経済学の不思議

最近、スティグリッツの経済学にはまっている。

サブプライムローンに端を発するリーマンショックは、リスクを管理したはずの新開発の金融商品が、大きく振幅し、世界中に波及し、制御不能となったアメリカの大失敗だ。それ以前のアメリカの10年間も、ITバブル、住宅バブルにより、好景気を謳歌しているように見えていたが、実は中間層の実態は年々悪化を続けていた。過去30年間、99%の人にとって公平は失われ続け、経済格差は拡大したこと。

目から鱗の感覚が大いにある。イラク戦争、アフガン戦争などアメリカは華々しく、「世界の警察」を標榜し、ハリウッド映画では、勧善懲悪ものが幅を効かせ、アメリカ人は自分を本気で世界の正義のヒーローだと思っている。だが、アメリカンドリームはすで虚構になり、公正さも失われている。中間層以下は巧妙に金持ちに洗脳されているだけだ。

アメリカの金融業界は、司法や、広告、ロビー活動、様々な手段を使って、大きな規制緩和を獲得し、貧乏人から広くお金を巻き上げることに成功したが、これは情報の不均衡を利用したマイナスサムゲームだ、。

スティグリッツは、政府が役目を果たし、規制を強化し、公平を取り戻し、完全雇用の状態に戻せと言うが、地球全体を見れば貿易収支は国により偏っており、グローバル化による経済的な影響は、相互に地球上を覆うようになってきている。経済学の教科書は、すべての情報が行き渡り、完全な競争が行われる限定された時に市場や為替が機能するするというのであって、そのような夢物語はないだろう。

金融危機が懸念されるギリシャ、スペインなどのEUの立ち直りが必要であり、ヨーロッパの不景気から中国の輸出が低下、BRICsも翳りがあり、特に我が日本は極端に財政が悪化していており長期の経済の低迷が続いている。むしろ、震源地であるアメリカは経済を復活させたように見えるのに対し、対外投資で被害が最も少なかった日本は持ち直しそうだった経済がリーマンショック以前に増して落ち込み、沼から抜け出せない。やはり、バブル崩壊後、日本の進めた経済政策は間違っているのだ。

限界○○(ほにゃらら)低減の法則

昔学んだ経済学のはじめに、限界効用逓減の法則というのがある。簡単に言うと、1杯目のビールより、2杯目、2杯目より3杯目の方がおいしさの度合いが減るというものである。

また、人間が経済活動を行う際には、効用を最大化するように行動するというのが、近代経済学が前提においているスタート地点ともいえるものである。

この近代経済学の原点が妥当かどうかは、議論のあるところだが、それはさておき、この限界○○低減の法則は、多くのことに当てはまる。一番普遍的に当てはまるのは、人間の幸福度と所得の関係だろう。あらゆる財を得ることが出来ない状態から、1ドルずつ所得が向上していくとき、年間の所得が数万ドルを超えるようになると1ドル所得が増えてもほとんど幸福度は増えないだろう。

同じように、企業の生産性や、付加価値の増加率を考えるとき、発展段階が低いときは、それらの向上率は大きいが、成熟した段階での生産性の向上や、付加価値の増加率はどんどん低減し、これらを増加させるための必要な投入は大きくなるだろう。

戦後の日本の発展を考えるとき、団塊の世代が活躍していた頃、現在と比べるとそのレベルは低かった。よって、あらゆるものが簡単に成長することが出来た。生産性の向上、技術の発展、所得の向上、幸福度。

やはり、そうしたことを考えると現代は高度成長期のような社会全体の簡単な成長は望めなくなったということだろう。

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