日経新聞のいい加減さ 真逆へ世論誘導

日本は30年来の経済不況と言われている。この要因は、人口減少、高齢化など様々な要因が言われるが、親爺は《為替レート》が非常に大きな要素だと思っている。

日本は第二次大戦後に目覚ましい復興を遂げるだけでなく、《ジャパン・アズ・ナンバーワン》という本がアメリカで出版されるほど好景気に沸いていた。

逆にアメリカは日本からの輸出に赤字が爆増、テレビでは日本からの輸入車をアメリカ人労働者がハンマーで壊すテレビ映像が連日流されていた。

1985年9月、アメリカは、G5である英国、フランスとともに、日本とやはり経済が好調だったドイツを呼び出し、為替レートの切り上げを要求した。この時の会合がニューヨークのプラザホテルで行われたために《プラザ合意》と言われる。もちろん、輸出産業にとっては、為替レートの切り上げは国際競争力の低下を意味する。

この時、日本の政治家と日銀総裁はアメリカの言うことをすぐに受け入れた。為替の《是正》という表現が使われたが、日本のバカな政治家たちはアメリカにやすやすと屈し、円高を容認し、これを機に日本は円高不況へ突入する。政府は円高不況に対し金利を下げたり不況対策を打つのだが、投資先を失った大量の資金は不動産へと向かい、バブルとなる。やがて、ハードランディングしてバブルは弾け、日本の不況は現在まで30年続くことになる。

この時、ドイツもマルク高の是正を求められたと言われている。しかし、EU創設の機運は1970年代頃から始まり、共通通貨であるユーロの開始以前から、欧州地域内の通貨共同フロート・メカニズムのせいで、ドイツの為替変動の幅は抑制されていた。経済のしわ寄せは、域内のイタリアやスペインなどの弱い国へと向かったが、ドイツは、EU域内で有利な交易条件を保てた。

ウィキペディアから プラザ合意の前後5年間のG5の為替レートの推移

上のチャートは、”Plaza Accord”と書かれた水色の破線が縦に入っているが、プラザ合意の前後5年間の為替レートの推移が示されている。対ドルの表なので、ドルが水平と考えたときに残りの通貨の水準がいくらになるかを示したものだ。 赤線がフランスのフラン、紫が日本の円、水色がドイツのマルク、緑がイギリスのポンドであり、アメリカ・ドルに対する比率を示している。 

見てのとおり、日本だけが4から6の水準にあったものが、2以下になっている。つまり、倍以上の円高になったわけだ。

同じ内容だが、円とマルクの為替レートの推移を下に示す。こちらは、1957年から2023年までの推移を示している。

上が1ドル360円時代から現在の1ドル130円ほどへと変化した日本の為替レートの変化である。日本は、プラザ合意を境に、倍の円高になっている。

下が同じ時期のドイツである。目盛りに注目してもらいたいのだが、そもそも日本と目盛りの幅がドイツとは違う。日本は、8倍の差がある。ドイツは4倍である。

似たような印象の二つのグラフだが、1970年代の水準から見ると、日本は倍の為替レートに上がっているが、ドイツは5割増し位である。しかも、1980年頃には現在と同じ水準の時期がある。つまり、ドイツは日本ほど為替レートが変化をしていない。

こうして日本は、為替レートが倍になり、輸出企業は競争力を半分失った。早い話、日本の政治家と日銀総裁たちは、プラザホテルで判断を誤ったのだが、誰も失敗を認めていない。経済専門紙を自称する日経新聞は、円高が契機で始まった不況だが、円高は円の信認が増した、良いことだとずっと持ち上げてきた。

通貨が高かろうが安かろうが国民にとって何の関係もない。通貨の信認が増し、日本の国が国際的に評価されたから円高が起こるという書き方を日経新聞はするが、信用力が上がったとしても、国民の腹は満たされない。そもそも、国際貿易が普通に決済されているということは、円に信認があるということだ。こうして、30年間、国民が円高を喜んでいたら、日本経済は空洞化した。

日本の製造業は壊滅し、ほどんど国内で売られている製品は、中国製などになった。スーパーで売っているもの、100均で売っているもの、非常に多くの品物が輸入品に置き換わっている。ごく一部の競争力の残っている工業製品や食料品などを除き、ほとんどの品が国際競争に負け日本で作られていない。製品だけでなく、無形資産であるデジタルの分野も、世界から2周遅れと揶揄されるほど悪い。

結局、日本は国力を失ったのである。日経新聞の責任は重い。

おしまい

デフレの30年間に「萎縮」した日本人 その1

2019年10月号 POLITICS [特別寄稿]
by 中野剛志氏(評論家)から

上のグラフは、1985年のプラザ合意を契機にする、バブルの発生と崩壊、円高不況による30年間の日本の低成長を示すものだ。

このプラザ合意によって、日本の為替は240円ほどから120円ほどへと倍に円高になった。上の表で、1985年と1995年では倍くらいにGDPがなっているが、これはドル建てで表記されているからだ。単位を「円」で考えるとやはり水平に近い。おまけに2010年からなんと!下降している。

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親爺は、新型コロナが始まった3年前、西浦教授が何も対策を取らないと、42万人が死ぬと言い、尾身会長が、コロナ専門病院が診療にあたり、保健所が中心になって患者を隔離するというコロナ対策を発表した時、世論は完全に反対!を叫ぶだろうと思っていた。

というのは、42万人が死ぬという根拠[1]が不足していたし、尾身会長が言う保健所が中心になって患者を入院させる体制というのは、データを囲い込むように感染症研究所へと中央集権的に集め、ワクチンや治療薬の開発を主導し、加えて、これまで陽の当たらない存在だった保健所の価値を上げたいからだろうと思った。こうした思惑は、政府にとっても、日本製の薬の開発が成功すれば国民の大きな支持を集められ、同じ動機があるはずだ。誰が見たってこう考えると思っていた。

しかし現実のコロナは、尾身会長らが予想したSARSやMARSのような規模は小さいが強毒性の病気ではなかった。 同時にアメリカなどはワクチン開発で先行しており、病原体を薄めて患者に注射する従来型のタイプのワクチンでなく、ファイザー社などが遺伝子を直接操作するmRNAという新発明のワクチンを登場させ、世界各国はこれを競って購入した。

このコロナに対するワクチン接種とマスク着用の奨励を柱にする対策は、被害が大きかった欧米をはじめとして世界中で解除されているのだが、被害がはるかに少ない日本ではなぜか今も続いている。

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このコロナに対する3年間の日本人の反応が、日本人の「委縮」ぶりを明確に表した。「意気地なし」、「何も言えない」情けなさなのである。

たとえばテレビのコロナのニュースが流す、町ゆく通行人のインタビューは、マスクをした人が写され、異口同音に「自分がコロナにかかって、老人たちに迷惑をかけてはいけないから、しっかりと自粛します。」みたいな優等生っぽい発言ばかりが放送される。「コロナがあろうとなかろうと、体力の衰えた老人は、昔から風邪が原因で亡くなっていた。コロナなんかただの風邪だ。ワクチンなんか打ちませんよ。」という声も他方であるのだが、こうしたトーンのインタビューは決して報道されない。

もちろん、こうしたことを言う知識人もいるのだが、地上波のテレビに出てくることはない。YOUTUBEですら、WHOの方針に反するということで、コロナを批判するとアカウントが停止されるので、ニコニコ動画などで発信したりしているが、そのような事情を知っている国民は少ないだろう。

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テニスのウィンブルドン選手でも、サッカーのワールドカップでも、観客はもうマスクなどしていない。例外は、中国だけだったが、大規模なデモが起こり中国政府は政策をウィズコロナに大転換した。残るは、日本だけである。

親爺は、このコロナで日本のヤンキーたちはどこへ行ったのか?と思うことがある。

《2022年4月のテレビドラマMG5》筋金入りのヤンキー家族の次男坊・難破剛は高校入学を機に、家族には内緒で普通の高校に通い、脱ヤンキーをめざすが……!? 激バカヤンキードリームコメディー!! ヤンキーがマスクするの?(親爺)

ヤンキーたちは、社会に背を向けてオートバイで、マフラーの爆音を鳴らしながら群れを成し、あるいは一人で夜の街を爆走していた。そうした社会に敵意を示す若者が、一定の割合でいるはずなのだが、そうしたヤンキーたちも、今回ばかりはマスクをしているようだ。ほぼほば、マスクをしていない若者たちを見たことがない。どうやら、ヤンキーたちすら、コロナで、自分を表現する居場所を失い駆逐されてしまったように思える。

小中学校の下校時、どんな子供達でもマスクをしている。やんちゃであろうが、ジャイアンであろうが同じく、マスクをしていない子供を見たことがない。

恐るべし、コロナが恐いという報道の浸透と世間の同調圧力!!

話が変わるが、地元の国立大学に合格した最近の受験生は、1~2月の合格通知に浮かれることなくすぐに入学に備えて勉強を始めると、塾を経営する知人が言っていた。

親爺の周囲の若者たちも至って品行方正だ。結婚した若者は、配偶者と家事を分担し、極めて道徳的に生きている。そして、テレビと同じように常識的なことを言い、奇をてらうような変わったことを言わない。

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このように日本人を羊のように大人しくしてしまった原因は、30年にわたる不景気にあり、この不景気が、つまるところ国民を「委縮」させてしまったようにしか親爺には思えない。

1945年の日本の敗戦の後、アメリカに占領され、朝鮮戦争を契機に日本は高度成長を果たすのだが、そのプロセスには、バラ色の成長の陰に、様々な労働運動や学生運動があり、烈しい主張の対立だけでなく、逮捕者や死者が山のように出た。

ところが、高度成長が進むにつれ、労働運動に参加することはダサいという風潮が広がり、学生運動が終焉するにつれ、政治を語るのはダサい、政治を語るめんどうな人物は、KYな(空気を読めない)人物と思われる風潮が広がった。

そうして、高度成長が終わり、バブルが起こりバブルがはじけ、デフレ不況だけが残った時、おそろしいことが起こった。

つまり、他人任せにしていても自分のパイの大きさが大きくなる時代は終わり、片一方で、国民の意識が変わり、政治や思想を語ることは、KYな人物のやること、大人はそんなことをしないという風潮が出来ていた。

おかげで、国民の大半の庶民は、自分より上の立場にあるものに忖度し、逆らわなくなった。「逆らっても何の得もない。」という、そのような意識が出来てしまった。職場でも、近所の付き合いでも、政治的なこと、建設的な意見を言うことは、損になることはあっても得になることはない。そうした感覚が蔓延している。

今の日本で、忖度なしに言いたいことを言っているのは、政治家や経営者など、相対的に強い立場にある者と、生活を失う不安がない気楽な金持ちたちだけだ。(わずかだが、自分の信念を賭けて発言する尊敬すべき人物がいる。)

● 政治家は、軽蔑しながら官僚たちを顎で使い、マスコミの記者たちへ、場面場面で恩を売ったり、媚びへつらったりして態度を使い分ける。

● キャリア官僚は、政治家に媚びへつらいながら、人事権を握っているノンキャリ官僚を軽蔑を露わにこき使う。ノンキャリ官僚は、キャリア官僚の顔色をうかがいながら、政策にもし疑問を持っていても、上が決めたことと諦め、自分の意思を曲げて、監督する立場の省庁や企業などの団体に指導名目で専横を振るう。

● 企業の採用担当者は、会社の経営者や上司に、まったく逆らえないのを自覚しながら、就職希望者の弱みに付け込み、性的関係を要求するものが現れるほど、専横ぶりを発揮することがある。

https://news.yahoo.co.jp/byline/ishiwatarireiji/20210603-00241219 ←近鉄採用担当者が就活セクハラ(YAHOO NEWSから)

● 最近表沙汰になった自衛隊のセクハラ事件では、若い女性隊員が、部隊の上司や同僚から、日常的にキスや胸を触られたりしていたことが明るみに出た。この事件では、5人が懲戒免職、4人が停職になっている。

● あちこちの交番の中で、夜勤で一緒になった男女の警官がセックスするという事件も報道され、すごいなあと思うが、もし同意がなければこれまた恐ろしい事である。

https://www.asahi.com/articles/ASQ792CXLQ78PTLC02H.html ← 朝日新聞の交番の記事

つまり、強い立場の者が弱い立場のものを蹂躙し、反面で、上司や強いものには意見すら言わないという風潮の社会になっている。

意見を言って波風を立てても、何の得にならないとすれば、誰も意見を言わないだろう。それが賢い選択だからだ。しかし、こうした循環が、日本の成長を阻害しているのは間違いない。

その1 おしまい

[1] 「新型コロナで42万人死ぬ」という西浦モデルは本当か 架空シミュレーションで国民を脅す「青年将校」(JBPRESS 2020.4.17(金)池田 信夫からコピー)《4月15日にクラスター対策班のツイッターで出た図》

エブリバディ・ノウズ【日本病】その6 韓国に負ける日本 - 最低賃金

日本は病気だと、主は確信している。 昨日(2018/7/27)、政府は、今年度の最低賃金を平均26円、3%を上げることを決定し、10月頃から実施するという。この3%のアップは3年連続で、マスコミは、来年度には首都圏の最低賃金が1,000円を超え、中小企業の経営が心配と書いているが、1日7時間、1か月20日働くとして、3,640円の増加。年にすると43,680円の増加にしかならず、上げ幅は小さく思い切りが悪すぎる。過去に円高不況に対する日本政府の財政支出が、海外から”Too small, too late”と批判を浴びたが、同じ愚を繰り返している。

朝日新聞記事:最低賃金 首都圏は1千円目前? 中小企業は悲鳴

日経新聞:最低賃金、なぜ上げ幅最高? 3つのポイント 経済

新聞紙面を読むと、上げ幅が過去にない大きさで例がなく、経営者目線で経営に対する悪影響を危惧する論調になっている。だが、この3%、26円というのは、あまりにもみみっちい。

さまざまな視点から日本経済に警鐘を鳴らすデービット・アトキンソン(小西美術藝術工芸社・社長)は、日本は世界に例を見ないほど最低賃金の低い国であり、現在の不況の原因の一つに、最低賃金の低さを指摘し、本来の水準は1,313円だと言っている。現状は、約5割低いということになる。中小企業経営者にとって最低賃金を上げることは、支払い給与が増え、経営を圧迫し、大企業に比べて死活問題になりがちだ。しかし、アトキンソンは、日本の企業数は多すぎ、過当競争に陥っているという。経営効率の悪い弱小企業が日本全体の生産性の足を引っ張っているのは間違いなく、生産性の低い企業は、速やかに退場した方が日本社会にとって望ましい。

東洋経済:「低すぎる最低賃金」が日本の諸悪の根源だ 2020年の適切な最低賃金は1313円

デービットアトキンソン

このアトキンソンは、長引くデフレ状況下における日本人のマインドについて、「良いものを安く提供することがよいことだとしても」、「例えば、500円以下で弁当を提供したり、50円で味噌汁を提供することは、デフレ状況にある日本経済にとって自殺行為だ」という意味のことを言っている。

だが現実は、コンビニやスーパーで売られている弁当類は、500円以下で売られている場合がとても多い。 主は、前々から思っているのだが、「サイゼリヤ」、牛丼の「吉野家」、「松屋」などのような極端に安い単価で食事を提供するビジネスモデルが、同業のレストランの経営を駆逐している面があると思っている。同様に、メーカーが文房具店などで高い値段で売っている商品を、100円均一ショップ向けに製品の分量を減らして100円で販売している。このようなことをすると、目先の売り上げを確保することはできても、競争激化と販売価格の低下を引き起こし、大きく儲けることはできないだろう。書籍では、「ブックオフ」という中古本の販売店があるが、消費者の選択肢は増やすものの、出版不況の一因になっていることは間違いないだろう。また、社会のトレンドも変わり、「メルカリ」で中古品を個人で売買したりするようになった。自動車も個人が所有する比率は昔と比べると、はるかに下がっているだろう。 こうしてみると、昭和の高度成長のように、日本国民全員が牧歌的な中流意識を持っていた時代環境は、今後もう来ないのかもしれない。

そうは言っても、アトキンソンが言うように、日本は生産性を向上させる以外に生き延びる術はない。日本の少子高齢化が加速するだけだとしたら、収入と支出の両方の単価を上げるしかない。給与所得のアップと、付加価値をつけて高い単価で販売することをしないと、日本経済はさらにシュリンクするだろう。さもなくば、税収も低下し、福祉への負担で破綻するしかないだろう。人口減少の割合以上に単価アップしないと、デフレからの脱却は出来ない。アベノミクスで2%の物価上昇という一定のコミットはしたものの、結果は出ていないわけで、さらに強いメッセージが必要だと思う。(アトキンソンは、生産性の向上に技術革新せよと言っているわけではない。高い値段で売れ、儲けを得よと言っているだけだ)

経済学の世界で「実質実効為替レート」という概念がある。

現在の日本の為替レートは、1ドル=110円あたりだ。だが、1985年のプラザ合意以前に240円程度だった円は、120円へと急激に円高となった。その後、政府は円高不況に対する財政出動をたびたび行いバブルが起こり、その処理に、大蔵省の土地融資の総量規制、日銀による急激な利上げを行い、バブルははじけ長い不況が続くことになった。だが、この長い不況の間、為替レートは、一部の例外的な時期を別にすると、1ドル=110円程度を保っている。この25年間は、デフレのため日本の物価は上がっていないが、世界を見渡すとデフレの国は日本しかなく、海外諸国の物価はインフレにより上がっている。これを考慮すると、日本の為替レートは、不当に円安になっていると言われかねないのだ。競争力を維持しようと血のにじむような節約の努力がデフレを引き起こし、その日本人の我慢してしまう性格が元で、為替レートが不当に安いと言われる結果を引き起こしている。次のリンクによると、1ドル=75円位が妥当ということになる。 今、日本では、インバウンドと言われる外人観光客の波が押し寄せて来ている。これはリーマンショック後の円高から、円安に変化したことに加え、日本国内の物価が上がっていないために、外人観光客にとって日本は物価の安い国になった(実質実効為替レートが安い)ことが原因だ。 先進国の中で、マクドナルドのハンバーガーを日本のように500円~600円で食べられる国は少ないはずだ。

やはり、デフレは金持ちに対する優遇策であり、貧しい大半の国民にとってはマイルドなインフレと円安の方が、経済成長による所得の向上が期待できるので、望ましい。

「実質実効為替レートで見れば円安が進んでいる」とは?

ところで、韓国は日本より大胆で、過激な政策を実行している。

朝日新聞:韓国の最低賃金835円に 10年で2倍、日本に迫る

韓国は、なんと最低賃金を2017年に16.4%上げ、2018年には10.9%上げるということだ!!もちろん、韓国経済がうまくいっているとは、主は思っていない。日本以上に問題があるのかもしれない。だが、一人当たりの多くの経済指標で、日本は先進国中で最低となっており、韓国文在寅(ムンジェイン)政権の方が、安倍政権より心意気を強く示しているのは間違いがない。政権もマスコミも同様だが、最低賃金をわずか3%上げて「高率のアップ」と言うようでは、あまりにも経営者に都合の良い判断で、情けない。日本の指導者は「八方美人で腰砕け」の「自己チュー」だとしか思えない。野党はさらにだめだ。

参考までに補足すると、日本の最低賃金は、この10年間でわずか2割ちょっとしか上昇していない。

おしまい

 

エブリバディ・ノウズ【日本病】その3 「『半分、青い。』でわかる日本経済の無策」でわかる平均的経済評論家像


ーーーーーーー Rewrite 2021/7/8 ーーーーーーー

以前は下のように考えていたのだが、MMT(現代貨幣論)を知り、考えが間違っていたと気づいた。

つまり、主は、黒田日銀の金融政策である量的緩和によるアベノミクスを支持していたのだが、これではうまくいかないと思うようになった。 つまり、この量的緩和政策の具体的なことを言えば、政府が大量の国債を発行し、市中銀行が引き受け、これを日銀が買い入れることで国内の通貨供給量を増やし、低金利への誘導と相まって、銀行の貸し出しが増えることで、投資が増え景気が良くなるという考えである。

しかし、MMTを勉強すると、このように通貨の供給量を増やしたところで、投資環境が改善しないと、民間企業は借金して投資しない。通貨が、銀行の残高として「ブタ積み」の状態になって留まるにすぎない。デフレの状態では、手元の現金の価値が自然に上がっていくので、企業は投資しようとしない。投資するより、しない方が得だからだ。

ところが、このMMTでは、実際に国債を使って政府が支出をする。実際に国民の手にお金を渡すことが、肝である。同時に、政府は民間とは違い、インフレにならない限りにおいて、いくら国民にお金を渡しても問題が起こらない。そこが根本的に違うところだ。(細部は、他のMMTの項目を見てください。)

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日本は病気だと、主は確信している。経済評論家が語る経済の内容があまりにも貧弱だ。素人同様の評論家が多すぎる。

MSNニュースに小宮一慶(以下、敬称略)が書いた「「半分、青い。」でわかる日本経済の無策」というプレジデントの記事が転載されている。朝ドラの話でもあり、興味を持ってさっと楽しく読める。

半分青い

このドラマは、高度成長期の終わり1971年に生まれたヒロインのすずめが、少女漫画家を目指す。日本経済は、彼女が高校生の時にバブル期に突入、これは5年ほどで終わり、その後25年間続くデフレの現在へといたる、挫折や波乱を経験しながら成長する物語だ。

小宮一慶は、NHKから経済面の時代考証である『経済考証』を依頼され、内容をチェックしているということで、経験に裏付けられたバブル時のエピソードなどが面白い。また、時代の変遷が要領よくまとめられている。

だが肝心の、結びの部分が駄目だ。多くの経済評論家同様、彼はこう書いている。

  • 現在は、バブル期など比べ物にならないほどの超金融緩和政策アベノミクスでなんとか景気を維持していますが、しょせんはカンフル剤でしかありません。
  • 人口減少や高齢化がますます進み、対名目GDP比での財政赤字が先進国中で最悪という状況下で、「本物の成長戦略」が望まれますが、なかなかこれといった処方がでてきません。
  • またドラマの経済考証担当として、今後、日本が得意とする製造業やおもてなし上手のサービス業などがその技に磨きをかけ、さらには規制緩和により農業などを「強い」産業にしていく、といった施策が必要だ、とつくづく感じています。

アベノミクスの金融政策の処方箋が「カンフル剤」と表現されることは、よくあるものだが、カンフル剤とは、要は一時しのぎなので、早く正常な軌道に戻せということになる。カンフル剤とは、何時までも使えないという認識を示している。異次元の量的緩和は、過去20年間の日銀の無策と比べると異次元ということであって、経済の成長に市中の通貨の流通量が不足すると、経済成長の足を引っ張る。実際に日銀は、金融政策ではずっと無策で、プラザ合意の円高不況後のコントロールに失敗し、バブル崩壊とともに日本経済はハードランディングしてしまい、為替が原因の不況がずっと続いている。その間、政府は”Too small, Too late”と言われる景気対策を何度も打ち出すのだが、効果は上がらず、現在の財政赤字が積みあがった原因である。

2008年のアメリカ発のリーマンショックによる世界的な不況は、世界中を覆ったが、不良債権が一番少なかった日本が、一番遅くまで景気回復できなかった。これはアメリカとヨーロッパがいち早く、市場へ通貨供給量を増やしたのに対し、日本は、安倍政権と黒田日銀が登場する2012年まで、通貨供給量を増やさなかったためだ。金融緩和政策は、アメリカもヨーロッパも日本以上に緩和をしてきたのであって、実際に経済が上向くまで続けなければならない。

下は、日経新聞に載った世界の通貨供給量のグラフだが、日本はこの通貨供給供給競争に乗り遅れたことが読み取れる。このグラフを見ると、世界中の通貨供給<緑線>がGDP<青い部分>を越えてしまいカネ余りが起こりっているのが分かる。リーマンショックの2008年を見ると、GDPが下がったのに対し、世界は通貨供給量を増やしたことが読み取れ、何もしなかった日本が取り残された。

ちなみに2014年の低下は、原油価格の下落によるロシア、ドイツなどの低下が要因だ。

世界の通貨供給量
2017/11/14日経新聞「世界のカネ1京円、10年で7割増 実体経済と乖離鮮明」

量的緩和は「カンフル剤」だからといって、もし量的緩和を急にやめれば、日本は確実に死亡するだろう。日銀は買えるだけの日本国債だけでなく、日本株や不動産投資信託と言われるリートなども大量に引き受けている。この量的緩和により、一定程度の円安が実現できている。日本の景気が十分回復し加熱しはじめる前の段階で、量的緩和を止めると表明したら終わりだ。この政策は、ノーマルだと考えるべきだ。

人口減少や高齢化は間違いなく大問題だ。だが、財政赤字の問題は別次元の問題だ。一つには家計や企業と、政府の借金を同一レベルで考える愚が、世間に蔓延している。しかし、「日本に財政問題はない」と正面からいう学者に高橋洋一もいる。

高橋洋一

高橋洋一はこの本の帯に次のように書いている。

  •  □国債は日本の借金。だから、少なければ少ない方がいい。
  •  □国債は、発行されればされるほど、国民の負担が増える。
  •  □国は出来るだけ「節約」して予算を減らすべき。
  •  この中に、1つでも「そのとおりだ」と思うものがあっただろうか。もし、あったならば、あなたは「一国の経済」というものを間違って理解している。

巨額の財政赤字の原因だが、過去の財政政策(公共事業や減税)は、いずれも小出しで、かつタイミングが遅れ、適切な金融政策(量的緩和)を取らなかったた。このために、一向に経済が上向かずに失敗し、ずるずる借金だけが積みあがった。アベノミクスの開始で、ようやく金融政策の舵取りを変更し、1年目に為替安と株高が起こり大成功した。しかし、生みの親の浜田宏一があれほど反対したにもかかわらず、2年目に消費税を5%から8%に上げた。その結果、低成長が続きデフレ脱却もはっきりしなくなった。いずれの施策も、ドカンと徹底的にやらないとだめだ。

同じ意味あいだが、来年10月に消費税を10%に上げると法律で決まっているが、実際にそうなれば、マイナスの影響は大きく致命的だろう。リフレ派(安倍首相や浜田宏一、高橋洋一などのマイルドインフレ肯定派)に対し、反対派(=財政再建派、多くの政治家、マスコミ)の方が多く、反対派は、アベノミクスを止める出口戦略を語りたがる。アベノミクスは社会のインフレ「期待」へと変化させるところに目的があるのに、出口戦略を語ること自体がベクトルが逆だ。

小宮一慶の話に戻ろう。日本の今後の施策として「日本が得意とする製造業」「おもてなし上手のサービス業」というのは、従来の固定観念に縛られていて陳腐だ。

小宮一慶は、バブル崩壊の端緒としてプラザ合意に触れている。その後の日本の製造業の不振に、エルピーダメモリの倒産、シャープ、東芝、サンヨーなどの白物家電の身売りなどがぱっと頭に浮かぶが、これらはずっと続いている円高の影響が大きい。日本の製造業にとって、国際競争力という観点から為替レートが一番影響が大きい。「日本が得意とする製造業」は、もちろん新しいアイデアや技術革新も重要だが、基本的に円安であることが前提だ。

「おもてなし上手のサービス業」は、日本のどこにあるのかと主は思う。日本には「おもてなし」などない。オリンピックの招致で、滝川クリステルが「オ、モ、テ、ナ、シ。オモテナシ」と言うシーンが何度も流れたが、あれは日本人の自己満足だ。日本にあるのは、せいぜい安全、清潔といったところだ。

コンビニで客が代金を支払った瞬間、店員が客に小銭を渡そうとし、「たいへんお待たせしました!」と心をこめずにイヤイヤ頭を下げる。客は、財布に釣銭を戻すのに大慌てになり、四苦八苦する。この店員のどこが、おもてなし精神なのかと思う。主はブラジルで生活していたが、レジでは、お金のやりとりに急ぐところがなく、女性の店員が、心の底からにっこりと微笑んでくれて気持ちが良かった。これが本当のおもてなしだ。

デービット・アトキンソンが、日本人の多くが、温泉旅館の接遇をおもてなしだと誤解していると書いている。日本旅館で女将が正座して頭を下げ、女中が運んだ懐石料理を食べて日本人は満足しているかもしれないが、欧米人は違う。彼らは、1か所に何泊もしたい。また、家族全員が一部屋に泊まる風習はない。何日も同じ懐石料理を食べたくない。また日本の温泉地は、夜に出かける魅力的な場所がない。料理を食べて温泉に入ったら、寝るしかない。これをおもてなしと思えと言うのでは、外国人理解が足りていない。

新観光立国論

最後だが、「規制緩和により農業などを『強い』産業に」と書かれているが、これ自体には異論がない。しかし、『強い』産業というからには、国際競争力があることが前提であり、一定の円安基調が必須だ。日本はプラザ合意後の円高を、涙ぐましい努力で乗り越えようとしてきたが、その努力には限度がある。むしろ、その努力(節約志向)はデフレマインドを招く。このためにも金融政策が必須である。

結局のところ、小宮一慶は法学部出身であることもあり、その後も金融機関を経て経営学や会計学の畑を歩んできている。このため、従来の一般常識や固定観念の域を出ていないと思う。もちろん悪いことではないが、マクロ経済を語るのであれば、その後にしっかり勉強すべきだ。

ちなみに、もし主が日本の処方箋を書けと言われたら、こう書くだろう。

 

  • ① 40代、50代の経営層の一掃(不況をいつまでも脱せないのは、この層が投資をしないからだ。儲けを新規投資ではなく、楽なM&Aにつぎ込み失敗する例が多い) 
  • ② 財務省の財政赤字キャンペーンの公式訂正(これは国民全体で真剣に議論すべきだ。あらゆるところで足枷になっている) 
  • ③ 消費税の5%への減税。同時に、高所得者、企業への累進税率のアップ 
  • ④ ベーシックインカムの国民的議論 
  • ⑤ 医療の見直し(あまりにも日本の医療が島国化し、めちゃくちゃ無駄遣いされている。介護費の増加にもつながっている) 

そんなところかな。

つづく