映画『茶飲み友達』 タブーのシニア性事情

2022年に公開された映画『茶飲み友達』を前から観たかったのだが、ようやく昨日(2024.6月)、Amazon Prime Video でSD版を300円で観た。(HD版は400円)

https://eiga.com/movie/95750/ →こちらは、映画.COMのページのリンクで、あらすじや配役などが分かる。

映画は、孤独な高齢者男性が、「茶飲み友達、募集」と書かれた3行広告を見つけるところから始まる。電話を掛けると、そこは高齢者向けに性的なサービスを提供するところだった。働いているキャストは、やはり高齢女性で生活苦で自殺しようとしていたり、ギャンブル依存症だったり、万引きをする女性だったりする。この団体は、非常に好評で繁盛していく。経営者のまなは、間違ったものを許さない愛情のない母親に育てられ、風俗で生計を立ててきた経歴がある。まなは、正しくないものの中にも必要なことはあり、違法でも救いのあることがあると考える。高齢者の性はタブー視されがちだが、マッチングすることで、高齢者の男女の双方が生きがいを見つけ楽しく暮らせる可能性を信じている。日本の法律では、経営者が介在して売春(管理売春)することは、違法である。

その団体、ティーフレンドは客が目標の1000人を超え、売り上げも増え繁盛する。働く若者たちも希望をつかみ始める。そして突然、悲劇が起こる。これ以上言うとネタバレになってしまい、観る気が失われると思うのでやめる。

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社会から忘れ去られた高齢男性の枯れることのない性欲と、生きる場所を失った高齢女性が、肯定感や存在を認められることで生きがいを再発見するさまが描かれる。

現実には、性的なサービスを提供するが、管理売春を避けるため本番行為はNGである風俗店はそこらじゅうにある。最近は、女性向けの風俗店もたくさんできて繁盛しているようだ。多くはデリヘルと言われ、キャストがホテルへ派遣される。本番行為は行わない建前だが、男性客の9割は本番行為を求めるという。それにキャストが応じているかどうかは分からない。

この映画で問題となっているのは、年寄同士の男女がホテルで絡み合うとき、売春行為があれば犯罪になるという、くくり(括り)を問題にしている。

監督の外山文治さんは、似たような高齢者の売春事件を目にし「摘発された後の高齢者たちはどうなってしまうのだろうということ。法に触れることはNGだとしても、自分の中の正義感が揺らぎました。摘発しなくても良かったのではないか、こういうことで救われる人がいるならば白黒つけずにおいても良かったのではないかと。」と語る。親爺もそう思います。

なかなか良い映画です。

おしまい