あまりにバカバカしく絶望しかない日本 その2 《最たる悪税・消費税》

親爺は、最近あまりにバカバカしくって、ブログを書く気が失せている。あまりに周囲の人たちと、意見や温度差が違いすぎ、虚しい。絶望している。バカバカしいと思うものは、たくさんある。今回は、消費税である。

http://lebestblog.com/2017/10/13/5737/ から

② 最たる悪税・消費税

中国に抜かれる2010年まで、日本は世界第2位の経済大国と言われていた。それがあらゆる経済指標が先進国最下位を通り越し、「日本はタイとおなじ」と言われる。大きな原因は消費税だ。

消費税は1989年に3%、1997年に5%、2014年に8%、2019年に10%に上げられた。このアップのたびに日本経済は低空飛行した。これだけ弊害が明らかなのに、政府は消費税をもっと増税する気だ。マスコミは反対するどころか煽っている。

消費税の納税のルールを説明すると、製品(商品)を売った時にも買った時にも消費税が上乗せされ、企業はその差額を納税する。例えば、企業が1000万円分の製品を1100万円で売り、消費税を100万円分を預かった建前*1があるとしよう。企業は製品を作るために、材料を仕入れたりサービスの提供を受けて対価(コスト)を支払っている。この対価が800万円で、消費税を上乗せして880万円支払っているとしよう。この1年間の消費税の納税義務は20万円(=100万円-80万円)となる。

だれもがふーんと思うだろう。だが、背景にはほとんどの人が知らない問題が隠れている。

① 輸出業者は消費税を支払うのではなく、還付金を受け取れる。

消費税と同様の付加価値税はフランスで始まった。輸出奨励金を支払うことは非合法なため、これを回避する方策として導入された。例えばトヨタのような輸出事業をする会社は、国内の製造プロセスで消費税を負担しているが、輸出された製品にの売り上げに消費税はない。そのため、さきほどの計算式にあてはめると、政府は企業が支払った消費税を満額還付(支払い)する。日本全体で消費税の1年間の税収額は、26兆円程度なのだが、6.6兆円ほど(2021年度)が輸出事業者へ還付(戻される)される。

② 同じようなことは、政府事業でもある。

親爺は、国際協力機構(JICA)というところで働いていた。活動費は、政府の《交付金》(補助金みたいなもの)で賄われる。相手国の負担はない。日本国内の事業の遂行に消費税はかかるが、期末に還付される。JICAは、年3億円ほど還付されていた。国や地方公共団体も、消費税の支払いを法律で免除されていなければ、還付されているはずだ。

③ 消費税は、正規社員より非正規社員の雇用を促す。 

消費税法には、取引き(お金のやり取りと考えてよい)の種類によって、消費税がかかる(課税)取引と、かからない(不課税)取引がある。外注費である契約社員(派遣社員)は課税取引だが、社員の給与は不課税取引である。納税額は年度末の決算で金額を確定させる。このとき、契約社員(派遣社員)への支払いは課税取引なので、支払うべき消費税の計算で税額をマイナスできる。正社員への給与は不課税取引なのでマイナスできない。正社員の雇用は、社会保険の事業主負担だけでなく、消費税も負担する必要がある。このため、経営者にとって契約社員(派遣社員)を増やそうとする要因になる。

③ 税金の機能はそもそも、好景気が過熱した時に景気を冷やし、景気が悪い時に国民のふところを温めて不景気を脱出しやすくする働きにある。所得税や法人税の累進課税がそれで、格差を広げないための所得分配機能だけでなく、景気の調整作用もある。英語で、built-in stabilizersと言い、組み込まれている安定化装置という意味だ。 ところが、消費税にはこの働きがまったくない。消費税は、低所得者ほど重税で逆進性がある。しかも消費にブレーキをかける罰金の性質がある。当然、税率が上がるほど弊害も大きくなる。

②はおしまい つづく

注1)財務省が消費税は『預り金(的性格)』だとずっと言ってきたので、「消費税は消費者が支払った『預り金』である」と世間に広く信じられている。このために会計上『預り金』で整理されることが多い。しかし、これは裁判で『預り金』ではなく、単なる『価格の一部』にすぎないと財務省も認めている。

日本経団連十倉会長 財務省に踏み絵を踏まされ宗旨変え

(2023/9/17 夜) 一部表現を修正しました。

消費税反対映画「君たちはまだ長いトンネルの中」ぜひ見てください!
踏み絵を踏んで転んだ十倉会長

親爺は、経団連の会長が変わった時、結構まともなおじさんが会長になったと喜んでいたのだが、会長になったのが2021年6月なので15カ月。すっかり、変身してしまわれた。残念である。

会長になられた当初は、政府は積極財政へと舵を切り、勤労者の賃金を上げて日本全体の需要の喚起が重要だという趣旨のことを言っておられた。

ところが時間が経つにつれ、財務省のレクチャーなどで、宗旨変えを余儀なくされたということだと思う。というのは、経団連の会長というのは、《日本株式会社の総本山》、《重厚長大株式会社連合の元締め》のようなものであり、《日本の屋台骨を支える会社連合》のトップである。そこが、財務省から「法人税を下げてやる。その代わり消費税増税に賛成しろ。消費税を増税しても、価格に税を100%転嫁できる大企業は、何も困らないぞ。困るのは、100%転嫁できない中小企業らだ。あいつらはもし赤字でも、消費税を借金してでも納税しないとならないんだ。ところがお前らは、何も困らないぞ。それどころか、外国と違って社会保険料に消費税を使える日本は、社会保険料の労使折半でやっている事業主負担がこれ以上、上がらなくてすむぞ。だから、消費税増税に賛成しろ。日本全体の景気が悪くなってもいいだろ、お前のところは得するんだから。」と説得されたにちがいない。

消費税は、もともとフランスで導入されたのが起源だ。消費税(つまり、売上税、付加価値税と一緒と考えて良い。)は、《輸出企業への奨励金》を与える方策として考え出された。つまり、消費税の納税額は、売り上げに含まれる消費税と事業をするために支払った消費税の差額を納税する仕組みである。一般の企業は、黒字なので売り上げで入ってくる消費税より、その事業をするために支払った消費税の方が小さいので、この差額を納税することになる。

この仕組みでは、海外に輸出する製品の場合に、売り上げに伴う消費税はゼロなのに対し、事業をするために支払った消費税は当然あるので、この額を税務署が還付してくれる。この還付額が、自動車業界だけで年間6兆円(日本政府が受け取る消費税の税収の合計は20数兆円/年である。)ほどになるとか聞いたと思う。

つまり、消費税の導入自体の大きな目的が、海外貿易でWTOが禁止する各国政府による輸出奨励金を払うことが禁じられていることへの抜け道をつくることにある。

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ここで、ずっと増え続けている非正規社員が企業にとって消費税法上も有利で、正社員より非正規社員を増やす動機になっているということを書きたい。消費税の別の問題点を具体的に見たい。納税額の計算方法は、次の式で表される。

(売り上げー事業に支払った経費の合計)×消費税率=消費税の納税額・・・①

粗利 × 消費税率=消費税の納税額・・・②

①式のカッコの中は、『粗利』と同じ内容である。このため①は、②と同じである。

さらに『粗利』の構成要素は、『利益』と『人件費』であるので、次の③の式で表せる。

(利益+人件費)× 消費税率=消費税の納税額・・・③

③の式の意味するところは、企業は利益に対して「法人税」を払うことに加え、粗利=(利益+人件費)に対して、消費税率を掛けたものを納税しなければならない。つまり、企業は、法人税と消費税の2種類の納税義務がある。

具体的な数字を入れて考えてみると・・

利益が220万円、人件費が440万円だった企業を例に考えてみる。

法人税の納税額は、税率を仮に30%とすれば、220×30%=66万円

消費税の納税額は、税率10%なので、(220+440)×10%=66万円

となる。2つの税の納税額は、合計132万円で、最終的な利益は、88万円(220万円ー132万円=88万円)へと減る。

これを赤字企業と、大企業、中小企業の場合で考えてみる。

まず、赤字企業は、利益ゼロなので法人税はかからない。しかし、人件費440万円を支払った事実はあるので、消費税440万円×10%=44万円の納税は免れない。つまり、赤字で儲かっていないのに、どこかで借金するか、資産を取り崩して消費税を払わなければならない。

中小企業の中には、消費税を売価に転嫁できないところがたくさんある。こうした企業は、売り上げのうち実際に、消費税分として価格に上乗せできていないのに、売り上げに対し10/110の比率で計算された額が、消費税として自動的に受け取ったと計算され、納税の対象になる。

あと、従業員を雇用すると、社会保険料の事業主負担分と消費税の両方を、企業は負担しなければならない。ところが派遣社員などの非正規社員の場合は、雇用ではなく、外注費を支払ったという扱いになる。そうすると社会保険料の事業主負担がいらなくなるだけでなく、おまけに外注費は消費税計算で仕入れ控除できる。つまり、消費税を負担する必要がなくなる。この2つのメリットがあるので、正社員を雇わず派遣労働者として外注する傾向が、ここ何十年間も増え続けている。

要約すると、経団連は消費税を増税し法人税を下げてもらえば、損することがない。強い立場にある大企業は、消費税分を消費者に100%転嫁できるし、社会保険料の負担も増えずにすむ。たとえ、日本全体が不況になっても自分は助かる。おまけに前述したように、輸出企業はウハウハと丸儲けである。

だから、うしろに同業者が大勢いる経団連の会長の十倉さんは、法人税を上げるな、消費税を上げろと言い出したわけだ。長いものに巻かれたわけだが、こういう自分は困らないから、他人が困ることに目をつむる御仁が日本中にいっぱいいる。相対的に有利な立場にある人達は、皆そうだと親爺には思える。

芥川龍之介の小説に「蜘蛛の糸」があり、地獄の底で、上からぶら下がっている蜘蛛の糸へ我さきと殺到し、糸が切れてしまうアレだ。今の日本は、そんな風にしか見えない。 ああ、情けない、情けない!!

おしまい