ポートモレスビーの生活 ブッシュナイフもったラスカルに車を強奪される!

ポートモレスビーはかなりあぶない。危ないというのは、ラスカルという強盗に襲われることがあるのだ。ラスカルは、若者数人(少年が多いらしい。)がブッシュナイフ(かなり刃渡りの長い刃物)や拳銃で武装し、我々を襲ってくる。無抵抗に徹すれば殺される事はないようだが、あまりにじっとしているとイラッと来た犯人に鈍器で殴られ怪我をさせられたり、こういう目には会いたくない。パプアニューギニアは、近年資源ラッシュで好景気なのだが、どこの国でもそうであるように、経済成長が国民に均等にいきわたるわけではない。したがって、一部の金持ちはいるものの、大半は好景気の恩恵を受けている訳ではない。

この国にはワントクといシステムがあり、ワントク(one talk)は同じ言葉を話す仲間のことだ。このワントクどうしは助け合うのが暗黙の了解だ。極端な話、犯人が同じ部落の出身の場合、警察は罪を許してしまったりすると言われている。同じ発想で、首都ポートモレスビーで成功したワントクを頼って、地方から人がやってくる。だが、生活の地が貨幣経済が未発達、狩猟採集生活や農耕生活を中心とした自給自足の状態なら、ワントクシステムによる助け合いが成り立つのだろうが、大都会は完全な貨幣経済であり、自分の生活に加えてワントクたちの面倒を見る額の貨幣収入を得ることは難しい。恵まれた金持ちのパプアニューギニア人も多勢いるが、全く所得のない人で、あてにしていたワントクに面倒を見てもらえない人多いはずだ。所得のない彼らが、ラスカルに変身する素地はあり、我々外国人は、どのワントクにも属さず格好の獲物になる。

A tribesman with a traditional sharpened bush knife in Madang Province

ラスカルは、セトルメント(スラム)の近くで、車がスピードを緩めたところで車を襲い、車と所持品を奪うと言われていた。だが、セトルメントの近くに限らず、高級マンションが建つ地域で、強盗が行われることも多い。また、ラスカルが車を止めて強盗するだけではなく、我々がスーパーマーケットへ行った帰り道、強盗団の一味が車で我々の車の後をつけ、自宅へ帰ったところを狙い、車庫でガードマンを殴り倒し、車や金品を強奪するという手口もある。周囲こうした被害を受ける割合が、結構高いのだ。三分の一くらい人が、被害にあっているように思える。ショッピングセンターの中などを別にして、街中でも襲われる可能性があるので、基本的に歩けない。そのため、移動は必ず車を使うことになる。これは歩く例だが、主が道路の向かいの100メートルほど離れた航空会社のオフィスへチケットを買いに行くときでさえ、一人で歩くのは危ないので、現地人ドライバーをボディガードとして連れていく。

G4s という車によるエスコートサービス。車で出かけるときに、伴走してもらう。

危険な目に合う確率は、現地の言葉をどれほど喋れるかという事ともちろん高い相関がある。こちらでは、英語以外ではピジン語が広く使われるが、これとて西欧文化がもたらした混成語で、例えばポートモレスビーでは地元の言葉としてモツ語がローカルな言葉として別にある。主は、英語もままならず、残りの二つは全くダメなので、行動に制約があるのは仕方のないところだ。

また、パプアニューギニアは資源ブームでここ数年外国人が大勢押し寄せたために、住宅需要が急増し家賃やホテル代が高騰した。そのため、我々外国人が住める安全な物件は、非常に高額だ。おがげで、囲われた敷地の中で、快適な生活を送れるという副産物もある。この南洋熱帯の地のオーシャンビューの部屋の中で、カナダ人ピアニストのグレン・グールドが弾くクラシック音楽を聴き、気に入った本を存分に読むことができる。通勤は車で5分。遠くに出かけても車で15分あれば、ほとんどの目的地に着く。

だが、夜の街に気楽に出かけるのは危険があり、困難だ。このため、結構自炊をすることになる。ただし、他の会社の駐在員たちは、危険を承知で夜の街でも活発に活動しているようだ。

パプアニューギニアの気候はもちろん熱帯だが、ポートモレスビーだけサバンナ気候と言われている。海抜が低い割には、暑さがそれほどではない。今は6月下旬だが、日中は熱いが、夜は涼しい。こちらに来て1年経過したが、主はかなりの寒がり屋なので、この時期タオルケットの上に布団を1枚重ねている。8月はさらに寒い夜があり、昨年はさらに布団を2枚にした。

主は日本の高度成長期にアメリカ文化を刷り込まれて育ったせいだと思うが、パプアニューギニア人はあまり美男美女には見えない。彼らはアジア人の顔ではないし、アフリカ人とも違っている。女の顔もいかつく、偏った食生活のせいで年齢を経ると年齢が不詳になる。多くの人は、食事の摂りすぎでいかにも太りすぎの体型をしている。太った体型が、金銭的に豊かで飽食できるというシグナルになっていると感じる。

しかし、人の審美眼はそれぞれ。こちらで妻を娶った日本人も一定数ある。子供にも恵まれ、彼らは完全にこの国に定着している。人間(じんかん)到る処青山あり。住めば都だ。

おしまい

投稿者: brasileiro365

 ジジイ(時事)ネタも取り上げています。ここ数年、YOUTUBEをよく見るようになって、世の中の見方がすっかり変わってしまいました。   好きな音楽:完全にカナダ人クラシック・ピアニスト、グレン・グールドのおたくです。他はあまり聴かないのですが、クラシック全般とジャズ、ブラジル音楽を聴きます。  2002年から4年間ブラジルに住み、2013年から2年間パプア・ニューギニアに住んでいました。これがブログ名の由来です。  アイコンの写真は、パプア・ニューギニアにいた時、ゴロカという県都で行われた部族の踊りを意味する≪シンシン(Sing Sing)≫のショーで、マッドマン(Mad Man)のお面を被っているところです。  

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