国債は償還されたことがない。償還時期が来ると借り換えている。これは自転車操業か?

これは、いかに世間がひろく誤解しているかという例だ。たまたま、見つけたものだが、立命館大学経済学部が作成したものだが、経済学者と言われる立派な人たちが、見事に間違えている。

http://www.ritsumei.ac.jp/ec/why/why02.html/

結論のところは知らないが、書きぶりから、設問自体矛盾していておかしい。負債を負債で返せないからだ。たとえ国債が借金でも、借金は借金で返せない!(つまり、言っときますが、「国債」は、政府の「負債」というならマシですが、国民の借金ではない。政府の「負債」は、民間の「負債」と意味合いがまったく違います。)

《結論》

タイトルに対する結論を先に言うと、国債発行は、自転車操業でも何でもない。むしろ、経済成長するために必要な、政府が供給すべき通貨供給である。日本政府がこれをしないから、日本はパイが増えるような経済の成長ができない。給料も上がらないし、技術革新もできないので、ずっとパイの奪い合いをしている。

今回書くのは、市中に出回るお金は、市中銀行が生み出しているという話と、市中銀行は日銀から日銀当座預金というお金を作ってもらっているという話をする。どちらも通貨発行(信用創造=Money Creation)である。ただし、国が国債を発行して、例えば公共事業をしたり、給付金を配ったり、科学技術に重点配分したりすると、国民の側は資産が増えて豊かになるのだが、この説明も一緒にすると長くなってしまうので、国債発行で国民が豊かになるという話は次回する

《財務省のウソ》

財務省は、国債の残高が1,200兆円あり、国民一人当たり1,000万円の借金になるというような説明をし、国民に日本が破綻するのではないかという不安をまき散らしている。ところが、この説明は通貨発行の仕組みを正しく理解していないデマだ。おかげで、われわれ国民は政府にお金がないんじゃ仕方がないかと、お金のいることをあきらめてきた。だが、そんなことはない。

《本当の通貨発行のプロセス、暦年の推移、注意点》

まず、どこの国でも同じなのだが、お金が発行されて市中に流通する仕組みは、① 中央銀行が金融機関に対し、お金を供給する仕組みがあり、これをマネタリーベースという。これに対して ② 金融機関(日銀を含む)が世の中に供給するお金のことを、マネーストックという。

この時、日銀が金融機関とやりとりする日銀当座預金は、日銀と金融機関の決済と、金融機関どうしの決済に使われるものなので、国民がダイレクトに日銀当座預金にアクセスすることはない。また、日銀当座預金は、基本的に利子のつかない口座である。(現在は余りに低金利で、銀行救済のために一部付利している。)

下に張り付けた表が1970年から2020年までのマネタリーベース、マネーストック、GDPの推移である。この表を見ると、黒田日銀総裁が就任した2012年から、『異次元の量的緩和』が行われ、日銀から金融機関へマネタリーベースを爆増させたことが分かる。

また、マネタリーベースを爆増させたにもかかわらず、赤色のマネーストックは、伸び率はほぼ変わらないのが分かる。つまり、日銀の異次元の量的緩和にもかかわらず、市中に流通している通貨量は増えなかった。日銀当座預金が『ブタ積み』になっただけだった。

日銀のホームページから
日銀のホームページから
黒い線が日銀が金融機関へ供給したお金、赤い線が金融機関から世間へ供給されてた通貨の総量。赤線は、黒線ほどには増えていない。

《通貨発行のプロセス》

1.日銀の通貨発行 (日銀がA銀行に1,000億円通貨を発行する)

日銀(A銀行に対し)(借方)貸付金1,000億円 (借方)日銀当座預金1,000億円

A銀行(日銀に対し)  (借方)日銀当座預金1,000億円 (借方)借入金1,000億円

(説明)日本が、A銀行に1,000億円の通貨発行をする場合を考える。日銀は、《負債》である《日銀当座預金》1,000億円計上することで、A銀行の《日銀当座預金》1,000億円という《資産》を与える。その時、無条件に《資産》を与えるのではなく、日銀には《貸付金》という債権、A銀行は、《借入金》という借金返済の債務を負う。

これが、黒線の動きである。黒田総裁は、異次元の量的緩和と称し、強力にマネタリーベースという日銀と市中銀行の資金量を爆増した。このマネタリーベースを増やすことが、市中銀行の民間への貸し出しを増やすと考えたからだ。もちろん、これは成功しなかった。民間企業は市中銀行から借金をせず、景気は良くならなかった。

国債を発行するとき、日銀が銀行にお金を用立てている!!

2.BさんがマイホームのためにA銀行から3,000万円を借入

A銀行     (借方)貸付金 3,000万円 (借方)預金 3,000万円

Bさん     (借方)預金 3,000万円 (借方)借入金 3,000万円

(説明)Bさんが、A銀行から3,000万円のローンを借りるとき、A銀行は《貸付金》3,000万円という資産をもち、負債である《預金》3,000万円を計上する。この《預金》3,000万円は、A銀行が返済をしなかった場合の社会に対する責任の意味合いがある。返済されなかった場合には、《損金処理》や《引当金償却》などの処理をするの必要がある。Bさんは、ローンの実行により、資産である《預金》3,000万円を手にすると同時に、返済義務である《借入金》3,000万円を背負う。

これが通貨発行(信用創造)だ。市中銀行は、預金者から集めた預金を原資に貸付していない。借主の返済能力を審査したうえで、返済能力があると考えれば、キーボードを叩いて、お金を作り出す。これがマネーストックの正体だ。このマネーストックの数字は、マネタリーベースの数字を含むので、赤線は急こう配で増えているように見えるが、マネーストックは黒線の異次元の量的緩和を含むので、それを差し引いて考えると、日本の近年のマネーストックのうち、純粋に市中銀行が通貨発行(信用創造)した額は、減っている。ー--日銀当座預金は、日銀を含む金融機関のためのもので、国民には関係ないから。

おしまい

投稿者: brasileiro365

 ジジイ(時事)ネタも取り上げています。ここ1年、YOUTUBEをよく見るようになって、世の中の見方がすっかり変わってしまいました。   好きな音楽:完全にカナダ人クラシック・ピアニスト、グレン・グールドのおたくです。他はあまり聴かないのですが、クラシック全般とジャズ、ブラジル音楽を聴きます。  2002年から4年間ブラジルに住み、2013年から2年間パプア・ニューギニアに住んでいました。これがブログ名の由来です。  アイコンの写真は、パプア・ニューギニアにいた時、ゴロカという県都で行われた部族の踊りを意味する≪シンシン(Sing Sing)≫のショーで、マッドマン(Mad Man)のお面を被っているところです。  

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