6月15日、公私混同を厳しく指摘された東京都知事の舛添要一が、ようやく辞任を表明した。
週刊文春の記事が発端で、さまざまな公私混同が発覚したのだが、ご本人は政治資金規正法に照らして、違法ではないとことをよく知っていた。また、高額な出張旅費や公用車の私的使用なども指摘されたが、違法性がないことをよく知っていた。このため、「行った行為に違法なことは含まれていないが、指摘の趣旨に鑑み今後は改める」とは言うものの、「申し訳なかった」とは言わなかった。これにより批判がますますエスカレートし、最終的に支持母体の自民党にも見放され、辞職せざるを得なくなった。このとき、今後の対応として「しっかりやる」とか「きっちりやる」とか「全身全霊でやる」とか言っていたが、具体的なことが何一つ言えず、ますます聞く側の反感が増幅された。
ただ、政治資金規正法がお金の使途を制限せず、政治に使ったと言えばそれで適法とされるのであれば、こうした行為は他の政治家も当たり前のように行っていると思わざるを得ない。説明に窮するような支出がいろんな政治家にあるのではないか。
それはともかく、この舛添要一という政治家を見ていると、何と自己中心的で権力欲が強いのかと呆れる。他の政治家と比べると、この男はとびぬけて世間の空気を読めないのだと思ったが、中身は他の政治家も大同小異なのではないかと思う。
6月14日の産経新聞の記事に中山泰秀議員のことが出ている。ちょっと引用すると、「自民党大阪府連会長で元外務副大臣の中山泰秀衆院議員=大阪4区=が、12日に開かれた大阪市との国家予算要望説明会で『前の市長(橋下徹氏)の時に、秘書が覚醒剤で逮捕されたというのは本当ですか』との趣旨の発言をしたことに関し、橋下氏は14日、自身のツイッター上で「完全な事実無根」として中山氏を激烈に批判。『法的措置を執ります』と明言した。」というのがある。
この後記事は、橋下徹が中山泰秀を「無能政治家」「アホボン」と評したと続くのだが、この中山泰秀もたしかにとんでもない政治家の一人だ。父は中山正暉といい、政治家のキャリアの終盤に建設大臣にしてもらうのだが、大臣になると舞い上がってしまい、きわめて地元に配慮のない発言をし、ヒンシュクをおおいに買ってすぐに辞任に追い込まれたような記憶がある。父親の引退により地盤を引き継いだ息子の泰秀は、無類のスポーツカーマニアで車庫に外車が何台もあると聞いたことがある。真偽のほどはわからないが、イスラム過激派ISILに後藤健二さん、湯川遥菜さんの二人の日本人が拘束され殺害された事件では、外務副大臣として現地の責任者としてヨルダンへ派遣されるのだが、「白米を現地大使館まで送れ」と電話で言ったとバッシングされたことがある。
他に目立ちたがりで思い込みの激しい政治家として浮かぶのは河野太郎だろう。まさに政治家一家に育ったサラブレッドかも知れないが、存在を目立たせたいがために自民党の総裁選挙に当選の見込みもないままに立候補したりする。行政改革にご執心なのは良いが、書類を投げたり罵声を浴びせたりして官僚を痛めつけるという話をよく聞く。成果を上げたいという危機感はわからないでもないが、ボンボン育ちの坊ちゃんのため、何が問題なのか本質のところがわからないまま、功名心だけで突っ走っているように見える。
似たような本質がわからず空回りしている政治家の例として、谷垣禎一がわかりやすいだろう。やはり、先祖からの政治家だ。自民党が民主党に政権を取られ下野していた時期に自民党総裁をつとめ、その後も粉骨砕身努力しているのは伝わってくる。だが、この残念ながら方向性がない。理念がない。
こうした、舛添要一、中山泰秀、河野太郎、谷垣禎一のような政治家は、出世欲や権力への欲求は感じられるが、具体的な理念が感じられない。それでは努力をするにもしようがない。自民党の代議士などの名前を挙げたが、民進党や共産党の議員も同様、いやもっとひどい。
石原慎太郎が「天才」を書き、田中角栄を再評価して見せたが、学歴を誇るのではなく、地に足がつき、人生経験が豊富で、真に日本のあるべき姿を描ける政治家の登場が何より必要だ。