STAX 驚きの高音質! イヤー・スピーカーと称するヘッドホン

最安モデル(64,000円) STAX SRS-3100

【音がいいのは、原理が全く違うから】

このスタックスヘッドホンは、従来のスピーカーと音を出す原理が全く違う。つまり、普通のスピーカーは、スピーカのお尻に銅線のコイルを巻き、電流に変換した音声信号を流し、磁石と反発する力でコーンを振動させる。(下の図)

ところが、スタックスはコンデンサー型とか、静電型と言われるらしいのだが、極めて薄い膜(ほぼ質量ゼロ!)を挟んだ両側の電極に、高い電流(580V)を流して、静電気の力で膜を振動させるらしい。

とはいっても、どうも主にはうまく説明できない。コンデンサー型マイクというのがあるらしく、これと逆のことをやっているのだろうか?、それも分からない。(上の図)

さっぱりわからんが(STAXのHPから)
こちら従来のスピーカーの原理

ただリンクの記事を読むと、この会社は、高度成長期のときまでに輸出中心にやって来て、1985年のプラザ合意の後の円高で、その円高に耐えきれず、業績が悪化したらしい。その後は、事業を縮小してほそぼそとやってきたのだが、2010年に中国企業と資本提携し、ようやく、最近新製品を出せるように業績が回復してきたとのことだ。

技術的な解説と社史を書いた記事はこちら。興味がある方は下のリンクをクリックしてください

究極の静電型ヘッドフォンはどのように生まれたのか、STAX「SR-009S」の秘密

【生の音など再現できないと思っていた】

これまでピアノソロとか、ヴァイオリンソロとかの器楽曲を中心に聴いて、せいぜい少人数で演奏する弦楽四重奏とか、10人程度が演奏する室内楽までが限界で、交響曲をコンサート会場と同じように自宅で再現するのはこりゃあどだい無理だなと思っていた。

とくに、楽曲が作られた時代が現代に近くになるにつれて、オーケストラの編成は大規模になる。どの楽器が鳴っているのか判別がつかないほど、小さな音のピアニッシモで始まる曲も多い。この部分を聴こえるようにステレオのボリームを合わせると、こんどは、オーケストラが全奏(トッティ)するフォルテッシモでは爆音・轟音となり、家族から非難され、こんな大音響では鳴らせない。音がひび割れたりする。 逆また真なりで、フォルテッシモで丁度良い音量にすると、ピアニッシモでは何をやっているのか分からない。

【ところが・・・】

クラシックの曲の話が中心になり、恐縮であるが、これがすごいとしか言いようがない。 

このスタックスのヘッドホンでは、交響曲でも余裕で聴ける。どのCDを聴いても、これまでに聴いたことのない鮮明さで、聴ける。すべてのCDなどが、全く余裕で、「このCDは、こんな音で鳴っていたの!」と印象が、良い意味でまったく違って聴こえる。

最初に、小澤征爾がマツモト・キネン・オーケストラを指揮したマーラーの交響曲第1番「巨人」を聴いたのだが、コンサートホールで聴いている気分で聴ける。どんな楽器がどこで鳴っているか、非常にリアルに分かる。ピアニッシモでも、フォルテッシモでも明晰である。もともと交響曲の魅力をたいして感じたことがなかったので、とくにマエストロ小澤征爾を好きというわけではなかったが、さすがにこの指揮者や演奏者の熱量の巨大さを初めて知った。 はじめて、録音物でオーケストラの良さを実感した。

ピアノソロを聴くと、最低音の弦が鳴るとき、鋼鉄にくるくる巻かれた銅線が振動しているのが目に見えるような気がする。アコースティックな何とも言えない美しい響きである。和音が大音量で鳴った後、消音ペダルを足で押し下げ、空中の音の響きが突然消えた無音の静寂、音楽教室にいて、そばで鳴るピアノを間近で聴くような迫力がある。

加藤訓子というスティーヴ・ライヒやクセナキスなどの現代曲の演奏で世界的に有名なマリンバ奏者がいる。彼女は、バッハの無伴奏チェロ組曲や無伴奏ヴァイオリン組曲も、SACDという高音質(ハイレゾ)の録音をしている。

これを聴くと、打楽器に分類される!マリンバの本当の音は、実はこうなんだったと初めて知る。実に魅力的な音がする。これも低音の音が何とも言えずいい音がして、まるでコントラバスの弦を指で弾いたようなぶるぶる振動しているような音がする。高音の音は、明るく美しく、木(ウッド)が鳴っている実に自然で魅力的な音がする。チェロやヴァイオリンで演奏されるバッハの原曲の演奏は、威厳のある理知的な迫力が魅力だと思うが、マリンバは、実に優しいユーモアも感じる不思議なおおらかな音がする。当然ながら、ときに、緊迫感のある高音の節回し(アーティキュレーション)も当然でてきて、低音と内声が織りなすフーガ、和音の響きの美しさと、この人の演奏は、ずっと聴いていて飽きない。魅了される。

グスタフ・レオンハルトがチェンバロで弾く「フーガの技法」も素晴らしい。チェンバロの音が、これまでの再生装置より、さらに美しい。美人薄命、儚いといった感じ。丁寧に声部を分けて、落ち着いて全体を作っていく、そんな感じの演奏でさすが巨匠と呼ばれる人だなと思ってしまう。

そんなで、他のジャンルはどうなんだろうと思い、ロックのクイーン《ボヘミアン・ラプソディ》を聴いてみた。このCDは、車で聴いたときに音がごちゃごちゃしてるなあと思っていたのだが、まるで映画館で聴くようなクリアさと迫力で聴ける。

ブラジルのMPB(ポピュラー音楽)、歌姫のマリーザ・モンチも聴いてみた。このSTAXのヘッドホンは、自然な音で疲れない、低音から高音まで色付けすることなく鳴る。低音は迫力があるし、高音は美しい。アコースティックギターなどそのままの音だ。後ろのバンドや楽団、コーラスも入るのだが、濁って訳が分からなくなるということがない。

こうして聴いてくると、これまで持っているさまざまなCD、あまり聞いていない曲などを、あらためて聴きなおすしかない!と思えてくる。

おしまい

ソニー ウォークマン NW-ZX507 でハイレゾを聴く

ずっと良い音で音楽を聴きたいと格闘してきた。スピーカーを初め、オーディオにお金をかけてきた。しかし、最後まで満足できなかったのが、クラシックのオーケストラである。アンサンブル(合奏曲)であっても、大人しい曲は、比較的スピーカーなどでもOKなのだが、例えばマーラー、オーケストラのスケールが行くところまで大きくなったと言われるマーラーは、微かな弱音で何をやっているのか分からず、フォルテッシモの強奏では、何の楽器が鳴っているのか区別がつかない。オーケストラの団員の多くが、聴力をやられるというのも分かる。ホールで半分寝ながら聞いていると、突然の轟音で眠りを破られる、あれである。

だが、主は、コンサートホールに近い音場を実現する方法をとうとう見つけた!結論をいうと、オーケストラ曲のハイレゾを手に入れ、デジタル・オ―ディオ・プレイヤー(DAP)とカナル型イヤホンを使って再生することだ。このカナル型イヤホンもバランス型でなければならない。そこまで投資すれば、まるでコンサートホールで座って聴いているのと同じように聴こえる。

具体的に聴き比べをしたのは、マーラーの交響曲第1番「巨人」で、バーンスタイン指揮(1987年)のCDと、上岡敏之指揮/新日本フィル(2016年)のDSDである。これをソニーのカナル型イヤホン  IER-M7を使い、バランス接続とアンバランス接続で聴き比べた。

結論だけを書くが、CDよりもハイレゾDSDが音が良く、イヤホンはアンバランス接続よりもバランス接続の方が音が良い。スピーカーで再生するのに比べると、CDの場合であっても、イヤホンで聴くほうが遥かに明晰で、再生装置を選べばこれほど再現性があるのかと驚く。しかし、DSDになると、ファイルを再生しているのを忘れ、奥行きや立体感もありホールで聴いていると思うほどリアルである。ただし、ティンパニ、シンバル、弦楽器も管楽器も全奏(トッティ)で強奏するとき、「」がない場合がないわけではない。しかし、ホールで実際に聴いているわけでないのだから、許容範囲である。

ただ、今回マーラーを聴いて、表のメロディーの裏で、諧謔的で、狂気的な裏のメロディー、崩れるような不調和なリズムの魅力を堪能した。マーラーの不思議な魅力はきっとここにあるのだろう。予定調和で狂気のないクラシックは、クラシックではないと思っている。

ソニー NW-ZX507
IER-M7

こちら、カナル型イヤホンIER-M7である。この製品は、バランス接続用とアンバランス接続用のケーブルが同梱されている。従来のアンバランス接続のイヤホンは1本の線を共用し、3本で構成される。ところが、バランス接続では高音化をはかるために、左右それぞれ独立させ、4本使っている。

ちょっと辛口批評になるが、このソニー NW-ZX507だが、なかなか良い音がするものの、基本、OSがAndroidなので、Androidスマホから、電話と写真機能を除いた使い勝手である。加わった機能は、高音質音楽再生ということになる。つまり、音質を問題にしなければ、スマホで十分であり、DAPは、常にスマホを上回る音質が求められる宿命にある。

主は500枚程度のCDと、音楽映画DVDなどが音楽リスニングの主要コンテンツである。CDは、パソコンなどで聞けるように、FLACという劣化のない形式のファイルにし、音楽DVDもコピーソフトを使ってコピーができるので、そうしている。

ただし、CDより音質が良いSACDという規格で録音されたものが市販されており、ピアニストのグレン・グールドを中心に10数枚持っているのだが、SACDはプロテクトがかかっておりCDのようにファイルとしてコピーできない。つまり、SACDが再生できるプレイヤーで聴くしかなく、NW-ZX507で再生できない。

一方、インターネット経由でハイレゾといわれるコンテンツが販売されており、これらも若干所有している。こちらは、SDXCというカードに入れて、聞ける。

ただ、ソニーがカセットテープが入ったウォークマンで一世風靡したころと違い、すべてがデジタルに変わり、OSはAndroid、ファイル形式も様々な形式があり、カーオーディオにも接続できる。その接続方式も、USB、Bluetoothなどがあり、様々な機能を安価に提供できなければ、中国製や韓国製に簡単に負ける。実際、スマホではAndroid10がリリースされているが、NW-ZX507のバージョンは9であり、何時対応するのかさえ、発表がされていない。カーナビに接続する場合は、USBでは接続できず、Bluetoothになるが、音質は劣る。DAC機能がある中国製では、USB接続ができるはずだ。テザリングの機能を使えば、近くにスマホがあれば、カーナビを使って、Youtubeなどをストリーミング再生できるはずだ。

しかし、日本製の製品はハードばかりに目が向き、アプリの開発が下手というしかない。ソニーのアプリ(Music Center For PC)も知らぬ間に再起動を繰り返すし、日本語の説明文も分かりにくいことがある。ソニーにはmoraという音楽配信サイトがあるのだが、ここも何時まで経っても、ポップスやクラシックやごちゃ混ぜに表示され、せめてログインしたら、過去の履歴から好みの曲を勧めてほしい。海外発の企業なら簡単にやっていることが、日本企業は、全然昔から改善しようとしていない。

おしまい

 

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