バッハ「平均律クラヴィーア曲集第1巻」小佐野圭 ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第2番」アルゲリッチ

2016年3月5日(土)小佐野圭さんのバッハ「平均律クラヴィーア曲集第1巻全曲」のコンサートへ行ってきた。小佐野さんは1958年生まれの58歳、玉川大学教授でもある。会場は銀座のヤマハホール。収容人員が333人のホールで、自由席だったので、良い席に座ることができ、演奏者がよく見えた。同時に、ピアノという楽器が大音量を出すことにいまさらながらに驚いた。アコースティックな響きがとても心地よい。

小佐野さんの演奏は、全ての曲を楽譜をガン見しながら弾くもので、演奏しながら楽譜のページをめくる様子にちょっとハラハラさせられる。グールドは基本的にどの曲を弾くにも暗譜で弾いていたのだが、小佐野さんは音楽大学の教授なのだが、それでも楽譜なしでは弾かないようだ。もちろん楽譜を見ながら弾くのが劣るというつもりはない。だが、グールドはモンサンジョンとの映画の中では、一つの曲を、解説しながらいろいろな弾き方をして見せ、こうした芸当をもし楽譜を見ながらするのであれば、かなり制約を受けるだろうと思う。暗譜で弾いた方が極端な弾き方がいろいろとできる気がする。

およそ60年前の話であるが、グールドの演奏を生で聴けた人は幸運だとつくづく思う。もっとも、彼がコンサートで弾いた時期は、1955年のアメリカデビューのあと、1964年には公演から引退してしまったのでわずか9年間しかない。おまけに、彼が弾く曲は、バッハ、ベートーヴェン、ギボンズ、スウェーリンク、ヴェーベルン、ベルクなどといったある種風変わりなプログラムに限定されていた。しかし、ニューヨークデビューの翌日契約を申し出たコロンビアレコードの重役オッペンハイムの言葉を借りれば「グレンの演奏は宗教的な雰囲気を醸し出していて、思わず聴き入ってしまいました。….私は驚喜しましたよ」ということだ。

肝心の演奏の方は、かっちりとした正統的なバッハを聴くことができた。なんといっても、バッハの「平均律クラヴィーア曲集第1巻」の原曲の魅力は絶大だ。曲自身の構造がしっかりしているので、誰が演奏しても崩れることがない。ジャズでも演奏されるくらいだから。来年は第2巻の演奏が予定されている。また、是非行きたいと思う。

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次に、2016年5月17日(火)アルゲリッチのコンサートへ行ってきた。       アルゲリッチは1941年生まれのアルゼンチン人ピアニストで、今では75歳になってしまったが、クラシックファンなら誰でも知っている有名人だ。デビュー当時には賞を総なめにしており、プゾーニ国際ピアノコンクール、ジュネーブ国際音楽コンクール、ショパン国際ピアノコンクールで優勝している。

1960年代、主が中学生の頃、親父がアルゲリッチのLPレコードを持っていた。レコードジャケットには20代のアルゲリッチが写っており「えらい美人やな!!」と主は動揺したことを覚えている。白人で若くて美人、これは日本人が圧倒される要素だと思う。 そんなこんなで、その後の彼女の私生活を調べてみると、3人の音楽家と結婚と離婚を繰り返し、それぞれに夫が違う娘を3人産んでいる。細部は知らないが、波乱万丈な人生のようだ。下は若いころのレコードジャケットである。

アルゲリッチ

この日のオーケストラは、高関健指揮の紀尾井シンフォニエッタ東京。初台にあるオペラシティのホールは1632人収容の大きなホールだ。

第一部はモーツアルトのディヴェルティメントニ長調K136と交響曲40番。第二部で武満徹の映画音楽から「ワルツ」、最後にアルゲリッチとの協演によるベートーヴェン「ピアノ協奏曲第二番」である。第二部の冒頭から美智子妃が会場に来られ、大喝采で迎えられた。

演奏された曲はどれも馴染みのある曲ばかりだった。アルゲリッチのピアノは、最初リズムの取り方がグールドのように正確ではなく「違和感があるなあ?!」と思っていたが、曲が進むにつれて耳が馴染んでくるのか、それなりに楽しむことができた。

アンコールにスカルラッティのソナタニ短調K141という曲が演奏された。スカルラッティは、イタリアナポリで1685年に生まれたJ.S.バッハと同時代の作曲家だ。この日のアルゲリッチのスカルラッティの演奏は、バッハと同時代の音楽の感じがせず、ロマン派の曲かと思ったほど崩れた感じがした。下のYOUTUBEのリンクはアルゲリッチの同じ曲の2009年の演奏だが、むしろこちらの方がうまいと感じる。

https://www.youtube.com/watch?v=Gh9WX7TKfkI ←こちらアルゲリッチ2009年

以下は、たまたま開いたチェンバロのJean Rondeauの演奏。こちらの方がバロックらしく感じられ、主の好みだ。(YOUTUBEのリンク)

 

 

 

投稿者: brasileiro365

 ジジイ(時事)ネタも取り上げています。ここ数年、YOUTUBEをよく見るようになって、世の中の見方がすっかり変わってしまいました。   好きな音楽:完全にカナダ人クラシック・ピアニスト、グレン・グールドのおたくです。他はあまり聴かないのですが、クラシック全般とジャズ、ブラジル音楽を聴きます。  2002年から4年間ブラジルに住み、2013年から2年間パプア・ニューギニアに住んでいました。これがブログ名の由来です。  アイコンの写真は、パプア・ニューギニアにいた時、ゴロカという県都で行われた部族の踊りを意味する≪シンシン(Sing Sing)≫のショーで、マッドマン(Mad Man)のお面を被っているところです。  

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