GLENN GOULD 中毒 (書籍について)

グレン・グールドに関する書籍をいくつか読んだので、感想を書いてみる。

【小澤征爾さんと、音楽について話をする】

村上春樹、小澤征爾が二人で実際にレコードやCD、DVDを聴きながらの対談を行う。グレン・グールドのみを論じているわけではないが、冒頭にグールドの話題が出てくる。ここで取り上げているのは、ブラームスのピアノ協奏曲1番とベートーベンのピアノ協奏曲3番。ブラームスのピアノ協奏曲1番は、演奏の前にバーンスタインが聴衆に向かって、これから自分の意思とは異なり、非常にゆっくりしたスピードで演奏するというスピーチも前代未聞なら、”Who is the Boss, Conductor or Soloist ?” というフレーズに驚かされる。ベートーベンのピアノ協奏曲3番は、バーンスタイン版とカラヤン版の聴き比べである。

小澤征爾は1935年生まれなので、グールドより3歳年下ということになる。すでに人気が出ていたグールドをトロントでも知っていたし、自宅にもいったことがあるという。当時のことを、「グールドにまつわる活字にできないような話も小澤征爾から聞かされた。」と村上春樹が書いている。その中身は何だろうと興味をひかれて仕方ないが、小澤征爾のグールド評は的確だと思う。グールドに関する書籍はたくさん出版されているが、多くは、天才、変人、奇人という説明がなされるが、小澤征爾はグールドの音楽を「結局のところ自由な音楽」「間の取り方がうまい」と評している。 本書は、その後、マーラー、古楽器、マツモトキネン、オペラの話と話題を変えて行くが、やはり村上春樹のリードが上手で、オーケストラ、音楽がどのような過程を経て指揮者により作り出されるのがよく理解できる値打ちのある本だ。

【グレン・グールドのピアノ】

ケイティ・ハフナーというアメリカ人が書いた本だ。反応の素早い、軽いアクションのピアノに対する希求、調律師エドクイストの存在などグールドのこだわりが非常によくわる。グールドは自分に合った非常に敏感なアクションのピアノを求め続け、地元トロントにあったスタンウエイCD318にようやく巡り合うが、不運にも運送中の事故で壊れてしまう。グールドは困り果て、この時期ピアノを弾かずチェンバロの録音を出したりする。2回目のゴールドベルク変奏曲は、ヤマハのピアノで弾かれたものだ。DVDでそのピアノを見ることができるが、鍵盤の前の板にYAMAHAと書かれた部分が、本来ならあるはずだが、この板が取り外されており、ちょっと異様だ。 この本は、意味不明で感傷的な追及に力点がなく、事実に即して書かれており、読む値打ちがある。

【グレン・グールド 未来のピアニスト】

青柳いづみこの本。筑摩書房から2200円というこの種の本にしては、買いやすい値段のため買いましたが、端的に言えば、面白くない。ドビッシー弾きのピアニストということで、ピアニストから見てグールドはどのような存在に見えるのかという興味から購入した。この本は、いきなり「同業者の目から見ると」と始まるが、グールドは自分のピアノ演奏は、「業」とか、一般の人がするように仕事でピアノを弾いていたのではないと思います。彼女が1970年前後に東京芸大の学生だった時には、変わった演奏をするグールドに対し賛否両論があり、一種の踏み絵の様相を呈していた時期があったと書き、わたしはどちらにも属さなかったと書いているが、この人はグールドを否定する側だったと思ってしまう。(日本でグールドが正当な評価を受けるのは、1963年の吉田秀和の評論以降である。) 途中で読むのを止めた。

【グレングールド】中川右介

没後30年で、CD販売なども大盛況なので「グールド」の本を出せば売れるだろうと著者は計算したと思う。(この計算は正しい。朝日新書というメジャーなところから820円という手軽な値段のため手に取った人は多いと思う。)青柳いづみこもそうだが、グールドの良さが十分に分かっているのかな?と思ってしう。 また、本文もグールドと同時代のエルビス・プレスリーの話やら、ジェームズ・ディーン、J・D・サリンジャーなどの話が長くページ数を無駄に増やしている。 書かれている内容はグールドの奇行ぶりを中心に書かれており、これまでに書かれたグールド本は多いので、いろんな本をつなぎ合わせた感は否めない。 『グールドの発言や書いたものには「嘘ではないが本当でもない事柄がある。」』と書き、その点には興味を惹かれたが、全体を通してグールドについて懐疑的な評価である。

PCオーディオその後

PCオーディオにはまった時にオーディオ機器を揃えはじめたのだが、どうしても値段の手頃なものから揃えてしまい、結局は満足できずに上位機種を買うということを繰り返した。このため我が家のオーディオセットは4組ある。

下ががメインのセットだ。一日の最後に、好きなクラシック音楽を聴く。カナダ人ピアニストのグレン・グールド(1932-1982)にはまっている。知る人は知るのだが、知らない人も多いと思う。没後30年以上経つのだが、クラシックでは人気のピアニストだ。CD売り場へ行くと、今でもたくさん並んで売れている。昨年発売された「コンプリート・バッハ・コレクション」(CD38枚、DVD6枚組)は最初1万2千円ほどの安価で発売されていたのだが、今では逆に値上げされている。彼の演奏は、1950年代から始まり、このころの演奏は60年近く経過している。このため初期の録音状態は悪く、出来るだけ原音で再生したいという思いから、PCオーディオに凝り始めた。

具体的には、ファンレスの無音自作パソコンにZODIAC専用のUSBケーブル(85センチで6万円する!!)でDACのZODIAC GOLDと接続する。ZODIAC GOLDは、本体と電源部が分かれており、50万円以上する。この電源部が威力を発揮するのだ。電源部を完全に独立・安定させることで異次元の音質になる。さらにA級アンプのLUXMAN 550AXのパワーアンプ部へと直結し、スピーカーはB&WのCM8にバイワイヤリングで接続している。これらの接続はモンスターケーブルを使っている。ヘッドホンは、オーストリア製のAKG K701だ。結論だけを言えば、非常に良い音がする。長い時間、大きな音で聴いても聴き疲れすることがなく、小さな音で聴いてもクリアに聴くことが出来る。クラシックはクラシックにふさわしい、ジャズはジャズらしいリアルな音がする。

ベストは、ZODIAC GOLDとヘッドホンのAKG K701だけの再生だ。非常に微妙な音まで明晰に聞きわけることができる。たとえば、グールドが生涯使い続けた椅子がかすかに軋む音や、マイクマニアの彼が、音源から遠近をつけた位置に置いたマイクが拾うチャンネルごとの微妙な違いも聴き取れる。また、ジャズなど違ったジャンルを再生すると、非常な臨場感、迫力があり、目の前に楽器があるかと思うほどだ。もちろん、アンプ、スピーカーをとおして聞くと、音量に関係なく音楽に楽に没頭することができる。全体に、例えば、ピアノであれば本来のアコースティックな響きがするし、ドラムのシンバルであればそのとおりのリアルな音がする。本来、楽器はこんなにいい音がするのだと快感する。

ZODIACLUXMANB&Wakg_k701

リビングルーム

こちらはネットワークプレイヤー PIONEER N-50、アンプは ONKYO A-9070。ソースは、隣室のNASからLAN接続をしている。他のメーカーのネットワークプレイヤーもそうだが、曲の選択や曲目のディスプレイが小さいことなどPCと比べると、細かい不満はいろいろある。だが、CDプレイヤーを使うより、さっと違う曲をかけることができるし、曲名も表示され、こちらの方がずっと良い。

スピーカーは、かなり昔(15年ほど前)に買った。「線音源」のリニアムA-1という高音が綺麗なスピーカーだ。スピーカーは専用スタンドに乗せている。こちらもなかなかいい音がする。リビングルームではある程度離れて聴くことができるので、器楽曲は自然な感じで聴ける。オーケストラはちょっと解像度が厳しい。

N-50ONKYOリニアムA1

和室1 PC

和室に家族みんなで使うデスクトップパソコンがあり、そちらのセットだ。ONKYO DAC-1000、アンプ ONKYO A7-VL、スピーカー DALI LEKTOR2です。いずれもネットの口コミを見て買ったものだ。

DAC-1000ONKYO A-7VLDALI LEKTOR2

和室2

ネットワークオーディオを始めた時に買ったネットワークプレイヤーDENON RCD-N7とスキャンダイナスピーカーMicro Pod SE。

RCD-N7MICROPOD

Glenn Gould 中毒

1年ほど前にツタヤで借りた「エクスタシス」「アルケミスト(錬金術師)」の2本の映画をきっかけに、グレン・グールド中毒が始まった。

グールドは、1932年生まれ、1982年没のカナダ人ピアニスト。今年が没後30年ということになる。30年ほど前にレコードの「ゴールドベルク変奏曲」などを聴いていたが、このたび価値を再発見。特にバッハ演奏で評価が高いが、ベートーベン、モーツアルト、シェーンベルク、ベルク、ブラームスなど、どれを聴いても他のピアニストとは違った素晴らしい演奏が聴ける。

幸い輸入盤のCDが1枚700円程度で買えるためどんどん揃えていった。そうこうするうちに、CDとDVD合わせて40枚「バッハ・コンプリート・エディション」が12,000円程で発売される。大半はすでに持っているものだが、まだ持っていないものもあり、こちらも購入。DVD3枚組のバッハシリーズは、輸入盤が3000円と安く飛びついたが、結局は、日本語字幕付きの同じ内容のものを、9000円とお高いがモンサンジョンとグールドの対話を知りたくて買ってしまった。

書籍類も並行して購入。

しかし、他のピアニストは聴く気がしないほど素晴らしい!

フリードリヒ・グルダも好きで、これまで聴いていたが、グルダはジャズに傾倒する時期もあるものの、やはりクラシックの中心地であるウイーン正統派。生まれた時からクラシックの中心地で過ごし、何をやっても根底にクラシック音楽の伝統が流れている。一方、カナダ生まれのグールドは、母親やゲレーロに師事するが、クラシック音楽は、トロントにやってくるオーケストラやレコードなどから入ってくる情報から成り立ち、楽譜を自身でじっくり読みなおし、「再作曲」する。新しい解釈、これまでなかった誰かの真似ではない解釈を提示する。

経済学の不思議

最近、スティグリッツの経済学にはまっている。

サブプライムローンに端を発するリーマンショックは、リスクを管理したはずの新開発の金融商品が、大きく振幅し、世界中に波及し、制御不能となったアメリカの大失敗だ。それ以前のアメリカの10年間も、ITバブル、住宅バブルにより、好景気を謳歌しているように見えていたが、実は中間層の実態は年々悪化を続けていた。過去30年間、99%の人にとって公平は失われ続け、経済格差は拡大したこと。

目から鱗の感覚が大いにある。イラク戦争、アフガン戦争などアメリカは華々しく、「世界の警察」を標榜し、ハリウッド映画では、勧善懲悪ものが幅を効かせ、アメリカ人は自分を本気で世界の正義のヒーローだと思っている。だが、アメリカンドリームはすで虚構になり、公正さも失われている。中間層以下は巧妙に金持ちに洗脳されているだけだ。

アメリカの金融業界は、司法や、広告、ロビー活動、様々な手段を使って、大きな規制緩和を獲得し、貧乏人から広くお金を巻き上げることに成功したが、これは情報の不均衡を利用したマイナスサムゲームだ、。

スティグリッツは、政府が役目を果たし、規制を強化し、公平を取り戻し、完全雇用の状態に戻せと言うが、地球全体を見れば貿易収支は国により偏っており、グローバル化による経済的な影響は、相互に地球上を覆うようになってきている。経済学の教科書は、すべての情報が行き渡り、完全な競争が行われる限定された時に市場や為替が機能するするというのであって、そのような夢物語はないだろう。

金融危機が懸念されるギリシャ、スペインなどのEUの立ち直りが必要であり、ヨーロッパの不景気から中国の輸出が低下、BRICsも翳りがあり、特に我が日本は極端に財政が悪化していており長期の経済の低迷が続いている。むしろ、震源地であるアメリカは経済を復活させたように見えるのに対し、対外投資で被害が最も少なかった日本は持ち直しそうだった経済がリーマンショック以前に増して落ち込み、沼から抜け出せない。やはり、バブル崩壊後、日本の進めた経済政策は間違っているのだ。

raid 0に悪戦苦闘

パソコン雑誌の記述にその気になって、SSDを2枚使いRAID0を組んでみた。

我が家にはデスクトップパソコンが2台あり、VISTAと7。システムのイメージを使って、上書きインストールできるはずが、どちらも結局のところ、新規インストールすることになり、ほとんど24時間かかった!

あー疲れた。原因は、旧PCのHDDはAHCIモードであり、AHCIで作ったドライブイメージを新しいRAIDモードのHDDへコピーすることが出来ないようである。AHCIとRAIDでは、システムのイメージに互換性がないように思える。

錦織圭選手のこと

全豪オープン3回戦で錦織圭がVERDASCOに負けましたが、彼の試合後のブログで、ナイトセッションの大舞台、トップ選手との対戦で第1セットは緊張で足が動かなかったと書いています。

また、1回戦が終わった後、(自分の疲れと比較して)優勝まで漕ぎ着ける事が出来るナダル、フェデラーの体力に触れ、3回戦あたりからは体力に裏打ちされた精神力の勝負ではないか、というようなことを書いています。

現状では、錦織選手を楽しみに見ているウオッチャーとしても1,2回上位の選手に素晴らしい試合をすることが出来ていますが、確かに、5回、6回とトーナメントを勝ち続ける安定感は今のところないと言わざるを得ません。

ただ、彼の才能は普通の人にないものをそこかしこに感じることは出来ますし、ナダル、フェデラーに勝っても当然と感じさせるものがあるのは間違いないところです。彼は、まだ21歳だと新しいコーチが言っているそうです。そう、体力面を含めて無理をせず、大きく才能をさらに伸ばしていって欲しいものです。

限界○○(ほにゃらら)低減の法則

昔学んだ経済学のはじめに、限界効用逓減の法則というのがある。簡単に言うと、1杯目のビールより、2杯目、2杯目より3杯目の方がおいしさの度合いが減るというものである。

また、人間が経済活動を行う際には、効用を最大化するように行動するというのが、近代経済学が前提においているスタート地点ともいえるものである。

この近代経済学の原点が妥当かどうかは、議論のあるところだが、それはさておき、この限界○○低減の法則は、多くのことに当てはまる。一番普遍的に当てはまるのは、人間の幸福度と所得の関係だろう。あらゆる財を得ることが出来ない状態から、1ドルずつ所得が向上していくとき、年間の所得が数万ドルを超えるようになると1ドル所得が増えてもほとんど幸福度は増えないだろう。

同じように、企業の生産性や、付加価値の増加率を考えるとき、発展段階が低いときは、それらの向上率は大きいが、成熟した段階での生産性の向上や、付加価値の増加率はどんどん低減し、これらを増加させるための必要な投入は大きくなるだろう。

戦後の日本の発展を考えるとき、団塊の世代が活躍していた頃、現在と比べるとそのレベルは低かった。よって、あらゆるものが簡単に成長することが出来た。生産性の向上、技術の発展、所得の向上、幸福度。

やはり、そうしたことを考えると現代は高度成長期のような社会全体の簡単な成長は望めなくなったということだろう。

2011年の最初

特に年の頭に抱負を述べるとか、計画を立てるとかという気にはならない。

PC道、テニス道、そこら辺に力を入れていきたい。

正月早々届いたマリーザモンチのDVD、ブラジル音楽の良さを再確認した。このDVDなんと言っても、日本語の字幕入りで、非常に容易に理解が可能だ。日本語の歌詞カードや、解説なども入っている。これまでたくさんの現地のCDをそのまま意味もよくわからず聞いていた状況と比べると雲泥の差である。

マリーザモンチの世界ツアーの様子がドキュメンタリータッチで、単なる歌手としての彼女だけではなく、大勢のスタッフを雇い、率い、大勢のスタッフと寝食を共にしながら曲作りをし、機材を運び、スケジュールに追われながら短時間に世界中を移動する様子、最近のネットによるCDの販売不振の変化など、困難さがよくわかる。

ブラジルではトップと言っていいほどの大物アーティストであるが、簡単にお金を稼いでいるわけではなくて、才能、実力、努力、忍耐の上に感動が作り出されるというのがよくわかる。

小人だけだね、楽して果実を得ようと考えるのは。

自動車用カーウーファーについて

1年ほど前に車を買い換えたときに、今度は良い音でカーオーディオを聞きたいと思い前のドアと後ろのドアのところ、運転席のところにはツイーターをつけたのですが、思っていたほどの音質は得られませんでした。

今回思い切って、サブウーファーをつけたのですが、70303510524[1]これは、正解でした。低音から高音まで、自然な音がするようになり、聞いていても楽しいものがあります。どうやら、カーオーディオはスピーカーを高級なものにするのもいいですが、ウーファーで低音を補うことが必要なようです。

ただ、ウーファーの購入価格がオートバックスで14000円ほどでしたが、取り付け費用が9450円と、取り付け費用が馬鹿になりませんでした。これを自分で取り付けるとコストパフォーマンスが高くなるのですが、残念ながら勇気がなかったですね。

PCオーディオの話

PCオーディオにはまるようになったのは、せいぜいこの1ヶ月ちょっとです。ただ、結構のめり込み、いろいろ機器を揃えました。

現状の構成。

PC(Windows7 64bit) → Audinst HUD-mx1 → ONKYO GX-100HD + サブウーファー

→ AKG K701(ヘッドホン)418acdgF7xL._SL160_[1] サブウーファーは、昔使っていた2.1チャンネルスピーカーのウーファーを再利用しています。

プレイヤーソフトは FRIEVEAUDIO 、foobar2000 + wasapi を使っています。本当のところは、FRIEVEAUDIO + asio4all  で使いたいのですが、うまく作動しません。そういえば、もう一台ある 我が家のPC では、FRIEVEAUDIO + asio4all で動いているのですが・・・いずれも、Windows Media Player や iTune などよりこれらのソフトの方がよい音がすると思います。

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