STAP細胞 小保方晴子さん

誰もが、好奇の目で見ている小保方博士。STAP細胞の論文発表で脚光を浴びた後、一転してねつ造疑惑で涙の記者会見。

ねつ造疑惑が出てきたとき、同僚の看護師(女性)は小保方博士の博士号について「彼女が可愛いから、おじいちゃん先生が甘い審査で博士号を与えちゃったのよ。」と早々に指摘していた。そのとき主は「いくらなんでも、そんな単純な話がありなの?」とツッコミを入れていた。しかしその後も疑惑はどんどん大きくなり、理化学研究所から論文の取り下げ勧告が行われるまでになる。小保方博士はずっと姿を現すことがなかったのだが、弁護士に伴われて記者会見をおこなった。彼女は、ばっちりメークし、髪形も美容院から出てきたばかりのようだ。服装も記者会見に合わせたのか隙がない。彼女は、記者会見の途中で涙を見せるのであるが、計算していたのかのように、マスカラが涙で黒くなるという事がない。これを見た先の看護師は「自己中の虚言壁で病気!」と一刀両断した。本当にそうなのか? 日本最高レベルの研究機関で、三面記事的な動機が原因で、「オオカミ少女」の極めてお粗末な話が起こったのだろうか? そうした疑問が浮かぶのだが、小保方博士は本質的な疑問を解消しようとせず、見ている側も「本当なの?」と思ってしまう。つまるところ、彼女(看護師)の観察が正解なんだという感じがしてしまう。職業がらか、女性だからか、直観力は鋭い。

一番迷惑したのは、何より他に真剣に実験に取り組んできた大多数のリケジョだろう。ちょっと変わった目で見られ、ある種のリスペクトが含まれるリケジョの危機だ。リケジョの中に、お色気フリフリが混じっていた!

今回はの事件が、定性的な文系の議論、たとえば、『集団的自衛権』の議論と同じような性質のものだったとすると、いくら議論を続けても白黒はっきりしない。しかし幸い、これは白黒がはっきりと出せる科学の世界の話だ。もし、小保方さんの話が事実と立証されたら世間の評価は180度様変わり。ノーベル賞学者の理化学研究所理事長野依良治さんは、こんどは何というのだろうか?

外野席で野球を観戦するように今回の事件の行方を見る無責任な観客としてではあるが、世界中を騒がせたことだし、小保方さんが200回成功したという実験とは何だったのか、他に実験を成功させたというインデペンデントは本当にいるのか、あるいは、誰なのか、上手に真実を説明することが必要なのではないかと思う。(この種の「オオカミ少年」の話って、そこらじゅうにある話なんだとだんだん思えてきた。つまらん。やっぱり、もう一度再逆転すると面白いのになあと思ってしまう。)

 

「こけろ! アベノミクス」と陰の合唱

今回は、ちょっと硬い話をなるべく柔らかく語りたい。

日経新聞は、株価が少し下がると相変わらず日本の産業力の低下を憂いて見せる。円高によって日本株で利益を出した海外の投資家が、ポートフォリオを一定に保つために売っているとは決して言わない。(「日経新聞の真実」のトピックがカテゴリー『経済学』にあるので興味のある人は見てね。) ヒステリックとも言えるほど、啓蒙主義的で、常に読者に警告を発しようとする。アベノミクスの成功で、20%以上円安になり株価は大幅に上昇、企業収益も改善、その果実を労働者にも分配する傾向が見え始めてきた。日本の産業構造は、昔のように輸出一辺倒ではないが、依然として輸出産業のウエイトが高く、円安は有利に働く。現在の為替レートは102円/ドル程度。民主党政権時の80円/ドルに比べると大幅な改善だが、バブル崩壊時以降は120円/ドルの水準が長く続いた。それを考えると、まだ昔の円安水準にまで戻っているわけではない。(なお、経済オンチの人のために付け加える。1ドル80円が1ドル100円になったら、円高になったと思う人が結構いる。しかし、表現を変えると1円あたり0.0125ドル/だったものが1円あたり0.0100ドルになったということで、値打ちが下がっているので、円安だ。)

安倍政権の発足に伴う黒田日銀総裁の「異次元の量的緩和」により、円安と株高が同時に起こりデフレ脱却の希望が見えてきた。しかし、世界を見るとリーマンショック後、ヨーロッパの通貨危機、中国経済の減速、アメリカの金融引締めを発端にする新興国不安、現在はクリミア半島の欧米・ロシアの対立が起こっている。こうした要因は円安の阻害要因であり、円高の原因である。(信頼を失った国の通貨は売られ、信用のある国の通貨が買われる。)アメリカの金融引き締め(量的緩和の中止)は、ドル安政策の転換を意味し、本来であれば相対的に円の価値を下げ、円安になるはずだ。だが、実際にはアメリカの新興国への投資資金が引き上げられ、新興国経済が失速するという懸念から新興国で通貨安が起こった。日本はそうした不安材料が少ないために、相対的に安心感があり円は上昇傾向になる。もちろん、日本は財政赤字という大きな問題を抱えているが、世界から致命的な問題と見られていない。

アベノミクスの最大のブレーンのイエール大学教授浜田宏一は「アメリカは日本経済の復活を知っている」の中で、白川日銀前総裁とそれまでの金融政策を激しく非難した。この浜田の提唱する政策を掲げた安倍政権が経済政策の転換を行った。日本の「失われた20年」と言われるデフレから脱出できるかどうか、ようやくこの成果が出るかどうか期待されるところだ。浜田の書名のとおり、日本経済の底固さは世界中が思っていることなのだ。

第二次大戦後、経済学の主流は新古典派と言われる学派だった。この新古典派はケインズの理論を発展させ、「合理的経済人」を仮定する。すなわち、人間は合理的で常に正しい決断が出来ることを前提にすれば、市場を通じて資源が最適配分されると考える。その後ミルトン・フリードマンが「選択の自由」を発表し、大きな影響を与える。マネタリストであるフリードマンは財政支出に反対(=ケインズ経済学の否定。公共事業の否定。)し、景気循環を貨幣供給量と利子率により説明した。彼は同時に「小さな政府」を提唱したため、レーガン、父ブッシュ、クリントン、子ブッシュ、オバマ大統領とアメリカの経済政策に大きな影響を与える。すなわち、国内向けには減税、規制改革、民営化、対外的にはグローバリズム宣伝の根拠となる。

しかし、2001年、スティグリッツが「情報の非対称性」によりノーベル経済学賞を受賞する。「情報の非対称性」と言うのは、需要者と供給者で情報が非対称であること、例えば学生ローンを借りる学生は銀行ほどの情報量を持っていないことを言う。そのような状態で資源が最適に配分されないことを証明した。この学生ローンの場合は、社会全体でゼロサムではなくマイナスサムが生じているという。スティグリッツの著作には「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」もある。 2008年、クルーグマンが次のことを証明しノーベル経済学賞を受賞する。生産規模が拡大するほど費用が低下する「収穫逓増」の産業は、歴史的な偶然によって国際競争力が決まることをモデルで説明した。例えば米国の航空機産業は、ベトナム戦争に伴う生産拡大で競争力が高まったという。(従来の経済学は「収穫逓減」を謳っていた。)

この二人の研究は新古典派の学者の経済理論を葬り、フリードマンの市場至上主義の誤りを指摘したはずだ。「勝者総取り」という現代最大の問題が透けて見えてくる。「勝者総取り」は、主の最大の問題意識である。)しかし、スティグリッツやクルーグマンも書いているが、旧来の経済学者はなかなか自分の非を認めようとしない。それは日本も同じだ。

日本の書店に並んでいる経済学の書籍は、浜田宏一をはじめとする金融政策によるリフレ派(インフレターゲットを設定し、デフレから脱出しようとするグループ)はマイノリティーだ。相変わらず新古典派経済学者やフリードマンを崇拝する学者が主流だ。当然ながら、従来型の学者はアベノミクスの金融政策について国債の暴落と金利の上昇を声高に警告し、財政健全化を至上命題にしている。決して、日本の財政赤字はお札を輪転機で刷れば解消するというようなことは言わない。

1年前の消費税引き上げ論議を思い出してほしい。浜田宏一はじめとするリフレ派は消費税増税に反対だった。デフレから脱却できるかどうかという大事な時期の消費税増税は、「風邪をひいている患者に、体力をつけるために『グラウンドを走ってこい!』と言うようなものだ。」と時期尚早を説いていた。しかし、財務省の「財政再建」宣伝が行き届いているため、世論は「消費税増税せよ!」の大合唱だった。野田前首相は財務官僚に完全に丸め込まれた。 前述のクルーグマンは、日本がどうしても消費税を上げたいという場合でも、経済への影響を最小にするためには、消費税を毎年1%づつ上げたらよいと発言していた。ところが、この案は技術的に困難であると一蹴されてしまう。その結果、5%から8%、10%へと上がることが決まる。(おかげで今、駆け込み需要の後の反動が心配されている。そやから1%ずつ上げ言うたやろ!)ここに日本人の性癖がよく表れている。事の本質より、小銭の扱いが面倒とか煩わしいという枝葉末節を優先する発想が出てくる。景気への影響より、技術論が優先したのだ。もっとひどいことには、増税により景気が良くなると真面目に主張した経済学者もいた。かくして、マスコミをはじめとする消費増税キャンペーンは奏功する。 安倍首相は、世論とブレーンであるリフレ派の板挟みとなり、消費税増税を決定するが、経済の落ち込み分を財政支出で補うという折衷案を採用する。

ところが、マスコミや御用学者たちは消費増税が昨年秋に決定したとたん、発言内容が180度転換し、消費の冷え込みによる不況の懸念を声高に言い始める。常に世間に向かって危機を煽っている。(そんなことを言うなら、最初に消費税を増税すべきだと言うべきでないだろう。)

主の学生時代(40年前)、経済学の講義で一番最初に教わったのは「賃金の下方硬直性」だった。「賃金の下方硬直性」というのは賃金が生産性の向上に関係なく、上がることはあっても下がりにくいことを言う。しかし、日本はバブル崩壊後、ずっと名目賃金が下がり続けた。企業は収益の落ち込みに対して、生産性を上げることより費用を小さくすること、すなわちリストラや賃下げを競って行った。

ここで、名目賃金の解説を少ししよう。もしインフレ下で賃金水準が同じ場合、インフレ分だけ実質賃金は下がっている。逆に、デフレの場合、実質賃金は上がることになる。このため日本のデフレを、まことしやかに「良いデフレ」と言った学者がいたほどだ。同時に為替レートのことも考慮する必要がある。名目賃金が同じでも、円高になるとドルで換算した賃金は増加することになる。すなわち、民主党政権では急激な円高が起こったが、ドルで換算した日本人の賃金水準は、円高にに比例して上昇した。これは国際競争力を失うことを意味する。為替レートの変動(円高)で国際競争力を失い、実際に倒産したエルピーダメモリーのような企業がある。

話を元に戻すと、「賃金の下方硬直性」は確かにあり、欧米では名目賃金は下がっていない。不況で名目賃金を下げたのは、唯一日本だけなのである。欧米では不況は起こっているが、デフレになっていない。日本のデフレは世界の不況とは様相が異なっており、かなり特殊だ。この原因の一つは、国民性にあるのではないか。他の国では、企業の利益が出なくなった時にも、名目賃金を下げることは出来なかったのだ。もちろん、ペイオフや人員整理はやっているだろうが、賃金水準は保たれた。ところが、日本の労働者はリストラとともに賃金水準の低下も受け入れたのだ。日本人は、外国人に比べ真面目なのだ。こうしたスパイラルの結果、デフレになった。

現在日本の新古典派学者も表立って、私は新古典派だと名乗っている訳では勿論ない。フリードマン信奉者はそれより、分かり易く敬意を表明している。しかし、その両者の理論はあり得ない前提が必要だ。彼らは根拠を明らかにせず、表向き様々な学派の意見を公平にくみ取っているかのような発言をする。だが、彼らは心の中で思っている。「こけろ!アベノミクス。」

 

 

刺さる動画 — 3.11

『祈りにも悲鳴にも異なる声をあげて、今すべてが止まるようにと願いを心から言った』http://dout.jp/305

Face Bookを通じて知人にこの『刺さる動画』を教えてもらった。3年目となる3.11の映像なのだが、いまさらながらあまりの悲惨さに言葉がない。合掌。

ただ、思うところが一つあった。このリンクをクリックして是非実際に見て貰いたいのだが、多くの写真に人が写っている。亡くなった人の手足だったり、救助する自衛隊員や消防隊員、幸い生き延びる事が出来た人が、とても現実とは思えない背景のうちに写っている。人が写っていることで、被災した人、自衛隊員、消防隊員が見たであろう惨状が目に浮かぶ写真がある。おかげでこれを見て、初めてこの災害が我がこととして実感できたような気がした。

何故なんだろう?『刺さる動画』に刺さったのか。

前から気になっていたのだが、日本のマスコミの自主規制のせいだ。日本のテレビ局の報道では、死体や血の流れる映像は削除されて報道される。当然ながら、その分リアリティが失われる。瓦礫の山だけをいくら流しても、人間が写っていなければ他人事だ。人間が写っていて初めて自分のこととして共感する。

なお、こういうリンクの仕方がアリなのかよく分からないのだが、うまくTweet出来なかったので、このようになってしまった。

3.11

薬剤師という職業 & 医療費の膨張

ブログの主は、処方薬を買う薬局でたいてい憤慨してしまう。

医者に行ったあと、処方箋にしたがって薬局の薬剤師が処方薬を販売するのだが、薬を渡す際に「調子はいかがですか?」「前回と違う薬ですが大丈夫ですか?」的なことを聞いてくる。ここで彼らを専門家だと思って、薬について質問したりしてはダメだ。知識があっても、無難なことしか言わない。

医師の診察でじっくりと話を聞けることは少ないので、薬剤師から病状などを質問されると、ついこちらも質問してしまうのだが、結局のところ素人とたいして変わらない無難なことを言うだけだ。当然だが、医師の診察分野は、細分化されている。その細分化された分野で医師が処方した薬について、薬剤師がそれ以上の詳しい知識を持っているはずがないし、慢性病の場合は患者もそれなりに詳しくなっている。それでもし薬剤師に聞けば、最終的に「相談は医師にしてください。」となる。

主はアレルギー体質で、長年アトピー性皮膚炎を患っている。大学病院の皮膚科の教授から「アイピーディーという薬を体質改善のために2,3年飲みましょう。」と言われたことがあった。その後、大学病院へ行きつづけるのは大変で、町医者に通っている。このように長く飲む薬というのは、どのように評価したらよいのか(効果の判断がわからない、どうなったらやめるのか?)疑問に思ったので薬剤師に質問すると、大学病院の医師に聞いてくれと言われる。このような時、せめて次回までに調べてくれてもよさそうに思う。それぐらいの勉強はしているはずだ。

医療費は、診察より薬剤費のほうが何倍も高い。薬剤以外に、薬局にかかる費用もあるはずだ。薬を受け取る際には、薬の説明書などや、「お薬手帳」に貼るシールなどを受け取るが、これらは調剤基本料や薬学管理料として上乗せされている。医薬分業になって久しいが、医薬分業の狙いは、薬価差(昔、医院は薬を処方する際に、薬代の仕入値と患者が支払う差額で儲けを出していると言われていた。)をなくすことだった。これが院外処方により医療費の削減につながったかというと、薬剤師は医師の処方通り調剤するのみで、そのような効果は上がっていない。むしろ、医薬分業により調剤コストは増えており、節減には薬価基準の引き下げが大きい。

この調剤薬局の多くは、MR(Medical Representative=製薬会社の営業社員)が起業したものなのだそうだ。MRは、自社の製薬会社のために営業活動で医院を回っている。この営業で生まれる医師とのコネクションを生かし、医院の門前薬局という形で調剤薬局を開店する。 

薬剤師の働きぶりを見ていると、6年間勉強する割には、せっせと薬を棚から取り出し、詰めているだけだ。混ぜ薬も少なくなっているし、処方箋の内容どおり正しく薬を詰めるだけなら、機械でも可能だ。テレビの報道では、実際にコンピューター制御された機械が、薬を多くの棚からピックアップするところがあるらしい。なんで、薬局にはあんなに多勢薬剤師が働いているのか。薬局は、コンビニより数が多いという。

また、最近薬学部は、4年制から6年制へと変更されたが、薬剤師の供給過剰が背景にあるのだろう。多くの薬剤師は、専門家であるという幻想をすでに抱いていなさそうに見えるが、専門的なことを言わないのであれば、矛盾が多い、おかしな職業だと思う。

また、こうして見ると、医療費が高い原因が透けて見えてくる。

日本の薬の値段は、世界水準では異常に安いという。つまり、医療費が老人医療のせいで膨張し、その膨張を抑えるため、政府は診療報酬と薬価を上げないばかりか、むしろ、下げて、医療費を抑制しようとする。しかし、国民皆保険制度は、75歳以上の老人は基本的に1割負担である。こうした助成は、確実にマーケットの需給を歪ませる。 つまり、必要がないのに医者へ行く患者が多数現れ、医療費を膨張させる

こうした老人を優遇する医療制度と、生きてさえいれば成功とする医師の条件反射のような救命マインド。安楽死を否定する司法の判断。延命を常に唱えるマスコミの報道。一般大衆は、いつまでも生き続けたいという無理な願望を持つように洗脳されているのではないか。

そして、必要がないのに医者へ行って治療を始め老人たちは、やがて死期が近づいても、体中にチューブをつけられて生かされる。天井を向いて、生きているのか死んでいるのかわからない老人がチューブにつながれて碌に意識もない、というのは本人も望まない、尊厳を踏みにじる虐待でしかない。

おしまい

 

もてない男 1 (親友/昔話)

(2022/8/18)一部修正しました。

じじいが中学の時、同級生に目茶苦茶女子生徒にもてる男がいた。 彼が高校に入学したとき、彼の性格とルックスに惹かれた全校の高1、高2、高3の女子数十人が交際を申し込んだ。彼は、放課後、交際したい女子高生を教室の廊下に順に並ばせ、彼は教室の真ん中で一人、全員の交際希望者を順番に面接をした。そして、最終的に同じ学年で、面接で一番気に入った目鼻立ちのはっきりした、ちょっとグラマラスな彼女と交際していた。

じじいとは、中学は同じだったが高校は別だった。当時(昭和40年代)子供の数は多く、中学校は1学年に17クラス、約700人いた。生徒が多かったので、3年間同じクラスにならなかった。 唯一、中学で彼の記憶があるのは、グラウンドで野球部が試合をしていた時だ。大勢の女子生徒のキャーキャー言う歓声がしているので、そっちを見ると、彼がバッターボックスに入っていた。彼はその女子生徒の大歓声の中、バットを力一杯振るとボールは外野の間を抜け、スリーベースヒットを放つ。さらに大きくなる女子生徒の歓声。満塁の塁上からホームへ帰ってくる選手たち、土煙、三塁ベース上で大きく腕を突き上げて笑う彼。(「何やねんこれ!」とニヒリストだったじじいは思った。)

じじいたちが卒業した中学校

高校は、違う高校に通うことになったじじいと彼だが、当時流行っていたフォークソングが縁で二つの高校の間で同じ学年同志の交流が始まり、一緒にコンサートを開いたりするようになった。「おんなじ中学やん!」と友人づきあいが始まった。フォークソングと言いながら、吉田拓郎や井上陽水は商業主義でダメだった。加川良や高田渡という世間では知られていないアンダーグラウンドな歌手評価していた。

彼が入学した高校には野球部がなかったので、彼はラグビー部に入り、3年間は、その彼女と付き合っていた。高校卒業時、彼は大学受験に失敗し浪人になる。この浪人が延々と続く。一浪から二浪になるとき、その彼女とは別れるが、浪人生活は実に、五浪まで続いた!!!

その彼の予備校生時代の話である。やはりというか、予備校に入っても彼は、大勢の女子から次々交際を申し込まれる。彼が女子に声をかける訳ではない。つねに、女子から交際を申し込まれる。じじいは、大学にストレートで進学したが、中学、高校、大学とずっともてたことがなく、勉強なんかより、彼の様にもてたいと切実に思っていた。勉強なんかより、女にもてたい!!!!

そんな彼だが、ある日、同じ予備校に通う女子と、彼女の家で昼間ベッドに入っていた。その時、旅行に行っているはずの彼女の両親が、突然帰ってきた。玄関で鍵を外す音がガチャガチャと聞こえる。彼女も予定外の出来事に必死になりながら「こんなとこ、うちのお父ちゃんに見られたら、あんた!殺されるで!!と彼女。彼はベッドからはじけるように飛び降り、ベッドの周りに放り出された衣服をかき集め、裸のままパンツ1枚、窓から外へ脱出した。(なんか青春ドラマで見たことあるような。デジャヴか?)

やはり、彼の浪人生活中、もう一人の男の友人と民宿に泊まり山陰へ海水浴に出かける。現地で同じく旅行でやってきた大阪の女子大生3人と意気投合し、夜は花火と酒で盛り上がる。相当酔っぱらい、最後は乱交状態になったという。あげくに酔いつぶれて寝てしまった。翌朝、「昨日は酒も飲んだし、女とやったし、ええ夜やったあ!!」と布団で伸びをしながら目を覚ますと、枕元に服を着た昨日の女子学生が3人並んでおり、「大阪に帰ったらわたしと付き合ってください。」と全員からお願いをされる。

つづく

もてない男 2 (親友/昔話)

つづき

その彼が、高校のラグビー部の合宿でやはり海に行った。厳しい練習を終えて部員たちが銭湯へ行く。行った銭湯は、どうやら工事中らしく、男湯と女湯の境が薄い板1枚になっていた。その時、壁のところにいた部員の一人が「おっ! 穴から女湯がみえるで」と声を上げた。すぐに彼を含む周りのラグビー部員が反応し、「何や、何や!俺にも見せろ!」とその第1発見者の後ろに覆いかぶさっていった。「おーすごい!」「早よ代われ」「俺にも見せろ」と喚きながらその穴に向かって部員たちが重なり合った。するとやがて、その壁は、ラグビー部員たちの重量に耐えきれず女湯の方にばったりと完全に倒れてしまう。男湯と女湯の境がなくなり、女性たちの悲鳴。ラグビー部員たちはやはり、裸のまま服だけ持って、だーっと旅館へと一目散に走った。

彼の母親は、百貨店でマネキンさんと呼ばれる店頭販売員を派遣する会社を経営していた。いわゆる派遣会社の草分け的存在である。当時は日本の高度成長期だった。百貨店でマネキンさんが食品を販売すると飛ぶように売れた。また、百貨店の売り場は、今のように中高年社員やパートの主婦がまばらに売り場に居るという感じではなく、若い女性がてんこ盛りで、花園のような職場だった。その彼の母親がマネキンさんの派遣を仕切っているのだが、やりくりがつかず、息子の彼が、マネキンさんの代わりに売り場に立つこともあった。じじいも何度か狩り出されたことがある。そして、彼が百貨店で販売員のバイトをすると、100%!売り場の何人もの!!の女性社員から「今晩、晩御飯一緒に行ってえ」と誘われるのだ。もちろん、食事の後はホテル。彼より女性社員の方が社会人で給料も貰っている立場なので、すべて女性持ち。 じじいもそのバイトに行き、近くの売り場に居たアルバイトの美人女子高校生に思い切って声をかけたこともある。だが、やっぱり話に乗った子はいない。(とほほ)女性も人数がいると、美人がいるものだと思ったのだが、もてる男、もてない男、何事にも偏りがあるのだ。

彼の人となりの一端を紹介すると、女性と話をする時は、かならずファーストネームで呼ぶ。「xxちゃん」か「xx」と呼び捨て。苗字で呼んでいるのは聞いたことがない。若いころ、主を含めた男の多くは、それぞれに何か過激なこと、毒のあることを口にしていたが、彼はあまりそのようなことを言わなかった。主は、「微温的」とか、「ちょっとじれったい」と感じていた。もちろん仲間内の友人をけなしたり非難したりはするのだが、聞き手に同意を求めるようなところがあり、強く断定することがなかった。一方、常に気配りができる。そつがない。ユーモアがある。運動センス抜群である。女性にとって、頭が凝り固まっていと男は敬遠される。

だが、今還暦を迎える年になってようやく分かる。その「じれったい」こともある「微温的」な、人を否定しないところがもてる秘訣なのだ。人間だれしも否定されたくない。女性は男よりずっと、否定されることが許せない。鈍感な男はそのことに気が付かない。何か言われて、もちろん彼が断ることもある。だが、相手を傷つけるような言い方はしない。それがきっと女性にもてる絶対条件だ。

武蔵野ゴルフクラブ | 東京都八王子 | 【アルバ公式】ゴルフ場予約ALBA.Net(アルバ)

じじいは社会人になり郷里を離れ、彼の方は浪人生活5年でとうとう大学進学を諦め、母親の人材派遣会社の経営を手伝っていた。たまに主が郷里に帰った時に、他の友人と何度かゴルフに出かけた。ちょうどバブルの最中で、「自腹でゴルフするのは、こんな具合に友達同士でするときだけや。」と言う。懐かしい時代だ。じじいも彼も30を過ぎて結婚していた。派手な女性関係が相変わらず続いているのか聞きたいところだったが、普通の結婚生活をしているようだった。ゴルフ場の芝生に腰かけて男同士で昔話に盛り上がったが、女房とのセックスについて「ずっとセックスしてたら、何遍でもイキよる。」という。『さすがや』『俺はあかん』と納得した。

つづく

もてない男 3 (親友/昔話)

つづき

そのもてる男に最近また再会した。1泊する高校時代の同窓会が関西であり、じじいがはるばる関東から出席した時に、近くに住む彼が旅館まで訪ねて来てくれたのだ。高校の同窓会と言うが、来年1年のうちには全員還暦という年齢である。

彼は、マネキンさんを派遣する会社をずいぶん前に母親から引継ぎ、社長になっていた。最近、知的障害のある児童向けの施設を始めたと言った。「こうした施設は一人資格のある人を置いておけば、他の人は資格がいらんから、うちの派遣社員をそのまま使えるメリットがあるわけよ。それに運営費の大部分が自治体の補助金から出て、残りは児童の親が負担するから、金が確実に入ってくる。赤字になる心配がないんや。これは大きいで。府会議員さんは、みんなこうした福祉事業をやってはるわ。」

彼の話は、北新地(高級クラブで有名な梅田の一画)の話になる。「最近、高校時代の同級生と北新地へ行ったんやんか。そいつらは、公務員とかサラリーマンとかで、普段そんな高級な店に行ってないわけや。いつも、居酒屋とか赤ちょうちんで飲んどる。そのへんわしら自営業とはちょっと金銭感覚がちゃうやろ。そやけど、そういうクラブのホステスと話してたら、話も上手やし、どんな話にもついてきよる。それで、結構盛り上がったんや。当然、最後に会計になるわけや。一人あたりにしたら結構な金額になるけど、そんな額をそいつらから取れへんやろ。そやから、一人一万円ずつ集めて、残りは俺が払ろうたんや。そしたら、『安かった、おもろかった。』言うてみんな感激しとった。それでそいつらだけで、別の日にその店にまた行きよったんやな。そんで、会計したら、高い金をとられるやん。そんで、俺のところに『ぼられた』言うて文句の電話がかかってきたんやわ。正直なことばらすのもなんやから、露骨な説明は言わんかったけど、それくらいわからなあかんわなあ。」

その後、ホステスの話になる。「昔は、若い女が良かったけど、この年になると若い女はあかん。もうちょっと、年いったほうがええわ。30代後半やな。そこら辺が、味が出て来て一番ええわ。」

「ほいでや。新地のホステスが、店がはねた後、夜中の3時とか、4時や。毎晩俺に会いたいちゅうてメールして来よるわけや。こっちも女房の隣で寝ながら、メール来てるんは、気ついとった。そやけど、起きるのん面倒やん。それに女房は、亭主の携帯見るような女やないし、その辺はしっかりした女や。ところがや、あんまり毎日深夜にメールが来るもんやから、最後に女房が俺の携帯を見よったんやな。ほんなら、ホステスからぶわーっと一杯メールが来てるわけや。それ見た女房、どないしたと思う? その携帯に『xxの女房です。あんた、うちの旦那に何ぼメール送っても無駄や。あきらめなさい。』ちゅうて、返信しよったんや。その後女房に起こされて、布団の上でこんこんと説教されたがな。」「それで、大人しいに謝ったんかいな?」「謝ったがな。女房に金の管理すっかり任してて、俺は小遣い貰てる身や。全部事情説明させられて、もうしません言うて、謝ったがな。」

つづく

もてない男 4 (親友/昔話)

つづき

我々の友人の間に、そのもてる男を表す伝説があった。もてる男、小学校高学年、放送室での話。もてる男は、放送室に同級生の女の子と二人きりだった。女の子がなにやら真剣な表情になり「うち、あんたのこと好きやねん。そやからうちと付き合うて欲しいねん。」もてる男。「わかった。付き合うて欲しかったら、パンツ脱げ!」

!!。この伝説をもてないじじいが、同類の友人から聞いた時、もてる男はさすがに早熟やなあと思った。じじいが小学校の5,6年生の頃はずいぶん幼稚で(今も幼稚だが)、告白された女子に「パンツ脱げ!」という発想はほぼなかった。(主が大人になるにつれ、この妄想に大いに悩まされる。)

(松本人志, 高須光聖 松本人志の放送室 1)から

実際の話だったのかどうか真偽がわからないまま、とうとう約40年が過ぎた。本人にこの話の真偽を確かめたいと昔から思っていたので、この機会に本当かどうか聞いてみた。もてる男「俺もそういう噂があるのは、知っとった。」しかし、もてる男に説明しながら、じじいはどうしても笑ってしまう。どうも力が入らない。こういう肝心なところで、照れて脱力してしまう。肝心なところでダメなじじいだ。

結局のところ、真剣に質問する事が出来ず真相は藪の中のまま、他の話題になってしまった。申し訳ない。

もてない男ともてる男の一番大きな差は、もてない男は人格まで否定してしまうところだろう。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」と簡単になるようでは人間が出来ていない。じじいはぜんぜん人間がなっとらん。もてる男も結構いろんなことに憤慨していたが、相手の人格を全否定することはなかった。

 おしまい

部活

日本の学生は、クラブ活動に参加していることが多い。勿論、小学校、中学校、高校、大学と年齢的な差があるが、高校、大学あたりのクラブ活動への参加の仕方がその後の人生への取り組み方に大いに関係してくるように思う。

ブログの主は、残念ながらちゃんとしたクラブ活動をやってこなかった。

これまで海外生活は、ブラジルとパプアニューギニアだが、どちらの国もクラブ活動などが広く行われているようには思われない。ブラジルはサッカーが人気だが、サッカー選手は学校のクラブ活動でサッカーがうまい選手ではなくて、プロの二軍チームから選抜されている。パプアニューギニアでは、就学率が低いという事もあるが、小学校に20歳を超えた人物が通っていたり、クラブ活動をしている余裕は全般にないと思う。

日本の場合は全国津々浦々、学校のクラブ活動は盛んで、体育系、文科系いずれも熱が入っていてレベルも高い。そうしたところでは、おのずと部長になったり、副部長になったり、マネージャーになったりして、人間関係に苦労しながら一つの目標に向かって進む困難を克服する術を自然に身に付けることになる。

文部科学省を賛美するつもりはないが、日本の学校のクラブ活動が、日本人の協調性や、団結力、問題を解決する力を大きく育てていることは間違いない。個人を見ても、実際にクラブ活動に熱心に取り組んだ者は、その後の人生においても問題解決力が大きいだろう。こうした日本のクラブ活動の広がりが、これまでの日本を築いた一因だと主は思っている。

有名大学卒でクラブ活動をやっていた者が、就職戦線で企業に一番人気があるというのは、将来的にこうした人材が会社で頑張ってくれると思われているからだろう。

もちろん、こうした見方は一面的で、大事なことは協調性や地道な努力の積み上げというよりむしろ、他に大事なことがある場合もある。それは、独創性であったり、大局観であったり、ある種の独裁が必要な場合があるのかもしれない。ただ、言えるのは、クラブ活動など全くせずに予備校にせっせと通い、有名大学を出て役人になったという人物は、ダメだろう。バブルがはじけてよく聞くサクセスストーリーは、元パートの主婦が店長に抜擢され、業績を目覚ましく回復するというものだ。この主婦は、昔クラブ活動を熱心にやっていたに違いない。(^^)

韓国ドラマ 「逆転の女王」

海外生活は、日本で暮らしているより日本人同士の関係が密になる傾向がある。要は、日本人同志群れた方が楽しいことが多いのだ。そんなこんなで、同僚の奥様から韓国ドラマの「逆転の女王」を貸していただいた。

これが31話ある。31時間だと思う。これを約10日間で見た。昔、冬ソナに熱中した時期があったが、それ以来の韓流(ハンりゅう)ドラマだ。

http://www.fujitv.co.jp/hanryu/jyoou/

内容は、タイトル通りの逆転に次ぐ逆転、主人公たちの立場がjジェットコースターのように上がったり下がったり、興味を逸らさない。半信半疑で見ていたが、なかなか楽しい。最終的にハッピーエンドになるんだろうと思いながら見ていたのだが、30話まで結末がわからず、見終わって得心する。多少、早送りしながら見ても違和感がなかった。