こだまさんの「ここはおしまいの地」を読む。このこだまさんは、「夫のちんぽが入らない」という小説でデビューした人である。こんなタイトルありなの?という感じで、書店で探した時に、さすがにパートの店員さんに書名で探してもらうわけにもいかず、ネットで注文した。カミさんにこの本を見せたら、拒否反応が返ってきた。だが、読んで見るとけっこうおもしろい本だった。それで、2作目の「ここはおしまいの地」を楽しみにしていた。
「夫のちんぽが入らない」に戻ってしまうが、この本を説明したほうが良いだろう。この本は、タイトルどおりの内容で、二人が結婚したのだが、出血したりして、うまく挿入できない。そのため年月を経る間に、夫は風俗通い、妻は出会い系を始めたりする。夫も妻もお互い、愛し合っているのだが、うまくセックスができず、他人となら問題が起こらない。やがて仕事の面でも、うまくいかずに精神科で治療を受けるようになったりするのだが、現実をそのまま受け入れることで、折り合いをつけて穏やかに生きるといった内容の本だ。この本を読みながら、「早く、医者へ行ってカウンセリング受けろ」とか思うのだが、「人間誰にも相談したくない、相談できないことがあるんだなあ」と思うようになる。不便でも解決できないことって、それぞれ誰しも抱えていて、世の中にはきっといろいろあるんですね。
そんなで、「ここはおしまいの地」なのだが、こだまさんらしいというか、屈折した生涯が、短編小説の形で並んでいる。一話一話ストーリーとして連続はしていないのだが、エッセイ風な側面もあり、主人公の拘りの強い性格やら、正義感の強いところだったり、ユーモアだったり、誰しも「そういう一面、持ってるよねえ」と思いながら読める。学級崩壊だったり、バブル後の不景気の時代に生きた同級生たちのその後が登場し、「本人の責任じゃないよねえ」といったことが多いことに気づく。
「夫のちんぽが入らない」。前は扶桑社から単行本の形で出ていたのだが、今は講談社から文庫本になっているようだ。この本は、講談社コミックプラスから漫画で出版され、フジテレビで全10話でドラマ化され、NETFLIXでも配信されている。下は、ドラマのリンクである。
連続ドラマ『夫のちんぽが入らない』 主演:石橋菜津美、中村蒼
おしまい