い金をとられるやん。そんで、俺のところに『ぼられた』言うて文句の電話がかかってきたんやわ。正直なことばらすのもなんやから、露骨な説明は言わんかったけど、それくらいわからなあかんわなあ。」

その後、ホステスの話になる。「昔は、若い女が良かったけど、この年になると若い女はあかん。もうちょっと、年いったほうがええわ。30代後半やな。そこら辺が、味が出て来て一番ええわ。」

「ほいでや。新地のホステスが、店がはねた後、夜中の3時とか、4時や。毎晩俺に会いたいちゅうてメールして来よるわけや。こっちも女房の隣で寝ながら、メール来てるんは、気ついとった。そやけど、起きるのん面倒やん。それに女房は、亭主の携帯見るような女やないし、その辺はしっかりした女や。ところがや、あんまり毎日深夜にメールが来るもんやから、最後に女房が俺の携帯を見よったんやな。ほんなら、ホステスからぶわーっと一杯メールが来てるわけや。それ見た女房、どないしたと思う? その携帯に『xxの女房です。あんた、うちの旦那に何ぼメール送っても無駄や。あきらめなさい。』ちゅうて、返信しよったんや。その後女房に起こされて、布団の上でこんこんと説教されたがな。」「それで、大人しいに謝ったんかいな?」「謝ったがな。女房に金の管理すっかり任してて、俺は小遣い貰てる身や。全部事情説明させられて、もうしません言うて、謝ったがな。」

つづく

投稿者: brasileiro365

 ジジイ(時事)ネタも取り上げています。ここ数年、YOUTUBEをよく見るようになって、世の中の見方がすっかり変わってしまいました。   好きな音楽:完全にカナダ人クラシック・ピアニスト、グレン・グールドのおたくです。他はあまり聴かないのですが、クラシック全般とジャズ、ブラジル音楽を聴きます。  2002年から4年間ブラジルに住み、2013年から2年間パプア・ニューギニアに住んでいました。これがブログ名の由来です。  アイコンの写真は、パプア・ニューギニアにいた時、ゴロカという県都で行われた部族の踊りを意味する≪シンシン(Sing Sing)≫のショーで、マッドマン(Mad Man)のお面を被っているところです。  

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