「日本はなぜ世界に必要なのか」 高市首相の上辺と本心は?

1 エマニュエル・トッドの論点の要旨

エマニュエル・トッドは「なぜ日本が世界に必要なのか」で次のように言っている。
西洋(アメリカと欧州)は、時間がかかるにしても、没落しつつあり、現在進行中の第3次世界大戦において、結束するロシア、アメリカ、イランに敗れるだろう。一番大きな要因は、西洋が生産力が劣り、戦争に兵器を供給できないことだ。
トランプ大統領は、宗教(キリスト教)がなくなった(宗教ゼロ状態)後、価値観と道徳を失い、ニヒリズム(虚無主義)に変わり、弱いものいじめ、民主主義と自由を守るそぶりは口先だけで、狂気といえる状態だ。
そのようなアメリカに属国状態の日本*¹が、無条件で後ろをついていくのは、取るべき方向ではなく、非常に危険だと言うのが、トッドの主張である。

2 《高市首相》上辺うわべと本音がどこにあるのか?

ところが、高市首相はアメリカはべったりで、最初の日米首脳会議の場面で、「ドナルド❗❤️、私は貴方がノーベル平和賞を取るよう推薦するわ❗」と満面の笑顔を浮かべながら、クラブのママのようにお追従を言った。

もちろん、親爺もトッドの言う通り、日本の自立、独立を気概をもって進むべきだと思っている。しかし、日本は言うまでもなく、30年来の不況で経済が大いに傷ついており、アメリカの助けなしに経済の繁栄を取り戻せない。防衛もそうで、日本はアメリカの「核の傘」なしに、一人で防衛できない。

中国に追い越される危機が避けられないとはっきりするにつれ、アメリカは、中国を切り離そうとしている。これは日本経済にとって国内生産に回帰する大きなチャンス到来で、当面、トランプ大統領のご機嫌を損ねる訳にいかない。

そこで親爺は思っているのだが、高市首相が表向きの態度には偽りがあり、本音は別にあることを期待をしている。

3 高市首相が隠している重大点

<その1> アメリカが世界の警察から、自国中心の狂気へ

前に言ったことと重複するが、トランプ大統領は米軍を送り、ベネズエラ大統領夫妻を寝室から誘拐してアメリカで裁判にかけている。イランにも奇襲攻撃をかけ、政権のトップ数十人を殺害した。ウクライナも同じで、アメリカが親露政権をクーデターで倒し、約束を違えてNATO*²を東方拡大し、危機感を抱いたロシアに先に手を出させた。「世界の警察」とは、聞いて呆れる。傍若無人の振る舞いである。

こんな国について行くことはない。トッドが言うように西洋は負ける。

しかし、高市首相はアメリカべったりの政策をとっている。親爺はこの姿勢は、現状の日本の立ち位置を考えると、他に選択肢がない、仕方のないことだと思っている。

日本は、「物作り大国」と言っていた。これは遠い過去の話で、その座は完全に中国に奪われてしまった。
大手の小売店のユニクロ、GU、無印良品、ワークマン、ダイソーなどの百円均一ショップ、大手スーパーなどの店頭に並んでいる商品の大半は、中国、バングラデシュ、ベトナムなどの海外製だ。

これは日本の大手資本が、安い商品を仕入れて、日本の消費者に大量販売して儲けているものの、工場が海外移転しているので、多くの国民の雇用が失われている。

日本の消費者が商品を安く買えるメリットもあるが、雇用喪失のデメリットのほうが大きい。雇用取り返すには、トランプ大統領が四苦八苦しているように、日本も地道に国内生産するしかない。

トッドが言うように、アメリカのGDP(国内総生産)が大きくても、その数字には、大リーガーの天文学的なサラリー、ウォール街で金融業に従事する者の高給、弁護士、銀行員などの給与が入っているが、これは生産という観点から見るとまったく貢献していない。

西洋がウクライナ、イランに兵器を供給できずに敗れるというのは、中国、ロシア、イランに比べ、実際に生産力がないからだ。

日本がそんなトランプ大統領にどっぷりと一蓮托生となるより、結末はアメリカが負けるのだから、トッドが言うように中国、ロシア、イランとも仲良くやるべきだ。
アメリカに従属する危険性を高市首相も知っていると、親爺は思う。

<その2> 財源は国債発行

ここからは、トッドの主張から離れるが、高市首相は経済政策についてはっきりと態度を表明していない重大なことがある。

高市首相が言う、国債残高の伸びの範囲内で経済成長する、という「責任ある積極財政」は、親爺は不十分だと思っている。というのは、完全に不況を脱するまでは、国債残高の伸びが、経済成長の伸びの範囲を超えても問題ないからだ。一番良い例が、中国*⁴だ。

(財務省とマスコミは、戦後最長の好景気が続いていると言うが・・・)、長年のデフレ不況を完全に脱したわけではないと、親爺は思っている。金持ちが増えたのは間違いがないが、格差が広がり、貧乏人はもっと増えている。満足に食事を取れない家庭も多く、地方は東京に比べると大変だ。

こうした現状では、低所得層、地方にも経済成長が行き渡る期間(おそらく5~10年程度)は、政府が、民間企業が十分に投資を増やすまでの間、国債残高比率を上げても支出を拡大すべきだ。
国民の手にわたるお金は、民間企業のお金でも政府のお金でも良い。民間企業がお金を出さない時は、政府がその分出さないとデフレ(物価が下落する状態)になる。

政府と民間企業が、GDPの5%程度(20~30兆円程度)の赤字を出せば、国民の方は黒字になり、商品を買い(購買力が上がり)経済成長できる(需要が拡大する)と言われる*³。

ところが、日本政府がこれまでやってきたことは、真逆だ。
財務省が「財政危機宣言」を出したのは、実に1995年だ! 30年前に、ほんの少しの国債を出し始めた財務省は、「もう国債をこれ以上出した/くない」と「財政危機宣言」をしている。つまり、民間企業がお金を出さなくなった、バブル崩壊のタイミングから、政府も民間企業と同じように、お金を出し渋り続けた。これが30年も、デフレ不況が続いた原因である。

喜寿超えプログラマ🎈さんのNOTEから使わせていただきました。

この財務省とマスコミの宣伝に30年間、国民は乗せられ、国の借金は返さないとならないものだとほとんどの国民は思っている。

高市首相が、そのような空気の中で、国債を財源に政府の支出を増やすといえば、「無責任❗」「ポピュリスト❗」とテレビや新聞は、間違いなく大バッシングする。
来年の食品の消費税減税をするのにあたって、「財源は何か」「明らかにしろ」と散々言われている。

ところが、経済成長すれば、財源なんていらない。財源がいらないだけではなく、お釣り(経済成長)が出てくる。

世界のどこの国も経済成長に伴って、国債残高の絶対額を増やしており、残高を減らした国はない。

要するに、成長すれば国債残高の比率(国債残高/GDP)は低くなる。逆に、企業がお金を出し足りないなら、その分、政府が国債を発行して国民にお金を渡さないと、経済成長が望めない。

このことも高市首相は知っていると親爺は思っている。

高市首相が、2027年4月、食料品の消費税減税をやり、2026年に決定した「骨太の方針」にもとづき、単年度予算から複数年度予算に切り替え、成長投資に対するシーリングをなくした予算を執行する。こうした方針転換で、実際に経済が回復すると国民が認識するようになれば、財務省の事務次官をはじめとする事務方トップ自らが、今後の経済運営の方針を変えると、国民の前で説明することを親爺は夢想している。

おしまい

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*¹ 属国状態の日本 トッドは、日本をアメリカの同盟国と見ていない。ドイツと日本は、アメリカの属国だと考えている。

*² NATO 北大西洋条約機構 アメリカをトップにする西欧の国が作るロシアを敵国にする政治・軍事同盟。特定の国がロシアに攻撃されたら、他の加盟国が応援に駆けつけることになっている。ウクライナもNATO加盟を望んでいるが、ウクライナを加盟させると、NATOが応戦しなければならない。このため、NATOはウクライナを応援するが、加盟は認めないという、矛盾した態度を取っている。

*³ GDPの5%程度の赤字(政府と企業の合計)で経済成長 これは会田卓司氏が「日本経済の勝算」で述べている。アメリカの経済政策は、「高圧経済」というのだが、程よいインフレを目指し、2~4%程度に保つよう需要を喚起するという政策をとっていた。
これをコロナの時期にやり過ぎ、インフレが高進し、国債残高が爆増した。やり過ぎた(会田卓司氏によれば、政府と企業で15%の赤字を出したと言われている。)のだが、国債を発行しまくって、景気回復しようとしていた事実が見える。
日本の場合は、バブル崩壊後、企業が投資をしなくなり、借金を返し始め、内部留保(黒字)を貯め始めた。財政危機宣言をしていた政府は、企業と同様、国債発行で国民の手にお金を渡さなかった。国民がちゃんとした生活が出来、経済成長するには、企業と政府で5%の赤字が必要なのに出さなかった。
また、都市部の景気が良くなっても、地方や中小企業にも恩恵が及ぶためには、相当程度、高めに景気刺激することが必要で、政府と企業が合計で、5%程度の負債を負う(=借金をする)状態が、国民を黒字にする(=国民の懐具合が良くなる)、程よい経済成長ができると分析している。

*⁴ 中国の経済成長 日本が1985年のプラザ合意で、米英仏に”為替高にしろ”と迫られ、2倍の円高(1ドル240円から120円へ)になった。これを見た中国は、2倍の為替安にし、競争力は4倍中国が有利になった。
同時に中国は、アメリカ以上に国債を発行(通貨供給)し、国営企業へお金を流し込み、製造業を育て、年々、国際競争力のある工業製品を輸入国の産業を壊滅させるほどの安価で輸出してきた。

画像
Geminiに作ってもらった中国とG7各国のネットの国債残高(兆ドルベース)
1位はアメリカ、2位は中国で、その他の国は横ばいである
不明 のアバター

投稿者: brasileiro365

 ジジイ(時事)ネタも取り上げています。ここ数年、YOUTUBEをよく見るようになって、世の中の見方がすっかり変わってしまいました。   好きな音楽:完全にカナダ人クラシック・ピアニスト、グレン・グールドのおたくです。他はあまり聴かないのですが、クラシック全般とジャズ、ブラジル音楽を聴きます。  2002年から4年間ブラジルに住み、2013年から2年間パプア・ニューギニアに住んでいました。これがブログ名の由来です。  アイコンの写真は、パプア・ニューギニアにいた時、ゴロカという県都で行われた部族の踊りを意味する≪シンシン(Sing Sing)≫のショーで、マッドマン(Mad Man)のお面を被っているところです。  

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