河野太郎氏 テレビ・新聞が問題視しない問題点

自民党総裁選は、国会議員を選ぶ衆議院選挙などと違い特定の団体の代表選びなので、マスコミが、各得票数や選挙結果の予測を自由に報道してもOKという。それが、総裁選報道が過熱する理由である。

また、テレビ、新聞などのマスコミ(オールドメディアと言われる)とインターネットメディアでは、伝えている内容に大きな差があり、オールドメディアは河野太郎氏が優勢だと報道するものが多く、ネットメディアは高市早苗氏に高評価を与えるものが多い。

この理由だが、オールドメディアは「勝ち馬に乗りたい」という意思が一番大きい。 

高市早苗氏は、出馬記者会見の席上でNHK記者をにらみながら「NHKさん、来られていると思います。覚悟してください。私が総理になったら、NHK改革断行します。具体的には、衛星放送の受信料撤廃をします。また、たくさんある周波数の放送を減らして、集約してもらいます。」とキッパリ言った。NHKはビビっただろう。

他のマスコミは、首相になる可能性の高い候補にとって都合のよい放送をすることで、前もって今から忖度しているともいえる。分かりやすく、過激な高市早苗氏を応援するようなことをして、彼女が負けてしまうと損をする、抽象的な発言に終始する河野太郎氏を応援して負けても、傷は浅い、もし高市氏が逆転すれば、その段階で持ち上げればよいという計算が働いている気がする。

概して、お昼のバラエティ番組で放送されている内容は、底が浅く、あれだけ時間を割いているのに、同じ内容の繰り返しで、政策の中身を具体的に掘り下げることがほとんどない。

ネットでは、中国寄りの二階幹事長、菅首相、石破茂氏側と、アメリカ寄りの安倍前首相、麻生太郎財務大臣側の戦いという説もある。

候補者のうち、河野太郎氏については、いろいろと問題点があるのだが、ネットではいろいろ言われているものの、テレビ、新聞などのマスコミで報道されることはほとんどない。

そこで、マスコミが取り上げない問題点を二つリストアップしてみる。

① 河野太郎防衛大臣は、イージスアショアの配備計画を廃止したが、その後どうするか宙ぶらりんになっている。

政府は、海外からミサイル攻撃を受けた時の防衛システムとして、2018年、秋田県と山口県の二か所にイージスアショアと言う迎撃ミサイルシステムを設置する計画を立てていた。

ところがこの計画の地元説明会で、防衛省はGoogleEarthなどを使った数値をもとにしていたのだが、山の高さの計算などが間違っているのが発覚した。地元の懸念は、迎撃ミサイルを収納する外部の筐体(ブースター)が地元に降ってくる可能性があることだったが、アメリカ軍に照会したところ、地元に落ちる可能性はあるという回答が返ってきた。

それがもとで紛糾し、河野太郎防衛大臣(当時)は、この計画の白紙撤回を素早く決めた。素早く決めたのはいいのだが、その後どうするかの代替案が出せすに迷走している。一応、イージス艦に乗せるという案が決まっているのだが、恒常的に、防衛のための迎撃システムを日本の周囲をめぐっているイージス艦に乗せるというのは現実的でない(予算が倍かかる)、というのは素人でもわかる。

また、アメリカ政府も、このイージスアショアを迷走させている河野太郎氏が総裁になるのを問題視しているらしい。

イージス・アショア代替策
結局はイージス艦なの?

https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/47546.html

② 河野太郎氏は、「最低限の原発は稼働させる」と自身の方向転換を言いながら、一方で、「巨額の費用がかかる核燃料サイクル政策はきちんと止めるべきだ」とも発言している。

つまり、河野太郎氏は、脱原発、クリーンエネルギーを推進派だが、産業界は、これを進めると電力料金が上がり、競争力が失われると反発している。このため、河野太郎氏は、出馬表明で「原発の稼働は当面認める。」とトーンダウンしたのだが、いっぽうで、燃料サイクルの廃止を口にしている。

これは、原子力発電所でできる廃材を処理する場所がなくなることを意味し、原発廃止を言うのと同じことであり、矛盾している。 電力料金の高騰は、日本で製鉄業が立ち行かなくなった原因でもあり、製造業の国際競争力を失う。クリーンエネルギーと言えば聞こえがいいが、コストをしっかり考え、不利益を被る部門への目配りが必要である。。

高市早苗氏は、核融合炉を進めると言っており、これは、「ウランなどが必要ないので、最も安全な発電方法だと思います。ものすごく大きな発電量も可能です。」「実は京都大学発のスタートアップ「京都フュージョニアリング」(京都府宇治市)が技術を持っていますが、お金が集まらず、資金調達額は5億円程度にとどまっています。」と具体的な提言をしている。

核燃料サイクル維持を 電事連が声明

https://www.iza.ne.jp/article/20210914-Z7Y7DBWGHJM3PGZZIEZPYCJXYE/

おしまい

余談 日本は、東日本大地震の福島原発爆発事故で、原子力発電所の売り込みができなくなった。このために、火力発電所の燃費効率を上げた発電システムをベトナムなどの途上国に売り込もうとした。しかし、いくら燃費効率が上がったとはいえ、化石燃料を使うシステムへ力を入れる姿勢は、2019年の気候変動会議COP25で世界中からバッシングされた。化石燃料をやめると言わなかった小泉純一郎環境大臣には、たっぷりと皮肉を込めて「化石賞」が贈られた。

本当におしまい

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