GLENN GOULD 中毒 (書籍について その4)

グレン・グールドに関する書籍をさらに読んだ。感想第4弾。

【グレン・グールドの生涯】オットー・フリードリック著 宮澤淳一訳 青土社 (4800円税抜)

グレングールドの生涯本書は、グールドの死後、グレン・グールド・エステイト(グールドの遺産を管理する法律事務所)が「公式」の伝記を作るためにアメリカ人ジャーナリストである著者に依頼したものだ。

さすがに「公式」の伝記だけあって、誕生から死亡まで網羅されている。読み物としても、グールドのファンならはずせないだろう。事実が網羅され掘り下げられていること、様々なエピソードを紹介しながらも、読み物風に書かれており読みやすい。

500ページ以上あるので要約は難しい。また、落ち着いて再読しようと思っている。このため、二か所を引用したい。

(デビューアルバムのバッハ「ゴールドベルグ変奏曲」発売後の大反響について)   しかし、大切なのは、グールドの《ゴルトベルク変奏曲》が大変な名演であり、名盤であったこと、この録音がレコード史上最高傑作のひとつであったという事実である。タウン・ホールでの演奏会を聴かなかった私たち多くの者は、この録音によってグレン・グールドを発見する最初の機会に恵まれたのである。しかも、バッハの変奏曲は(それはバッハの全作品をも暗に意味するが)一歩退いて敬意を示すような、ある種の知的構成物ではなく、強烈な情熱とはかり知れない美の創造物であることを初めて知った。そしてまた、グールドピアノの演奏は世界中の誰のものとも違うことを。彼は欠くべからざる才能をすべて持ち合わせていた ── 歌うような音色、きわめて正確なアーティキュレーション、巧みにコントロールされた強弱。だが、独特なものでないにしろ、稀有な天賦の才がさらにあと二つあった。ひとつは、このような柔和な音楽のリズムに、信じられない推進力のあるドライヴ感を与える能力だった。グールドは速いスピードであれだけ正確な演奏ができるおかげで、バッハの作品を跳ね上げ、突進させ、また宙に舞わせることができる。こうしてグールドは作品に強い生命力あふれるエネルギーを注ぎ込んだ。そして、もうひとつの非凡な才能とは、三声の対位法のすべての声部を、ほつれぬようしっかりと織り合わせつつ、完全に独立を保たせる能力だった。《ゴルトベルク変奏曲》のカノンは宗教的な意味を秘めている。このいくつものカノンはバッハの頭の中に会ったものに違いないが、つまり、ひとつが三つに、三つが一つに、という三位一体の考え方である。

(もうひとつ、驚きの才能の一端を)                        グールドはいくつもの事柄を同時に考えることを生涯にわたって実践し続けた。あるときファンであった友人が、グールドが演奏中の曲に「信じられないほどの集中力」をみせていると指摘すると、グールドはこう反論した。「それは全く見当はずれだ。つい先日、シカゴ交響楽団と共演したけれど、協奏曲の終楽章の演奏中、僕が考えていたのは、僕が呼んだハイヤーは終わったときに楽屋裏にやって来てくれて、すぐに退散できるだろうか、それだけだったよ。」

 

投稿者: brasileiro365

 ジジイ(時事)ネタも取り上げています。ここ数年、YOUTUBEをよく見るようになって、世の中の見方がすっかり変わってしまいました。   好きな音楽:完全にカナダ人クラシック・ピアニスト、グレン・グールドのおたくです。他はあまり聴かないのですが、クラシック全般とジャズ、ブラジル音楽を聴きます。  2002年から4年間ブラジルに住み、2013年から2年間パプア・ニューギニアに住んでいました。これがブログ名の由来です。  アイコンの写真は、パプア・ニューギニアにいた時、ゴロカという県都で行われた部族の踊りを意味する≪シンシン(Sing Sing)≫のショーで、マッドマン(Mad Man)のお面を被っているところです。  

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