グレン・グールド・ギャザリング その3 ライブ(坂本龍一、フランチェスコ・トリスターノ)

12月13日(水)~12月17日(日)、グールドへのオマージュ(尊敬)というべきグレン・グールド・ギャザリング(Glenn Gould Gathering = GGG)という催しが開かれている。そのメインとなるのが草月ホール(青山一丁目)で行われている坂本龍一、フランチェスコ・トリスターノ、アルヴァ・ノト、リクスチャン・フェネスによるライブである。

この催しは、グールドの関連映画の上映や、グールドにまつわるトークショーとライブがあり、キュレーター(展覧会を企画する人)が、坂本龍一氏である。主は、9月頃に先行予約のチケットをとろうとしたのだが、抽選にはずれて全く取れなかった。そのため、一般販売が始まる時刻をカウントダウンしながら待ち、宮澤淳一氏によるトークショー(1,500円)とライブ(8,500円)のチケットをようやく1枚ずつだけ手に入れることができた。3日あるトークショーの他の日のチケットも取りたかったのだが、次につながった時には、すでに売り切れで買えなかった。グレン・グールドは没後35年で、主はこれほど人気のあるプログラムだとは思っていなかった。

ところで、下の写真は草月ホールの入り口すぐのGGGのパネルを撮った写真だ。

こちらが12月15日(金)、草月ホールのライブ会場の様子。写真では空席があるが、実際は満席になった。スクリーンにグールドが生きた時代のカナダの様子などが写されていた。演奏が始まると、抽象的な画像になるのだが、昔懐かしい大阪万博を思い出した。リーフレットには、「還元主義」「実験音楽」「ビジュアル」「独特な世界観」「概念的」「クラシックと電子音楽の融合」という言葉が並び、全くその通りなのだが、こうした種類の音楽は何十年も前からある音楽で、主は一言で言えば、「環境音楽」という言葉を想起した。

冒頭は、バッハの「フーガの技法」から未完となった最終第14曲、主がとても好きな部分を、坂本龍一が照明の落ちたステージで静かに演奏した。これでいやがおうにも主の期待が高まったのであるが、約2時間ずっとだらだら演奏が続き、途中、バッハ以前の作曲家であるバードだったか、ギボンズだったかの曲がアコースティックピアノで演奏された時と、現代ジャズ風に盛り上がった時だけ、「いいな!これからどうなるのだろう!?」と思ったが、基本的に誰かのオマージュ(芸術や文学において、尊敬する作家や作品に影響を受けて、似たような作品を創作する事)というのは難しいものだと感じさせられた。CDでもグールドのオマージュ作品が、何点か出ているのだが成功しているものは少ない。なお、氏はオマージュという言葉は使わないで、「リモデル/リワークを披露する」という表現をしている。

また、主はこのライブに先立ち宮沢淳一さんのトークショーを聞いたのだが、その中でグールドの作曲したものを何曲か披露するとの情報があった。そのためそれを期待をしていたのだが、実際のライブではそのようなことはなく非常に残念だった。

ただ、この一連の催しは、坂本龍一氏の人気や評価に大いにあやかっていることは間違いない。これだけ人を集められたのは、彼の功績だ。また、演奏後には観客の非常に大きな拍手が起こり、この種の音楽を好きな人には良い演奏会だったのだろう。

また、同じ3日間の日程で、草月会館の入り口のプラザでカナダ人でグールドに影響を受けたコンポーザーのLoscilが、スペシャルライブを行った。写真はその様子である。このプラザは非常に大きな空間なのだが、草月流の生け花を感じさせる、巨石で構成されたバブリーな作りで、近くに行ったならこれだけでも見に行く価値のある場所だ。

写真に写っている観客は少なく見えるが、実際はかなり盛況だった。主がおそらくグールドの映画の中で見たのだと思うが、彼に影響を受け、新しいものを作っているLoscilの姿を見たことがある。結構ユニークな人だったように思う。惜しむらくは、時間の都合で主がちらっと前を通り過ぎただけだったことだ。

おしまい

投稿者: brasileiro365

 ジジイ(時事)ネタも取り上げています。ここ数年、YOUTUBEをよく見るようになって、世の中の見方がすっかり変わってしまいました。   好きな音楽:完全にカナダ人クラシック・ピアニスト、グレン・グールドのおたくです。他はあまり聴かないのですが、クラシック全般とジャズ、ブラジル音楽を聴きます。  2002年から4年間ブラジルに住み、2013年から2年間パプア・ニューギニアに住んでいました。これがブログ名の由来です。  アイコンの写真は、パプア・ニューギニアにいた時、ゴロカという県都で行われた部族の踊りを意味する≪シンシン(Sing Sing)≫のショーで、マッドマン(Mad Man)のお面を被っているところです。  

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