「西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか」 エマニュエル・トッド その2

エマニュエル・トッドは、確実に「西洋は敗北」すると予言する。世界は、アメリカがリードする形で、戦後80年が経過した。しかし、アメリカがリードしてきた西洋は、自由と平等、民主主義を価値の中心に置き、この30年間、それを実現する方策はグローバリズムと新自由主義だと言ってきた。しかし、30年が経った今、その価値観は世界のどこでも実現せず、経済格差は以前より激化した。数年前、世界のトップ8人の所得が、地球全体の6割の人口の所得に等しいと言われていたが、格差はさらに拡大している。世界の紛争・戦争は亡くならならない。そうした反省から、グローバリズムが失敗だったという勢力と、相変わらずグローバリズムを続けたい勢力の戦いが、アメリカの大統領選挙だった。 今や、世界全体は、日本、韓国を含む西洋とそれ以外の国々に分かれ、中近東のイスラム国や、インドネシアがBRICSに入るようになっている。

そこで、エマニュエル・トッドは、この西洋の側が敗北するだろうと予言する。トランプ大統領は、果たしてどこまでこの敗北を阻止できるのか、というのが現下の最大の関心事である。 以下は、この本からの引用である。

2-1「ガス抜きをして米国経済の虚飾を正す」

「2023年1月から6月にかけて、ウクライナが必要とする兵器をアメリカが生産できないでいることを多くの研究者が明らかにした。これらの研究は、クレムリンに近い小団体などではなく、アメリカ国防総省や国務省から資金提供を受けているさまざまなシンクタンクが公表したものである。世界一の大国が、なぜこれほど馬鹿げた状態に陥ってしまったのか。・・・・」

「徹底的な批判を始める前に、公平さを保つためにまずアメリカ経済の議論の余地のない強みを指摘しておこう。近年、最も重要な技術革新がシリコンバレーからもたらされたことは論を俟たない。・・・これも近年のことだが、アメリカの石油、特に天然ガスの生産国としての復活も私たちは目の当たりにした。1940年に日量400万バレルだったアメリカの石油生産量は、1970年には960万バレルまで上昇し、2008年には500万バレルに落ち込んだが、戦争直前の2019年には、水圧破砕技術のおかげで1220万バレルまで達している。主要輸出国ではないが、アメリカは石油の純輸入国ではなくなったのである。 ・・天然ガスも同様で、アメリカはロシアに次ぐ天然ガスの輸出国である。・・

「戦争のおかげで、特にロシアからの天然ガス供給を突然遮断されたヨーロッパの同盟諸国に供給できるようになったアメリカは、世界最大の液化天然ガスの輸出国となった。エネルギー分野は、この戦争の明らかな不条理の一つを浮き彫りにしている。アメリカの目的は、ウクライナを守ることなのか。あるいはヨーロッパと東アジアの同盟国を支配し、搾取する事なのか。

「GAFA、天然ガス、シリコンバレー、テキサスというアメリカ経済の強みは、人間の活動範囲の両極端に位置している。プログラミングのコードは「抽象化」に向かうが、エネルギー資源は「原材料」である。この両端の間にこそ、アメリカ経済の弱みと困難さがが存在する。つまり、モノの製造、伝統的な意味での「工業」に当たる部分である。NATOの標準兵器である155ミリ砲弾すら十分に生産できないという極めて陳腐な事態を通じて、この戦争が明らかにしたのは、アメリカに産業基盤が欠落していることである。さらに種類を問わず、いかなるミサイルも十分に生産できなくなっていることが少しずつ明らかになった。」

「物事の正体を暴く戦争は、私たちの(そしてアメリカ自身の)アメリカに対する認識とアメリカの真の実力とのギャップを明らかにしたのである。2022年、ロシアのGDPは、アメリカのGDPの8.8%(ベラルーシと合算すると、西洋陣営のGDPの3.3%)でしかなかった。GDPで見れば、ロシア側をこれほど圧倒していたにもかかわらず、なぜアメリカはウクライナが必要とする砲弾すら生産できなくなってしまったのか。

2-2「米国産業の消滅」

「アメリカ自身によって進められたグローバル化が、アメリカの産業覇権を根底から覆した。1998年、アメリカの工業生産高は世界の44.8%を占めていた。しかし2019年には、16.8%に落ち込んだ。同時期にイギリスは、9.3%から1.8%に減少した。・・・中国は、2020年に28.7%まで増加。ロシアに関する比較可能な統計の少なさを鑑みると、アメリカのある種の航空機が獲得しようとしている「ステルス性能」をこの国の産業が手にしてしまったかのようだ。ロシアはアメリカに対する究極の武器「ステルス産業」なるものを作り上げ、不意打ちを喰らわせたと言えるのではないか。

「グローバル化した世界における「物理的」なパワーバランスをよりよく評価するために、「工業の中の工業」としての工作機械の生産を見てみよう。2018年、中国は世界の工作機械の24.8%を製造し、ドイツ語圏は21.1%、日本は15.6%、イタリアは7.8%、アメリカはわずか6.6%、韓国は5.6%、台湾は5.0%、インドは1.4%、ブラジルは1.1%、フランスは0.9%、イギリスは0.8%だった。わたしは統計の中にロシアを探すことは諦めざるを得なかった。「ロシアが見えない」ことは、想像以上の数値を疑わせるのに十分である。

「モノの製造におけるアメリカの衰退は農業にも見られる。メキシコとカナダとの北米自由貿易協定(NAFTA)が1994年に発効されて以降、アメリカの農業は「集中」、「専門化」、「衰退」のプロセスをたどった。第1章では小麦の生産に言及したが、ロシアは2012年に3700万トンだったのが、2022年には8000万トンに達したのに対し、アメリカは1980年に6500万トンだったのが、2022年には4700万トンに減少した。全体としてみれば、かつてアメリカは農産物の一大(純)輸出国だったが、現在はかろうじて輸出入の均衡を保っているにすぎず、むしろ赤字に傾きかけている。今後も人口増加が見込まれることから、10年から20年以内に輸入国に転落するのはほぼ確実だろう。」

2-3 虚飾のGDPという指標(「米国のRDP(国内実質生産)」から)

「アメリカのGDPは、効率性、さらには有用性の不確かな「対人サービス」がその大半を占めている。医者(オピオイド(麻薬)の件では殺人者となる)、法外な高給取りの弁護士、略奪的な金融業者、刑務所の守衛、インテリジェンス関係者などがそこに含まれる。2020年アメリカのGDPは、この国の1万5140人もの経済学者の仕事を付加価値として計上していたが、そのほとんどが虚偽の伝道者であるのに、平均年棒は12万1000ドル(=1900万円)にも達している。真の富の生産にはつながらない。このような寄生集団の活動を取り除いた場合、アメリカのGDPは果たしてどの程度になるのか。」

ここで、トッドは、GDPから生産されない金額を除くRDP(Real Domestic Product)の思考実験をしている。GDPから、なに物も生産しないウォール街の金融業者の報酬、高額な弁護士収入、役に立たない経済学者の給料、アメリカ国民の平均余命が低下しており、過大評価されている医療費などを減じると、一人当たりRDPは、西ヨーロッパ並みの40,000ドルになるという。これは乳幼児死亡率の順位と一致し、ドイツが1位、アメリカが最下位になるという。

トッドの指摘は、つづきます。 

おしまい

「西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか」 エマニュエル・トッド その1

親爺はエマニュエル・トッドの本が大好きで、かなりかぶれている。彼は、ソ連崩壊、リーマンショック、アラブの春、ブレグジット、第1回トランプ当選を予言した歴史人口学者・家族人類学者である。親爺は、昨年11月に発刊された「西洋の敗北」を紹介しようと思う。これは彼の著作の中でも、もっともストレートな表現で書かれており分かりやすい。しかし、15カ国で翻訳されているにもかかわらず、英語版だけは出版されていないという、過激で説得力のある内容であり、今後世界に何が起こるのかの預言書である。そして、その予言は、西側諸国にとって極めて悲観的である。

まずは、この本のアマゾンのコピーを載せる。その後、親爺の感想を述べる。

1.概要(アマゾンのコピー)

ロシアの計算によれば、そう遠くないある日、ウクライナ軍はキエフ政権とともに崩壊する。
戦争は〝世界のリアル〟を暴く試金石で、すでに数々の「真実」を明らかにしている。勝利は確実でも五年以内に決着を迫られるロシア、戦争自体が存在理由となったウクライナ、反露感情と独経済に支配される東欧と例外のハンガリー、対米自立を失った欧州、国家崩壊の先頭を行く英国、フェミニズムが好戦主義を生んだ北欧、知性もモラルも欠いた学歴だけのギャングが外交・軍事を司り、モノでなくドルだけを生産する米国、ロシアの勝利を望む「その他の世界」……
「いま何が起きているのか」、この一冊でわかる!

・ウクライナの敗北はすでに明らかだ
・戦争を命の安い国に肩代わりさせた米国
・ウクライナは「代理母出産」の楽園
・米国は戦争継続でウクライナを犠牲に
・米情報機関は敵国より同盟国を監視
・NATO目的は同盟国の「保護」より「支配」
・北欧ではフェミニズムが好戦主義に
・独ロと日ロの接近こそ米国の悪夢
・ロシアは米国に対して軍事的優位に立っている
・モノではなくドルだけを生産する米国
・対ロ制裁でドル覇権が揺いでいる
・米国に真のエリートはもういない
・米国に保護を頼る国は領土の20%を失う
・日独の直系社会のリーダーは不幸だ
・日米同盟のためにLGBT法を制定した日本
・NATOは崩壊に向かう 日米同盟は?

2.親爺の日ごろの疑問や問題意識

親爺は明らかに日本はおかしい、変調していると思っている。世界の中で日本だけがまったく経済成長しないことが第一であるが、毎日起こる殺人や傷害事件、若年者の自殺も昔はここまでなかった。昨年、能登で地震が起こり大災害で、秋には水害も起こった。同じ時期に、台湾で同じ規模の地震が起こり、こちらは回復しているだろうが、両者の対比は一向に報道されない。

他にもいろいろある。カルロス・ゴーンに刑務所から逃げられ、逃げた理由は日本の司法制度の下で無罪になることはまったく期待できないからだという。昨年、羽田空港で自衛隊機と民間ジェット機が滑走路上で衝突したが、管制官を含め原因がはっきりしない。ゴーンにしろ、航空機事故にしろ、こういうことが日本の信用を失墜させるんだよなと思っていた。

BBCの放送が契機(BBCより先にこの問題をガーシーがYOUTUBEにアップしていた)で、ジャニー喜多川氏の少年たちへの性犯罪が常習的に行われていたことが明らかになった。ところが、同じ穴のムジナのテレビ局はジャニーズ事務所だけの問題として、自分の責任を一切、報道しなかった。東京都知事選では、SNS人気を足場にした石丸信二氏が、オールドメディアの予想を覆し、蓮舫氏を押さえ2位に入った。名古屋市長選では、自民、立憲、公明、国民が押した候補が、オールドメディアの圧倒的な下馬評を覆し、日本保守と「減税日本」が押した前副市長に敗れた。さらに兵庫県知事のパワハラ疑惑による出直し選挙では、背後に反知事派県議と職員が企んだクーデターがあったという情報を立花隆氏がYOUTUBEで流し、オールドメディアが思いもよらないほど予想を覆し、斎藤知事が再選した。

今は中居正広氏が、フジテレビの女性社員相手に性加害を起こし、慰謝料9千万円を支払ったと明るみに出た。この事件は、フジテレビ幹部社員のお膳立てで、会社ぐるみだと週刊誌が報じた。多くの人が、テレビがジャニーズ事件で自分を反省しなかったのは、女衒のようなことをしていたからだと思った。フジテレビは物言う外人株主(アクティビスト)の要請に応え釈明会見をしたが、多くのスポンサーが降り存亡の危機にある。中井氏は芸能生活からの引退を表明した。ここでも、フジテレビ以外の放送局は同じ穴の狢でありながら、フジテレビだけの責任というスタンスで放送している。

親爺は、日本中がいつの間にか総不道徳、総無責任、おまけに知的レベルも下がったと思っている。ところが、この「西洋の敗北」を読むと、こうした道徳の喪失、責任感の喪失は、日本だけじゃないんですね。西洋の世界で広く起こっている「自分さえよければいい」という事態が広がっているということが分かる。

2.1 ウクライナ戦争に関する10の驚き

エマニュエル・トッドは、ウクライナ戦争について驚いたことを10個上げている。そのいくつかを紹介したい。

1.1991年12月、ソ連議会がソ連という国の「消滅」宣言をした。連邦を構成する共和国が独立し、ウクライナも独立を宣言した。その後は、人口流出と出生率の低下で5,000万人のうち1,100万人の人口を失い、オルガルヒ(少数富裕層権力者)に支配され、常軌を逸した汚職水準にあり、国家も国民も売りに出されているような状態の「破綻国家」だった。ウクライナ戦争前夜、この国は安価な「代理母出産の地」になっていた。だれも予想できなかったことに、ウクライナは戦争そのものに自国の生存理由と生存の正当性を見出した。

2.敵対する二国がアメリカとロシアだった。アメリカは10年以上、アメリカにとって主な敵国は中国だと示していた。ところが、アメリカ以外の国に住む我々が立ち会っているのは、ウクライナを介したアメリカとロシアの対立である。

3.西洋諸国は経済制裁にSWIFTから排除することで、ロシアがすぐに降参すると考えていた。SWIFTは、世界貿易の決済に使われる通貨の相互送金システムである。ところが、ロシアはクリミア戦争を契機に西側にG8から追い出されるとともに、経済制裁された2014年以来、独自の通貨交換システムを作っていた。SWIFTからの排除という制裁は、西側諸国が考える効果がなかった。

4.20年前のイラク戦争では、ドイツ、フランス、ロシアがアメリカに対し異議を唱えた。しかし、ウクライナ戦争では、エネルギーをはじめとする貿易パートナーであるロシアを切り離すという激しいペナルティを西欧自身に課した。とくにドイツは、アメリカとノルウェーによる天然ガスパイプライン「ノルドストリーム」の破壊を抵抗もせずに受け入れた。

5.最大の驚きは、圧倒的な軍事大国と思われてきたアメリカが、ウクライナに対し砲弾をはじめ、何も確実に供給できなくなっていることだ。GDP比で、西洋諸国(アメリカ・カナダ・ヨーロッパ・日本・韓国)の3.3%しかないロシア・ベラルーシの方が、兵器を生産する力がある。これは、物資不足でウクライナが負けることと、GDPの概念が時代遅れであることを意味し、見直さなければならない。つまり、政治経済学のインチキである。

6.西洋の思想的孤独と、自らの孤立に対する無知である。この戦争が始まったとき、西側諸国は世界中が自分たちの味方になるだろうと思っていた。開戦1年以上の間、中国すら味方になると期待していた。ところが、中国はロシアにつき、インドは関与を拒否した。イランはすぐさまロシアにドローンを供給し、EU加盟国のトルコはロシアと密接な関係を築こうとしている。イスラム諸国もイデオロギー上の敵国より、経済的な協力国とみなしていることがはっきりしてきた。

7.西洋はロシアに攻撃されているのではなく、むしろ、自己破壊の道を進んでいる。われわれは、グローバリゼーションが完成し、最高潮に達し、完了した時代を生きている。(加えると、トッドはグローバリズムに批判的な立場である。)地政学的にロシアをみると、人口が減少傾向で、国土が広すぎるため、ロシアは地球全体のコントロールするのは不可能で、望んですらいない。ロシアは通常規模の勢力で、その発展には何の謎もない。ロシアのいかなる危機も、世界の均衡を脅かすことはない。ロシアではなく、西洋の危機、とりわけアメリカの末期的な危機こそが地球の均衡を危うくしている。その危機の最も外部の波が、古典的で保守的な国民国家ロシアの抵抗の壁に突き当たったというわけだ。

2.2 米国経済の虚飾へ

次のリンクをクリックしてください。https://brasileiro365.com/2025/02/15/%e3%80%8c%e8%a5%bf%e6%b4%8b%e3%81%ae%e6%95%97%e5%8c%97%e3%80%80%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%a8%e4%b8%96%e7%95%8c%e3%81%ab%e4%bd%95%e3%81%8c%e8%b5%b7%e3%81%8d%e3%82%8b%e3%81%ae%e3%81%8b%e3%80%8d%e3%80%80-2/

おしまい

これは駄目だろう! アマゾン

「アマゾン、これは駄目だろう」と親爺は思う。レビューが信頼できない。怪しい商品を売っているということを書きたい。

親爺は、最近下の加湿器を2000円ほどで買った。製品登録をすれば、1年間の保証が3年間になると書かれていたので、指示に従ってLINEに製品登録をした。

登録が完了すると、次のメッセージが送られてきた。

「星5レビューで2000円差し上げます。」!!

これはヒドイよね。2000円をもらえるからといって、みんなが星5のレビューをすれば、口コミが歪んで行き、信頼できなくなる。どこの会社の製品か調べてみたら、どうやらやはり中国製らしい。

アマゾンは他にもいい加減な売り方をしている。メルカリなどでも同じような商品を見たことがある。パソコンなどの記録媒体にSSDというものがあるのだが、それが怪しい。下の写真の商品は、正規のメーカー品と比べると数十倍安い。また、メーカー品で、30TBの容量のものが売られているのを親爺は見たことがない。

ちなみに、TBはテラバイトと読み、記憶容量の単位である。1000GB(ギガバイト)が1TBである。ちゃんと動く正規品は、1TBが約1万円というのが現在の相場であり、30TBが5000円で買えるというのは信じがたい。だがレビューを見ると、評価は高く、何千ものレビューがついている。親爺は、この商品が実際にこれだけの記憶容量があるとは思えない。ある程度(数十GB程度)使ったところで、容量が一杯になるインチキ品である。 くれぐれもご用心である。

おしまい

(リライト)日本政府の借金は1200兆円。なぜお金を刷って返済しないのか?また、60年国債償還ルールは? その1

——- 2024.11.21 一部書き直しました

これは、いかに世間がひろく誤解しているかという例だ。たまたま、見つけたものだが、立命館大学経済学部が作成したものだが、名のとおった大学の経済学者と言われる立派な人たちの、見事な間違いに驚かされる。

http://www.ritsumei.ac.jp/ec/why/why02.html/

結論のところは書かれていないようだが、書きぶりから、設問自体矛盾していておかしい。負債を負債で返せないからだ。お金を刷ったら、また負債が増えます。たとえ国債が借金だとしても、借金は借金で返せません! 経済学者を名乗る人は、まず簿記を勉強する必要があります。(言っときますが、政府の「負債」が1,200兆円であることは間違いないものの、国民の借金ではありません。国債の残高はどの国も増えていくものです。あたかも、国民のお金を集めて返さないといけないと誘導する意図を感じる設問ですが、政府の「負債」と、民間が持つ「負債」と意味が違うことを理解しなければなりません。)

《結論》

タイトルに対する結論を先に言うと、国債発行は、例え赤字国債の自転車操業をしていても返済する必要はないし、どこの国もやっていない。日本でも、国債の償還期限が来ると借換債を発行して償還を先延ばししている。「永久債」にしようと言われるのは、このためである。ところが、財務省は残高を実際に減らそうとするために、「国債の発行は子孫につけを残す。」というデマを流し、マスコミがこれに追随するので、国債発行が良くないと多くの国民が信じている。

国債発行は、、経済成長するために必要な、政府が供給すべき通貨供給であり、どこの国でも残高が積みあがっていくものだ。日本政府がこれをしないから、日本はパイが増えるような経済の成長ができない。給料も上がらないし、技術革新もできないので、ずっとパイの奪い合いをしている。

なぜこんな事態になったのか。それは、主流派の経済学者が、金本位制を止め、管理通貨制度に貨幣制度が変わった時に、古い貨幣観を改めなかったからだ。

具体的に言えば、1971年、アメリカの財政赤字、経常収支の赤字が増大してインフレが進行、アメリカはドルと金の兌換停止に踏み切り(ニクソン・ショック)、これをもって金と通貨の関係は完全に切り離され、国際的にも管理通貨制度へ移行した。この時には、従来の学説を見直すべきだった。

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まず、市中に出回るお金は、市中銀行が生み出しているという話と、市中銀行は日銀から日銀当座預金というお金を作ってもらっているという話をする。どちらも通貨発行(信用創造=Money Creation)である。

《財務省のウソ》

財務省は、国債の残高が1,200兆円あり、国民一人当たり1,000万円の借金になるというような説明をし、国民に日本が破綻するのではないかという不安をまき散らしている。ところが、この説明は通貨発行の仕組みを正しく理解していないデマだ。おかげで、われわれ国民は政府にお金がないんじゃ仕方がないかと、お金のいることをあきらめてきた。だが、そんなことは決してない!!

《通貨発行のプロセス、経緯》

通貨発行(信用創造)は、次のマネーストックとマネタリーベースの2段階で行われる。

● マネーストック

マネーストックの正体は、市中銀行の貸し出しである。個人が家のローンを借りるときや、民間企業が設備投資のために借り入れを行うが、市中銀行による信用創造(通貨発行)そのものである。この信用創造は、借り手に返済能力さえあれば無限に実行できる。

こうして市中銀行の信用創造(通貨発行)は、借り手が新たに借りると増え、返済されると消滅する。

バブル崩壊時の1993年に、アメリカのウォール街の圧力でBISルール(自己資本比率)が変更され、市中銀行の資本比率が引き上げられた時、「貸しはがし」が大々的に起こった。この貸しはがしなどが起こると、市中で流通する通貨量が急激に減少するので、バブル崩壊をひき起こしたのは当たり前である。

マネーストックは、金融機関(市中銀行)が世の中に供給したお金のことで、具体的には、企業や家計、地方公共団体などの経済主体が保有する現金や預金の残高のことを言う。(ここには、日銀と市中銀行が持つマネタリーベースは含まれていないので注意。)

● マネタリーベース

どこの国でも同じ(銀行制度はユダヤ人たちが作ったから)なのだが、お金が発行されて市中に流通する仕組みは、中央銀行が金融機関に対し、お金を供給する仕組みがあり、これをマネタリーベースという。具体的には、紙幣、コインおよび(日銀)当座預金の合計をいう。

リアルな紙幣とコインは2割弱しかない。残る8割強は、単なる字デジタルデータである。黒田総裁の登場で、日銀は異次元の量的緩和を行い、日銀当座預金を爆増させた。この日銀当座預金は、市中に直接流れず、マーケットに影響を与えないことに注意が必要である。黒田日銀総裁は、量的緩和により民間企業の投資の呼び水なることを考えていた。

この日銀当座預金は、① 日銀と市中銀行の日々の銀行間決済 ② 市中銀行の預金の準備金の積み立て義務(市中銀行は預金残高の2%ほどを日銀当座預金に積み立てる義務がある。) ③ 日銀による信用創造(通貨発行)に使われる。通貨発行は、日銀、市中銀行ともに、負債(借入金)と資産(貸付金)という債権債務の貸借関係により、行われる。

信用創造の大きな目的は、政府が国債を発行する際、日銀は市中銀行に対しあらかじめ、信用創造を行い、市中銀行の日銀当座預金を増やすということをする。こうして増加した財源を使って、市中銀行は国債を買い入れる。 原則的に日銀当座預金は金利ゼロなので、市中銀行は利息が付く国債を必ず引き受けて保有する行動をとる。(現在は余りに低金利で、銀行救済のために一部分付利している。)

マネタリーベースの増加は、市中の通貨流通量を増やさないものの、市中銀行のバランスシート(貸借対照表)を大きくする効果があり、マーケットのマインド(期待)を変え、市中銀行から民間企業への貸し付けの増加(=マネーストックの増加)を狙ったものだった。しかし、デフレマインドが解消されない、少子化が進む、技術革新がなかなか日本でないことなどなどで、民間企業は銀行から借り入れを増やさなかった。

下に張り付けた表が1970年から2020年までのマネーストック、マネタリーベース、GDPの推移である。この表を見ると、黒田日銀総裁が就任した2012年から、『異次元の量的緩和』が行われ、日銀から金融機関へマネタリーベースを爆増させたことが分かる。

また、マネタリーベースを爆増させたにもかかわらず、赤色のマネーストックは、伸び率がぜんぜん変わらないのが分かる。つまり、日銀の異次元の量的緩和にもかかわらず、市中に流通している通貨量の増加分の速度は増えなかった。日銀当座預金が『ブタ積み』になっただけだった。

補足すると、GDPで表される経済の大きさは、年々、大きくなって当たり前だ。毎年同じなんて国は、日本以外にない。テレビは、毎年、「過去最高額の予算が編成されました!」と非難めいたことを言うが、増えるのが自然である。

日銀のホームページから
日銀のホームページから
黒い線が日銀が金融機関へ供給したお金、赤い線が金融機関から世間へ供給されてた通貨の総量。赤線は、黒線ほどには増えていない。

上記の説明を理解していただくために、分かりやすいと思い、日本証券業協会のHPから図を下にコピペさせていただきました。

https://www.jsda.or.jp/gakusyu/edu/web_curriculum/images/mailmagazine/Vol.51_20180201.pdf から

簿記で《通貨発行のプロセス》を説明してみる

1.BさんがマイホームのためにA銀行から3,000万円を借入

A銀行     (借方)貸付金 3,000万円 (借方)預金 3,000万円

Bさん     (借方)預金 3,000万円 (借方)借入金 3,000万円

(説明)Bさんが、A銀行から3,000万円のローンを借りるとき、A銀行は《貸付金》3,000万円という資産をもち、負債である《預金》3,000万円を計上する。この《預金》3,000万円は、A銀行が、Bさんから返済を受けられず負債が焦げ付いたとき、社会に対し、弁済(返済)する責任の意味合いがある。返済されなかった場合には、《損金処理》や《引当金償却》などの処理をA銀行がする必要がある。Bさんは、ローンの実行により、資産である《預金》3,000万円を手にすると同時に、返済義務である《借入金》3,000万円という債務を背負う。 こうしたことは、大企業でも全く同じだ。銀行が通貨発行し、債務者は貸し出しを受け、そのお金が日本中で使われれば、日本の景気は良くなっていく。

これが銀行による通貨発行(信用創造)だ。市中銀行は、預金者から集めた預金を原資に貸付していない。借主の返済能力を審査したうえで、返済能力があると判断すれば貸出実行、すなわち通貨発行する。

2.日銀の通貨発行 (日銀がA銀行に1,000億円通貨を発行する)

日銀(A銀行に対し)(借方)貸付金1,000億円 (借方)日銀当座預金1,000億円

A銀行(日銀に対し)  (借方)日銀当座預金1,000億円 (借方)借入金1,000億円

(説明)日本が、A銀行に1,000億円の通貨発行をする場合を考える。

このとき、当たり前なのだが、通貨発行を無から有を生む打ち出の小槌のように言うことがあるが、日銀が市中銀行にお金をくれてやるのだはなく、お金の賃貸借である。市中銀行は(日銀)当座預金という「資産」を手にする代わりに、「借入金」という負債を負う。日銀は「貸付金」という資産と、(日銀)当座預金という「負債」が計上される。(貸出し銀行にとって、お金の貸付は負債になる。)

日銀は、《負債》である《日銀当座預金》1,000億円計上することで、A銀行の《日銀当座預金》1,000億円という《資産》を与える。その時、無条件に《資産》を与えるのではなく、日銀には《貸付金》という債権、A銀行は、《借入金》という借金返済の債務を負う。

黒田総裁は、異次元の量的緩和と称し、強力にマネタリーベースという日銀と市中銀行の資金量を爆増した。このマネタリーベースを増やすことが、市中銀行の民間への貸し出しを増やすと考えたからだ。もちろん、これは成功しなかった。民間企業は市中銀行から借金をせず、景気は良くならなかった。

国債を発行するとき、日銀が銀行にお金を用立て(貸付け)ている!!

長くなったが、国債発行は、民間の借金とは性格がまったく違う。償還時期が来たら借り換えている。政府と日銀は、個人や民間企業とは全く違う。市中銀行や金融機関に対し日銀が通貨発行し、その市中の金融機関がマネーストックという形でさらに通貨発行し、それが血液のように循環することで、景気は正常に回る。

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今、防衛費の増額を契機に、増税議論が激しくなっているが、財政拡大派の議員たちは、日本にしかやっていない「国債60年償還ルール」を止めろと財務省に要求している。

日本には、国債発行して60年経ったらそれを予算を使って消去するという実際にはやっていない、今年度の予算であれば16兆円を償還のための予算を計上している。このために、当然、予算編成が苦しくなり、その結果として増税議論が出てくるのだが、実際に諸外国と同様にやっていない償還費を毎年計上しているのが、そもそもおかしい。有名無実で害しかないこの措置を止めろと財務省に要求するのだが、財務省は「国債の信任が下がらないよう・・・」ともごもご言い、譲らない。

このあたりは、また後日書きます。

財務省のHPから

おしまい

あまりにバカバカしく絶望しかない日本 その3 《 健康保険(国民皆保険)制度 》

親爺は、最近あまりにバカバカしくって、ブログを書く気が失せている。あまりに周囲の人たちと、意見や温度差が違いすぎ、虚しい。絶望している。バカバカしいと思うものは、たくさんある。健康保険もその一つで、あまりに大きな問題がある。今回は、まず医療のうちの健康保険(国民皆保険)の問題を聞いてもらいたい。

藤井聡京大教授「過剰医療の構造」のカバー(アマゾンより)

1.健康保険制度の収支

下に引用した日経新聞の記事によると、令和3年度の医療費の総額は一年間45兆円で、その財源は、健康保険料(掛け金と事業主負担)が23兆円、国費(一般会計予算など)が17兆円、患者負担額が5兆円である。つまり、保険制度で賄えない額が、17兆円(30%)に達している。保険と言いながら制度の中でやりくりができずに、一般会計予算から17兆円が使われている。

この一番の原因は、高齢者の医療費である。医療機関に支払われた額を年齢別に見ると、65歳未満が一人当たり年間20万円に対し、65歳以上は4倍の75万円かかっている。この高齢者の医療費はとりわけ、死ぬ間際に極めて高額になるという。日本人の8~9割が病院で亡くなるのだが、見込みのない治療がこってり行われ、医療費が数百万円、数千万円に達することはザラだ。 おまけに、死ぬ間際に行われる延命治療は、患者に苦痛をもたらすだけである。 

保険という仕組みは、加入者が掛け金を支払い、制度を運営する団体がプールした掛け金をから加入者に必要な給付を行う仕組みである。税金を投入して仕組みを維持するものではない。しかし、日本の健康保険制度は、掛け金だけで給付を賄えず、莫大な国の予算が投入されている。

日経新聞の記事から(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA245LA0U3A021C2000000/

厚生労働省は24日、病気やけがの治療で医療機関に支払われた医療費の総額(国民医療費)が2021年度に45兆359億円だったと発表した。前年度比で4.8%増加して初めて45兆円を超え、過去最高を更新した。国民1人あたりの医療費は35万8800円で前年度比5.3%増えた。年齢別に見ると65歳未満の19万8600円に対し、65歳以上はおよそ3.8倍の75万4000円だった。医療費を賄う財源の内訳は保険料が22兆4957億円で全体の半数を占めた。国費などの公費が17兆1025億円で全体の38%だった。患者負担は5兆2094億円だった。国民医療費は公的医療保険でカバーする病気やけがの治療にかかった費用の推計。保険外の健康診断や正常分娩などの費用は含まれない。

2.個人的体験(母の最期、救急救命センターの治療)

ブログにも書いたが、認知症が少しある父が救急車を呼び、母は病院へ運ばれた。認知症の父には治療の承諾書を書かせられないため、親爺は千葉から大阪の病院に呼び出された。救急医から「救急車で運ばれてきた患者を何も治療せずに帰すわけにはにはいかない。気管切開をして人工呼吸器をつけさせてくれ」と頼まれた。仕方なく承諾書にサインして、回復する見込みのない治療が始まった。救命センターは次々患者が運ばれてくる。1週間ほどで療養病院へ転院してくれと言われる。その病院で1~2月ほどして亡くなったのだが、回復の見込みがないままたっぷり治療が続けられた。欧米では虐待である!! この治療費は、バカ安い!! 1週間ほど滞在した救急救命センターの治療費は総額150万円ほどだったが、本人負担額は10万円以下だったはずだ。また、療養病院の治療費は月数十万円だったが、本人負担額は3万円程度だったと思う。

3.お安い医療費! 原則3割、75歳の高齢者は1割負担

日本は、健康保険が皆保険で諸外国にない素晴らしさだと自画自賛する。医者にかかる場合、本人負担額は、65歳以下の国民は3割負担、75歳からは1割負担が原則である。保険料は正規雇用の被用者(労働者)の場合、企業が半額を負担する。 

高度成長期までは、医療機関への支払いよりも掛け金の収入の方が多く、持続可能だった。国民の年齢が若く働き手も多く、医療費の支出額が少なかった。ところが、働き手は減り高齢化し、給付する医療費が大きくなり、健康保険の掛け金で足りず、差額を一般会計から支出している。これはもはや保険ではない。

4.なぜ健康保険制度がサステナブル(持続可能)でなくなったのか?

(1) 高度成長時代はこれでよかった

社会保険料を構成する健康保険と介護保険、年金保険の合計で2025年度には38兆円を一般会計から支出する。全体が112兆円であるから、約3割が社会保障費ということになる。何度も言うが、これらは保険であり、受益者(拠出する企業も含め)が負担し、医療や介護や年金が必要な国民が給付を受ける仕組みだ。掛け金の額が多くなりすぎ、給付があまりに多いので、政府が制度を維持するために肩代わりをしている。このために、他のインフラ投資や、教育、防衛などの一般予算にしわ寄せが及んでいる。日本はまともにインフラ整備どころか設備の更新さえ出来ず、教育予算は先進国中最下位で、途上国レベルである。科学技術や農林業の支援なども同様の低レベルだ。こうなった原因は政府と財務省にあるのだが、医者達(親爺は、医者という言葉を病院経営者、開業医の意味で使っている。勤務医はサラリーマンである。)の責任も大きい。

このチャートには、外国にない「債務償還費」がある。国債は借り換えているので、「債務償還費」は計上する必要がない!!

(2) 欧米との対比と市場の失敗

医療に対する考え方が、欧米と日本では根本的に違う。

一般的に経済学は、特定の分野に『補助金』を出すと、その分野の需要と供給がいびつになり、介入が副作用をもたらすと考える。これが『市場の失敗』と言われる。市場の失敗の意味は後述する。

医療は、ヨーロッパでは警察や国防と同じ考えで提供されている。医者は公務員であり、多くの患者を診察しても報酬は増えない。 警察に駆け込んでもお金を取られない、これと同じロジックである。そのかわり不要不急で過分な治療は、医師の判断で行われない。患者は病院へ連絡して順番が来たら診察してもらえる。 アメリカは、個人が全額を負担する医療保険を使うが、医療費がバカ高いので、保険料もバカ高い。貧困層には貧困層向けの税金が入った保険(メディケア)があるが、こちらは一般の国民は使えない。つまり、一定の所得があるアメリカ人の医療は、全額自由診療である。

このように、アメリカとヨーロッパでは考え方が違うものの、医療の必要性は、ヨーロッパでは利害のない医者が判断し、アメリカは患者自身が高額の治療費を払うか払わないかを考えて治療を受ける。 どちらも、無制限に医療にお金をかける仕組みになっていない。おのずと、医療費にブレーキが掛かり、患者以外に負担をかけない仕組みである。

5.結論

日本は違う。医療費の支出にブレーキがかからない。市場原理も働かない。繰り返すが、市場が歪んでいる。『市場』というと、ピンと来ない人が多いかもしれない。経済学では需要と供給がバランスするところで、価格と供給量が決まると一般的に言われる。日本の医療のように公的な資金が『補助金』のように投入されると、患者は気軽に医者にかかり、医者は患者を多く診ると儲けも大きくなるので、需要も供給も過大になる。これを『市場が歪む』という。問題は、市場が歪むと資源配分(リソース)に無駄が生じ、適正でなくなる。もし市場が過大に歪んでなければ、頭脳優秀な医者たちは、他の分野の科学者などになって社会貢献していただろう。

アメリカのように医療費を患者が10割負担すれば、患者は自分の財布に合わせた治療を選択するしかない。また、ヨーロッパのように利害のない医師が治療方法を決めれば、医療費の支出は、社会のコンセンサスが得られる水準になるだろう。

ところが、公費で多くの部分を負担する日本の医療は、『人命は何より貴い』という行き過ぎたヒューマニズムが社会の空気を支配しており、過剰医療が蔓延する。財務省は、あらゆる行政経費を出し渋るのだが、医療費を抑制する気はない。もし、表立って反対すると人殺し、ヒューマニズムに反すると言われるから反対しない。医者たちは、政治家や財務省より強いとも言える。

健康保険制度は、7割から9割が本人負担ではない。老人であれば、1万円の医療を1千円で受けられる。高度成長期は、給付が少なかったので健康保険組合が支払えていた。しかし最近は、高齢化が進み給付が増え、一般会計の予算が入っている。患者はたった1千円払えば、医者は公的な9千円と患者の千円の合計を受け取れる。患者は気楽に医者にかかり、医者は患者を診れば診るほどもうかる。医者たちは、財務省から税制上の優遇措置もたっぷり受けている。 

日本社会全般に、医者は一般人とは違うレベルの頭脳を持っているという幻想がある。集団としての医者たちの権力は絶大である。政治家やマスコミにも絶大な力を持っている。テレビは健康番組をしょっちゅう流し、国民を健康オタクに、健康不安にする。国民はすぐに病院へ行くよう飼いならされている。

本来、健康保険制度を守るのであれば、まず老人の負担を他の国民と同じ3割へアップすべきだ。それで足りなければ、一律4割、5割と増やすべきだ。ところが、医師会は老人の負担率アップは患者を減らすと言って反対する。患者が減って何が悪いのだ。お前ら何を考えているんだ!!この日本の医療には、まだまだ他にも問題がある。

おしまい

お客も楽団員も演奏の最後で《発散》できれば良いと思っている?? ー コンサート3つへ行って思うこと。 

  • 読響交響楽団  5/31 名曲シリーズ 6/14 定期演奏会
  • 7/3 弦楽3重奏による『ゴルトベルク変奏曲』

最近のことだが、親爺は安いチケットがあるとあちこちのコンサートへ出かけている。最近行った三つのコンサートのうちの二つは、読売交響楽団のサントリーホールの演奏会で、有名な交響曲「新世界」交響詩「フィンランディア」と鳥羽咲音さんのエルガーのチェロ協奏曲、現代曲のウェーベルンとシェーンベルク、ダン・タイ・ソンのモーツアルトピアノ協奏曲である。三つ目は、市ヶ谷ルーテル教会であった弦楽3重奏の「ゴルトベルク変奏曲」である。(後に曲目を貼り付けました)

コンサートホールへ出かけていつも思うのは、生で聴く楽器の音は素晴らしいということである。ピアニッシモからフォルテッシモへと、音がひずむことなく移行する。鳥羽咲音さんのエルガーのチェロ協奏曲を聴きながら、「独奏チェロは、こんな素晴らしい音色で、オーケストラに負けずに演奏するのか!」と思うほど朗々と響いていた。

失敗したのは、ピアノのダン・タイ・ソンである。親爺は、サントリーホールの値段の安い舞台の後ろの席に座っていた。ところが、ピアノは舞台の最前方に置かれ、正面の観客によく聞こえるように屋根を観客席の方に向けてあげていた。このため真後ろの席では、音が小さいのだった。

こうした生演奏を聴いて、いつも思うのは、曲の最初と最後だけは聴衆の心をしっかり掴み、フィナーレで爆音・轟音が鳴り響くトゥッティ(全奏)になり、圧倒された観客が拍手大喝さい、ブラボーの叫びを送るのがお定まりの約束だと思う。言い換えれば、似たような奏法で変化のない長い演奏が続く。曲の中間で多くの観客は退屈している。そして、いよいよクライマックの号砲をさりげなく挟んで、フィナーレが始まる。「終わりよければ全て良し」のポリシーでコンサートは演出されている。 こんなことじゃ、クラシックのコンサートは流行らないよな!

同時に、曲の表現が、音量の変化、耳をそばだてないと聞こえないようなピアニッシモと鼓膜が破れそうになるフォルテッシモの対比を乱用しすぎだ。たしかにフォルテッシモは、観客の度肝を抜くが、何回も繰り返されるので慣れてしまう。もっと、メロディーを引き立たせ、変化をつけないと駄目な気がする。これはメロディーを担当する楽器が頑張るというより、オブリガード(助奏)に回る楽器が、存在のレベルをぐんと下げることだ。両者をバランスよく、楽器が交代しながら響かせる。目立たせたい・強調したい旋律を観客に分かりやすく聴かせる。そして主従をすばやく交代すべきだ。どの楽器も自分の役目を精一杯果たそうと頑張りすぎ、目立とうとし過ぎだ。楽譜通り再現すればいいというものじゃない。演劇を見なさい、映画を見なさい。古典を忠実に再現するより、時代に合わせてリメークし、お客に再発見させることだ。

クラシック音楽のつまらなさの最大の原因は、音楽界の間違った思想にあると親爺は思っている。クラシック音楽界の重鎮たちは、口をそろえて、作曲家の書いた楽譜を忠実に再現しなくてはならぬという。作曲家の時代背景を研究し、当時の楽器を使い、楽器の調音(チューニング)も、平均律でなく純正律でやろうとさえする。こうなると、リスナーを楽しませる観点を失った狂信的な原理主義である。

カラヤン大先生の発言は分かり易い。『演奏者だけが盛り上がって聴衆は冷めているのは三流、 聴衆も同じく興奮して二流、 演奏者は冷静で聴衆が興奮して一流。』ヘ ルベルト・フォン・カラヤン

その点、グールドは音楽の演奏にあたって、楽譜の改変することを含めて、何通りもの演奏を試して、どうしたら最良の演奏になるかを考えていた。つまり、作曲家の思いを忠実に再現しようとすることは、たった一つの最善の演奏を探ることだが、グールドは曲のアプローチは何通りもあると考えていた。また、音楽を学ぶ学生たちに「余計な固定観念を植え付けられてしまうから、曲の練習をする前に、他の演奏者の演奏を聴いてはダメだ。」という意味のことを言っている。

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以下は、実際のコンサートの感想である。

5/31のシベリウスの交響詩「フィンランディア」は、10分足らずの曲で、知っているかなと思っていたが、あっさり終わってしまう。ドボルザークの「新世界から」は耳慣れているというものの、聞き覚えがあるのは、1楽章と最終楽章で、途中は退屈である。エルガーのチェロ協奏曲は、チェロの響きが素晴らしかった。どの曲も、始まりと終楽章だけが耳に残り、クライマックスで盛り上がって観客の拍手大喝さいとなる。

6/14のウェーベルン「夏風の中で」、シェーンベルク「交響詩ペレアスとメリザンド」は、今となっては印象がなにも残っていない。ダン・タイ・ソンがピアノを弾いたモーツアルト「ピアノ協奏曲12番」で観客は大喝さいしていたが、親爺には、ダン・タイ・ソンってこんなものなの?という感じで、拍子抜けである。

7/3の弦楽3重奏による「ゴルトベルク変奏曲」は、80分かけて楽譜どおりの繰り返し(反復)をしているのだろう、グールドは反復を大胆に省略し、旧録、新録とも40分程度で弾いており、旧録は疾走しながら、新録は瞑想、祈るように弾くのだが、ダラダラ繰り返すことなく、凝集されている。

おしまい

映画『茶飲み友達』 タブーのシニア性事情

2022年に公開された映画『茶飲み友達』を前から観たかったのだが、ようやく昨日(2024.6月)、Amazon Prime Video でSD版を300円で観た。(HD版は400円)

https://eiga.com/movie/95750/ →こちらは、映画.COMのページのリンクで、あらすじや配役などが分かる。

映画は、孤独な高齢者男性が、「茶飲み友達、募集」と書かれた3行広告を見つけるところから始まる。電話を掛けると、そこは高齢者向けに性的なサービスを提供するところだった。働いているキャストは、やはり高齢女性で生活苦で自殺しようとしていたり、ギャンブル依存症だったり、万引きをする女性だったりする。この団体は、非常に好評で繁盛していく。経営者のまなは、間違ったものを許さない愛情のない母親に育てられ、風俗で生計を立ててきた経歴がある。まなは、正しくないものの中にも必要なことはあり、違法でも救いのあることがあると考える。高齢者の性はタブー視されがちだが、マッチングすることで、高齢者の男女の双方が生きがいを見つけ楽しく暮らせる可能性を信じている。日本の法律では、経営者が介在して売春(管理売春)することは、違法である。

その団体、ティーフレンドは客が目標の1000人を超え、売り上げも増え繁盛する。働く若者たちも希望をつかみ始める。そして突然、悲劇が起こる。これ以上言うとネタバレになってしまい、観る気が失われると思うのでやめる。

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社会から忘れ去られた高齢男性の枯れることのない性欲と、生きる場所を失った高齢女性が、肯定感や存在を認められることで生きがいを再発見するさまが描かれる。

現実には、性的なサービスを提供するが、管理売春を避けるため本番行為はNGである風俗店はそこらじゅうにある。最近は、女性向けの風俗店もたくさんできて繁盛しているようだ。多くはデリヘルと言われ、キャストがホテルへ派遣される。本番行為は行わない建前だが、男性客の9割は本番行為を求めるという。それにキャストが応じているかどうかは分からない。

この映画で問題となっているのは、年寄同士の男女がホテルで絡み合うとき、売春行為があれば犯罪になるという、くくり(括り)を問題にしている。

監督の外山文治さんは、似たような高齢者の売春事件を目にし「摘発された後の高齢者たちはどうなってしまうのだろうということ。法に触れることはNGだとしても、自分の中の正義感が揺らぎました。摘発しなくても良かったのではないか、こういうことで救われる人がいるならば白黒つけずにおいても良かったのではないかと。」と語る。親爺もそう思います。

なかなか良い映画です。

おしまい

あまりにバカバカしく絶望しかない日本 その2 《最たる悪税・消費税》

親爺は、最近あまりにバカバカしくって、ブログを書く気が失せている。あまりに周囲の人たちと、意見や温度差が違いすぎ、虚しい。絶望している。バカバカしいと思うものは、たくさんある。今回は、消費税である。

http://lebestblog.com/2017/10/13/5737/ から

② 最たる悪税・消費税

中国に抜かれる2010年まで、日本は世界第2位の経済大国と言われていた。それがあらゆる経済指標が先進国最下位を通り越し、「日本はタイとおなじ」と言われる。大きな原因は消費税だ。

消費税は1989年に3%、1997年に5%、2014年に8%、2019年に10%に上げられた。このアップのたびに日本経済は低空飛行した。これだけ弊害が明らかなのに、政府は消費税をもっと増税する気だ。マスコミは反対するどころか煽っている。

消費税の納税のルールを説明すると、製品(商品)を売った時にも買った時にも消費税が上乗せされ、企業はその差額を納税する。例えば、企業が1000万円分の製品を1100万円で売り、消費税を100万円分を預かった建前*1があるとしよう。企業は製品を作るために、材料を仕入れたりサービスの提供を受けて対価(コスト)を支払っている。この対価が800万円で、消費税を上乗せして880万円支払っているとしよう。この1年間の消費税の納税義務は20万円(=100万円-80万円)となる。

だれもがふーんと思うだろう。だが、背景にはほとんどの人が知らない問題が隠れている。

① 輸出業者は消費税を支払うのではなく、還付金を受け取れる。

消費税と同様の付加価値税はフランスで始まった。輸出奨励金を支払うことは非合法なため、これを回避する方策として導入された。例えばトヨタのような輸出事業をする会社は、国内の製造プロセスで消費税を負担しているが、輸出された製品にの売り上げに消費税はない。そのため、さきほどの計算式にあてはめると、政府は企業が支払った消費税を満額還付(支払い)する。日本全体で消費税の1年間の税収額は、26兆円程度なのだが、6.6兆円ほど(2021年度)が輸出事業者へ還付(戻される)される。

② 同じようなことは、政府事業でもある。

親爺は、国際協力機構(JICA)というところで働いていた。活動費は、政府の《交付金》(補助金みたいなもの)で賄われる。相手国の負担はない。日本国内の事業の遂行に消費税はかかるが、期末に還付される。JICAは、年3億円ほど還付されていた。国や地方公共団体も、消費税の支払いを法律で免除されていなければ、還付されているはずだ。

③ 消費税は、正規社員より非正規社員の雇用を促す。 

消費税法には、取引き(お金のやり取りと考えてよい)の種類によって、消費税がかかる(課税)取引と、かからない(不課税)取引がある。外注費である契約社員(派遣社員)は課税取引だが、社員の給与は不課税取引である。納税額は年度末の決算で金額を確定させる。このとき、契約社員(派遣社員)への支払いは課税取引なので、支払うべき消費税の計算で税額をマイナスできる。正社員への給与は不課税取引なのでマイナスできない。正社員の雇用は、社会保険の事業主負担だけでなく、消費税も負担する必要がある。このため、経営者にとって契約社員(派遣社員)を増やそうとする要因になる。

③ 税金の機能はそもそも、好景気が過熱した時に景気を冷やし、景気が悪い時に国民のふところを温めて不景気を脱出しやすくする働きにある。所得税や法人税の累進課税がそれで、格差を広げないための所得分配機能だけでなく、景気の調整作用もある。英語で、built-in stabilizersと言い、組み込まれている安定化装置という意味だ。 ところが、消費税にはこの働きがまったくない。消費税は、低所得者ほど重税で逆進性がある。しかも消費にブレーキをかける罰金の性質がある。当然、税率が上がるほど弊害も大きくなる。

②はおしまい つづく

注1)財務省が消費税は『預り金(的性格)』だとずっと言ってきたので、「消費税は消費者が支払った『預り金』である」と世間に広く信じられている。このために会計上『預り金』で整理されることが多い。しかし、これは裁判で『預り金』ではなく、単なる『価格の一部』にすぎないと財務省も認めている。

あまりにバカバカしく絶望しかない日本 その1 《国債に対する誤解》

親爺は、最近あまりにバカバカしくって、ブログを書く気が失せている。あまりに周囲の人たちと、意見や温度差が違いすぎ、虚しい。絶望している。バカバカしいと思うものは、たくさんある。

財務省を追及する数少ない税理士・参議院議員の西田昌司氏

① 国債に対する誤解

国債発行に対する国のスタンスを書いた法律に財政法、財務省設置法がある。日本政府は、経済運営にあたって、原則として財政の健全性すなわち、税収の範囲内で歳出をすると書かれている。つまり国債は発行しないことがベストだと言っている。だが、こんなことを露骨に書いている外国はない。この縛りは、日本が敗戦をしたときに、太平洋戦争の戦費調達のため赤字国債を大量発行したことに対し、二度と戦争をさせないためにGHQが入れさせたと言われる。

国債発行のスタンスは、通貨が金との交換(金兌換という)を保証していたことと関係がある。第二次世界大戦後も、世界は発行する通貨と金の交換を保証していた。ところが、アメリカがベトナム戦争を続けるのに戦費が不足し、金の交換を保証しなくなった。これをニクソンショックといい、世界は管理通貨制度へ移行した。これを境に各国政府は、自由な裁量で発行額を決めれるようになった。

注意しなければならないのは、国の実力(生産力)以上に通貨を発行すれば当然インフレになる。為替が、貿易の需給、金利や実力(ファンダメンタルズ)で決まる変動相場制をとっていれば、為替安になる。外国製品の輸入が困難になる。過去に固定相場制度を取っていたイギリスが、ジョージ・ソロスに国債を売り浴びせられ、国債価格が暴落、イギリス政府は大損したうえ、固定相場を放棄し変動相場制へ移行せざるを得なくなった。当時のイギリスが、EU加盟にも関わらずポンドを使っていたのはこのためだ。結果的に、ユーロを使わずかえって良かったともいわれる。

管理通貨制度と変動相場制をとることで、政府は国債の発行額を自分で決めれるようになった。ここで、過度な発行は為替、国債価格の低下(通貨安)を引き起こし、インフレを生じさせる。逆も真である。

日本にもっとも大事なのは、政府は日本の生産力に見合った通貨発行量を供給できていないことだ。今の日本は、企業が内部留保(黒字)をため込み、銀行から借金をする設備投資をしなくなっている。つまり、通貨の流通量が足りていない。もう一人のプレイヤーである政府がその不足額を供給しなければならない。財政支出を増やさなければならない。

ところが冒頭に書いたように、GHQの方針通り、また、法律の後ろ盾がある財務省は、今の国債を発行は一時的であり、究極的にゼロを目指している。敗戦直後からバブル崩壊まで続いた高度成長期は幸運に恵まれ、国債を発行せずとも、民間企業が積極的に設備投資のために借金をつづけたから、通貨流通量が豊富で、国民の財布にも行き渡って成長ができた。

財務省は相変わらず国債の発行を嫌がるだけでなく、将来の災害にそなえて歳出余力を蓄えるために増税するという真逆のことを言い出している。経済の専門紙を自認する日本経済新聞は、その主張をもっともらしい顔で拡散し続けている。

①はおしまい つづく

羽田空港 《いいかげんな日本のテレビ》海外の報道と衝突炎上事故の犯人さがし

2024年元日に、北陸で震度7の大地震が起こった。2日には、羽田空港の滑走路上で、海上保安庁のプロペラ機が日航のエアバス機と衝突、爆発炎上した。日航機の乗員乗客は、幸い無事に脱出できたが、どちらも悲惨な大災害、大事故であり、被災者の方や死亡者の方には言葉もない。

このどちらも、海外でも大ニュースとして報道されている。親爺が思うには、海外のニュースの取り上げ方は、日本よりはるかに客観的に事実を見て、詳しい。日本のテレビの報道は、あまりに一部だけを切り取って感傷的で漠然としており、延々と繰り返すばかりである。

元日におこった北陸の地震は、未だに被災状況の詳細が分かっていない。

海外の報道の切り口は、現在の建築基準法の耐震基準を満たしていない古い木造住宅でとりわけ倒壊の被害が大きく、冬の寒い中、多くの人々がホームレスになって、救援の手がとどかず人命の危機ではないかと放送している。つまり、日本という国が、どのように対処するのか注目している。

羽田の衝突事故は、日航機の乗客と乗員は無事だったものの、海上保安庁のプロペラ機は乗員5名が死亡、パイロットが重症になるという痛ましい事故だった。こちらも、海外のメディアは盛大にこれをとりあげている。こちらは、エアバスの乗員の活躍で、乗客乗員全員が奇跡的に助かったと称賛しているのは間違いない。

しかし一方で、このような過密ダイヤで、離着陸が難しい空港で、このような「ヒューマンエラー」が原因と思われる大事故が起こったのか、それも先進国といわれた日本でなぜ起こったのか、かなり懐疑的に報道されている向きがある。日航機には、コックピットに3人の操縦士がおり、海保機には操縦士が2人いた。世界各国は他国のことを露骨に非難しないが、日本がどのように対処するのか、注目しているのは間違いない。(現に正月以来の株価は、軟調である。)

France 24から

この航空機事故では、きょう(1月6日)の段階では、テレビは、海上保安庁の機長が、管制塔から誘導路で待機する指示を、滑走路の中で待機すると勘違いしたのが事故の原因で、警察が業務上過失致死で捜査していると報道されていることが多いようだ。

ところが、深田萌絵さんの動画では次のことを指摘されている。

  • ① 実際に管制塔と海保機で交わされた英語(”Taxi to holding points C5”(誘導路C5で待機しろ)と”Taxi into holding points C5”(C5滑走路で待機しろ)という表現は、紛らわしいので、国際的には変更されて使われてない表現である。最新の言い方は、”Hold short of “(~の手前で待て)をつけて言う。
  • ② 海保機には、最新のトランスポンダー(1秒ごとに自機の位置、高度を発信して周囲の航空機に知らせる装置)が装備されていなかった。これがあれば、着陸してくる日航機も滑走路上の海保機に気付く可能性があった。
  • ③ 管制塔にレーダー監視員がいなかった。管制塔のレーダーには滑走路に入った航空機を識別できた。
  • ④ 空港のストップライト(離陸許可が出た航空機に、地面に設置されたライトの列が航空機を滑走路に誘導する装置)が、昨年暮れから故障していたが、修理されていなかった。

同様なことを指摘しながら堀江貴文氏は、この事故を運輸安全委員会ではなく、警察が取り調べを始めていることに、原因が正しく究明できないのではないかと危惧されている。運輸安全委員会では、発言内容が法的に免責されるので正直に話すが、警察の取り調べは、刑事責任を問われる可能性があるため、正直に話さないだろうという。関係者が正直に話して、事故原因を正しく知るということが、犯人捜しより大事なことは言うまでもない。

おしまい