政治への批評は、個人的なブログに書いてもたいした意味がなく、読者の気分を害することがあるだろう。だが、世の中はミスリーディングな言い回しに溢れている(と思っている)。ついては、個人的な意見を述べてみたい。興味のある人に読んでいただければ幸いだ。
【中国について】
日中の最大の問題はやはり、外交問題だろう。尖閣諸島の領土問題などは、経済成長でGDPが世界第2位になるほど成長した最近の出来事だ。経済成長を果たす前、中国は地域の主権の主張をしていなかった。近年の覇権主義をきっかけに、資源の賦存量の大きさから主権を主張するようになった。南沙諸島でも似たようなことがベトナムとの間でも起こっているようだ。 「中国人には個人のレベルでは善い人が大勢いるのだが、共産党が前面に出てくると様相が変わってくる」という話をよく耳にする。 チベットの少数民族に対しても、共産党は愛国主義を醸成するためといいながら、弾圧する。自衛隊機への異常接近やベトナム艦船との衝突でも、自分の非は全く認めようとしない。このような国に対しては、日本の正当性を面倒がらずにずっと主張し続けることが必要だ。
戦後50年を機に戦争責任を認めた村山談話を日本政府は表明したが、このような表明は過去を清算するどころか逆に火に油を注ぐような事態を招いている。日本のマスコミにも進歩派を自認し、南京大虐殺などを大きく取り上げる新聞があるが、どれほど本当のことだったのか。これまでの中途半端な平和主義、自虐的な左派の歴史観が招いた結果のように思えて仕方がない。
日本国内の歴史観には、対立するさまざまな見方が存在している。しかし今となっては、敗戦国のバイアスがない客観的な歴史観の獲得と発信を、地道にやるより仕方がないのではと思う。つまり、敗戦後の日本の思想史においては、勝戦国アメリカが推し進めた民主思想や戦争遂行の全否定をベースにした左派思想がある。それらは当然評価すべきだが、行き過ぎた面があり、事実ではないこと、誇大に言われていることが多いのではないかと思う。当時の歴史において、日本だけが特殊な行動をとってはいないと思う。(ドイツのホロコーストとは違うと思う。)
【韓国について】
韓国では大勢の高校生が乗った船が沈没するという痛ましい事故が起こった。しかし、背景に監督官庁と民間企業の癒着があり、同種の事故が何度起こっても一向に改善されないことに対し国民の怒りが向けられているようだ。財閥系企業のサムスンやLG、現代などが好調で、韓国経済が一見好調のように思われがちだが、利益はこれらの企業に出資する欧米企業が享受し、韓国国民には恩恵がさほど行っていないと言われる。こうした中で、韓国民は苦悩しているように見えるが、人口が少なく市場規模が小さいため、輸出に依存せざるを得ないという事情があるようにも思う。 慰安婦問題などでは、日本政府は過去に河野談話を発表しているが、こちらも中国同様、このことが足をすくわれる結果をもたらしたように思う。談話発表の背景にある日本政府の韓国政府に対する配慮が逆手に取られ、誇張され過ぎているのではないか。
外交で、安易に謝罪するというやり方が如何にまずいかということを示していると思う。相手国から非難され続けて、それにこたえる形で反省を口にすると、今度はそれを口実にされさらに非難がエスカレートするという構図だ。
【アメリカについて】
アメリカはブッシュ大統領の時代にアフガン侵攻、イラク戦争を行い、世界の警察を標榜していた。オバマ大統領になり、この方向性が変わるかと期待したが、根っこのところは変わらないようだ。民主党も共和党におとらず根っこのところは、一部の金持ちを優遇するようだ。ただし、アメリカのどの政権も表面上金持ち優遇とは言わず、自由競争、グローバリズムを旗印にして公平を装っている。
アメリカの経済状況は、独占禁止法を緩めたり、金融分野の自由化すら進めた結果、過去30年間にわたり富は1%の金持ちに集中し、99%は貧しくなっている。こうしてアメリカンドリームなど全くない状況になっているのに、国民は多くはいまだにアメリカンドリームを信じている。上手く金持ちの宣伝に乗せられているのだ。レーガン政権以降にはトリクルダウン(trickle down)という、金持ちがさらに金持ちになることでその下の大衆は、水がこぼれてくるおこぼれ(トリクルダウン)にあずかるということが真面目に言われていたくらいだ。
ウクライナ危機だが、アメリカをはじめとする西側諸国はロシアを非難している。しかし、これはロシアにしてみれば、西側の勢力をバックにしたクーデターと映っており、180度とらえ方が違っている。ただ、西側が結束してロシアを非難すればするほど、孤立するロシアは中国と接近する。これは世界を分断し、経済のためによくないのは明らかだ。
【日本について】
日本は、経済の立て直しが間に合うかどうかが最大のポイントだ。高齢化、人口減少、20年間続いたたデフレ。これらで特に地方は壊滅的な状況にある。地方に限らず、弱者ほど過去にない厳しい状況にある。東京に住み、貯えもあり、安定した職業についているとデフレは困らないのだが、地方在住、非正規社員、シングルマザー、就職できない若年層、貧困のサイクルに取り込まれた者にとってデフレは、賃金低下による地獄だ。アベノミクスで回復の兆しが少し見えるが、財務省、マスコミ、御用経済学者は、相変わらず財政赤字への警鐘を国民に発信し続けている。財政赤字の解消は、景気が回復してから考えればよいのだ。景気回復が先、財政赤字はその後に解消すればよい。赤字のレベルも一定の水準まで下げれば、必ずしも解消しなくともよいのだ。政府の赤字と家計の赤字は意味が違う。
この経済の立ち直りには、なんといっても円安が重要だ。相対的に世界を見ると、今のところ、日本の状況は悪くない。(日本の財政赤字の債務残高は、円建てで日本国内で大半が消化されており、財務省が言うほどマーケットは不安視していない。)このため、ヨーロッパの通貨危機、中国経済の減速、ウクライナ危機などの不安材料が生じるたび、円は買われ、円高になる傾向がある。黒田日銀は登場の時に、「異次元の金融緩和」を行ったが、その後はまったく音沙汰がない。幸い、今のところ消費増税の落ち込みを乗り越えられそうであるが、105円まで下がった円は、現在101円台にまで上昇し、それに伴って株価も上昇できないでいる。製造業の一部には、アベノミクスの円安により生産拠点を日本に戻す動きがあるという。こうしたトレンドを定着させるためには、今以上の円安になることが望ましい。リーマンショックの前の水準は120円ほどだったはずだ。このくらいの水準になると、日本の競争力は十分に余裕をもって発揮できる。
中韓との外交は先に述べたとおりだが、安倍首相はウクライナ危機の前、ロシアのプーチン大統領とは良好な関係を築き、北方領土の返還がまとまるかも知れないというところまで来ていた。だがこの危機で踏み絵を踏まされ、早々にアメリカなど西側諸国に同調し、ロシアを非難する側に回ってしまった。アメリカは、中韓、北朝鮮などとの外交に必要なパートナーであることは確かだが、日本が常に尻尾を振ってアメリカについていく必要があるのかは考えるべきだろう。もっと、中間的なポジションをとれなかったのだろうか。TPP交渉ではオバマ大統領が訪日する中、日米が最後まで譲らず決裂したが、この交渉は見ごたえがあった。この交渉のようにアメリカ追従ではなく、日本の国益を重視しロシアと協調、北方諸島の返還と天然ガスの輸入を勝ち取ってほしかった。
また、民主党政権の前の第1次安倍政権でホワイトカラーエグゼンプションという制度を導入しようとしていた。ホワイトカラーエグゼンプションというのは、労働の対価を、時間ではなく成果で測ろうとするもので、「成果を出せば会社に来なくていいですよ。ただし、逆に時間がいくらかかろうとも残業代は払いませんよ。」というものだ。この第1次安倍内閣の時にこの案は世間から総スカンを受けたのだが、これを再びテーブルに乗せようとしている。やはり、労働コストを下げたい財界などの圧力があるのだろう。このままではいただけない。