パプア・ニューギニアを形容する言葉の一つに”unexpected”(思いがけない)がある。とにかくとんでもないことが起こり、最後まで安心できないのだ。
日本へ帰国する直前に3泊するつもりでホテルへ移動してきた。ともあれ、明日のフライトで日本へ帰る。仕事はとうとう終わった!!
移動してきたホテルは、ポートモレスビーの中でも三本の指に入る高級ホテルで、1泊が2万5千円程する。(家賃も異常に高い)ところが、ホテルの造りもがっかりだが、冷房が故障している。全館で冷房が止まっており、食堂では窓を開けて大型の扇風機をブンブン回していた。最初の日の夜は、まだ比較的冷気が出ており、食堂での飲食を4000円まで無料にするという案内がドアの下に入っていた。2日目、3日目の夜は宿泊料を無料にするという案内が入っていた。3日目の今日は、会社に電話があり、引き続きとどまるか他のホテルへ移るかという問い合わせがあった。他へ移るかといわれても、こちらは自動車を売り払い足もなく、荷造りを再度することも大変なので引き続きとどまることにした。
明日支払いをするのだが、割引額はいったいいくらなのだろう?1泊分の料金だけで済むのだろうか。
ホテルでは、NHKはもちろん映らない。見れるのはCNNなどの放送。あと、マンションから持ってきたパソコンと接続するスピーカーだけだ。このスピーカーはホテルを出るときに身軽にするため捨てるつもりでいる。マンションではケーブルテレビとインターネットを今週の月曜日に解約し、火曜日まで音楽を聴くことだけしかできなかったのだが、いかにテレビとインターネット中毒になっているかを痛感した。きっと、刑務所につながれると頭の中が空白になってしまうだろう。
ところで、主が泊まっているこのホテル、冷蔵庫に入れたペットボトルの水が氷るのだ。二晩目あたりまでは、半分くらいの氷り方だったが、今晩は完全に凍ってしまい肝心の水が飲めない。
今日、自動車を手放し、最後の勤務を終え、4時30分に会社の運転手にホテルまで送ってもらった。
時間がたっぷりあるので、小銭入れに現金を移し、その他の貴重品は部屋に置いて、隣にあるさらに高級なホテルで背中のマッサージを30分間受けた。次に、徒歩で行けるインド料理屋で食事をした。この時点でようやく夜7時前になる。ホテルのキャッシュディスペンサーで現金を補充し、キャッシュカードは再び部屋に置いて、隣のホテルで再びマッサージ、今度はフットマッサージを30分間してもらった。この国の娯楽らしい娯楽はマッサージしかないのだが、内容はお金をドブに捨てるに等しいほど虚しい。マッサージ師はツボを全く理解しておらず、痛くない程度に撫でまわすだけだ。
それでも、受付にいたちょっとイケメン風のインドネシア人青年に「社長さん!」と日本語で冷やかされたりする。フットマッサージがはじまりしばらくすると、主の隣で太ったPNG人女性がこのインドネシア人青年にフットマッサージしてもらっていた。この青年もマッサージ師だった。若いインドネシア人青年が太ったおばさんのPNG人女性の足をマッサージしているのは違和感があったが、これは明らかに人種的偏見だろう。
8時前、隣のホテルから自分のホテルへと戻る、わずか100メートルほどの道を夜歩くのが、気が進まないなあと思っていた。だが、ちょうど出口のところに複数の警備員がおり、「一緒に歩いてくれ」と言ったら、当然の如くにたちどころに了解して、隣のホテルまでエスコートしてくれた。