テレビ番組には様々な日本人の評論家連中がしたり顔で出てくるが、いずれもうさん臭く、お笑いタレントに敵わない。主は、最近いろいろな発言を比べるとき、外国人の方がストレートでずっと新鮮で面白いと感じている。テレビによく出てくる外人タレントは、厚切りジェイソン、パックン(パトリックハーラン)、ロバート・キャンベル、デーブ・スペクターあたりだが、なまじな日本人より気が利いたことを言える。
書店に並んでいる本の中でもそう感じるところがあり、日本人学者の書いている経済学書などは読みたいと思わない。読んで真っ当で、そうだな首肯するのはほとんど外人である。2018年の春の番組改編でなくなってしまったNHK BSテレビの経済ニュース「経済フロントライン」では新鮮な話題を取り上げて毎週見ていたのだが、金融コンサルタントのジョゼフ・クラフトさんが好印象だった。また、この番組には、森永卓郎さんがよく出ていた。オタクに見られている節があるが、リフレ派でけっこうまともなことを言っていた。ただ森永氏は、今年1月の放送で「今が、今年の株価のピーク」とか、「安倍首相は、総裁選で消費税を5%へ引き下げ表明する」と言いたい放題言っていたのが、番組がなくなった原因かもしれない。
話がそれてしまったが、主が新書をあっという間に6冊買い、読み易い、聞き書きの手法の新書5冊を読破したエマニュエル・トッドの炯眼ぶりには、驚いた。彼は、クリントンが敗れ、トランプ(民主党の予備選で負けてしまったが、サンダース)の勝利を予想していた。グローバリズムの終焉と国民国家への回帰傾向を予想していた。2018年7月時点の現在、トランプは、あいかわらず日米のマスコミからバッシングされまくっている。米中は、貿易戦争の様相を呈してきたにも拘わらず、マーケットの反応は、意外と冷静だ。中間選挙で勝てば、どのようなことが起こるのだろう。主は、トランプが勝ってら面白いと思っている。
さらに書店やネットでよく目にするのが、デービット・アトキンソン(小西美術藝術工芸社・社長)だ。彼はオックスフォード大学で日本学を専攻している日本通で、キャリアもすごい。アクセンチュアの前身のアンダーセン・コンサルティング、ソロモン・ブラザーズ、ゴールドマン・サックスなどを経て渡日した。生憎、主は読んではいないのだが、「新・所得倍増論新」「新・観光立国論」が書店で平積みのベストセラーになっている。立ち読みしたり、書評を見ただけだが、どちらも現代の日本の病弊をズバリと指摘している。その視点が外人ならではで、本質をズバリつき力強い。このように分析する日本人学者がいないのは、情けない。日本人は「日本人は勤勉だ」、「安くていいものを提供することが大事だ」、「日本は民主的で平等な社会」、「日本の製品、サービスは高品質」などという刷り込みに囚われすぎだ。
2020.9.25追記—–デービット・アトキンソンは、菅新首相のブレーンであるが、竹中平蔵と並び日本の不良債権処理を急がせた人物であり、日本の国債残高に対する立場を明らかにしていない。竹中平蔵と同様に見るべき点はあるが、根本的なところは弱肉強食の新自由主義者だ。グローバリズムや自由貿易に対する懐疑どころか、否定的総括がされる今の現状からすると、彼の提案は、短期にも長期にも、格差を広げるだけだ。
他には、ケント・ギルバート(読んだことはないのだが、右翼チック?な著述業)がいる。
逆にいい加減なことばかり言っているオオカミ少年の経済系の学者や評論家は、日本人だ。たいていは、財政破綻とハイパーインフレの懸念をセットにして、大声で恐怖を煽る。参議院議員で評論家の藤巻健史、超整理法で有名になった野口悠紀雄あたりか。ピントが外れているのは、デフレ下の日本を「低欲望社会」とみる大前研一。これに似たことをいう人は、結構他にもいて、人口減少と高齢化は社会の成熟であり、デフレはむしろ望ましく、低成長下で心豊かな社会を実現しよういという論調だ。しかし、これは実現不可能な一種のユートピア思想といってよいだろう。1ドル=50円を唱える浜矩子。この人も現政権のアベノミクスに批判的なため、朝日や毎日といったマスコミに相変わらず重用されている。伊藤元重、伊藤隆敏は有名だが、御用学者と言われる。「御用」というのは、財務省べったり(財政再建と消費増税)ということだろう。こういうメジャーな経済学者は、たいてい若い時分に、アメリカの今となってはちょっと古い経済学(小さな政府、合理的に行動できる個人)を学んだ信奉者である。
参考までにリフレ派・非主流派の経済学者、評論家には、浜田宏一、高橋洋一、若田部昌澄、安達誠司、田村秀男などがいる。宮崎哲弥もリフレ派のようだが、機敏に転向した口だろう。
ただ主は、現在の日銀による量的緩和策で大量の国債、株式、リートの引き受けが、財政ファイナンスと批判的に言われたり、通貨発行益(シニョレッジ)という言葉が使われることもある。学者の立ち位置により解釈が違ってくるようだが、ここが肝だと思うので、なんとか調べて書いてみたい。
おしまい