次の記事は、AFPというニュース局(2016/1/15)からの切り抜きだ。
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【AFP=時事】第2次世界大戦(World War II)の戦場となったパプアニューギニアの「ココダ・トラック(Kokoda Track)」を英国人の恋人と一緒にハイキングをしていた米国人女性が、集団に性的暴行を受け、指を3本切り落とされた。地元メディアが13日、報じた。
「パプアニューギニアの「ココダ・トラック」の記念碑を除幕したオーストラリアのジョン・ハワード首相(当時、左)とパプアニューギニアのマイケル・ソマレ首相(当時、2002年8月14日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News」
パプアニューギニアの警察当局によると、被害男女はともに31歳で、11日にパプアニューギニアのジャングルを通るココダ・トラックをハイキング中に襲われ、携帯電話や靴、かばん、現金1万5000キナ(約59万円)を盗まれた。
地元警察幹部は同国日刊紙ナショナル(National)に「男性は木に縛り付けられ、女性は繰り返しレイプされた後に指を3本切り落とされた。1時間後にようやく2人は解放された」と述べた。事件にはブッシュナイフとやりで武装した容疑者少なくとも2人が関与しており、そのうちの1人は村の住民に捕らえられているという。
オーストラリア外務省は事件があったことを確認し、被害男女が事件当時、正式な免許を持ったツアーガイドなしにハイキングをしていたと付け加えた。
【翻訳編集】AFPBB News
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この「ココダ・トラック(Kokoda Track)」の入り口には、主もポートモレスビーから車で3時間ほどかけて行ったことがある。このココダ・トラックというのは、ポートモレスビーとスタンレー山脈を北側に越えたココダまでの道のりを言う。下が、Ower’s Conerというポートモレスビー側にある出発地点を撮った写真だ。
ところで、このオワーズ・コーナーは、第二次世界大戦で日本軍に勝利したオーストラリア軍の戦勝記念碑があるところなのだが、日本軍は、後方支援のない中、人力で大砲を運びながら陸路を山越えをするという無謀な作戦で、食糧補給もなく体力が消耗し、自決を選んだ隊員も大勢いたらしい。日本軍は、このココダ・トラックの山越えだけでなく、映画「永遠のゼロ」で描かれたゼロ戦のラバウル航空隊基地をはじめ、パプアニューギニアの各地で軍を展開していた。太平洋戦争末期の日本軍は戦況が悪化し、救助もない状況で出口のない戦いを続けたため、遺骨が今も広い地域に残されている。
下の写真は、シンシン(sing sing)という踊りのショーのものだ。このシンシンは、オーストラリア人がハイランドで金鉱の採掘をするため、現地人を労働力として使ったのだが、部族同士の喧嘩が絶えず、争いを減少させる方策として、お互いの部族のシンシンを披露させたのがはじまりと言われている。
パプア・ニューギニアには、800部族が暮らしていると言われ(800言語ある)、特に山岳地帯のハイランドにおいては、文明と接してわずか数十年しか経っていない。このため、普段はTシャツなどの衣服を身に着けているのだが、お祭りの時にはこのような格好をする。だが、服を着るようになったのは最近のことであり、すぐ底流には昔のカルチャーが残っているはずだ。

レイプ事件に戻ると、首都のポートモレスビーをはじめとした州都では、電気も使えるし、携帯電話も使え、スーパーもあるし、文明が浸透していると言って間違いない。だが、伝統的に土地を部族の共有とする文化があるために、国土全体に道路網が未発達で、地方、特に山の中に入った部落では、日常生活の中に、この写真のようなカルチャーが今も残っていると思う。このため、ポートモレスビーから車で3時間離れた山の中で、村の男にアメリカ女性が木に括り付けられ、レイプの挙句に指を3本切られたという野蛮な事件があったと聞いても、それほど大きな驚きとはならない。旅行するのに、注意が足りんかったんやろなあ、という感じだ。
おしまい