ゴーンさん逃亡事件だが、弁護団に宮崎駿監督に似た雰囲気の弁護士がいるのをご存知の方は多いだろう。下の写真の右側が、その高野隆弁護士で、左側がよくテレビに登場する弘中惇一郎弁護士である。どちらも日本で一二を争う最高の弁護士と言われるそうだ。

その高野弁護士が、ゴーン氏の逃亡の後、彼に対する共感と日本の刑事司法に対する自己批判を痛切にブログで語っておられる。このブログに、驚くほどの数のコメントがついている。主が見るたびに数は増えていて、1月11日現在で、770個を超えている。次のリンクをクリックしてください。
「・・・残念ながら、この国では刑事被告人にとって公正な裁判など期待することはできない。裁判官は独立した司法官ではない。官僚組織の一部だ。日本のメディアは検察庁の広報機関に過ぎない。しかし、多くの日本人はそのことに気がついていない。」
「・・・手続きが進むにつれて、彼の疑問や不安は膨らんでいったようだ。一向に進まない証拠開示、証拠の一部を削除したり、開示の方法に細々とした制限を課してくる検察、弁護人に対しては証拠の目的外使用を禁じる一方で、やりたい放題の検察リーク、弁護人の詳細な予定主張を真面目に取り上げないメディア、「公訴棄却申し立て」の審理を後回しにしようとする公判裁判所、いつまでも決まらない公判日程、嫌がらせのようにつきまとい続ける探偵業者などなど。」
「・・・・大晦日の朝、私はニュースで彼がレバノンに向けて密出国したことを知った。まず激しい怒りの感情がこみ上げた。裏切られたという思いである。しかし、・・・・・この密出国を「暴挙」「裏切り」「犯罪」と言って全否定することはできないということである。彼と同じことをできる被告人はほとんどいないだろう。しかし、彼と同じ財力、人脈そして行動力がある人が同じ経験をしたなら、同じことをしようとする、少なくともそれを考えるだろうことは想像に難くない。」
「・・・・この国で刑事司法に携わることを生業としている私にとっては、自己否定的な考えである。寂しく残念な結論である。もっと違う結論があるべきである。」
「確かに私は裏切られた。しかし、裏切ったのはカルロス・ゴーンではない。」
おしまい