「第三次世界大戦はもう始まっている」エマニュエル・トッド

やっぱりそうか、と思わせるこのタイトル、エマニュエル・トッドの新刊が出ている。じじいは、エマニュエル・トッドの炯眼にかねがね感服しており、文春新書で出版されている氏のシリーズのファンである。おそらく彼の本は7~8冊あるかと思う。

アマゾンから

それらの本のうち、ムハンマドの風刺画を掲載してイスラム教徒の原理主義者に襲撃された新聞社シャルリ・エブド事件をテーマにした「シャルリとは誰か?人種差別と没落する西欧」(2016年)だけが、エマニュエル・トッドが、実際にフランス語で書いた本の翻訳で、この本は字も小さく、内容も濃く骨が折れる。そのためじじいは読むのを挫折した。

じじいが氏を最初に知った「グローバリズムが世界を滅ぼす」(2014年)は、じじいが非常に共感した本であり、藤井聡、中野剛志、柴山圭太、ハジュン・チャン、堀茂樹の座談会の発言を取りまとめた本である。「『ドイツ帝国』が世界を破滅させる」、「グローバリズム以後」、「問題は英国ではない、EUなのだ」、「トランプは世界をどう変えるか?」、「老人支配国家日本の危機」は何れも、対談や聞き書きである。このため、スラスラ読める。

「第三次世界大戦はもう始まっている」は、ウクライナ戦争が始まった今年、3月下旬に文芸春秋が取材してきたものだ。今このブログを書いているのが、8月下旬だが、戦争は長期戦の様相を呈し、EUは支援疲れしてきたとか言われ、トッドが3月に話した内容と齟齬がないだけでも、凄いことだ。

というわけで、この本の内容から、じじいが刮目したトピックを何回かに分けて、備忘的に取り上げたい。


まずはアマゾン・文春新書のコピーは下のとおりである。コピーの次にじじいがそうだな、面白いなと思ったトピックを書きたい。

ロシアによるウクライナ侵攻を受けての緊急出版。
戦争を仕掛けたのは、プーチンでなく、米国とNATOだ。
「プーチンは、かつてのソ連やロシア帝国の復活を目論んでいて、東欧全体を支配しようとしている。ウクライナで終わりではない。その後は、ポーランドやバルト三国に侵攻する。ゆえにウクライナ問題でプーチンと交渉し、妥協することは、融和的態度で結局ヒトラーの暴走を許した1938年のミュンヘン会議の二の舞になる」――西側メディアでは、日々こう語られているが、「ウクライナのNATO入りは絶対に許さない」とロシアは明確な警告を発してきたのにもかかわらず、西側がこれを無視したことが、今回の戦争の要因だ。
ウクライナは正式にはNATOに加盟していないが、ロシアの侵攻が始まる前の段階で、ウクライナは「NATOの〝事実上〟の加盟国」になっていた。米英が、高性能の兵器を大量に送り、軍事顧問団も派遣して、ウクライナを「武装化」していたからだ。現在、ロシア軍の攻勢を止めるほどの力を見せているのは、米英によって効果的に増強されていたからだ。
ロシアが看過できなかったのは、この「武装化」がクリミアとドンバス地方の奪還を目指すものだったからだ。「我々はスターリンの誤りを繰り返してはいけない。手遅れになる前に行動しなければならない」とプーチンは発言していた。つまり、軍事上、今回のロシアの侵攻の目的は、何よりも日増しに強くなるウクライナ軍を手遅れになる前に破壊することにあった。
ウクライナ問題は、元来は、国境の修正という「ローカルな問題」だったが、米国はウクライナを「武装化」して「NATOの事実上の加盟国」としていたわけで、この米国の政策によって、ウクライナ問題は「グローバル化=世界戦争化」した。
いま人々は「世界は第三次世界大戦に向かっている」と話しているが、むしろ「すでに第三次世界大戦は始まった」。ウクライナ軍は米英によってつくられ、米国の軍事衛星に支えられた軍隊で、その意味で、ロシアと米国はすでに軍事的に衝突しているからだ。ただ、米国は、自国民の死者を出したくないだけだ。
ウクライナ人は、「米国や英国が自分たちを守ってくれる」と思っていたのに、そこまでではなかったことに驚いているはずだ。ロシアの侵攻が始まると、米英の軍事顧問団は、大量の武器だけ置いてポーランドに逃げてしまった。米国はウクライナ人を〝人間の盾〟にしてロシアと戦っているのだ。


1.「共産主義が、アメリカの『社会民主主義』を崩壊させる前に、その誕生に貢献していたというパラドクス」

まず、アメリカとロシアの価値観がどこから生まれたのかという問いに、トッドは家族制度の違いが、資本主義と共産主義の違いをもたらしたと説明する。つまり、アメリカは、絶対的核家族で「自由」と「非平等」なシステムであり、ロシアは、「兄弟間の平等」と「ほぼ無制限の父親の強い権威」を併せ持ち、かつての農村の家族構造(外婚制共同体家族)から生まれたという。この違いが、アメリカをはじめとする西側陣営に競争社会といえる資本主義を生み、ロシアと中国(中国もロシアと同じ家族制度である)に平等を重視する共産主義を生んだ。

この両大国のアメリカとソ連は第二次世界大戦後、左右の陣営に分かれて覇権を争う冷戦が続き、ソ連崩壊で西側の資本主義陣営が完全勝利したと思われている。しかし、トッドは、米ソは補完し合っていて、アメリカはロシアを「成長」へ向かわせ、ロシアはアメリカを「平等」へと向かわせた。つまり、両陣営は、相手に打ち克つために最大の努力をし、1950年から1960年にかけて、西側の先進諸国は「福祉国家」へと進んだという。共産主義に打ち勝とうとする意志が、完全雇用をはじめとする福祉国家化を促し、ヨーロッパを復興させるマーシャルプランを始めとする帝国主義的であると同時に責任あるアメリカの対外政策を促したという。

やがて、冷戦はソ連の崩壊で西側の勝利に終わったかのように言われるが、西側も実は内部崩壊をしていたというのがトッドの見立てである。 この内部崩壊とは何かと説明するとこうなる。

アメリカは、冷戦時代を通じて「万人の平等」を目指したが、これは核家族制度のなかにそもそも欠落する思想である。アメリカ型の個人主義的家族制度は、兄弟間の不平等を許すシステムだからである。

アメリカは、黒人差別に目をつぶり、「白人間の平等」を掲げてきた歴史を持つ。しかし、「黒人も平等」という思想が、「白人間の平等」という共同意識を壊した。(「自由」と「平等」は、制限を加えず、野放しにしていると両立しがたい。)また、強力な労働組合のもとで、アメリカの労働者階級が解放され、彼らは中産階級になったが、企業の利益率は劇的に低下した。「黒人は(白人より)劣る」という思想が禁じられ「黒人も平等」となれば、「白人同士の平等」という感情が崩れ、経済的な不平等が許容されはじめた。

さらに、アメリカの文化的危機に関わる要因として、ベトナム戦争での敗北の屈辱がある。アメリカは、アフガニスタンやイラクで不誠実で残虐な戦争を起こしているので忘れがちだが、ベトナムでは正真正銘、共産主義に敗北し、モラルの崩壊を招いた。

次の点は、ロシアとは無関係だが、トッドは普遍的なこととして高等教育の普及を上げている。識字率の向上で形成された平等主義的な文化は、大学進学率が25%を超えたところで、「平等」の意識が失われ、上層部の人は自らを「新たなエリート」と認識するようになるという。アメリカで大学進学率が25%を超えたのは1960年から1965年であり、この時期は黒人運動まっさかりで、「白人の平等」は、大学進学率と「黒人も平等」という両輪でつぶされ、消えてなくなる。

これが、冷戦で負ったアメリカの代償(=アメリカも敗北した)であり、この共産主義の重しがなくなった後、その反動で核家族を中心に据えた、「非平等」を内在するアメリカ型の「自由」の世界へ回帰し、「平等」がない「自由」だけが尊重される「新自由主義」がはじまったわけだ。

トッドは言う。「『黒人の解放』が『白人の集団感情』を打ち砕いたのです。『新自由主義』という革命は、人種主義の圧力から誕生しました。私に言わせれば、人類学的な無意識にずっと潜んでいた『非平等』への衝動が抑えられなくなった結果に他なりません。」

人種問題はアメリカに付きまとっており、この白人の集団感情の崩壊が、効率的な集団行動を阻んでいる。共和党と民主党の二極化は、人種的な分離に根差し、これを永続化させている。黒人の90%の票は、高学歴層、超富裕層と連動し、民主党の「傭兵」のような存在になっている。これが政治システムの「寡頭制」を生き永らえさせている。一方、共和党は、優位性を失いつつある白人アイデンティティから逃れることが出来ずにいる。

人種主義、「人種」へのこだわりがアメリカの白人の民主主義を可能にしたわけだが、オバマ以降は、「多人種」を夢見ながら「寡頭制」を持続させている。「民主制」から「寡頭制」への移行は、ロシアとの対立によって形づくられ、「黒人の解放」を迫ったのもロシアだ。

加えると、家族構造の歴史から見ると、西洋社会は「もっとも原始的」で、父権性が強く権威主義的社会を形づくっている共同体家族こそ「もっとも新しい」ということだ。

ほぼほぼ、トッドの言うことをコピーしてきた。他にも、おもしろいトピックはいくつかあるのでまた紹介するつもりだ。

おしまい

《CLAPSの説明》 「いいね」は、WordPressにアカウントがある人しか押せませんが、「Claps」は、誰でも押せるはずです。もし面白いと思われましたら、今後の励みになりますので、押していただけると幸いです。(^^) & m(__)m

救えない日本 こんな日本に生まれて情けない その6 ワクチンデータ改ざん

数日前から、厚労省がワクチンの効果を偽っていたということが指摘されているのだが、それを大手マスコミは全部がスルー(無視)している。こんな大問題をスルーするのは信じられない。いったい、マスコミとは何なのか。権力にすり寄り、既得権益を守る勢力とはマスコミの事ではないのか。

経緯を書くと、新型コロナに関し、外国では、オミクロン株が出て来てからワクチンの効果が下がっているのだが、なぜか日本の厚労省が発表するデータは、予防効果がこれまでとかわらないデータが並んでいる。 これに気づいた名古屋大学の小島先生が指摘し、それを国会議員が国会で質問し、厚労省が再確認し、計上方法を変更したらしい。 変更と云えば問題がないように聞こえるかもしれないが、これまでワクチンの効果を水増ししていたのをやめた、というのが正しいだろう。

つまり、ワクチン未接種者、2回接種者、3回接種者と区別されて調査されていたのだが、その調査は、PCR検査をした際に医師が被験者から聞いた内容をもとに記入しているが、実情に合っていない。つまり、コロナワクチンを注射したのに調査票が未記入・記入不備の場合があり、それを未接種のカテゴリーに乗せていたという。

つまり、日本だけ未接種者の陽性率が実際より高くなっていた。

国民は、ワクチンの予防効果が高いからワクチンを打つように勧奨されてきたが、この根拠が実のところはなかったか、証明になっていないということだ。コロナの対策にこれまで異議を唱えられてきた医師の森田さんは非常に怒っている。ぜひ見てください。

https://nico.ms/sm40508473 ← ニコニコ動画の医師・森田洋之さんの動画が開きます。

下は、CBCのニュース番組で、名古屋大学の小島先生が疑問を呈し、参議院で大臣が答弁している様子が流れている。なお、CBC(中部日本放送)は、他のマスコミ各社が誰に忖度しているのか知らないが、報道をスルーしているところでも、積極的に取り上げているほぼ無二の放送局である。

下は、厚労省が作った、今年の4月最終週の10万人当たりの新規陽性者数を表す表だ。このデータのとり方を正しくしたら、赤線を引いた年代で、ワクチン未接種者よりワクチン2回接種者の方の陽性率が高くなった。(ワクチンを打っても陽性率を下げる効果がない、ということだ)また、欄外に分類方法を、未接種から不明に変更したと注記されている。

また、下の様式が医師がデータを厚労省へ提出するものだ。今回の問題は、ワクチンを打っていても、赤枠の部分に正しく記入されていないと、未接種にカウントされ、陽性率が水増しされてきた。 

このコロナの問題だが、他にも大きな問題がある。つまり、森田洋之さんがアップしていたのは、最初YOUTUBEだった。ところが、YOUTUBEのポリシーで、WHOの言うことと反するような動画はすぐに消されてしまう。それで、この動画はYOUTUBEに1時間ほど見れたのだが、すぐに消され、改めてニコニコ動画にアップされたものだ。

同じようなことはコロナの場合、有名なところでは、ゴーマニズム宣言の小林よしのりさんの動画なども、YOUTUBEでは受け付けられない。すぐに消される。

コロナでなくとも、医療関係で「ヒデキとモリヨのお悩み相談」(和田秀樹さんと木村もりよさん)なども、批判的なことを言うと削除されている。

ちなみに、イーロンマスクがTWITTERを買収し、トランプ前大統領のアカウントを復活させると言っているが、根っこはこれと同じ、金持ち同士(ネオコン=共和党と、ネオリベ=民主党と言っていいのかしら?)の戦いである。

もちろんトランプの方がマシなのだが、民主党の後ろには、圧倒的金持ち=エスタブリッシュメントの連中が隠れている。こいつらの言うことを真に受けると、格差は広がるばかりだし、自由に発言すると「差別主義者」「民主主義を破壊する」というレッテルを貼られる。

とにかく世界は妙なことになっている。ヨーロッパでは、アフリカ移民反対を唱えることがタブーだし、アメリカでは国民の不満をそらす目的のため共産主義が表に出てきた。ヨーロッパでは、自国の女性がイスラム教徒にレイプされてもマスコミは取り上げない。アメリカでは、一部の黒人のエスタブリッシュメントが表舞台に出てくるようになり、Black Lives Matter運動もそうだ。南部開拓者の白人の像が引き倒され、ブロードウェイで有色人種が「白雪姫」を主演したりしている。ウクライナの戦争も、ロシア悪者という報道ばかりされるが、欧米と日本はそうだが、世界中を見ると、そうでない国も結構ある。 つまり、なにもかも、特定の勢力の、強力なバイアスが働いているとしか思えない。

おしまい

もううんざり 日本の新型コロナ対応

新型コロナについては、そこらじゅうで噓(=テレビ、新聞)や、保身・自己顕示欲(=《感染症ムラ》の医師たち、政治家)がまかり通っていて、国民はすっかり置き去りにされている。収入激減で、若い女性は売春、男性は犯罪に走るしかない場合が、少なからずあるだろう。

ところが、あまりに《感染者》が増えてきたために、テレビ局が切り取った発言のようだが、東京都医師会の副会長はモニタリング会議で、「災害時と同様に、自分の身は自分で守る」と発言する始末である。これでは医療崩壊というより、医療放棄である。

こうした現象に加担してきたのは、まず、専門家という触れ込みの医者たちである。感染症を専門とする 《感染症ムラ》 の医師たちは、我が世の春が到来したのを良いことに、国民の不安をあおりまくっている。《専門家という触れ込み》と書いたのは、彼らが医師であるのは間違いないが、ウイルスの専門家でも免疫の専門家でもなく、インフルエンザや風邪の患者を多く診てきたり、過去のSARS、MERSを知っている人物に過ぎないからだ。

次に、テレビをはじめとするマスコミはもっとひどい。彼らはバカではないのだろうから、もっと様々な情報を手にしているはずなのに、 《感染症ムラ》 の専門家同様、不安をあおり続けている。儲けを優先して、公平な報道をしていない。受信料を月額300円程度にしろと言われたNHKは、会長が変わってから、もっとも政権に忖度し、偏向報道しているように見える。普通、テレビでも新聞でも、報道は反対意見も報道するものだが、それが全然ない。

次に、政治家。これも酷い。彼らは、人気取りしか考えていない。彼らも様々な情報のレクチャーを受けているはずなのに、テレビなどのメディアが、国民の不安をあおるため、マスコミに同調するばか、《頑張ってます感》を出すだけだ。いつまでたっても、火中の栗を拾って、真実を言おうとしない。

問題の根本は、2つある。一つは、PCR陽性者を感染者と定義し、無症状の健康な者を含むことで、隔離すべき対象人数がむやみに拡大している。もう一つは、感染症法の分類で2類にされており、さらに、厚生省の通達で実質1類の運用がなされ、SARS、MERS,エボラ出血熱と同じ扱いがされているので、町医者の大半、殆どの病院が診療しないことである。

下の動画は、郷原弁護士と、医療ガバナンス研究所の上医師のYOUTUBEである。

この問題点がよくわかる。ぜひ、見てください。これを見ると、世間で言われている医療崩壊ではなく、保健所崩壊》ということがよくわかる

端緒だった昨年のはじめ、この新型コロナが、どのような病気かよくわからなかったとき、日本政府は、過去のSARSを念頭に置き、たいして広がらないだろう、ワクチン作って儲けようと仕組み(=法整備)づくりをした。

まず、感染症法を適用させ、隔離しようとした。隔離策は、戦前から結核やハンセン病に経験がある。同時に、国立感染症研究所と保健所にデータが一元的に集まるようにした。

世界のリーダー同様、安倍首相は、ワクチン開発による儲けのチャンスだと思ったに違いない。もし成功すれば、国民全員に接種できる。そうなれば、功績は大きい。そのために、PCR検査を保健所でやり、保健所の指示でコロナ病院を割り振り、クラスターの犯人捜しも保健所が担当することにした。

ところが、政府はSARSを念頭に置き、制度設計したのだが、SARSは日本に被害をもたらさなかったし、世界的に見てもすぐに収束した。ところが、この新型コロナは、想定外の大きさでパンデミックになった。

とうとう今日の状態になり、あまりに数が増えたので、保健所では対応できなくなった。そりゃ、そうだ。実際に新型コロナの患者を1人でも受け入れたことのある病院は、全体のわずか21%だからだ。

おしまい

新型コロナ 国民全員に毎月10万円配っても何の問題もない!

国民は日本が借金まみれで、あまりに借金が多く、1100兆円もあるためにこれ以上、政府を頼るわけにはいかないと思っている。

しかし、これは財務省がマスコミを含めて洗脳をしてきた結果であり、この新型コロナの危機にあたり「国民全員に毎月10万円配っても何の問題もない。」のだ。

その理屈を説明すると、財務省が国民を脅す国債は国の借金であり、この借金は、返す必要があるというが、そうではない。国債は借り換え(償還期限が来れば、新発債を発行して借り換え)ても良いし、本当に償還する場合でも、お札をすればよいだけである。

こうしたお札を刷って借金を返すという技は、国民にも企業にもできない技だ。国民、企業は「入りを量って出ずるを制する」(入ってくるお金以上にお金を使ってはならない)を意識して生活しているが、国の場合には事情が違う。我々は日々、お金を使っているが、これは国が発行したもので、国は経済の成長に合わせてお金を発行している。この国による通貨の発行を「通貨発行権」といい、これは国にだけ認められた権利だ。昔、この通貨発行は、兌換といって、国が所有する「金」の範囲でしか発行できなかった。これを金本位制というのだが、この縛りは昭和の時代になくなっている。

また、国が国債を発行する(国が負債を負う)ということは、国債を買った人や企業ににとっては、資産(債権)の増加になる。

つまり国が負った負債なのだが、これは国には通貨発行権があるので、いつでもチャラにでき、国債を買った側に資産が増えるメリットがある。

ただ、この技が使えない国がある。それは自国通貨で国債を発行できない国、例えば、イタリア、スペインなどはEUに加盟しユーロを使っているので、勝手にユーロを発行できない。同じくギリシャだが、通貨ドラクマを放棄したため、ユーロを使わざるを得なくなって破綻したわけだ。あと、アルゼンチンなどはドル建てで国債を発行しているので、ドルを刷るわけにはいかない。

また、主流派の学者は、終戦直後の日本や、軍事独裁政権時代のブラジルなどをあげ、通貨供給を極端に増やすとハイパーインフレが起こると警鐘をならすのだが、それは政府自体が終戦直後の荒廃した供給力のない時代の話なので、牽強付会(無理なこじつけ)というものだ。

よく大量に国債を発行すると、信認を失い、金利があがるというが、日本は約30年間、1100兆円の国債を発行してきた結果、金利は下がりつづけ今ゼロである。確かにマーケットの信用を失ったギリシャが金利40%をつけて、引き受け手を探したという話があるが、これも日本にとって牽強付会だ。

ただ、お金を配ると言っても限度があるのは当然だ。日本のGDPは530兆円/年ほどだが、ここに毎年200兆円配ればインフレになるだろう。インフレになりそうになった時に初めて、消費税や所得税などをあげれば、経済活動は冷える。今は、経済活動を温めなくてはならない時期だ。

新型コロナの対策で、国民一人当たり10万円を全員に一月配れば12兆円。これを半年やると、72兆円になるが、金持ちに配ると意味がない。ただ、全員に毎月10万円を配って、金持ちも勤労者も確定申告させれば、半分以上は戻ってくるだろう。

低所得者層に30万円を配るという案が当初検討されたたが、このとき負担は20兆円程度とか言われていたので、毎月10万円を6か月配っても、40兆円くらいだろう。当然、家賃や学費などの他の支援も必要である。

GDP530兆円に対し、40兆円を国がだしてもインフレにならないだろう。新型コロナの影響で、日本は20%以上のGDPが減り、間違いなくデフレになるだろう。その状態で、40兆円出しても、デフレだろう。

しかし、当の日本の財務省は、10万円を1回だけ配って終わりにしたいと考えているだろう。そんなことでは、日本で生き延びるのは、議員、地上波のテレビ局と財務省だけだろう。

ちなみに、動画の登場人物をごく簡単に説明すると、藤井教授は最近まで、安倍内閣のブレーンをされていた。安藤議員は、コロナが始まってどんな景気対策をするかという時に、他の議員たちとともに消費税の凍結を首相に進言した人だ。三橋貴明さんは、安倍総理と食事をしながら消費税を上げないようにという話をして、やっと人気が出始めた時に、家庭の夫婦げんかで奥さんにビンタをしてしまい、奥さんが警察に行き、警察に逮捕されたら、その日の夜のニュースに「家庭内DV!!!」という記事がそこら中に載ったという方である。

以上が、2つの動画の内容の主なものだ。

 

おまけ

これらの動画や他の動画を見ると、面白いエピソードがいっぱい出てくる。どうやら、安倍首相も麻生財務大臣も最初は、日本の景気回復にはお札を一杯刷ればよい、消費税は上げない方が良いと思っていたらしい。しかし、徐々に考えが変わっていき、財務省の意向に従っているという。

その原因の一つは、国税庁の存在。また、モリカケ問題の発端は財務省のリークで、泥を財務省が被ることを引き換えにして、政府に消費税を上げさせたのではないかという。

なお、何故、財務省がそれほど財政再建にこだわるかということだが、財務省設置法に「健全な財政の確保」、財政法第四条に、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」という言葉が入っているからだと分析する人がいるという。これが本当なら、財務省、法律バカですね。さすが、東大法学部出身者の集まり。すぐに条文自体を、現実に即して改正しなければならない。

他によく言われるのは、もし財政規律をゆるめて日本経済が復活したら、財政規律をうるさく長年言ってきた財務省の掛け声は何だったのか、と問われるのが嫌だという説もある。要は、日本経済が復活して困るのは財務省というわけなんですね。

ところで、マイナンバーはすでに導入済みだし、コンピュータの事情も昔と大違いだ。

国はすでに国民全員にマイナンバーを振っているので、全員の所得を把握している。今回の給付のデータを源泉徴収義務者(企業)に伝えるようにすれば、確定申告ではなく、源泉徴収も可能だ。

今回の新型コロナの対応で、日本はコンピューターの活用がいかに遅れているということがバレてしまったが、この機会に、企業による源泉徴収制度を改め、国がコンピューターシステムを作って税額を計算して、その結果に基づいて、企業は納付だけするようにすればよい。コンピューターの進化は、たとえ1億2千万人の納税計算でも、パソコン1台あれば出来るレベルのシンプルなものにしてしまった。大げさなシステムはまったく必要ない。クラウドでちゃちゃっと作ればよい。時代はもうメチャかわっている。

ハンコ文化も止めればいいですね。

テレビの報道などで、政府の助成金などを求めて、中小企業などの事業者が政策投資銀行やら市中銀行へ出向いている様子が写される。このとき、紙の書類の束が画面に映って、これにも驚く。いつまで、紙の束で仕事をするつもりなのか、時代錯誤でしょ。紙で受け付ければ、もう1回コンピューターに入れる手間が必ずあるでしょ。

おしまい

 

新型コロナ つづき

(2020/4/19)新型コロナ、あまりのお粗末さにいいたいことがたくさんある。

日経新聞から

① 医師の上昌広さんもおっしゃっていることだが、今回の件は、保健所、衛生研、国立感染症研が仕切り、指定感染症に指定して、患者の治療費は、症状に関係なく無料にするとともに、指定病院で治療するという方針を定めたことに端を発する。これは、患者の発生、蔓延に時間の猶予があり、広がりも大きくないだろうと考えていたからだ。また、PCR検査、ワクチン、治療薬開発をこれらの関係者で国内対応するために情報を囲い込もうとした。上記の機関ではPCR検査の能力も不十分で、不足が明らかだったが、PCR検査の精度が高くないことを理由に、広汎に検査をするより、クラスター対策をすれば問題を乗り越えられると考えていた。 

しかし、現実は厳しく、世界各国と全く違う道を行き、感染爆発の段階まで来てしまった。ようやく、市中のクリニックなどを参加させ、民間へPCR検査を依頼するという動きが、外部の医師たちの動きによって始まりつつある。 しかし、根本的な国の方針転換は行われない。相変わらず、この作戦を立てた医師たち(専門家会議の面々)は、テレビでしたり顔をして、今後の推移は、国民生活の自重ぶりにかかっているというような、責任転嫁の発言をしている。 

政府は失敗を認め、責任者を交代させ、方針転換を表明すべきだ。 そもそも、政府の責任者が、厚労相でなく、財政再建担当相というのが、意味が分からない。 また、政策の決定を「専門家」の意見をもとにするという「隠れ蓑作戦」を転換すべきだ。専門家にはいろいろなポジションの専門家がいる。都合のいい専門家を集めて、専門家の意見を斟酌したと言って、責任を転嫁する手法は見苦しい。 

トランプ大統領のように嫌いな部下をズバズバ切り捨てろとは言わないが、ずっとリーダーらしい。他の国のリーダーもそうだ。自分の判断だと言っている。間違っても構わない。人は間違う。大事なのは、間違いを速やかに認めて方針転換することだ。

② 政府は108兆円の経済対策をするというが、この大部分は、返納を要する貸付金や、税金の納税の猶予などで、真水と言われる一般会計からの支出は20兆円程度と言われる。貧困層に30万円を支払うという話も、公明党に協力しないぞと脅かされて、全員に10万円を配ることにかわるようだ。 10万円にしたって、30万円にしたっていずれも足りない。30万円にプラスして10万円を給付すればよいと思うのだが、大仰なことばかりいながら議論ばかりで一向に支払われない。 今日のニュースで、西村経済再生大臣が、総務省のマイナンバーが、住基台帳の氏名と住所とつなげられるのに初めて気がついたらしく、これを使えば「早く支払えることが分かりました。」という意味のことを発言していた。 とにかく支払いが、遅いのだ。 30万円の時も複雑な計算が必要で時間がかかるようなことを言っていたが、マイナンバーを使えば、毎年の所得は補足されており、簡単なプログラムを書いて抽出すれば、あっという間に対象者は確定できる。名前も住所も、家族状況も捕捉されており支払い可能だ。 とにかく、コンピューターの活用がゼロだ。

そう言えば、政府がLINEを使った調査をしているが、LINEの回答に、4日以上熱があるという人が3万人程度いるらしい。そのことについてソフトバンクの孫さんが、その人たちがウイルスをバラまいているのじゃないかと疑問を呈されていた。そのとおりだろう。(因みに、その後調査結果が公表されていないらしい。)

③ 安倍総理のアベノマスクと動画のコラボを見て、感覚のズレにも呆れた(単に下々の生活を知らないのかもしれない)が、財務省をはじめとする官僚の動向が気になる。安倍政権は、モリカケ問題で、悪役をすべて財務省に被ってもらった恩がある。検事の定年延長でも、法務省に被ってもらった。そのしっぺ返しが来ているのだろう。財務省は、1月以来のコロナの騒動で、予算が成立しない限りは石でも動かず、大きな財政赤字を理由に財政拡大には協力したくないという態度をとっているように見える。今回の30万円と10万円のすげ替えでも、補正予算の組み換えに1週間かかるという。国破れて、霞が関が残るのだろう、馬鹿げている。国民へ素早くお金を給付するのに、マイナンバーや住民基本台帳のシステムを繋げれば、素早くいかようにも支払えるということを、財務省が知らなかったはずがない。官僚は、知恵を政権に提供していないとしか思えない。 

また、新型インフルエンザ等対策特別措置法を読んでみたが、これも巧妙だ。この法律は、政府が方針を決め、地方公共団体が対策を実施することになっている。費用負担については、医療にかかる追加費用のことを一部のみ書いてあるが、休業補償などは一切書いていない。 

この法律を盾にして、政府は高い位置から方針だけをだし、地方自治体が右往左往している。最終的な地方自治体がする補償金の類は、政府へ求めることになるのだろうが、それは財務省の権限が増大することを意味する。この法律のおかげで、コロナ対策の責任は地方公共団体に向けられた。究極の責任逃れであり、厚労省も、財務省も責任は軽くなった。このような方策は、あり得ないだろう。 

また、アベノミクスで雇用改善の効果を上げた安倍政権だが、ブレーンたちが求める消費税の減税ができないのは、自民党の主流派(麻生財務相、二階堂幹事長など)だけでなく、財務官僚をコントロールできないからだろう。抜本的な救済策をとれないと、確実に自殺者が、救命した死者数より多くなるだろう。

官僚の件については、今国会が開かれているが、会期中は特に官僚の幹部クラスは、国会議員に想定問答を作ったり、レクチャーをしたりで、エネルギーの大部分が注がれる。実際の業務の大部分を担っているノンキャリだが、キャリアの許可なしで仕事はできない。それが原因で、この危機でも効率が大きく落ちているだろう。そもそも、霞が関、地方の出先機関のヒエラルキーのあり方が、時代錯誤だ。成功している企業は、必ずフラットで、実力主義が徹底しているはずだ。

④ 普段、説得力のあることを言われている橋下徹さんだが、今回は怪しい。彼は、重要な指標は死者数で、日本の死者数は少ないというのだが、主は発表されている死者数自体が怪しいと思っている。毎月肺炎の死者数だけで、1万人ほどあるのだが、PCR検査をせずに亡くなっている。これらのうちには、かなりの感染者が含まれている可能性がある。 

ただ、日本の広がりは、どうも欧米よりは少ないというのは、間違いなさそうだ。下は、BLOGOSのリンクだが、悲観的シナリオで、日本の感染者数のピークは4月26日前後になり、日本全体の累計感染者総数は5万人に達する。楽観的シナリオによれば、日本の感染のピークは4月16日となり、累計の感染者数は2万人以上に達するという。

台湾の研究者が日本の新型コロナ感染拡大を試算、5万人感染で「第二の湖北省になる」と警告 – 野嶋 剛 (ジャーナリスト)

WEDGE Infinityから

厚生労働省の新型コロナウイルス感染症のクラスター対策班、西浦博北海道大学大学院教授が、このまま何の対策もとらなければ日本で約42万人の死者が出ると警鐘を鳴らされているが、実際には、台湾の研究者がいう数字、感染者数が2~5万人となるものの、欧米の死者数ほどにはならないというのが、第1波の感染としては、体感的に当たっていると思える。

つまり、42万人の死者(現時点の世界中の死者数より多い)というのは、どうなのか。前提条件の何かが間違っていないのか。根拠を詳しく公開して、大勢で検証すべきだ。なにしろ、これが国民に求められている「自粛」の根拠である。西浦教授は無報酬で働いているという記事を目にするが、十分な手当てをもらって、正しい方針を立ててもらいたい。

橋下徹さんに戻ると、国会議員の待遇を批判して、給与返上せよと言った。これはまさしく正当で、ほとんどの国民の所得が下がる中、国会議員、地方議員とも好待遇がバブルのままだ。こんなふざけた話はない。威張りながら、名誉もあり、好待遇が補償される職業は他にない。国民と同程度か、低いぐらい(500万円くらい)が、私心を抱かずにすみちょうど良いのではないかと思う。

⑤ 韓国の選挙で与党が圧勝した。コロナが追い風になったらしい。日本は明らかに反面教師であり、情けない。誰が指導者かと、うんざりである。

⑥ NHKのETV特集でコロナに対する「世界の知性」がどう見るかという番組をやっていた。(下にその映像を貼りました。)出てきたのは、イアン・ブレマー、ユヴァル・ノア・ハラリ、ジャック・アタリの3人である。

印象的だったのは、世界の様相を変えるぐらいのインパクトがあるだろうと3人全員がいうことだった。安倍総理が言う「V字回復」するというような甘い話は全くない。イアン・ブレマーは、格差がこれ以上に拡大し、何のイニシアティブも取らないトランプ大統領が、中国とケンカをしてさらに世界は分断するだろうという。対策には「犬を飼ったら心安らかになる。」といい、対策は何もないと言いたげだった。

ユヴァル・ノア・ハラリは、コロナを利用して独裁へ向かうハンガリーを上げていたが、主は日本も独裁国家と変わらないと思って聞いていた。(日本のマスコミは忖度し過ぎだ。間違ったことに、《揶揄するような小さな声で》警鐘を鳴らすだけではなく、具体的な証拠を出して、自分の意見をはっきり表明すべきだ。確かに強い政権に盾ついて、干される恐怖は働くだろうが、存在意義を自ら放棄しているとしか思えない。マスコミがつよいのは、芸能人の不倫問題だけだ。) 

10年前にパンデミックを予想していたジャック・アタリは、この危機が、市場と民主主義の危機であり、やはり分断を危惧している。 そもそも、トランプ大統領の登場とともに、グローバリズムは終焉を始めたのだが、日本の安倍政権や、マスコミは相変わらず「自由貿易」を旗印にして、グローバリズム(格差の拡大)を積極的に否定しようとしない。

https://www.dailymotion.com/video/x7t9vvs

おしまい

 

 

 

新型コロナウイルス すっごい人がいたもんだ! 郷原信郎弁護士、上昌広医師対談

新型コロナウイルス肺炎だが、ますます悪化し、我が道をいく日本は、ますますガラパゴス化して、このジャンルもかよと暗澹たる気持ちになる。

正義の使者、ドン・キホーテなのかともかく、弁護士の郷原信郎さんが、新たにYOU TUBERとなり、「日本の権力を斬る!」という番組を始められた。

このうち、医師の上昌広さんとの対談を転載させていただく。

この新型コロナの問題では、日本がいつまでたってもPCR検査に本腰を入れず、世界と比べるとまったく奇妙な動きをしている。アメリカは、いつまでたっても検査をしない日本では医療をまともに受けられない懸念があるとして、アメリカ人に帰国勧告を出したほどだ。 この日本がPCR検査をしないことについて、上医師は、厚労省と国立感染研究所のムラ社会の医師たちが対処方針を仕切っており、彼らは「日本がPCR検査をしなかったことが、感染爆発を防いだ。クラスターを追うことが成功の原因だ。」と考えているとおっしゃっている。 ところが、実際に起こっていることは、失敗がはっきりしつつあり、いよいよ日本でも感染爆発が起こりそうだ。

たしかに日本では、アメリカや欧米ほど、死者数が出ていないのは観察される。だが、日本では肺炎が原因で死亡する人が年間20万人あり、この2か月に亡くなった3万人の死亡者に、PCR検査をしていない。このため、やはりこの死者数の中には、新型コロナウィルスによる肺炎で死亡した人が含まれているだろうと言われてる。

また、すでに発表されている感染者数には、医療関係者の感染が相当数含まれているのだが、マスコミやコロナ対策をする専門家、政府が、院内感染の危機を十分に伝えていないという。

けっこう長いので、一つだけ見るという方が居られたら、#5 を先に見ていただければよいと思います。

 

 

おまけだが、郷原弁護士は、モリカケ問題の佐川理財局長の指示で自殺したという遺書を残された近畿財務局の赤木俊夫さんの問題にも、問題をわかりやすく語っておられる。

おしまい

新型コロナウイルス

中国発の新型コロナウイルスによる肺炎がとんでもないことになっている。これに対する主の辛口批評を書いてみたい。(2020.3.22)

厚労省のHPから

1.【日本の取り組みが世界と比べて甘く、大丈夫か?】 感染の広がりが世界各国と比べて、日本はどうも遅いようだ。日本人は、ショッピングセンターで買い物をしているし、郊外の観光施設は、道路も混んでいるし普通ににぎわっている。政府は緊急事態宣言を見送ったのだが、これでいいのだろうか? これが正しいのかは、PCR検査をしていないので、真偽が分からないのだが、日本人にある程度免疫が備わっており、世界各国と比べ発症度合いが少ないと言われることがある。本当なら良いのだが、市中感染の広がりは徐々に増えていると思われ、やがて感染爆発(オーバー・シュート)が起こりそうだ。

2.【PCR検査数が少ないこと】 中国の武漢で感染が広がりつつある当初から、中国は、スイスのロシュの検査キットを使って、PCR検査を大々的にやっていた。 一方、日本政府はこの新型肺炎を指定感染症に指定し、治療費を無料にする代わりに、診療機関を限定し、PCR検査も保健所と衛生研究所、感染症研究所のルートに限定し、発熱しても4日間は自宅で我慢させるというのが、今なお変わらない方針である。したがって、街中の一般の内科クリニックには、「保健所」か「帰国者・接触者相談センター」にまず連絡するよう張り紙が掲示されている。この方針は、PCR検査、ワクチン、治療薬の開発を外国のものを使うのではなく、国内でやりたいという思惑が見えていた。端的に言えば、医者の中でも感染研などの医師のうちの研究者グループ、厚生労働省、日本の製薬メーカーが、この機会に勢力を拡大しようと企んだ。しかし、事態の進展は予想以上に急で、クルーズ船への対応を含め、日本だけが世界と違う取り扱いを続けてきたし、今も続けている。ここでは何といっても、隠れた感染者がどれだけいるのか分からないので、はっきりしたことが言えない。死者数もそうだ。3/22現在の死者数は36人にすぎないが、世界各国と比べて異常に少ない数で、これも怪しい。日本ではググると、毎年、肺炎で4万人、風邪で3000人なくなるらしい。これは月平均にすると、3500人くらいになるのだが、これの中にも、新型コロナウイルスの感染者が含まれているのにかかわらず、カウントされていないのではないか。意図的に検査しないのだから、分かりようがない。

3.【日本のコンピューター技術力のなさ】 中国が、10日間で病院を建設したのには驚いたが、QRコードをスマホに配り国民の動きを監視する体制をすぐにとった。台湾でもそうだ。マスク不足が起こるのだが、スマホにマスクの在庫のある近所の薬局が表示され、権利のある購入者がその店でマスクが買える。韓国でも同様で、交通パスの履歴などを使い、国民の動きを追い、実際に自粛しているかどうかチェックしている。 ひるがえって日本であるが、このような報道があっても、プライバシーの観点から肯定的に報道されないし、なにより、こうしたアプリを日本でただちに作れるとは思えない。あれこれ経費のことや、横断する官庁の縄張り、法律の整備などをあげて、前に進まないのが目に見える。また、短期間で安く作るプログラミングの技術力も怪しいと思っている。大手のソフトハウス(NECや富士通など)が何年も何億円もかけて、使いにくいものしかできなそうだ。アナログな口先だけの対策は、実効が上がらないし、間に合わない。

4.【韓国のこと、マスコミのこと】 韓国は、PCR検査に力を入れ、世界からはコロナウイルス克服の成功例と見られているらしい。しかし、日本のマスコミの報道では韓国の実情がよく分からない。妙に正負のバイアスがかかっていて、韓国は危機から立ち直るのか、文政権への国民の支持が続くのか不明だ。 WHOが「すべての国にいう。検査、検査、検査だ」と言ったのは、明らかに日本を念頭に置いている。しかし、マスコミは踏み込んだ論評をしない。結局のところ、オリンピックの延期や近畿財務局の職員の自殺の手記など、他の事象でもそうだが、政権に忖度して、表面的な感情論を表明するだけだ。もっと具体的な根拠を示したうえで、はっきりとした意見を言うべきだ。

5.【ジョンソン首相と橋下徹氏の発想】 イギリス、ジョンソン首相が、橋本徹氏と同じように国民の大半に免疫がつくまで放置しようという方針を一時出したことがある。しかし、国民から猛烈な批判を浴びて、撤回に追い込まれた。若者は保菌者になっても、症状すら出ないという。基礎疾患がある人や、老人には厳しいが、社会が負担する膨大なコストを考えるとどうなんだろう、人間の命は永遠ではないのだし。若者が困窮して、生活苦になるのであれば、それも問題だ。 いずれにしても、政治家は選挙の1票が頭にあるので、老人を切り捨てるとは絶対に言わない。

6.【景気対策のこと】 誰が見ても、不況がやってくる。アメリカは100兆円の経済対策をするという。日本は、盛大にやっても一人10万円の給付。全体で12兆円になる。全員に配るのが技術的に簡単かもしれないが、必要な貧困層に限定して配るべきだ。そうすると、4分の1程度になる。しかし、消費の落ち込みはすさまじいので、消費税をゼロにするのが、消費の喚起には一番良い。しかし、財務省の宣伝が行き届いていて、政治家、官僚、マスコミの賛同は得られそうにない。京都大学の藤井聡教授が消費税ゼロパーセントを力説しており、リフレ派の経済学者は、前から不況期の消費税が、景気へのブレーキの効果を持つことを懸念しているのだが、財務省の経済センスのない官僚は、政府の赤字と家計の赤字を区別できない。 また、デービット・アトキンソン氏が指摘しているのだが、日本が成長できないないのは、中小企業を優遇しているからだというのがある。今回のような経済危機が起こると、政府は必ず中小企業支援と「雇用を守る」という。生産性の低い中小企業が、経済の足を引っ張っているので、淘汰の良いチャンスであり、守るべきは雇用でなく、「生活者を守る」ことが必要なはずだ。 こちらも、選挙の票を意識するので、中小企業を退場してもらうと、政治家は絶対に言わない。 しかし、それではいつまでたっても、経済の長期低迷から脱出できない。アトキンソン氏が言うのは、中小企業が淘汰され、数を減らすことで、労働者が集約後の規模の大きな企業(コンピュータなどの投資も可能な企業)で働くことにより、生産性も上がり獲得する賃金が増えるというものだ。日本は中小企業の数が多すぎるため、過当競争により、値下げ圧力が働いているという。

7.【インフルエンザ対策】 ひとつ根本的に腑に落ちないことがある。新型ウイルスだが、本当にワクチンや治療薬は効果があるのだろうか? 世界中で、新薬や検査キットの開発競争が繰り広げられているが、医師と製薬会社の企みがどの程度入っているのだろう? 近藤誠さんという医師がいて、インフルエンザは昔、「流行性感冒」という名前で、結局のところ対処療法しかない「風邪」であり、数日寝ていて治るのを待つ病気だという。要は、ウイルスは突然変異するので、製薬しても効果がなかなか上がらないらしい。風邪といっても、体力がなかったり、免疫が低かったりすると死亡するのは当然である。 世界中で、医者と製薬会社が企んでいるのではないか。トランプ大統領や日本の総理大臣の発言を聞くとそう感じる。

8.【カタカナ用語】 今回の件で、カタカナが氾濫している。クラスター(集団)、オーバーシュート(患者の急増)、ピークアウト(頂点到達)、ロックダウン(封鎖)、アウトブレイク(突発的発生)などなど。主が知らなかった言葉がたくさんある。これらは、専門家を隠れ蓑にして、「素人は黙ってろ!」と誘導しよとするサインだとしか思えない。

おしまい

 

ユーロから始まる世界経済の大崩壊/スティグリッツとエマニュエル・トッド

written on 14th /January /2017

  • 「ユーロから始まる世界経済の大崩壊」(ジョセフ・スティグリッツ)
  • 「問題は英国ではない、EUなのだ」(エマニュエル・トッド)
  • 「ドイツ帝国が世界を破滅させる」(エマニュエル・トッド)
  • 「グローバリズム以後」     (エマニュエル・トッド)
  • 「トランプは世界をどう変えるか?(エマニュエル・トッド 佐藤優)
  • 「グローバリズムが世界を滅ぼす」(エマニュエル・トッド 中野剛志他)

最近、上にあげた書籍を読んだ。ここ数年は、スティグリッツ、クルーグマン、浜田宏一などといった経済学者の本を読んで大いに知的に興奮していたが、今回のエマニュエル・トッド衝撃はさらに大きい。

このエマニュエル・トッドがソ連の崩壊、アラブの春、英国EU離脱、トランプ勝利を予見していたことも驚くが、なにより驚くのはグローバリズムの終焉をいうところだ。グローバリズム、自由貿易は現代の最大のテーゼ、金科玉条、お経みたいに有難いとされているものだ。

下が、主がたまたま見たNHK BSの放送だ。40分以上あり長いが、興味のある人には大体の感じが掴めるだろう。主は、この放送をきっかけに6冊の新書を取り寄せた。これらは雑誌の評論やインタビュー、講演を元にしているものが多く、読み易い。おすすめだ。

https://www.tvu.co.jp/program/Emmanuel_Todd_201611/

アメリカ大統領選挙はエマニュエル・トッドの予想通りトランプが勝利した。トランプは、映画バック・トゥー・ザ・フューチャーで悪役のビフのモデルだった。そんな男は、相変わらず1%の金持ちに奉仕し続けるのかもしれないが、投票したアメリカの白人中間層が望んでいるのは、格差と貧困に疲弊した世界から抜け出すことだ。これから世界はどこへ向かっていくのか、他人事ではない。

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