アマゾンが税金を納めていないということを前に書いたが、アマゾンが平成29年と平成30年12月期の法人税として300億円を納税したとの記事が2019.12.22に新聞に出ていた。下がその産経新聞のリンクである。
アマゾン、納税へ方針転換 法人税2年で300億円 売上高を日本法人に計上
世界的な経済政策を調整するのは、OECD(経済協力開発機構)だが、その租税条約では、住民や企業の「恒久的施設」に対して課税する仕組みになっている。アマゾンは、日本の支社や倉庫を「恒久的施設」ではないと理由づけ、法人税を従来日本政府に支払ってこなかったのだが、ようやく支払うことにしたということだ。しかも、従来のロジックでは、アマゾンの業務に何かと支障があるから変更したというのが理由だ。
成毛眞さんの「amazon」(2018/8 ダイヤモンド社)では、「世界が悩む、アマゾンへの課税問題」とのタイトルで項だてをして、ネットで売買が完結するKindleや映画のサービスへ消費税を納税してこなかったと書かれている。こちらを国税庁が課税するようにしたのは、ようやく、平成27年10月のことだ。
他にもアマゾンをはじめとする外資に有利な条件は今でもあり、ソフトウエアの開発費がそうだ。日本の税法では、ソフトウエアの開発費は、資産の形成と見なされ、一括損金に計上することはできない。つまり、耐用年数(一般的に、5年間)にわたって償却しなければならない。日本では単年度では、1/5しか経費として認められない。ところが、アメリカの税制では、このソフトウエアの開発費は、支払い年度ごとに全額損金計上できる。これを利用して、アマゾンは日本でのソフトウエアの投資を、日本には恒久施設がないとの理由で、アメリカの決算に含めて計上してきた。当然、日本で法人税を納めてこなかった。
こうしてみると、アマゾンは、日本企業よりずっと有利な条件で、1998年の日本上陸以来20年以上、競争してきたことがわかる。当然だが、このことは他の外資にも当てはまるだろう。アップルの音楽配信がそうだし、スターバックスも世界中に展開しているのでそうだ。
おしまい