救いがたい日本 こんな日本に生まれて情けない その5 財務省に勝てるわけがない財政拡大派 財務省のアリバイの財政法と財務省設置法

財務省が緊縮財政をつづけるのには、法律の裏付けがあるからだ。つまり、財務省設置法には、「健全な財政の確保を図る」と書かれているし、財政法には、「公共事業を国債で賄う建設国債は良いが、一般財源を補填する赤字国債はダメだ。」「国債は日銀が引き受けてはならない。」と書かれている。

バブルがはじけた1990年代以降、日本は30年にわたって不況がつづき、いよいよ崖っぷちまで来た。

この原因には、プラザ合意による円高で輸出競争力を失ったこと、その後のデフレで企業が投資をせずにGDPが成長しなくなった。この30年間で、GDPが成長していない国は日本だけなのだが、その原因は何より、政府が財政再建を優先させ、「国民の借金は一人当たり1000万円になった。」と不安をあおり続け、あらゆる予算を削り(増やさないことを)続けたことにある。

そのせいで、企業や自治体は、正社員を減らして、コストの安い非正規職員に置きかえ、科学技術に予算をつけないので、技術革新をすることができず、大学院を出た研究者が生活できない。道路の白線は消えたままだし、公立学校の校舎は、建設以来何十年も経ってボロボロである。親からの仕送りの少ない地方から上京する女子大生は、風俗やパパ活せざるを得ない。男子学生は犯罪に走る。結婚した主婦も風俗で夫との家計を支え、未婚女性も風俗で生計を立てる。風俗で稼げない、犯罪もできない男が、結婚できずホームレスになっていると言われる。

コロナの前は、インバウントという名で、外国人が日本へ何千万人も押し寄せてきたが、彼らのうちの何割かは、日本女性を買いに来ていた。日本の高度成長期に、日本男性がタイや韓国で女性を買っていた逆の現象が今、日本で起こっている。ビックマック指数というのがあるのだが、ドル換算したビックマックが世界中の先進国の中で一番日本が安い。途上国を入れても、日本はかなり下の方だ。

一方で、日本の医療費や介護保険など高齢者に対する必要経費は増え続けるので、若者や働き盛りの人たちへの予算はまったく増えることがない。

なぜ、こうした政策を財務省は続けるのかというのは、最初に書いたとおりだ。彼らは、忠実に法律を守ろうとしている。

最初の二つの法律があるかぎり、財務省は緊縮財政を変えない。長引く不況の原因が、政府の緊縮財政にあると主張する財政拡大派が、いくら財政拡大を叫んでも、財務省にとっては、「蛙の面に小便!」である。いくら非難されても、法律を守っていましたと云えば済むからだ。

では、この二つの法律がどうして出来たのか。

これは、日本が太平洋戦争に敗戦した時にやってきたGHQが、日本が太平洋戦争の時に戦時公債を大量に発行して戦費調達したことが再度起こらないか懸念し、再び戦争をしないように足枷をはめたと一般的にいわれる。これは、憲法も同様である。

「戦争しないように足枷を嵌めた」と聞いて、「そりゃあいい!」と思った人は、お目出たい。経済に足枷を嵌めると、平時でも経済は委縮する。それが30年間の日本で起こったことである。

つまり、どこの国でも緊急時には、国債を大量に発行している。収支均衡など考えないということだ。(これを賢く実践したと言われるのが、中国である。中国は政府がじゃぶじゃぶ資金を供給し、毎年二桁の経済成長してきた。)

日本は主権国家なのだから、法律を改正すれば良いのだが、アメリは民主主義を持ってきたありがたい存在だと主張する自民党の守旧派、リベラルと言われれながら昔の考えを脱却出来ない左派勢力(立憲民主がよい例だ)、マスコミ、経済界の陣営も、国債発行は借金で悪だと考えている勢力がも強く、いつまでも改正しようとしない。

念のために、誤解のない様に書くと、国債発行は国民の借金ではない。国の「負債」であることは間違いないが、「資本金」のような性質のものであり、政府が支出することで、国民の側に「資産」を増やす。国債の償還は、今までも借換債を発行してきたし、これからもそうするだけだ。どこの国でもやっている。

このGHQの制定した法律は、時限爆弾だという人もいる。日本が経済復興し、アメリカ経済を脅かしたとしても、ある時、この法律の縛りが発動し、日本経済を徐々にシュリンクさせ、そのとおりになったという。

20世紀、世界は大きな飛躍を遂げたのだが、その契機は戦争だった。第1次世界大戦、第2次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争など、どの戦争でも、戦費調達のために、均衡財政の看板の看板を下ろし、金本位制を止め、国債を刷りまくって戦費を調達した。これは、景気拡大の良い処方箋だった。

結論としては、今はコロナという戦争だった。早急に、二つの法律を書き換えることだ。

以下は、実際ある、財政法と財務省設置法の条文である。

財政法 第四条 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行又は借入金をなすことができる 前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。 第一項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。

第五条 すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。

財務省設置法(任務)

第三条 財務省は、健全な財政の確保、適正かつ公平な課税の実現、税関業務の適正な運営、国庫の適正な管理、通貨に対する信頼の維持及び外国為替の安定の確保を図ることを任務とする。 前項に定めるもののほか、財務省は、同項の任務に関連する特定の内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務とする。  財務省は、前項の任務を遂行するに当たり、内閣官房を助けるものとする。

おしまい

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