グレン・グールドのSACDハイブリッド バッハ全集が出ました!!

Tower RecordのHPから

昨年から順次、生誕40年、没後90年を迎えたグレン・グールドのリマスターされた録音物が発売されており、SACD規格によるバッハ全集も発売された。

詳しいことは次のTowerRecordの記事を見てください。

https://tower.jp/article/feature_item/2022/10/03/1110

SACD規格というのを簡単に説明すると、これは現段階でもっとも音質が良いとされるハイレゾの規格の一つである。ハイレゾには、CDの録音規格を高規格化したPCM録音という方式と、変調方式の違うDSDがあるのだが、SACDはDSD方式とほぼ同一と言われる。インターネット販売ではどちらも販売されている。

ただし、SACDをこのようなリアルな媒体で買うと、CDのようにコピーすることが出来ない。また、SACDを再生できるプレーヤーが必要である。今回発売されたメディアはハイブリッド盤なので、CD再生機でも再生できるが、CDレベルの音質でしか再生できない。CD再生専用機を使用するのであれば、CD向けにもリマスターされた規格のものが売られているのでそちらを買えばよい。

今回の全集に含まれるバッハ作品のうち、《平均律クラヴィーア曲集》、《インベンションとシンフォニア》、《パルティータ集》、《イギリス組曲》、《フランス組曲》もこの全集に含まれているのだが、これらはSACDで従来から販売されていた。

今回新たにSACD規格で発売されたのは、《1955年録音のゴルトベルク変奏曲》、《フーガの技法(オルガンとピアノ)》、《ヴァイオリンソナタ集》、《チェロソナタ集》、《ピアノ協奏曲集》、それにCBCテレビ局音源、ソ連公演、ザルツブルク音楽祭のリマスターなどである。

グールド・オタクに有難いと思えるのは、ブックレットが充実しており、ライナーノートが日本語でそのまま読めたり、グールド研究の第一人者である宮澤淳一さんの解説だったり翻訳を読める。また、ミヒャエル・ステーゲマンのしっかりした解説も読める。また、ジョン・マックルーアとティム・ペイジの対談CDが含まれているのだが、こちらも完全な日本語訳がついている。至れり尽くせりです。

特に親爺が有難たいと思ったのは、リマスターされていなかったピアノ版の《フーガの技法》が初めてSACD規格でリマスターされたことである。親爺は、この曲が一番好きで、この《14番の未完のフーガ》をしょっちゅう聴いている。

この未完のフーガについて、グールドが映像作家のブリュノ・モンサンジョンに次のように語ったとブックレットにある。

  • 「あの未完のフーガは確かに情にも訴える。何しろバッハの絶筆だし[・・・]しかし本当の魅力は平穏さと敬虔さ。本人も圧倒されたはず。このフーガに限らず曲集全体に言えるのは、バッハが当時の音楽の流行全てに背を向けていたことだ。彼の晩年、フーガは流行らなくなっていた。[・・・]フーガでなくメヌエットの時代なのにバッハはきわめて意識的に自分の和声のスタイル変え[・・・]別の地平に達していた。バッハは100年以上さかのぼり、対位法や調性の処理法を借用した。バロック初期の北ドイツやフランドルの作曲家のもので、調性を使いながら鮮やかな色彩を避け、代わりに薄い色合いが無限に続く。私は灰色が好きだ。シュヴァイツァーがいいことを言っている。『静寂で厳粛な世界、荒涼とした色も光も動きもない世界』と」
  • 未完のフーガの最後の音を弾いた瞬間、グールドは感電したように左手をさっと持ち上げる。映像は静止し、腕は宙で凍りつく ー 「あらゆる音楽の中でこれほど美しい音楽はない。」この未完のフーガを弾くグールドの姿を見た者は、この瞬間の映像を決して忘れることができない。(訳:宮澤淳一)

追加情報なのだが、3月26日(日)にタワレコで宮澤淳一さんによるこのSACD発売トークイベントがあります。まだ間に合います。駆けつけましょう。

https://tower.jp/article/campaign/2023/03/23/02

おしまい

STAX 驚きの高音質! イヤー・スピーカーと称するヘッドホン

最安モデル(64,000円) STAX SRS-3100

【音がいいのは、原理が全く違うから】

このスタックスヘッドホンは、従来のスピーカーと音を出す原理が全く違う。つまり、普通のスピーカーは、スピーカのお尻に銅線のコイルを巻き、電流に変換した音声信号を流し、磁石と反発する力でコーンを振動させる。(下の図)

ところが、スタックスはコンデンサー型とか、静電型と言われるらしいのだが、極めて薄い膜(ほぼ質量ゼロ!)を挟んだ両側の電極に、高い電流(580V)を流して、静電気の力で膜を振動させるらしい。

とはいっても、どうも主にはうまく説明できない。コンデンサー型マイクというのがあるらしく、これと逆のことをやっているのだろうか?、それも分からない。(上の図)

さっぱりわからんが(STAXのHPから)
こちら従来のスピーカーの原理

ただリンクの記事を読むと、この会社は、高度成長期のときまでに輸出中心にやって来て、1985年のプラザ合意の後の円高で、その円高に耐えきれず、業績が悪化したらしい。その後は、事業を縮小してほそぼそとやってきたのだが、2010年に中国企業と資本提携し、ようやく、最近新製品を出せるように業績が回復してきたとのことだ。

技術的な解説と社史を書いた記事はこちら。興味がある方は下のリンクをクリックしてください

究極の静電型ヘッドフォンはどのように生まれたのか、STAX「SR-009S」の秘密

【生の音など再現できないと思っていた】

秋葉原ヨドバシカメラの試聴コーナー

これまでピアノソロとか、ヴァイオリンソロとかの器楽曲を中心に聴いて、せいぜい少人数で演奏する弦楽四重奏とか、10人程度が演奏する室内楽までが限界で、交響曲をコンサート会場と同じように自宅で再現するのはこりゃあどだい無理だなと思っていた。

とくに、楽曲が作られた時代が現代に近くになるにつれて、オーケストラの編成は大規模になる。どの楽器が鳴っているのか判別がつかないほど、小さな音のピアニッシモで始まる曲も多い。この部分を聴こえるようにステレオのボリームを合わせると、こんどは、オーケストラが全奏(トッティ)するフォルテッシモでは爆音・轟音となり、家族から非難され、こんな大音響では鳴らせない。音がひび割れたりする。 逆また真なりで、フォルテッシモで丁度良い音量にすると、ピアニッシモでは何をやっているのか分からない。

【ところが・・・】

クラシックの曲の話が中心になり、恐縮であるが、これがすごいとしか言いようがない。 

このスタックスのヘッドホンでは、交響曲でも余裕で聴ける。どのCDを聴いても、これまでに聴いたことのない鮮明さで、聴ける。すべてのCDなどが、全く余裕で、「このCDは、こんな音で鳴っていたの!」と印象が、良い意味でまったく違って聴こえる。

最初に、小澤征爾がマツモト・キネン・オーケストラを指揮したマーラーの交響曲第1番「巨人」を聴いたのだが、コンサートホールで聴いている気分で聴ける。どんな楽器がどこで鳴っているか、非常にリアルに分かる。ピアニッシモでも、フォルテッシモでも明晰である。もともと交響曲の魅力をたいして感じたことがなかったので、とくにマエストロ小澤征爾を好きというわけではなかったが、さすがにこの指揮者や演奏者の熱量の巨大さを初めて知った。 はじめて、録音物でオーケストラの良さを実感した。

ピアノソロを聴くと、最低音の弦が鳴るとき、鋼鉄にくるくる巻かれた銅線が振動しているのが目に見えるような気がする。アコースティックな何とも言えない美しい響きである。和音が大音量で鳴った後、消音ペダルを足で押し下げ、空中の音の響きが突然消えた無音の静寂、音楽教室にいて、そばで鳴るピアノを間近で聴くような迫力がある。

加藤訓子というスティーヴ・ライヒやクセナキスなどの現代曲の演奏で世界的に有名なマリンバ奏者がいる。彼女は、バッハの無伴奏チェロ組曲や無伴奏ヴァイオリン組曲も、SACDという高音質(ハイレゾ)の録音をしている。

これを聴くと、打楽器に分類される!マリンバの本当の音は、実はこうなんだったと初めて知る。実に魅力的な音がする。これも低音の音が何とも言えずいい音がして、まるでコントラバスの弦を指で弾いたようなぶるぶる振動しているような音がする。高音の音は、明るく美しく、木(ウッド)が鳴っている実に自然で魅力的な音がする。チェロやヴァイオリンで演奏されるバッハの原曲の演奏は、威厳のある理知的な迫力が魅力だと思うが、マリンバは、実に優しいユーモアも感じる不思議なおおらかな音がする。当然ながら、ときに、緊迫感のある高音の節回し(アーティキュレーション)も当然でてきて、低音と内声が織りなすフーガ、和音の響きの美しさと、この人の演奏は、ずっと聴いていて飽きない。魅了される。

グスタフ・レオンハルトがチェンバロで弾く「フーガの技法」も素晴らしい。チェンバロの音が、これまでの再生装置より、さらに美しい。美人薄命、儚いといった感じ。丁寧に声部を分けて、落ち着いて全体を作っていく、そんな感じの演奏でさすが巨匠と呼ばれる人だなと思ってしまう。

そんなで、他のジャンルはどうなんだろうと思い、ロックのクイーン《ボヘミアン・ラプソディ》を聴いてみた。このCDは、車で聴いたときに音がごちゃごちゃしてるなあと思っていたのだが、まるで映画館で聴くようなクリアさと迫力で聴ける。

ブラジルのMPB(ポピュラー音楽)、歌姫のマリーザ・モンチも聴いてみた。このSTAXのヘッドホンは、自然な音で疲れない、低音から高音まで色付けすることなく鳴る。低音は迫力があるし、高音は美しい。アコースティックギターなどそのままの音だ。後ろのバンドや楽団、コーラスも入るのだが、濁って訳が分からなくなるということがない。

こうして聴いてくると、これまで持っているさまざまなCD、あまり聞いていない曲などを、あらためて聴きなおすしかない!と思えてくる。

おしまい

せっかく買ったオーディオイヤホン失くしてしまった!

先日買ったオーディオイヤホンなのだが、どこへ行ったか分からなくなってしまった。けっこう値段が高かった(6万円程度)ので、心当たりの店などに問い合わせまくったのだが、出てこず、ガックリである。とほほ。最近加齢とともに、物忘れが酷いのだ。スマホも何度か忘れたことがある。こわ。

ソニーIER-7

今回、デジタルオーディオプレイヤー(DAP)とイヤホンの購入にあたって、日本製品を応援しようと大御所のソニーを選んだのだが、改めて専門雑誌を買ってじっくり比較してみた。この雑誌には、多くの評論家が選んだ様々な機種が紹介されている。

ところで、NHKが、朝の経済コーナーとニュースの2回、紹介していた会社があった。オーツェイドという社員5人ほどのイヤホンメーカーなのだが、安価な製品がバカ売れしており、「良い音を安く提供して、イヤホンメーカーのユニクロ、GUを目指しています」という社長の声を紹介していた。

おはBIZ 「ハイレゾイヤホン ヒットの秘密は“ガラケー”」

そういうわけで、速攻で秋葉原へ行って、実際に試聴してきた。

こちらが、NHKに紹介された会社の最近発売開始になったオーツェイド社のフラッグシップ機だ。安価な製品は、4,000円ほどからある。NHKがインタビューしていたE-イヤホンという専門店で、試聴した。この店では、あらゆるイヤホンが網羅されており、自分の持ち込んだプレイヤーを使って、好きなだけ試聴できる。

社員が5人しかいないこの会社が最近売り出した「受注生産」の《intime翔》を報告したい。音質だが、非常にいい音がする。グールドのバッハのパルティータなどをかけると音の良さだけで涙が出そうになる。音楽の演奏は、音が良いと印象がガラッと良くなる。聞こえてこなかった音が聞こえるからだろうと思う。我々は、生の楽器の音に惹かれることがよくあるが、この現象がイヤホンの良さでも起こる。

intime翔(税込66,000円)

ただ、大オーケストラが演奏するマーラーの交響曲(ハイレゾ)をかけた場合、突然のフォルテッシモになるところでは、シンバルの音などで「?」となる部分はある。データ量が少ないCD音質の録音では、大規模な交響曲の場合、忠実な再現をしようとすること自体が無理だと思う。それ以外の部分では、非常にきれいな音がする。

次は、線路の反対側にあるヨドバシカメラで試聴したスタックスという会社のヘッドホンである。ご覧の通りけっこう変わった形をしている。駆動方式が他のヘッドホンが違うのだが、音もまったく違う。びっくりするほど美しくて奇麗な音だ。ただ、このヘッドホンは、下の写真のドライバーという部品が別に必要だ。このため、二つ買うと結構な値段になる。この二つの製品の組み合わせが、先に書いた雑誌では高評価を得ていた。 しかし、この製品にはほかにも、10万円以下から、70万円くらいまでのラインナップがある。主は、ラインナップの中から、安いタイプのものをお金を貯めて買いたいと思っている次第である。もちろん、値段が高ければ音が良いのだが、安いものでも十分に良い音だ。

SR-L700 MK2(税別148,000円)
SRM-700T(税別298,000円)

あと、例によって辛口批評を一つ。何でもイヤホンを試聴できるE-イヤホンで、ソニーの最高級機IER-Z1R(税抜198,000円)を試聴したのだが、ソニーファンには申し訳ないが、はっきり言ってガッカリした。音に全然魅力がないのだ。雑誌の評価もほとんどないのも頷ける。がんばれ、ソニー!! 再起して、法人税をいっぱい国に収めてくれ!

おしまい

マイナポイント あっさり5000円ゲット!

前回、マイナポイントを貰おうと、スマホにアプリを入れてマイナンバーカードを認証させようとしたらエラーが起こって出来なかったということを書いた。その後、市役所に行ったところ、マイナポイントのコーナーがあり、職員が応対してくれてすぐに手続きができた。

主の場合、PayPayでチャージした場合に還元されるように申請したのだが、翌日に20,000円チャージしたら、上限の25%である5,000円を即ゲットできた。市役所では、詳しい説明を丁寧にしてもらい、手続きが簡単に完結してしまった。スマホや、PCでやるのも良いが、役所で職員と一緒にやってもらえばさらに簡単かもしれない。

ただ、主がスマホでエラーが起こった原因は特定できなかった。市役所では、主のマイナンバーカードでエラーが何も起こらなかったからだ。下がエラーメッセージである。

このマイナポイント申請だが、Androidスマホの場合、スマホの設定の注意事項がいろいろあり、重要な二つを貼り付けると・・・

と書かれている。デジタルに弱い人や高齢者にはさっぱり分からないという人もいるだろう。そうした人には、役場でやってもらうのがいいだろう。ポイント還元される、サービスの一部は、次のようなものだ。

総務省のホームページから。他にも種類がある。

おしまい

ソニー ウォークマン NW-ZX507 でハイレゾを聴く

ずっと良い音で音楽を聴きたいと格闘してきた。スピーカーを初め、オーディオにお金をかけてきた。しかし、最後まで満足できなかったのが、クラシックのオーケストラである。アンサンブル(合奏曲)であっても、大人しい曲は、比較的スピーカーなどでもOKなのだが、例えばマーラー、オーケストラのスケールが行くところまで大きくなったと言われるマーラーは、微かな弱音で何をやっているのか分からず、フォルテッシモの強奏では、何の楽器が鳴っているのか区別がつかない。オーケストラの団員の多くが、聴力をやられるというのも分かる。ホールで半分寝ながら聞いていると、突然の轟音で眠りを破られる、あれである。

だが、主は、コンサートホールに近い音場を実現する方法をとうとう見つけた!結論をいうと、オーケストラ曲のハイレゾを手に入れ、デジタル・オ―ディオ・プレイヤー(DAP)とカナル型イヤホンを使って再生することだ。このカナル型イヤホンもバランス型でなければならない。そこまで投資すれば、まるでコンサートホールで座って聴いているのと同じように聴こえる。

具体的に聴き比べをしたのは、マーラーの交響曲第1番「巨人」で、バーンスタイン指揮(1987年)のCDと、上岡敏之指揮/新日本フィル(2016年)のDSDである。これをソニーのカナル型イヤホン  IER-M7を使い、バランス接続とアンバランス接続で聴き比べた。

結論だけを書くが、CDよりもハイレゾDSDが音が良く、イヤホンはアンバランス接続よりもバランス接続の方が音が良い。スピーカーで再生するのに比べると、CDの場合であっても、イヤホンで聴くほうが遥かに明晰で、再生装置を選べばこれほど再現性があるのかと驚く。しかし、DSDになると、ファイルを再生しているのを忘れ、奥行きや立体感もありホールで聴いていると思うほどリアルである。ただし、ティンパニ、シンバル、弦楽器も管楽器も全奏(トッティ)で強奏するとき、「」がない場合がないわけではない。しかし、ホールで実際に聴いているわけでないのだから、許容範囲である。

ただ、今回マーラーを聴いて、表のメロディーの裏で、諧謔的で、狂気的な裏のメロディー、崩れるような不調和なリズムの魅力を堪能した。マーラーの不思議な魅力はきっとここにあるのだろう。予定調和で狂気のないクラシックは、クラシックではないと思っている。

ソニー NW-ZX507
IER-M7

こちら、カナル型イヤホンIER-M7である。この製品は、バランス接続用とアンバランス接続用のケーブルが同梱されている。従来のアンバランス接続のイヤホンは1本の線を共用し、3本で構成される。ところが、バランス接続では高音化をはかるために、左右それぞれ独立させ、4本使っている。

ちょっと辛口批評になるが、このソニー NW-ZX507だが、なかなか良い音がするものの、基本、OSがAndroidなので、Androidスマホから、電話と写真機能を除いた使い勝手である。加わった機能は、高音質音楽再生ということになる。つまり、音質を問題にしなければ、スマホで十分であり、DAPは、常にスマホを上回る音質が求められる宿命にある。

主は500枚程度のCDと、音楽映画DVDなどが音楽リスニングの主要コンテンツである。CDは、パソコンなどで聞けるように、FLACという劣化のない形式のファイルにし、音楽DVDもコピーソフトを使ってコピーができるので、そうしている。

ただし、CDより音質が良いSACDという規格で録音されたものが市販されており、ピアニストのグレン・グールドを中心に10数枚持っているのだが、SACDはプロテクトがかかっておりCDのようにファイルとしてコピーできない。つまり、SACDが再生できるプレイヤーで聴くしかなく、NW-ZX507で再生できない。

一方、インターネット経由でハイレゾといわれるコンテンツが販売されており、これらも若干所有している。こちらは、SDXCというカードに入れて、聞ける。

ただ、ソニーがカセットテープが入ったウォークマンで一世風靡したころと違い、すべてがデジタルに変わり、OSはAndroid、ファイル形式も様々な形式があり、カーオーディオにも接続できる。その接続方式も、USB、Bluetoothなどがあり、様々な機能を安価に提供できなければ、中国製や韓国製に簡単に負ける。実際、スマホではAndroid10がリリースされているが、NW-ZX507のバージョンは9であり、何時対応するのかさえ、発表がされていない。カーナビに接続する場合は、USBでは接続できず、Bluetoothになるが、音質は劣る。DAC機能がある中国製では、USB接続ができるはずだ。テザリングの機能を使えば、近くにスマホがあれば、カーナビを使って、Youtubeなどをストリーミング再生できるはずだ。

しかし、日本製の製品はハードばかりに目が向き、アプリの開発が下手というしかない。ソニーのアプリ(Music Center For PC)も知らぬ間に再起動を繰り返すし、日本語の説明文も分かりにくいことがある。ソニーにはmoraという音楽配信サイトがあるのだが、ここも何時まで経っても、ポップスやクラシックやごちゃ混ぜに表示され、せめてログインしたら、過去の履歴から好みの曲を勧めてほしい。海外発の企業なら簡単にやっていることが、日本企業は、全然昔から改善しようとしていない。

おしまい

 

YOUTUBEでコメントできない。TWITTERに共有できない。

タイトルの現象が起こり困っていたのですが、原因がわかりました!ブラウザにはCHROMEを使っているのですが、原因がわからず、そのような現象を避けるために、FIREFOXやEDGEを使ったり苦労していました。全てがそうではないかもしれませんが、お試しください。

YOUTUBEなどの広告を表示させないフリーウエア(寄付希望)にAdBlockがあります。これを拡張機能に入れている場合、YOUTUBEでコメントできなかったり、TWITTERなどに共有できない問現象が起こるようです。

この現象を避けるためには、CHROMEの場合、「設定」、「拡張機能」を開き、AdBlockを不可にします。これでOKです。必要に応じて元に戻してください。

おしまい

 

10万円、何度も申請できちゃう?本末転倒のオンライン

新型コロナ対策の1人10万円の申請をスマホで行った。結論だけをいうと、スマホで出来たのだが、これがハードルがメチャ高い。

麻生財務大臣が「ぼくは(金持ちなので)申請しない。」と言ったようだが、彼がパソコンやスマホの操作に詳しいと思えないので、自分自身でまず申請できないだろうと思うほどハードルが高い。ましてや、多くのおっちゃんやおばちゃんには無理だろう。

まずハードルとして、マイナンバーカードを作成した時のパスワードを2種類控えている必要がある。一つは4桁の数字、もう一つは、英文字と数字の組み合わせたものである。画面では次の言葉が出てくるのだが、誰にも意味が分からないだろう。利用者証明用電子証明書の暗証番号(4桁の数字)と署名用電子証明書の暗証番号(6~16桁の英数字)である。なんのこっちゃ。アルファベットの方は、かならず大文字でなければならない。 また、PCで申請する際にはカードリーダーがいる。スマホから申請する場合には、まず、専用アプリの「マイナポータルAP」をインストールする必要がある。

スマホを使うと、PCと違い、カードリーダーなしで、スマホの後ろにカードを重ねれば、マイナンバーカードのデータを読み込むのだが、これの説明も全くなく、何をしろというのかさっぱり意味が分からなかった。 そうしたことで、操作のほとんどをGoogleで検索した、「オンライン申請」を説明したページを見ながら進めた。あと、銀行口座が分かるようにキャッシュカードを写真にとって添付する。

パスワードと、マイナンバーカードの読み込みができれば、あとはさほど難しくないのだが、多分、普通の人で最後までトラブルなしで出来る人は少なく、役所でパスワードを再発行する羽目になるだろう。(なにやら、引っ越しをするとパスワードを再発行しなければならないそうだ。)

なんとか、入力できた主なのだが、我が家を離れて暮らしてる家族がいるのだが、住民票をそちらに移しておらず、その家族の分もまとめて一緒に申請したほうが良かったのかなと疑問を持った。 それを問い合わせようと、何種類もあるコールセンターに電話するのだが、これがまったくつながらない。

そうこうすると、次の記事がネットにのっていた。MSNのサイトに朝日新聞の記事を短縮して、掲載したものだ。

10万円、何度も申請できちゃう?本末転倒のオンライン

驚くべし、何度でも申請ができて二重払いされる恐れもあるらしい。役所は人海戦術でチェックしており、郵送された申請書の方が処理が早いという。おそるべきお粗末さ! いったいこのシステムに、政府はいくらの金をシステム会社に払っているのか!(2020.5.21追記 西日本新聞の記事に「数千億円」と書かれた記事を見つけた) 情けない!

おしまい

CPU、マザーボード入れ替え インテル → AMD RYZEN 5 3600 昔のソフトをそのまま使う!

ネットで見ていると、インテルのCPUより、AMDの方が性能がよく値段も安いという記事が多く出ていることに気づいた。

主のPCどうも最近、ワイヤレスで使っているマウスや、キーボード、イヤホンの調子が不安定で悪かった。キーボードやマウスの動作が悪いと気になるものだ。

ところで、主はゲームはまったくやらない。パソコンは、ネットを見たり、動画を見たり、音楽を聴いたりするのが主目的だ。そういうことなので、音楽CDのパソコンへの書きだし(リッピング)や、大量のファイルコピーをする際などに、パソコンの性能が悪いと遅いなあと思う程度である。

というわけで、CPU インテル Core-i7 7700T、マザーボード ASROCK Z270 Gaming-ITX/ac  の自作パソコンを、CPU AMD RYZEN 5 3600、マザーボードをASROCK B450  Gaming-ITX/acに交換することにした。ドスパラのホームページによれば、この交換により CPU の性能が倍になる。

上が、古いマザーボードと、左側にあるのがメモリーDDR4 2400 と SSD 250GB M.2 Type2280 である。こちらは新しいPCへそのまま流用する。なお、SSD 250GB M.2 Type2280 の方は、これまで Cドライブとして使っていたもので、あわよくば新しいPCでそのまま移行できるか試してみようと思った。だめなら、クリーンインストールしてWindowsの再認証、アプリケーションは入れなおすつもりだ。

上が、ケース Fractal Design Node 304 から古いマザーボードを外したことろ。ケースは、けっこう古い製品なのだが、メルカリで最近購入したものだ。電源はSFXで300Wだったので、使っていなかったATX 550Wのものに交換した。

マザーボードの裏に、SSD 250GB M.2 Type2280をいれたところ。スロットを占用しないし、速いのでありがたい。

こちらメモリーを刺したところ。メモリーは思いっきり力を入れて差し込まないと認識されないことがあるので、ご注意ください。

上はCPUクーラー。底に塗ってあるシリコングリースをうっかり触ってしまい、指跡が残ってしまった。皆さんは、触らないように気をつけてください。手元にシリコングリスがあったのだが、横着してこのまま使うことにした。

上は、マザーボードの裏のパネルを取り付けたところ。これがうまくいっていなくて、後にもう一度外して入れ直しをしたのだが、その際にトラブルが発生した。あとで気がついたのだが、緑の線で囲ったところが微妙にズレていた (^^);;

上が、一応パーツを一とおり入れたところ。だが、グラフィックボードを外して入れなおしたときに、緑で囲ったケースファンのコネクターを壊してしまい、ファンが動かなくなった(^^);; とほほ。

上が、作業中の部屋の様子。このような乱雑さです。

このあと、じゃじゃじゃじゃーん! 電源投入です。

起動画面がでてきた!! うわぁ、うまくいきそう!!!!

画面サイズが明らかにおかしいものの、アイコンを見ると元のアプリとファイルが生きているのがわかる!!やったあああ!!

 

ネットにつながる段階になると、勝手に再起動し、画面サイスがちょうどよくなった。

WINDOWSのライセンスを見ると、自動的に認証されていた。ワードを使ったら、OFFICE 2013 の認証画面が出て来て、クリックすると簡単に認証された。

また、HDD を SATA 6G のコネクタに接続するさいに、HDD 4台を適当に繋いだのだが、Windows の方で、以前のままのドライブレターが割り振られていた。偶然4台の HDD を順番どおりに繋いだということは考えられないので、OS が進化したのだろう。

その後、マザーボードについてきたソフトを入れ、グラフィックボードのドライバーを入れたら、デバイスマネージャーのエラーマークが無事すべて消えた。

使い勝手などを報告すると、インテルのパソコンと違いは実感できない (^^);; また、キーボード、マウス、イヤホンの不調は相変わらず。この原因はマザーボード側ではないようだ。とほほ (^^);;;;

効果としては、ブルーレイディスクの映画を見た時に、動きが滑らかになったような気がしたくらいである。詳しい差はまだ、実感できていない。

おしまい

 

あまりにお粗末、日本のカスタマーサービス。ヤフージャパンの例。

昨今のキャッシュレス決済ばやりで、どこが一番主導権を握るかを考え、ソフトバンクが後ろ盾ということで、ヤフージャパン(=ペイペイ)を選択し、IDを取得したり、クレジットカードを作ったり準備した。ところが、IDを二つ取得し、それ自体は問題がないらしいのだが、ヤフージャパンとペイペイの連携でエラーが出て、買い物のポイントが反映されないという事態が起こった。

それで、11月中旬からカスタマーサービスと連絡を取り、対応をお願いしてきた。ヤフージャパンのカスタマーサービスは、電話がなく、メールだけである。それも、ホームページの非常にわかりにくいところに質問フォームがあり、それに書き込んで送信すると、こちらの質問内容を引用せず分からないようにして、メールの返事のみが来る。下が、質問をするページの入り口だが、さんざん顧客にQ&Aを読ませて解決させ、極力メールで質問をさせないような構成になっている。ちなみにAIのロボットがチャットで回答する機能もあるのだが、アホだ。他にもこの種のAIチャットを使う企業(確か、じゃらん?)を見るが、どの程度賢いのか経営者は分かっているのだろうか? 他方、GOOGLEとかアマゾンなどの外資のシステムはやはりよくできている。

ヤフージャパンのメールの内容は、バカ丁寧なだけで、内容空疎だ。書いてある内容は、どこかのひな型をコピペした内容ばかりで、お客への返事には、要約すれば「自分で操作して、自分で解決しろ」と書かれているだけだ。

他のイオンとか、ヨーカドーなども、ITに関する仕様が使いにくく、主は、顧客満足をまともに考えているとは思えず、今回のキャッシュレス決済キャンペーンの対象から外した。だが、PC事業の老舗のヤフージャパンも古いだけで、顧客のことをまともに考えているとは思えない。

気づいたことを列挙する。

① ヤフージャパンなのだが、クリックしているうちに関連企業を渡り歩き画面が遷移する。「パスワードなしで認証」が売りらしく、画面が遷移してログイン画面が表示されるたびにSMSで暗証番号が送られてくる。これが馬鹿げていて、画面の「戻るボタン」で前のページへ戻ると、もう一度SMSが送られてくる。調べて見ると、SMS1通送ると大体3円かかるらしい。下が、その画面なのだが非常にしつこい。おまけに何度もSMSを送ったあげく、「回数の上限を超えたので、時間をおいて操作してください」という意味のメッセージが出てくる。他の会社の例だが、家計簿を自動的に作成する「マネーフォワード」は、IPアドレスを使っていると思うのだが、普段使用している機器からのアクセスは、二段階認証していない。スマホでは指紋認証が使える。

 

② ヤフージャパンのカスタマーサービスの人たちは、顧客の画面情報を見ないで、メールで返信している。顧客からカスタマーサービスへの質問の送信画面は、テキストしか送れない。つまり、添付ファイルは送信できない。そして、個人情報を送るなと言っている。下が、この会社のポリシーなのだが、要は顧客の情報を社内でも限定した人物しか見られないような仕組みにしており、カスタマーサービスの人たちは、顧客の画面を見ないで回答している。それでは、一般的な回答しかしようがないわけである。

これでは、顧客のクレーム内容が直ぐに解らないのは当然だろう。幸いカスタマーサービスからの返事はメールで来るので、主はトラブルのあるヤフージャパンとペイペイのエラーが起こっている画面のスクリーンショットをたびたび添付して返信したのだが、そもそもスクリーンショットを送れとは、ホームページのどこにも書いていない。

対照的にアマゾンでは、次のようになっており、顧客情報にまったくアクセスせずに返答しているとは思えない。

③ ヤフージャパンでは、受け取った問い合わせごとに返信する担当者が変わる。ここでは、問い合わせの担当者をランダムに振り分け、返信する。今回のやり取りで、主が、最初たまたま2通に分けて問い合わせたところ、同じ人物からの照会と理解されなかった。その後、質問を何回かやり取りしたところ、4~5人の担当者から返信が来たが、横の連絡がなく経緯を知らないようで、同じような返事が返ってくる。

④ メールのみで、電話での問い合わせができない。ヤフージャパンとペイペイは別会社だが、ペイペイは、メールと電話の両方がある。このため、主は電話でペイペイに問い合わせたことがあるが、ヤフーに電話の問い合わせ先がないため、ヤフーに対する電話の問い合わせが代りにかかってくるそうだ。 ただし、ヤフーは顧客の画面を見ずに応対しているので、電話で聞かれたらもっと答えようがないだろうと思う。

⑤ 返信から時間が経ったら自動的に、馬鹿げた満足度を調べるアンケートがヤフージャパンから送られてくる。問題が何にも解決していないのに、このいい加減さは凄い。顧客が出した問題点の解決具合を知らずに、アンケートを送るシステムの仕様になっている。こんなことでは、フィードバックも何もしていないのだろう。

⑥ 最近あったニュースで、HDDが7000個以上オークションで売られ、情報流出するという事件があったが、このオークションとはほぼ大半がヤフオクだ。これはヤフー側にも責任の一端があるだろう。このような中古の記録媒体が何千と同じ売主により売られていれば、情報流出に気付くチャンスがあったはずだ。個人の中古売買では犯罪以外あり得ないし、業者が大量に中古品をデータ消去せずにアップしていれば、あきらかに情報流出の懸念があるだろう。出品者の書き込みを見れば、ある程度のことは分かるはずだ。また、コンピューターから出てくるデータをふだん分析していれば、内部に気付く人間が1人はいただろう。

企業側の責任という観点でいうと、メルカリで、主はインチキなSDXCカードを掴まされ、メルカリと相談しながら、売り手と返金交渉したことがある。SDXCカードは500GBの容量表示なのだが実際は30GBほどしか容量がないものだった。だが、パソコンでプロパティを見ると500GBと正常に表示されるので、「受取ボタン」を押してしまった。ボタンを押すと「我関せず」というメルカリのスタンスになり、「お客様が警察に訴えられるのであれば、わが社は協力します。」と言う。「ホームページのトップに偽物を売られたら、わが社は対応しますと書いている。これだけ被害者が情報提供したら、警察へ行くのは場所を提供しているお前だろう!」と思って、オーナーシップ(当事者意識)のなさにつくづく嫌になった。両方ともいい加減だ。

メルカリのキャッチフレーズ

結論:会社の幹部や経営層は、ちゃんと自社のシステムを使って買い物したり、オークションに出品したり、中古品を売ったり、システムを使い倒しているのか? 他の会社のシステムもさんざん利用したうえで、どこが使いにくいとか、どこに改善点があるかなど注視しているのか疑問に思う。カスタマーサービスを単なる顧客の不満のガス抜き、顧客のストレスのはけ口だと思っているのではないか。

「ワードプレス」というブログで世界のトップシェアを誇る会社があり、全社員約300人が全員在宅勤務らしい。この会社では入社するとまず最初の1年間はカスタマーサービスで働かされるそうだ。そして、顧客の要望と会社のシステムをよく知り、システムの開発を担当したり、他の仕事をするということだ。(このブログは、ワードプレスを使っている。)

おしまい

 

日本の会社のコンピューター事情(ソフトウエアについて)

最近、孫正義さんが「日本のAI技術は世界で後進国になってしまった。必ずしも取り返せなくはないかも知れないが・・・」「IT業界は勝者総取りの世界だ。」というようなことを言われていた。

今から40年ほど前だろうと思うが、パソコンが20代の主の会社にも入ってきた。当時、コンピューターと言えばオフィス・コンピューター(オフコン)という大掛かりなもので、今と比べればはるかに性能が低かった。冷暖房完備の部屋に、でかい装置があり、記憶媒体に大きなリールのテープを使っていた時代である。主と同じ世代の人は、懐かしいだろうと思う。

その時代のオフィスにパソコンが登場した。最初は、富士通や、NECなどの製品で、OS(オペレーションシステム)は、CP/M、M/S DOSだった。その時代、ワープロはパソコンとは別にワープロの専用機があり、シャープの「書院」とか、東芝の「RUPO」などがあった時代だ。さきほどのCP/Mというのは、ビル・ゲイツ率いるマイクロソフトのMS-DOSに買収されるまで、シェアを握っていたOSである。当時のMS-DOS機は、NECがPC-9801、富士通にはFM-7など多くの機種があった。当時のパソコンで何かをしようとすると、今のようにアイコンをクリックして、いろんな図柄のタブから機能を選ぶことはできなかった。呪文のような文字列をコマンドラインに打つ必要があった。例えば、ファイルをコピーする場合であれば、C:¥>COPY  TEXT.txt TEXT2.txt といった具合にタイプしなければならなかった。というわけで、それなりにコマンドの理解を要し、面倒だった。

ワープロ・シャープ「書院」

PC-9801

時間が経つと、Windows95が登場した。この時点から、面倒なコマンドをタイプすることなく、画面の図柄をマウスを使ってクリックして命令できるようになった。

この時代は、マイクロソフトが、他のあらゆるソフトメーカーやワープロ専用機を吹き飛ばした時代でもあった。

当時、各拠点のデータの集計作業に富士通のEPOCALCというソフトウエアで集計をしたら、複数の社員が1週間電卓でしていた集計作業が必要なくなった。それほど革新的だった。やがて、その集計作業で一世風靡した表計算ソフトが表れた。Lotus 1-2-3である。我々は夢中になって、これでさまざまな計算をさせた。そうこうするうち、同じ機能を持つマイクロソフトのEXCELが登場した。EXCELは最初、それほどの評判ではなかったが、MS-DOSから、Windows95などへ移行する機会をとらえて、バージョンアップを繰り返した。プログラムの改良には、ユーザーの後姿を観察して、どのようにすれば使い勝手が良くなるか検討したという。Windowsになっても、毎年のようにOSのバージョンアップをするのだが、Lotus 1-2-3はその度ごとに、改良にタイムラグが生じて優位性を失っていった。日本語ワープロソフトには、一太郎という大評判のソフトがあった。しかし、こちらもマイクロソフトのWORDにその座を奪われた。一太郎には花子という絵を描くソフトもあったのだが、この機能は、WORDに内蔵され、まもなく競争力を失った。

パソコンの世界は進歩に伴って、徐々にハードの規格が徐々に統一される。これは、どのメーカーの部品を使っても、パソコンが組み立てられることを意味する。そうなると日本メーカーの部品を使う必要はなくなり、台湾や韓国、中国などの部品を組み合わせて作るのがコスト的に有利になり、日本企業は退場する。一方ソフトウエアの方は、ビジネスの世界でパソコンを使う意味が、表計算であればEXCELを使う、ワープロであればWORDを使う、データベースであればACCESSを使う、プレゼンテーションであればPOWER POINTを使うことが目的になる。これらはすべてマイクロソフトの製品である。確かに、勝者総取りなのだ。

主はこの間ずっと、パソコン・オタクであった。BASICというプログラム言語があり、実際にプログラムを作ったり、ゲームのプログラムを走らせたりしていた。麻雀パイを積み上げる上海などをはじめとする、さまざまなゲームが流行っていた。コンピューター音楽なども流行っていた。また、フリーソフトが多く流通していたが、作者の個性が出ていて、一人で作ったものでも使い勝手の良いものがたくさんあった。しかし、似たようなものが次つぎ作られるため、商品化されて儲けを出すことは少ないようで、ソフトの製作で儲けることは難しいなと感じた。こうしたことは、おそらく富士通やNECなどの日本のIT企業も同様で、彼らも勝ち目のないところで、そうしたことに力を入れたがらなかった。冒頭で、孫さんの「日本のAI技術は世界で後進国になってしまった。」との言葉を引用したが、日本のIT企業は、目先の儲けが優先で、長期の研究開発をする余裕がなかった。ノートン、カスペルスキー、マカフィーなどウィルスソフトも人気の高かったものがたくさんあったが、これらもマイクロソフトがOS自体にWindows Defenderというウィルス対策機能を持たせるようになったため、他社のソフトを入れる必要性自体が以前より減っている。

ゲーム・上海

やがてPCの影響力が減り、スマホが中心になる。スマホやパッドは、Android、iOSともにストアで検証されたアプリが提供されるため、セキュリティ・リスクはパソコンよりずっと低い分、ウィルスソフトを入れる人が少ない。こちらは、GoogleとAppleだけが勝者だ。韓国のSAMSUNGはAndroidスマホのGalaxyで一歩リードしたが、所詮ハードは、規格が公表されているため、中国製その他の激しい競争にさらされ、競争力の維持は難しかった。

ところが、マイクロソフトもシェアを握っているWORDやEXCELを含むOFFICE製品の販売よりも、とうとうクラウドを中心に切り替える。OFFICE365や、使った分だけ課金するクラウド環境の提供にシフトしている。OSも、Windows10以降は、新しいバージョンを発売せず、アップデートだけで対応する方針だ。ソフトの販売は、似たような機能を持つ低価格、互換ソフトが次々登場し、儲からなくなってきたということだろう。方向転換している。

今やパソコンからスマホへ主流が移ったが、GAFAはその先を研究している。よく言われるウェアラブル端末や、アマゾンエコー、グーグルホームのようなAIスピーカーなどである。マウスでクリックしていたのが、音声で命令ができる。近く、商店のレジもなくなるだろう。(すでに無くなり始めているが)

ちょっと話が横道にそれるが、大学受験の英語の試験で民間企業を使うという方針が、不公平とか、情報漏洩などが危惧されて突然中止(延期?)になった。非常に緻密な議論がテレビや、識者などの関係者で侃々諤々、行われているようだが、GOOGLEやAMAZONの自動翻訳はほぼ実用レベルに達している。主はここ2年ほど、これらを使っているのだが、進歩は急で、かなり自然な日本語である。現実を知れば、誰でも驚くだろう。簡単な英文を書けたり、話したり出来るようにするのは機械に任せて、今までどおり、難解な日本語力そのものを要する、英文理解力を判定する試験が良いだろう。

話を戻す。スマホは、GPS機能があるため、PCとは違ったさまざまなサービスができる。ショッピングセンターに集った見知らぬ男女のうち、希望する男女が接近すると交際する機会を提供するアプリが各種ある。SNSで#(ハッシュタグ)を使って、検索ウインドウに「#死にたい」と書き込めば、自殺希望の人物と簡単に連絡できる。都心の自宅の空き駐車スペースを、郊外からやってくるドライバーに時間貸しするニッチなアプリもある。

要約すると、ソフトウエア自体を売ってお金を稼ぐことは難しいが、気の利いたアプリを開発して、その需要と供給のマッチング・サービスを広められれば、少ない元手で儲けることが可能だ。

ここで日本の企業数社とアマゾン、グーグルが現状で提供しているサービス(=消費者と企業をつなぐマッチング・サービス)を、大まかではあるが比較してみる。両者の傾向の差が、少し見えてくる。

  • 食べログ(レストランの紹介や予約:月額固定料金1~10万円+ランチ100円/人、ディナー200円/人、2017年11月時点)
  • ぐるなび(レストランの紹介や予約:月額固定料金1~5万円+ランチ50円/人、ディナー100円/人)
  • ホットペッパービューティー(美容院、マニュキュア店の紹介や予約:約6万円〜約50万円/月)
  • 楽天(売上の2.0~7.0%のシステム利用料+加えて1万9,500~10万円の月額料)
  • ZOZOTOWN(ブランド衣類の在庫・販売・発送代行:受託手数料率28%程度)
  • マネーフォワード(自動家計簿、金融資産の一括管理:500円/月)
  • AMAZON(15%が中心の出品手数料)
  • Google Map Street View への掲載(1店舗3万円から5万円、月額固定料金なし)

食べログ、ぐるなびは、飲食店の紹介と予約であるが、高級店ではない飲食店にとって、固定料金と一人当たりの料金を支払うのは非常に厳しいだろう。もっと厳しいのは、美容室のホットペッパービューティーである。目のつきやすいところに掲載されるほど料金が高い仕組みは一緒だが、掲載店は誰のために働いているのか分からない「ぼったくり」の水準である。楽天は、仮想商店街というだけあって、商品の発送や、入出金は出品者がする。楽天は、手数料を取ってシステムを使わせているだけだ。アマゾンは、在庫の保管、発送やら、入出金などもしていることを考えると、楽天もぼったくりと言っていいだろう。ZOZOTOWNは、28%という高率であるが、在庫を抱え、発送をしているのだが、アマゾンは同じことをしているわけで、こちらもぼったくりである。最後のマネーフォワードは、ユーザーの金融機関のIDとパスワードを教えることで、家計簿を自動的に作ってくれる。ただ、こちらは完全にシステムの維持だけで済み、セールスマンが営業するような業態ではなく、500円/月の料金はやはり格別安くはない。アマゾンプライムの料金と同額で、そこまでの価値はないだろう。(主は、断っておくがアマゾンプライムの会員ではないし、贔屓するつもりもない。しかし残念ながら、勝敗は明らかなんだよね。)

要するに日本の企業、こうしたIT業界と言われるところでも、リアルというか、従来型の損益分岐点を頭に描いている。つまり、提供するサービスのコストに利益を上乗せして、顧客(会員)に支払わせる料金を算出している。結果として、フランチャイズ契約を彷彿させるぼったくり料金が設定される。

消費者から見ると、ここにあげたレストラン紹介、美容室紹介であれば、無料のGOOGLE MAPで店を調べられるし、口コミも読める。店側の掲載料金は、1回のみ必要で3万円から5万円と安い。

もちろん、アマゾン、グーグルはプラットフォーマーと言われる独占力を持ち、自分でルールを決めることが出来る立場だ。ライバルが、今より少なくなってもっと有利な状況になれば、方針を変えると考えるのが自然だが・・・。

だがそれより一番の問題は、日本企業のアプリ(プログラム、システム)は使い勝手が悪いことだ。多くの企業のシステムは、日本旅館の度重なる増築のようになっており、内部が迷路のようになっている。

分かりやすい例は、イオンやヨーカドーのシステムのひどさだ。Yahoo JapanとPayPayもひどい。昔からやっている商売に加えて、次々新しい商売が加わり、パソコンのプログラムが別々のまま生きている。ポイントサービスなどが何種類もある。システムがスパゲッティのようにこんがらがっていて、パソコンオタクの主でもサービスの種類ごとにあるIDを使い分けたり、ポイントを無駄なく利用するのは大変である。パソコンなどの仕組みに興味のない人は、問い合わせすら困難だろう。カスタマーサービスにメールすれば、いつ返事が来るのかと思うほどレスポンスが悪い。電話をするとなかなかつながらない。どちらも言葉だけバカ丁寧だが、「システムの仕様がそうなっています」的なことを言われる。電話で問い合わせできないようにしているところもあれば、メールの問い合わせができない企業もある。メールで問い合わせが出来ても、画像やスクリーンコピーの添付が出来なかったり、文字数に制限があるところも多い。

全体的に言えるのは、カスタマーサービスの存在意義が、顧客のストレスのはけ口と考えていて、経営者はシステムの何が問題なのか知ろうとしていない。

どの会社もリアルの営業活動には熱心だが、プログラム自体を外注しているし、請負で実情をよく知らないプログラマーが作っている。金のかけ方が少ないから、使い勝手がいつまでたっても悪い。カスタマーサービスで応対する人員も、使い勝手の悪さが顧客に負担を強いていると認めるより、「システムの制約です」といった固定観念から脱せない。システムの制約は、仕方ないと思っている。これでは、救いがたい。沈没するしかない。

今の企業活動は、社員のアナログな活動より、システムのできの方が重要性が高いと認識しなければならない。それに気づけば、システムは自社で作るようになるだろうし、プログラム要員数を圧倒的に増やすだろう。昔のように、システムは自社で持つ必要なない。システムはクラウドを使って、プログラムだけを自分で作ればよいのだ。

おしまい

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