親爺は、文化放送のラジオ番組『おはよう寺ちゃん』という番組が好きでよく聞いている。6月12日に流されたこの番組で、イギリス在住の著述家めいろま(谷本真由美)さんが、BBCが『日本の痴漢動画販売の闇を暴く』というドキュメンタリー番組を放送したという話題が、東京とロンドンをつないで取り上げられた。
めいろまさんは、『世界のニュースを日本人は何も知らない』というシリーズがワニブックス新書で大ヒットして、あっという間に、シリーズ4冊目が売られている人気作家である。
そんなで、早速、そのBBCのドキュメンタリー番組を見てみた。

これがあまりにすごい内容だ。ざっくりと内容を書けば、日本に住む中国人の仲間たちが、東アジアの各国(シンガポール、中国、韓国、台湾、日本)から痴漢など性犯罪のビデオを集めたサイトを目ざとく3つ作り、月に何万ドルもの金儲けをしている。それらの動画は《やらせ》ではなく、実際に行われた性犯罪行為の実写である。
この番組は非常によく出来ていて、日本の鉄道警察隊の刑事たちががラッシュアワーの地下鉄の駅でチームを組みながら張り込み、痴漢と思しき犯人に目星をつけ、怪しい動きをする男を確保して事情聴取する様子が実写で出てくる。他にも、列車で痴漢が捕まる場面も流される。ナレーションとともに「毎年、数千人の痴漢が逮捕され、多くは少額の罰金が科される。」との字幕が流れる。
おなじく、番組では日本人と中国人の女性が、それぞれ通学時に毎日痴漢被害に遭遇し、尊厳や自己肯定感を無くしてしまう経験が、悲痛に語られる。日本人女性は泣き寝入りをするのだが、中国人女性は自分で犯人を押さえて警察へ連れて行く。
若い時分に痴漢にあった女性たちが、電車での痴漢を無くす運動をしている様子も、番組は平行しながら取り上げる。
この番組を作ったBBCのメインの記者は、中国広州出身の女性記者である。彼女は、被害にあう女性を取材したり、日本の風俗「痴漢電車」へ取材に行き、その経営者と従業員である風俗嬢たちを取材する。この風俗店では痴漢がアミューズメントとして体験できる、と紹介されている。
やがて、番組はこれらの動画がどこで作られ、どこで流して、誰が儲けているのか追及を始める。このプロセスが、ドラマ並みの迫力で、記者だけでなく、音楽バンドの大物スカウトに扮したBBCの覆面記者が、中国人バンドに接触し、サイトの元締めである主犯人物にアプローチする。
最終的には、この女性記者と覆面記者たちは、主犯人物のマンションを突き止め、突撃し、罪を認めさせようとするのだが、主犯の中国人は逆ギレして、記者たちに暴力を振るう。主犯は、成田空港から出国したということも報道される。
このなかで、BBCは「公共の場で女性が性的に暴行されるのは、世界各地に起きている現象です。けれども日本では社会全体にはびこる問題です。」との字幕が流れるのだが、この言説に親爺は共感する。
おっしゃるとおりです。日本はいろんなことが歪んでいるのです。
