もてない男 4 (親友/昔話)

つづき

主、渾身ネタの「もてる男」だが、どうも反響がないのでもう少しつっこんでみよう。まずは、題名を「もてない男」に変更だ!

我々の友人の間に、そのもてる男を表す伝説があった。もてる男、小学校高学年、放送室での話。もてる男は、放送室に同級生の女の子と二人きりだった。女の子がなにやら真剣な表情になり「うち、あんたのこと好きやねん。そやからうちと付き合うて欲しいねん。」もてる男。「わかった。付き合うて欲しかったら、パンツ脱げ!」

!!。この伝説を普通にもてない主と同類の友人から聞いた時、もてる男はさすがに早熟やなあと思った。主が小学校の5,6年生の頃はずいぶん幼稚で、告白された女子に「パンツ脱げ!」という発想は残念ながらなかった。(主が大人になった時、この妄想に大いに悩まされた。だはは。)

実際の話だったのかどうか真偽がわからないまま、約40年が過ぎた。主の高校時代の同窓会が奈良であり、我々はもうすぐ還暦を迎えるのだった。たまたま近所に2軒分の敷地に立派な家を構えるもてる男が、我々の泊まる旅館を訪ねに来てくれ、深夜、四方山話をする機会があった。本人にこの話の真偽を確かめたいと昔から思っていたので、本当かどうか聞いてみた。もてる男「俺もそういう噂があるのは、知っとった。」しかし、もてる男に説明しながら、主はどうしても笑ってしまう。どうも力が入らない。阿呆らしくて脱力してしまうのだ。

結局のところ、真剣に質問する事が出来ず真相は藪の中のまま、他の話題になってしまった。もてない男はダメだ。スマン。

やはり、もてない男ともてる男の差は、もてない男は人格まで否定してしまうところだろう。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」と簡単になるようでは人間が出来ていない。主は完全に修業が足らん。もてる男も結構いろんなことに憤慨していたが、相手の人格を全否定することはなかった。

 おしまい

もてない男 3 (親友/昔話)

つづき

そのもてる男に最近また再会した。1泊する高校時代の同窓会が関西であり、主がはるばる千葉から出席した時に、近くに住む彼が旅館まで訪ねて来てくれたのだ。高校の同窓会と言うが、来年1年のうちには全員還暦という年齢である。

彼は、店頭販売員を派遣する会社をずいぶん前に母親から引継ぎ、社長になっていた。最近、知的障害のある児童向けの施設を始めたと言った。「こうした施設は一人資格のある人を置いておけば、他の人は資格がいらんから、うちの派遣社員をそのまま使えるメリットがあるわけよ。それに運営費の大部分が自治体の補助金から出て、残りは児童の親が負担するから、金が確実に入ってくる。赤字になる心配がないんや。これは大きいで。府会議員さんは、みんなこうした福祉事業をやってはるわ。」

彼の話は、北新地(高級クラブで有名な梅田の一画)の話になる。「最近、高校時代の同級生と北新地へ行ったんやんか。そいつらは、公務員とかサラリーマンとかで、普段そんな高級な店に行ってないわけや。いつも、居酒屋とか赤ちょうちんで飲んどる。そのへんわしら自営業とはちょっと金銭感覚がちゃうやろ。そやけど、そういうクラブのホステスと話してたら、話も上手やし、どんな話にもついてきよる。それで、結構盛り上がったんや。当然、最後に会計になるわけや。一人あたりにしたら結構な金額になるけど、そんな額をそいつらから取れへんやろ。そやから、一人一万円ずつ集めて、残りは俺が払ろうたんや。そしたら、『安かった、おもろかった。』言うてみんな感激しとった。それでそいつらだけで、別の日にその店にまた行きよったんやな。そんで、会計したら、高い金をとられるやん。そんで、俺のところに『ぼられた』言うて文句の電話がかかってきたんやわ。正直なことばらすのもなんやから、露骨な説明は言わんかったけど、それくらいわからなあかんわなあ。」

その後、ホステスの話になる。「昔は、若い女が良かったけど、この年になると若い女はあかん。もうちょっと、年いったほうがええわ。30代後半やな。そこら辺が、味が出て来て一番ええわ。」

「ほいでや。新地のホステスが、店がはねた後、夜中の3時とか、4時や。毎晩俺に会いたいちゅうてメールして来よるわけや。こっちも女房の隣で寝ながら、メール来てるんは、気ついとった。そやけど、起きるのん面倒やん。それに女房は、亭主の携帯見るような女やないし、その辺はしっかりした女や。ところがや、あんまり毎日深夜にメールが来るもんやから、最後に女房が俺の携帯を見よったんやな。ほんなら、ホステスからぶわーっと一杯メールが来てるわけや。それ見た女房、どないしたと思う? その携帯に『xxの女房です。あんた、うちの旦那に何ぼメール送っても無駄や。あきらめなさい。』ちゅうて、返信しよったんや。その後女房に起こされて、布団の上でこんこんと説教されたがな。」「それで、大人しいに謝ったんかいな?」「謝ったがな。女房に金の管理すっかり任してて、俺は小遣い貰てる身や。全部事情説明させられて、もうしません言うて、謝ったがな。」

つづく

もてない男 2 (親友/昔話)

つづき

その彼が、高校のラグビー部の合宿でやはり海に行った。厳しい練習を終えて男子部員たちが、銭湯へ行く。行った銭湯は、どうやら工事中らしく、男湯と女湯の境が薄い板1枚になっていた。その時、壁のところにいた部員の一人が「おっ! 穴から女湯がみえるで」と声を上げた。すぐに彼を含む周りのラグビー部員が反応し、「何や、何や!俺にも見せろ!」とその第1発見者の後ろに覆いかぶさっていった。「おーすごい!」「早よ代われ」「俺にも見せろ」と喚きながらその穴に向かって部員たちが重なり合った。するとやがて、その壁は、ラグビー部員たちの重量に耐えきれず女湯の方にばったりと完全に倒れてしまう。男湯と女湯の境がなくなり、女性たちの悲鳴。ラグビー部員たちはやはり、裸のまま服だけ持って、だーっと旅館へと一目散に走った。(とても、青春チック。)

 

彼の母親は、百貨店で店頭販売員を派遣する会社を経営していた。当時は日本の高度成長期だったので、百貨店で販売員が食品を販売すると飛ぶように売れた。また、百貨店の売り場は、今のように中高年社員がまばらに売り場に居るという感じではなく、若い女性の花園のような職場だった。その彼の母親が販売員の派遣を仕切っているのだが、やりくりがつかず、息子である彼が販売員の代わりに売り場に立つことも多かった。主も何度か狩り出されたことがある。そして、彼が百貨店で販売員のバイトをすると、100%!売り場の何人もの!!の女性社員から「今晩、晩御飯一緒に行ってえ」と誘われるのだ。もちろん、食事の後はホテル。彼より女性社員の方が社会人で給料も貰っている立場なので、すべて女性持ち。 主もそのバイトに行き、近くの売り場に居たアルバイトの美人女子高校生に思い切って声をかけたこともある。だが、やっぱり話に乗った子はいない。(^^);;; 女性も人数がいると、美人がいるものだと思ったのだが、もてる男、もてない男、何事にも偏りがあるのだ。

 

彼の人となりの一端を紹介する。女性と話をする時は、かならずファーストネーム。「xxちゃん」か「xx」と呼び捨て。苗字で呼んでいるのは聞いたことがない。若いころ、主を含めた男の多くは、それぞれに何か過激なこと、毒のあることを口にしていたが、彼はあまりそのようなことを言わなかったように思う。主は、「微温的」とか、「ちょっとじれったい」と感じていた。もちろん仲間内の友人をけなしたり非難したりはするのだが、聞き手に同意を求めるようなところがあり、強く断定することがなかったように思う。一方、常に気配りができる。そつがない。ユーモアがある。運動センス抜群。女性にとって、頭が凝り固まっている男は、敬遠されるのだろう。

 

だが、今還暦を迎える年になってようやく分かる。その「じれったい」こともある「微温的」な、人を否定しないところがもてる秘訣なのだ。人間だれしも否定されたくない。女性は男よりずっと、否定されることが許せない。鈍感な男はそのことに気が付かない。何か言われて、もちろん彼が断ることもある。だが、相手を傷つけるような言い方はしない。それがきっと女性にもてる絶対条件だ。

 

主は社会人になり郷里を離れ、彼の方は浪人生活5年で大学進学を諦め、母親の人材派遣会社の経営を手伝っていた。たまに主が郷里に帰った時に、他の仲間と何度かゴルフに出かけた。ちょうどバブルの最中で、「自腹でゴルフするのは、こんな具合に友達同士でするときだけや。」と言っていた。懐かしい時代だ。彼も30を過ぎて結婚していた。派手な女性関係が相変わらず続いているのか聞きたいところだったが、普通の結婚生活をしているようだった。ゴルフ場の芝生に腰かけて男同士で昔話に盛り上がったが、女房とのセックスについて「ずっとセックスしてたら、何遍でもイキよる。」とおっしゃる。(『女にもてるわけやわな』『俺はあかんわ』と納得した。)

つづく

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