SINKING 沈む国 《日本経済が「コロナ危機」にこれほど弱い根因》

2010.5.14 ——————-

当初以下のように書いていた。しかし、アトキンソンさんいう日本の生産性が上がらないのは中小企業が原因だとしても、いきなり中小企業に廃業を求め、その従業員を生産性の高い企業で働くように集約するのが良いとしても、労働者の流動性には時間がかかるので、負の影響(例えば、自殺者が出るとか)が大きいと思うようになった。

つまり、現下のコロナのような問題を抱えているときに、この機会を捉えて、中小企業を切り捨てる政策をとると、労働者が新しい職場をすぐに見つけられるとは思えない。多くの生活ができない人が生じるのは確実な情勢で、まずはその人たちを救うことが最優先だと思う。

そのためには、まず財政拡大をして、人々を救い、経済を回復させる必要がある。そして、経済再生を果たしたときに、中小企業の生産性を高める方策をとるべきだ。

2020.4.26 ——————-

デービッド・アトキンソンさんが、意味深長なことを書かれている。

今回の新型コロナの件で、国力のない国が大きなダメージを受けているという話なのだが、国力のない国には、中小企業が多すぎるという。

《各国とも多少の違いはありますが、小規模事業者が多いという共通点があります。それが原因で生産性は低迷し、女性の活躍は進まず、貧困率が上昇し、GINI指数で見た格差が拡大し、財政も悪化、さらには少子化も進行するという諸問題を抱えています》

日本経済が「コロナ危機」にこれほど弱い根因   ←クリックして下さいね。

その国の頭文字を並べると、SINKINGになるという。つまり、・・・

  • S スペイン
  • I イタリア
  • N 日本
  • K 韓国
  • I イギリス
  • N ニュージーランド
  • G ギリシャ

わかりますよね。つづきは、東洋経済に書かれたアトキンソンさんの文章を読んでください。アトキンソンさんは、財政赤字に対する評価や、為替レートの影響などについて、触れられないのが残念ですが、彼の主張はとても的を得ていると思います。

なお、主は、財政の悪化が、財政支出ができない原因の全てだと考えているわけではありませんが、《財務省》のいう巨額の財政赤字が足枷になっているということが、広く日本社会でコンセンサスを得ているのは間違いありません。

しかし、国が自国通貨でいくら借金してもインフレにならなければOKというMMT理論(現代貨幣理論)も言われています。現実に、MMT理論の登場以前の何十年間も、日本は財政赤字を続けていますが、インフレになるどころか、デフレを脱却できていません。

これは、財務省やマスコミが信奉するクラシックな経済学が間違っており、今回のコロナによる各国が積み上げる財政支出によって、インフレになるのかならないのか、壮大な社会実験を意味すると思います。

おしまい

 

「国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか」デービッド・アトキンソン

2010.5.14 ——————-

当初以下のように書いていた。しかし、アトキンソンさんいう日本の生産性が上がらないのは中小企業が原因だとしても、いきなり中小企業に廃業を求め、その従業員を生産性の高い企業で働くように集約するのが良いとしても、労働者の流動性には時間がかかるので、負の影響(例えば、自殺者が出るとか)が大きいと思うようになった。

つまり、現下のコロナのような問題を抱えているときに、この機会を捉えて、中小企業を切り捨てる政策をとると、労働者が新しい職場をすぐに見つけられるとは思えない。多くの生活ができない人が生じるのは確実な情勢で、まずはその人たちを救うことが最優先だと思う。

そのためには、まず財政拡大をして、人々を救い、経済を回復させる必要がある。そして、経済再生を果たしたときに、中小企業の生産性を高める方策をとるべきだ。

2020.1.8——————-

デービッド・アトキンソンの「国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか」を読んだ。彼は、イギリス人で日本の国宝を保守する小西美術工藝社の社長である。これまで、東洋経済に経済記事をよく連載しており、従来の経済学者にはない着眼点が新鮮で、「新・観光立国論」、「新・所得倍増論」、「日本人の勝算」など、ずっと読みたいと思っていた。彼は、とても説得力のあることを言うのだが、日本の経済学者からは「経済学の博士号を持っていないでしょう!」と言って、取り合ってくれないと嘆いていた。これほどまでに、アカデミズムの世界は閉鎖的なのだ。

彼は、1965年イギリス生まれ、オックスフォード大学日本学科卒業。ソロモンブラザーズを経て、ゴールドマン・サックスのパートナー(共同出資者)まで昇進する。

Wikipediaによると次のように書かれている。

  • アナリストを引退して茶道に打ち込む時期を経て、日本の国宝や重要文化財などを補修している小西美術工藝社へ2009年に入社し、2010年に会長就任。2011年に社長兼務となって経営の建て直しにあたった。その後は日本の文化財の専門家として、日本の文化財政策・観光政策に関する提言なども行っている。東洋経済新報社の著書『新・観光立国論』で第24回山本七平賞を受賞した。2015年5月より東洋経済ONLINEにて文化財・観光・経済政策に関する題材を中心とした連載を開始。2016年より三田証券株式会社の社外取締役に就任。2017年6月より日本政府観光局の特別顧問に就任。
  • 日本の観光業界・行政が売り物にする「おもてなし」が外国人旅行者から見ると優先度が実は低いと指摘。長期滞在してもらえる仕組みづくりやガイドの配置、公衆トイレといった環境整備が遅れていることに苦言を呈している。また日本経済に関して、人口減少社会と少子高齢化社会における生産性向上の必要性を主張し、そのための賃上げや中小企業統合の政策を提言している。

同じく、Wikipediaからの引用であるが、次のような経済関係の書籍を出版しているのだが、日本の景気の悪化に比例して、彼の危機感が深まっているのが分かる。

  1. 『銀行―不良債権からの脱却』日本経済新聞社、1994年
  2. 『イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る』講談社+α新書、2014年
  3. 『新・観光立国論』東洋経済新報社、2015年
  4. 『イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」』講談社+α新書、2015年
  5. 『国宝消滅』東洋経済新報社、2016年
  6. 『新・所得倍増論』東洋経済新報社、2016年
  7. 『日本再生は、生産性向上しかない!』飛鳥新社、2017年
  8. 『世界一訪れたい日本のつくりかた』東洋経済新報社、2017年
  9. 『新・生産性立国論』東洋経済新報社、2018年
  10. 『日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義』東洋経済新報社、2019年
  11. 『日本の生存戦略―デービッド・アトキンソンと考える 』東洋経済新報社、2019年
  12. 『国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』講談社、2019年

とうとう、(彼の忠告をいつまでたっても受け入れない)日本経済の悪化は来るところまで来て、『国運の分岐点』まで来たというのだ。そうなった原因は、日本の中小企業の多さと、これまでの政府の振興策にあるという。バブル崩壊までの日本の高度成長期は、人口の増大した時代で、高度成長も人口の増加の好影響によるものだと分析する。ところが、バブル崩壊とともに日本は、少子高齢化が進み、人口減少の時代に入っている。

中小企業の振興策(税制の優遇など)は、人口増大時期に雇用場所を提供するためには正しい政策だったが、人口減少へと方向性が変わった今では、生産性(=賃金)が上がらない第1の原因であり、そのために中小企業を統合し、数を減らし、生産性(=賃金)の上昇をさせることが必須だというのが結論である。

何時までたっても、日本の経済が良くならない責任は、日本の企業の経営者にあり、日本は経営者天国だという。また、政府の施策、通商産業省の中小企業政策は、ここ何十年間も有害だったという。こうしたことは、中堅企業経営者の団体「経済同友会」や中小企業の社長たちの団体「日本商工会議所」が言う、「最低賃金を上げると多くの中小企業が倒産し、雇用が失われる」という発言に良く表れているし、政府も中小企業の団体を含めた財界への支援を、票が欲しいがために減らそうとはしない。彼の主張は、中小企業が統合することで、労働環境のよい職場に集約され、生産性(=賃金)が上昇する。労働者は困らない、困るのはその必要以上に手厚い保護を受けてきた中小企業の経営者だけである。

いま、手を打たないと、地震や自然災害が多発すると、財政的に余裕のない日本を助けてくれるのは、アメリカを含めて西側には誰もおらず、多額の融資でアフリカを植民地化してきた中国だけであり、日本は中国の属国になってしまうのではないかと言う。

主は、昨今の「企業が多額の内部留保を溜め込んでいるのに、何故、賃金が上がらないのか」という疑問に対する分析は、様々に言われるが、デービッド・アトキンソンのこの主張が、目新しく、一番説得力があると思う。(勿論、プラザ合意による為替レートの円高、世界基準の会計基準への変更、ハゲタカファンド、現在の量的緩和の評価、アベノミクスなどに触れていないのが物足りない面があるが、あえて、議論を単純にして、分かりやすくしているのだろうと思っている。)

おしまい

 

エブリバディ・ノウズ【日本病】その3 「『半分、青い。』でわかる日本経済の無策」でわかる平均的経済評論家像


ーーーーーーー Rewrite 2021/7/8 ーーーーーーー

以前は下のように考えていたのだが、MMT(現代貨幣論)を知り、考えが間違っていたと気づいた。

つまり、主は、黒田日銀の金融政策である量的緩和によるアベノミクスを支持していたのだが、これではうまくいかないと思うようになった。 つまり、この量的緩和政策の具体的なことを言えば、政府が大量の国債を発行し、市中銀行が引き受け、これを日銀が買い入れることで国内の通貨供給量を増やし、低金利への誘導と相まって、銀行の貸し出しが増えることで、投資が増え景気が良くなるという考えである。

しかし、MMTを勉強すると、このように通貨の供給量を増やしたところで、投資環境が改善しないと、民間企業は借金して投資しない。通貨が、銀行の残高として「ブタ積み」の状態になって留まるにすぎない。デフレの状態では、手元の現金の価値が自然に上がっていくので、企業は投資しようとしない。投資するより、しない方が得だからだ。

ところが、このMMTでは、実際に国債を使って政府が支出をする。実際に国民の手にお金を渡すことが、肝である。同時に、政府は民間とは違い、インフレにならない限りにおいて、いくら国民にお金を渡しても問題が起こらない。そこが根本的に違うところだ。(細部は、他のMMTの項目を見てください。)

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日本は病気だと、主は確信している。経済評論家が語る経済の内容があまりにも貧弱だ。素人同様の評論家が多すぎる。

MSNニュースに小宮一慶(以下、敬称略)が書いた「「半分、青い。」でわかる日本経済の無策」というプレジデントの記事が転載されている。朝ドラの話でもあり、興味を持ってさっと楽しく読める。

半分青い

このドラマは、高度成長期の終わり1971年に生まれたヒロインのすずめが、少女漫画家を目指す。日本経済は、彼女が高校生の時にバブル期に突入、これは5年ほどで終わり、その後25年間続くデフレの現在へといたる、挫折や波乱を経験しながら成長する物語だ。

小宮一慶は、NHKから経済面の時代考証である『経済考証』を依頼され、内容をチェックしているということで、経験に裏付けられたバブル時のエピソードなどが面白い。また、時代の変遷が要領よくまとめられている。

だが肝心の、結びの部分が駄目だ。多くの経済評論家同様、彼はこう書いている。

  • 現在は、バブル期など比べ物にならないほどの超金融緩和政策アベノミクスでなんとか景気を維持していますが、しょせんはカンフル剤でしかありません。
  • 人口減少や高齢化がますます進み、対名目GDP比での財政赤字が先進国中で最悪という状況下で、「本物の成長戦略」が望まれますが、なかなかこれといった処方がでてきません。
  • またドラマの経済考証担当として、今後、日本が得意とする製造業やおもてなし上手のサービス業などがその技に磨きをかけ、さらには規制緩和により農業などを「強い」産業にしていく、といった施策が必要だ、とつくづく感じています。

アベノミクスの金融政策の処方箋が「カンフル剤」と表現されることは、よくあるものだが、カンフル剤とは、要は一時しのぎなので、早く正常な軌道に戻せということになる。カンフル剤とは、何時までも使えないという認識を示している。異次元の量的緩和は、過去20年間の日銀の無策と比べると異次元ということであって、経済の成長に市中の通貨の流通量が不足すると、経済成長の足を引っ張る。実際に日銀は、金融政策ではずっと無策で、プラザ合意の円高不況後のコントロールに失敗し、バブル崩壊とともに日本経済はハードランディングしてしまい、為替が原因の不況がずっと続いている。その間、政府は”Too small, Too late”と言われる景気対策を何度も打ち出すのだが、効果は上がらず、現在の財政赤字が積みあがった原因である。

2008年のアメリカ発のリーマンショックによる世界的な不況は、世界中を覆ったが、不良債権が一番少なかった日本が、一番遅くまで景気回復できなかった。これはアメリカとヨーロッパがいち早く、市場へ通貨供給量を増やしたのに対し、日本は、安倍政権と黒田日銀が登場する2012年まで、通貨供給量を増やさなかったためだ。金融緩和政策は、アメリカもヨーロッパも日本以上に緩和をしてきたのであって、実際に経済が上向くまで続けなければならない。

下は、日経新聞に載った世界の通貨供給量のグラフだが、日本はこの通貨供給供給競争に乗り遅れたことが読み取れる。このグラフを見ると、世界中の通貨供給<緑線>がGDP<青い部分>を越えてしまいカネ余りが起こりっているのが分かる。リーマンショックの2008年を見ると、GDPが下がったのに対し、世界は通貨供給量を増やしたことが読み取れ、何もしなかった日本が取り残された。

ちなみに2014年の低下は、原油価格の下落によるロシア、ドイツなどの低下が要因だ。

世界の通貨供給量
2017/11/14日経新聞「世界のカネ1京円、10年で7割増 実体経済と乖離鮮明」

量的緩和は「カンフル剤」だからといって、もし量的緩和を急にやめれば、日本は確実に死亡するだろう。日銀は買えるだけの日本国債だけでなく、日本株や不動産投資信託と言われるリートなども大量に引き受けている。この量的緩和により、一定程度の円安が実現できている。日本の景気が十分回復し加熱しはじめる前の段階で、量的緩和を止めると表明したら終わりだ。この政策は、ノーマルだと考えるべきだ。

人口減少や高齢化は間違いなく大問題だ。だが、財政赤字の問題は別次元の問題だ。一つには家計や企業と、政府の借金を同一レベルで考える愚が、世間に蔓延している。しかし、「日本に財政問題はない」と正面からいう学者に高橋洋一もいる。

高橋洋一

高橋洋一はこの本の帯に次のように書いている。

  •  □国債は日本の借金。だから、少なければ少ない方がいい。
  •  □国債は、発行されればされるほど、国民の負担が増える。
  •  □国は出来るだけ「節約」して予算を減らすべき。
  •  この中に、1つでも「そのとおりだ」と思うものがあっただろうか。もし、あったならば、あなたは「一国の経済」というものを間違って理解している。

巨額の財政赤字の原因だが、過去の財政政策(公共事業や減税)は、いずれも小出しで、かつタイミングが遅れ、適切な金融政策(量的緩和)を取らなかったた。このために、一向に経済が上向かずに失敗し、ずるずる借金だけが積みあがった。アベノミクスの開始で、ようやく金融政策の舵取りを変更し、1年目に為替安と株高が起こり大成功した。しかし、生みの親の浜田宏一があれほど反対したにもかかわらず、2年目に消費税を5%から8%に上げた。その結果、低成長が続きデフレ脱却もはっきりしなくなった。いずれの施策も、ドカンと徹底的にやらないとだめだ。

同じ意味あいだが、来年10月に消費税を10%に上げると法律で決まっているが、実際にそうなれば、マイナスの影響は大きく致命的だろう。リフレ派(安倍首相や浜田宏一、高橋洋一などのマイルドインフレ肯定派)に対し、反対派(=財政再建派、多くの政治家、マスコミ)の方が多く、反対派は、アベノミクスを止める出口戦略を語りたがる。アベノミクスは社会のインフレ「期待」へと変化させるところに目的があるのに、出口戦略を語ること自体がベクトルが逆だ。

小宮一慶の話に戻ろう。日本の今後の施策として「日本が得意とする製造業」「おもてなし上手のサービス業」というのは、従来の固定観念に縛られていて陳腐だ。

小宮一慶は、バブル崩壊の端緒としてプラザ合意に触れている。その後の日本の製造業の不振に、エルピーダメモリの倒産、シャープ、東芝、サンヨーなどの白物家電の身売りなどがぱっと頭に浮かぶが、これらはずっと続いている円高の影響が大きい。日本の製造業にとって、国際競争力という観点から為替レートが一番影響が大きい。「日本が得意とする製造業」は、もちろん新しいアイデアや技術革新も重要だが、基本的に円安であることが前提だ。

「おもてなし上手のサービス業」は、日本のどこにあるのかと主は思う。日本には「おもてなし」などない。オリンピックの招致で、滝川クリステルが「オ、モ、テ、ナ、シ。オモテナシ」と言うシーンが何度も流れたが、あれは日本人の自己満足だ。日本にあるのは、せいぜい安全、清潔といったところだ。

コンビニで客が代金を支払った瞬間、店員が客に小銭を渡そうとし、「たいへんお待たせしました!」と心をこめずにイヤイヤ頭を下げる。客は、財布に釣銭を戻すのに大慌てになり、四苦八苦する。この店員のどこが、おもてなし精神なのかと思う。主はブラジルで生活していたが、レジでは、お金のやりとりに急ぐところがなく、女性の店員が、心の底からにっこりと微笑んでくれて気持ちが良かった。これが本当のおもてなしだ。

デービット・アトキンソンが、日本人の多くが、温泉旅館の接遇をおもてなしだと誤解していると書いている。日本旅館で女将が正座して頭を下げ、女中が運んだ懐石料理を食べて日本人は満足しているかもしれないが、欧米人は違う。彼らは、1か所に何泊もしたい。また、家族全員が一部屋に泊まる風習はない。何日も同じ懐石料理を食べたくない。また日本の温泉地は、夜に出かける魅力的な場所がない。料理を食べて温泉に入ったら、寝るしかない。これをおもてなしと思えと言うのでは、外国人理解が足りていない。

新観光立国論

最後だが、「規制緩和により農業などを『強い』産業に」と書かれているが、これ自体には異論がない。しかし、『強い』産業というからには、国際競争力があることが前提であり、一定の円安基調が必須だ。日本はプラザ合意後の円高を、涙ぐましい努力で乗り越えようとしてきたが、その努力には限度がある。むしろ、その努力(節約志向)はデフレマインドを招く。このためにも金融政策が必須である。

結局のところ、小宮一慶は法学部出身であることもあり、その後も金融機関を経て経営学や会計学の畑を歩んできている。このため、従来の一般常識や固定観念の域を出ていないと思う。もちろん悪いことではないが、マクロ経済を語るのであれば、その後にしっかり勉強すべきだ。

ちなみに、もし主が日本の処方箋を書けと言われたら、こう書くだろう。

 

  • ① 40代、50代の経営層の一掃(不況をいつまでも脱せないのは、この層が投資をしないからだ。儲けを新規投資ではなく、楽なM&Aにつぎ込み失敗する例が多い) 
  • ② 財務省の財政赤字キャンペーンの公式訂正(これは国民全体で真剣に議論すべきだ。あらゆるところで足枷になっている) 
  • ③ 消費税の5%への減税。同時に、高所得者、企業への累進税率のアップ 
  • ④ ベーシックインカムの国民的議論 
  • ⑤ 医療の見直し(あまりにも日本の医療が島国化し、めちゃくちゃ無駄遣いされている。介護費の増加にもつながっている) 

そんなところかな。

つづく