消費税のせいで、非正規労働者が増えるわけ 「経営者が労働者に314万円の給与を支払うとき、別に社保料50万円、消費税36万円を支払う必要がある!!」

消費税の仕組みをざっくり説明すると、売り上げた収入に含まれる消費税相当額と、課税支払いに含まれる消費税相当額の差額を納税しなければならないというものである。

動画に登場する美しい公認会計士の森井じゅんさん、かなりの苦労人らしい。税は財源ではない、消費税は廃止すべしと訴える。

現在のように消費税が10%の場合、上記を数式で表すと結局のところ、次の式へと変形することができる。

この取引が消費税の課税対象になるかどうかは、その形態により消費税法で決まっている。

事業者が従業員を正社員として雇用するなら、従業員へ支払う給与は、上記の非課税仕入(課税対象ではない)になる。この場合、正社員の給与は課税仕入にならないために、消費税の納税計算する際に控除できない。ところが、派遣職員や、雇用関係のない委託契約の場合、コストとみなされ、課税仕入が可能になる。つまり、消費税の納税額の計算で、支払い消費税相当額を控除することが出来る。

この説明をもう一度繰り返すと、正規社員の雇用契約は非課税取引に分類されている。他方、パート社員や個人委託などの場合は、課税取引に分類されている。この違いにより、この差が生じる。 おまけに、パート社員、委託契約のように直接の雇用関係がなければ、事業主は労使折半である社会保険料(健康保険と厚生年金)の事業主負担も免れることが出来る。

消費税の支払を節約するために、正社員を雇うより、非正規労働者を使おうという動機が事業者に強く働く。

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事業者が日本人の平均賃金(男女の賃金の中央値)である314万円を支払うために、事業者と被用者がどれほど税金や社会保険料、消費税を負担しているのかを書いてみたい。(314万円というのはかなり低いと思うかもしれないが、それだけ女性の労働者はパートなどが多く、平均賃金にするとかなり低い。)

結論から言うと、事業者(経営者)は、男女の被用者(労働者)のこの平均賃金である額面の給与314万円を支払うためには、別に社会保険料の事業主負担50万円と、消費税(314万円+50万円)×10%=36万円を支払わなければならない。つまり合計400万円支払わなければならない。そして、その314万円の給与を支払われた被用者は、所得税5万円、地方税10万円、社会保険料50万円を支払う必要があるので、手取りはわずか248万円になる。152万円が社会保険と税金で控除される!!!

支払額400万円と手取り額248万円の差152万円(38%)が、社会保険料と税金として控除されるのは、あまりに多すぎないでしょうか。

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ところが、上記の消費税の納税額を求める計算式をじっくりと見て、勘のいい人は気が付くかもしれないが、輸出業者は売り上げに消費税が含まれないために(課税仕入しかないので納税額がマイナスになる。)、課税仕入に要した消費税額の還付を受けることが出来る。

消費税は、もとはと言えば、どこの政府も国際的に禁じられている輸出奨励金を輸出業者に与えるための方策(抜け道)として、最初にフランスで考えられた税金(付加価値税)らしく、EUで広がったということだ。

この付加価値税を真似して導入された日本の消費税だが、アメリカは導入しておらず、導入したEUと日本のみが不況にあえいでいるという指摘もある。この消費税は、つまり売上税であり、第2法人税(=赤字企業でも納税義務が生じる法人税の上乗せ的税金)というべきであり、売価が上がり、とうぜん消費に対する罰金的性質を持ち、景気を冷やすからだ。

このような内容が、下の動画で語られる。お二人は、踏み込みが足りない主流派(リフレ派)経済学者である明治大学教授の飯田泰之さんであり、税金は財源ではない、消費税は廃止すべきと主張する森井じゅんさんである。 信用創造(貨幣発行)の事実を正しく理解していないことが原因で、こういう中途半端に知恵のある経済学者が幅を利かしているのが、なかなか世論が変わらない原因だと親爺は思っている。

おなじく、こちらは森井じゅんさんと、もと通産官僚の室伏謙一さんである。こちらは、消費税廃止をすべきという点で考え方が一致している。

おしまい

デフレの30年間に「萎縮」した日本人 その1

2019年10月号 POLITICS [特別寄稿]
by 中野剛志氏(評論家)から

上のグラフは、1985年のプラザ合意を契機にする、バブルの発生と崩壊、円高不況による30年間の日本の低成長を示すものだ。

このプラザ合意によって、日本の為替は240円ほどから120円ほどへと倍に円高になった。上の表で、1985年と1995年では倍くらいにGDPがなっているが、これはドル建てで表記されているからだ。単位を「円」で考えるとやはり水平に近い。おまけに2010年からなんと!下降している。

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親爺は、新型コロナが始まった3年前、西浦教授が何も対策を取らないと、42万人が死ぬと言い、尾身会長が、コロナ専門病院が診療にあたり、保健所が中心になって患者を隔離するというコロナ対策を発表した時、世論は完全に反対!を叫ぶだろうと思っていた。

というのは、42万人が死ぬという根拠[1]が不足していたし、尾身会長が言う保健所が中心になって患者を入院させる体制というのは、データを囲い込むように感染症研究所へと中央集権的に集め、ワクチンや治療薬の開発を主導し、加えて、これまで陽の当たらない存在だった保健所の価値を上げたいからだろうと思った。こうした思惑は、政府にとっても、日本製の薬の開発が成功すれば国民の大きな支持を集められ、同じ動機があるはずだ。誰が見たってこう考えると思っていた。

しかし現実のコロナは、尾身会長らが予想したSARSやMARSのような規模は小さいが強毒性の病気ではなかった。 同時にアメリカなどはワクチン開発で先行しており、病原体を薄めて患者に注射する従来型のタイプのワクチンでなく、ファイザー社などが遺伝子を直接操作するmRNAという新発明のワクチンを登場させ、世界各国はこれを競って購入した。

このコロナに対するワクチン接種とマスク着用の奨励を柱にする対策は、被害が大きかった欧米をはじめとして世界中で解除されているのだが、被害がはるかに少ない日本ではなぜか今も続いている。

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このコロナに対する3年間の日本人の反応が、日本人の「委縮」ぶりを明確に表した。「意気地なし」、「何も言えない」情けなさなのである。

たとえばテレビのコロナのニュースが流す、町ゆく通行人のインタビューは、マスクをした人が写され、異口同音に「自分がコロナにかかって、老人たちに迷惑をかけてはいけないから、しっかりと自粛します。」みたいな優等生っぽい発言ばかりが放送される。「コロナがあろうとなかろうと、体力の衰えた老人は、昔から風邪が原因で亡くなっていた。コロナなんかただの風邪だ。ワクチンなんか打ちませんよ。」という声も他方であるのだが、こうしたトーンのインタビューは決して報道されない。

もちろん、こうしたことを言う知識人もいるのだが、地上波のテレビに出てくることはない。YOUTUBEですら、WHOの方針に反するということで、コロナを批判するとアカウントが停止されるので、ニコニコ動画などで発信したりしているが、そのような事情を知っている国民は少ないだろう。

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テニスのウィンブルドン選手でも、サッカーのワールドカップでも、観客はもうマスクなどしていない。例外は、中国だけだったが、大規模なデモが起こり中国政府は政策をウィズコロナに大転換した。残るは、日本だけである。

親爺は、このコロナで日本のヤンキーたちはどこへ行ったのか?と思うことがある。

《2022年4月のテレビドラマMG5》筋金入りのヤンキー家族の次男坊・難破剛は高校入学を機に、家族には内緒で普通の高校に通い、脱ヤンキーをめざすが……!? 激バカヤンキードリームコメディー!! ヤンキーがマスクするの?(親爺)

ヤンキーたちは、社会に背を向けてオートバイで、マフラーの爆音を鳴らしながら群れを成し、あるいは一人で夜の街を爆走していた。そうした社会に敵意を示す若者が、一定の割合でいるはずなのだが、そうしたヤンキーたちも、今回ばかりはマスクをしているようだ。ほぼほば、マスクをしていない若者たちを見たことがない。どうやら、ヤンキーたちすら、コロナで、自分を表現する居場所を失い駆逐されてしまったように思える。

小中学校の下校時、どんな子供達でもマスクをしている。やんちゃであろうが、ジャイアンであろうが同じく、マスクをしていない子供を見たことがない。

恐るべし、コロナが恐いという報道の浸透と世間の同調圧力!!

話が変わるが、地元の国立大学に合格した最近の受験生は、1~2月の合格通知に浮かれることなくすぐに入学に備えて勉強を始めると、塾を経営する知人が言っていた。

親爺の周囲の若者たちも至って品行方正だ。結婚した若者は、配偶者と家事を分担し、極めて道徳的に生きている。そして、テレビと同じように常識的なことを言い、奇をてらうような変わったことを言わない。

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このように日本人を羊のように大人しくしてしまった原因は、30年にわたる不景気にあり、この不景気が、つまるところ国民を「委縮」させてしまったようにしか親爺には思えない。

1945年の日本の敗戦の後、アメリカに占領され、朝鮮戦争を契機に日本は高度成長を果たすのだが、そのプロセスには、バラ色の成長の陰に、様々な労働運動や学生運動があり、烈しい主張の対立だけでなく、逮捕者や死者が山のように出た。

ところが、高度成長が進むにつれ、労働運動に参加することはダサいという風潮が広がり、学生運動が終焉するにつれ、政治を語るのはダサい、政治を語るめんどうな人物は、KYな(空気を読めない)人物と思われる風潮が広がった。

そうして、高度成長が終わり、バブルが起こりバブルがはじけ、デフレ不況だけが残った時、おそろしいことが起こった。

つまり、他人任せにしていても自分のパイの大きさが大きくなる時代は終わり、片一方で、国民の意識が変わり、政治や思想を語ることは、KYな人物のやること、大人はそんなことをしないという風潮が出来ていた。

おかげで、国民の大半の庶民は、自分より上の立場にあるものに忖度し、逆らわなくなった。「逆らっても何の得もない。」という、そのような意識が出来てしまった。職場でも、近所の付き合いでも、政治的なこと、建設的な意見を言うことは、損になることはあっても得になることはない。そうした感覚が蔓延している。

今の日本で、忖度なしに言いたいことを言っているのは、政治家や経営者など、相対的に強い立場にある者と、生活を失う不安がない気楽な金持ちたちだけだ。(わずかだが、自分の信念を賭けて発言する尊敬すべき人物がいる。)

● 政治家は、軽蔑しながら官僚たちを顎で使い、マスコミの記者たちへ、場面場面で恩を売ったり、媚びへつらったりして態度を使い分ける。

● キャリア官僚は、政治家に媚びへつらいながら、人事権を握っているノンキャリ官僚を軽蔑を露わにこき使う。ノンキャリ官僚は、キャリア官僚の顔色をうかがいながら、政策にもし疑問を持っていても、上が決めたことと諦め、自分の意思を曲げて、監督する立場の省庁や企業などの団体に指導名目で専横を振るう。

● 企業の採用担当者は、会社の経営者や上司に、まったく逆らえないのを自覚しながら、就職希望者の弱みに付け込み、性的関係を要求するものが現れるほど、専横ぶりを発揮することがある。

https://news.yahoo.co.jp/byline/ishiwatarireiji/20210603-00241219 ←近鉄採用担当者が就活セクハラ(YAHOO NEWSから)

● 最近表沙汰になった自衛隊のセクハラ事件では、若い女性隊員が、部隊の上司や同僚から、日常的にキスや胸を触られたりしていたことが明るみに出た。この事件では、5人が懲戒免職、4人が停職になっている。

● あちこちの交番の中で、夜勤で一緒になった男女の警官がセックスするという事件も報道され、すごいなあと思うが、もし同意がなければこれまた恐ろしい事である。

https://www.asahi.com/articles/ASQ792CXLQ78PTLC02H.html ← 朝日新聞の交番の記事

つまり、強い立場の者が弱い立場のものを蹂躙し、反面で、上司や強いものには意見すら言わないという風潮の社会になっている。

意見を言って波風を立てても、何の得にならないとすれば、誰も意見を言わないだろう。それが賢い選択だからだ。しかし、こうした循環が、日本の成長を阻害しているのは間違いない。

その1 おしまい

[1] 「新型コロナで42万人死ぬ」という西浦モデルは本当か 架空シミュレーションで国民を脅す「青年将校」(JBPRESS 2020.4.17(金)池田 信夫からコピー)《4月15日にクラスター対策班のツイッターで出た図》

「日本の権力を斬る!」その2 「強いものはより強く、弱いものからむしり取る」郷原信郎弁護士と安藤裕元衆議院議員

親父が普段楽しみに見ているお二方、郷原信郎弁護士と、安藤裕元衆議院議員が、消費税をテーマにした動画の2回目をアップされている。その名も「強いものはより強く、弱いものからむしり取る」である。

なにしろ、消費税は良くない。日本30年来のデフレの原因は消費税と言っていいくらいだ。

この前の動画では、消費税は「預り金」ではないという指摘だった。これは、入湯税やゴルフ税は受益者が実際にお金を温泉やゴルフ場に預け、それをその事業者(=特別徴収義務者)が税務署に支払うというものだが、「消費税」は違うということである。つまり、入湯税やゴルフ税の課税客体は、受益者である個人である。ところが、他方、「消費税」の納税義務者はあくまで事業者で、消費者は課税客体ではない。

「消費税」を財務省は、まるで消費者が負担した税を事業者が預かっているように言い、「預り金性質の税金」と言ってきた。つまり、財務省の言うのは、預り金だが、預り金ではない。このレトリックは非常に巧妙だ。 消費税の裁判では、財務省ははっきり「預り金」ではないと言い、単に事業者が売値と買値を決めただけだと主張しているという。

消費税の納税方法は、利益と人件費に税率を掛けたものを支払うという義務を定めたものだという。

これは、つまり赤字企業であっても(利益(赤字)+人件費)×税率=納税額となる。例えば、赤字が50万円の会社が100万円の人件費を支払ったとすると、その期の消費税額は、((-50)+100)×10%=5万円となる。つまり、赤字企業であっても、5万円をどこからか工面して支払う義務がある。

このとき、人件費というのは社員(正社員)に支払った人件費を言う。この意味するところは、正社員ではなく、人材派遣会社の派遣職員や、個人事業者への委託(例えば、ウーバーイーツの配達員、委託会社のドライバー、フリーランス)に対しては、消費税計算の対象にならない。

この違いにより、消費税の仕組み自体が、正社員から派遣職員、個人委託へと労働者を移動させる働きを生じる。つけ加えると、企業側は労働者を委託契約にするなら社会保険料も負担する必要がない。

これまで、非正規職員の比率が年々、増えてきたのも、こうした背景があったからですね。

また、この「預り金」ではないということは、個人商店など客から消費税を受け取りながら、消費税の特例措置を受け納税していないことに対して、「益税」だという批判があるのだが、この指摘も間違っているということになる。

安藤裕チャンネルから このおふたり、「政府の赤字はみんなの黒字!」をキャッチフレーズに、漫才の登竜門であるM1の予選に出られました。

この動画の安藤裕前衆議院議員は、物の値段の決め方が、「適正な製造原価に、適正な利潤を加え、それに消費税率を加えた額が売価になる。」というのは、どこにも証拠のない幻想にすぎないという。売価は、単に売主と買主の力関係で決まるだけであり、力関係がつよければ、売価に消費税額を上乗せして販売できるが、弱ければ買主の言値で売るしかない。しかし、消費税法はそこから納税義務者である事業者に決まった額の消費税の納税を求め、納税できなけければ強制執行さえできる。

つまり、商品の買い手である消費者は、商品価格に消費税を上乗せして支払ったという気分になっている一方で、商品価格に消費税を転嫁できない事業者は、タコが自分の足を喰うように、利益の額を減らしながら、定められた額を国に納付させられる。当然ながら、その納税額は税率が上がるたびに増えていく。

あと、トヨタを例に出して申し訳ない(親爺はトヨタが日本で数少ない巨額の税金を納めて、もっとも社会貢献している企業だと思っている。)が、こうした輸出事業者は、消費税の計算が、基本的に《売り上げに含まれる消費税-仕入れにかかる消費税》となっているので、計算の結果がマイナスになる。このため、消費税の還付を受けることになる。 これが、輸出事業者に対する輸出補助金だと揶揄されることがある。 同じようなことは、国や地方公共団体、関連法人にもある。こうした団体は、事業の実施する際にもちろん消費税を支払うが、それに見合う収入は、税金や補助金、交付金などの特定収入である。これらは例外規定が設けられ、消費税は還付されないのが原則だが、一部では還付している。

おなじく、自民党の中で消費税反対を唱えておられる西田昌司参議院議員によると、欧米で消費税にあたるのは、付加価値税であるが、これは日本が最初導入しようとして大反対された売上税とのことである。この付加価値税(売上税)の意味は、付加価値税は事業者の売り上げに課せられる税金で、法人税を納めない赤字企業を除き、利益分が出ている企業に付加価値税を課す第2法人税のような税の性質であり、赤字企業にも負担を求める消費税と違うということである。 

つまり、世界中で法人税の減税競争が起こっているものの、実際のところは、法人税を付加価値税の両方を法人税だと考えると、諸外国の法人税はいまなお高く、日本の法人税はむしろ安いということになる。

おしまい

「日本の権力を斬る!」消費税は預り金ではない 郷原信郎弁護士と安藤裕元衆議院議員

日本は不景気が30年続き、賃金が上がらず、とうとう日本「円」の値打ちが世界で下がってしまった。

世界の物価を測るものさしとしてビッグマック指数がある。下が、今年2022年8月に産経新聞が掲載したものだ。ビッグマック1個をドル換算して、各国の値段を調べるのだが、日本は先進国では最下位あたりになっている。 このことは、為替が20%~30%下落しているにしても、明らかに為替以上に差が開いている。つまり、このコロナの3年間の間に、世界の物価はかなり上昇しているのに対し、日本は相変わらず低空飛行を続け、為替以上に差が開いた、つまり、購買力を失ったということに他ならない。 外国と比べると手持ちのお金の値打ちが相当減ったんですね。(涙)

そうした、日本の地位低下の原因に、「消費税」が明らかにある。消費に対する「罰金」である消費税が、税率が上がるにつれて悪影響も大きくなってきた。

これをテーマに、親父が普段楽しみに見ているお二方、郷原信郎弁護士と、安藤裕元衆議院議員が、おなじYOUTUBEで対談されている。

郷原弁護士は、カルロス・ゴーンが逃亡した時に、「『深層』カルロス・ゴーンとの対話」という本を書かれた。この本では、いかに日本の検察が予断を持ち、人質司法といわれる、自白偏重の取り調べをするかが書かれている。 この郷原さんは「日本の権力を斬る!」というYOUTUBEのシリーズをずっと続けられており、親父は楽しみに見ている。

おなじく、安藤裕元衆議院議員は、自民党の中で、西田昌司参議院議員とともに財政拡大派の旗振り役をされて来た方である。当選3回の安藤議員は、残念ながら、週刊誌に事実ではない不倫記事?を書かれ、それがために前回の衆議院議員選挙には出馬されなかった。

その安藤さんは、議員を止めてからも、YOUTUBEで財政拡大を求める活動を続けておられ、「安藤裕チャンネル ひろしの視点」をされている。

最近では、「政府に赤字は、みんなの黒字!」という安藤さんのキャッチフレーズを世間に広めるために、漫才コンクールのM1の予選にも出場されており、信念に圧倒される。

安藤さんも西田さんも、議員の前は公認会計士をされており、簿記の考えがスラスラ解るため、MMT(現代貨幣理論)という通貨発行の仕組みに精通しておられる。財務省の刷り込みがあるために、「国債の発行は、国民の借金である」と一般に信じられているが、大きな間違いである。

実際は、管理通貨制度の下、変動相場制で自国通貨建てによる国債の発行、それによる政府支出は、インフレを起こさない範囲でするならば、何の問題もない。それどころか、逆に経済の成長に見合う国債発行をして、お金を国民に手渡さないと成長を阻害する。

この30年間、経済成長をしなかった日本であるが、その原因はデフレの環境の中で、経済を冷やす政策を続けてきたところにある。最大の問題は、消費税の導入と何度も税率アップを繰り返したことである。

他にも、空港施設の運営や図書館の運営などを外注化するコンセッション、道路公団、住宅公団の民営化、郵政民営化などを繰り返して来たが、デフレ時にこうした政策は逆効果である。

おしまい

あるユダヤ人の懺悔「日本人に謝りたい」  その2

今回は、この本に書かれている帯と、この本を読もうと思った契機を紹介したい。

まず、この本の帯に書かれている推薦文の1人目、馬渕睦夫氏の引用。馬渕氏は元ウクライナ大使である。

「本書が東西冷戦最中の1979年に刊行されたのは、奇跡と言えます。当時ソ連を信奉してやまない日本の左翼とは、ユダヤ思想のエピゴーネン(承継者)であることがばれてしまったからです。本書を読めば、わが国の国体の神髄「君民一体」こそ、最先端の民主主義体制であることに誇りを持てるはずです。」

も一人は、東北大学の田中英道教授である。田中教授は、西洋美術史を研究する歴史学者である。

「戦後、日本を占領したアメリカといいGHQといい、その中核はユダヤ人であることを如実に示した好著である。40年前、この本が出た時、買い求めたが、これを左翼の論壇が抹殺してきた。こうしたユダヤ人の懺悔を聞きたくなかったのだろう。なぜなら、日本の論壇こそ、左翼ユダヤ人たちが支配してきたからだ。」

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次のYOUTUBEは、この本を紹介した西田昌司自民党参議院議員である。この西田議員は、財政再建を唱える議員の多い自民党の中で、財政支出拡大、プライマリーバランス廃止を訴えるリーダーの一人で、財政政策検討本部本部長をされている。

西田議員が主張するのは次のようなことだ。 日本がこの30年間経済成長が出来なかったのは、財政法第4条に赤字国債を発行して通常予算の不足を埋めてはならないと書かれている。それが、憲法9条の武力放棄と合わせ、再び日本に戦争を起こさせないようにしたGHQの策略だと言う。

ここで日本に再び戦争させない、平和国家にすると言えば、非常に聞こえが良いが、内実は、武力を持つような経済力を日本に二度と持たせないという意図が背後にある。

「しかし、日本は敗戦後、朝鮮戦争を契機に高度成長を果たしたではないか?!」という指摘が出るだろう。

これには、アメリカの政策転換があった。当時アメリカは、ドッジラインなど緊縮財政を日本に進め弱体化させようとしていたが、東西冷戦でアメリカが不利になり始めたことにより、アメリカの政策がレッド・パージ(赤狩)へと180度政策転換される。同時に、朝鮮戦争の勃発により日本の景気は回復し始める。この景気回復は、日本の高度成長期へと続いていくのだが、この時の成長は、民間企業が銀行から多額の借金をして大きな設備投資をした。つまり、日本政府は、国債発行を原資に財政支出をする必要がなかった。それでも政府は税収を増やし、経済成長も達成することが出来た。このため、財政法第4条は問題とならなかった。

ところが、バブル崩壊後、日本はデフレに入り政府の財政支出が必要にもかかわらず、赤字国債を発行してはならないというGHQが作った財政法第4条の規定に苦しめられているというのが、この西田議員の主張である。

おしまい その2

あるユダヤ人の懺悔「日本人に謝りたい」 その1

親父は、ここんところキリスト教国が変調しているとずっと感じ始めている。

例えば、ヨーロッパのキリスト教国にイスラム教徒のアフリカ難民が押し寄せ、押し寄せた難民が移住してきた国の社会に一向に溶け込まずに、キリスト教徒の少女をレイプしたりする事件が頻発している。しかし、警察は事件に目をつむり、どのマスコミも政治家たちも、レイシストと非難され、社会生命を失うことを恐れて、たいした問題にしようとしない。

一方、アメリカでは、共和党のトランプと民主党の対立、分断が行き着くところまで行っている。いつ内戦が起こってもおかしくないと言われるほどである。この国のマスコミは、エスタブリッシュメントが支配する民主党にほぼ完全に押さえられており、仮に、もしトランプに投票していると表明すれば、マスコミは軽蔑観をあらわに報道するほどになっている。

同じ流れなのだが、BLM(Black Lives Matter)運動、LGBTQといったマイノリティに対する共感を求める世界的な運動もある。こうした背景には、人種差別の学問的な分野に「批判的人種理論」(Critical Race Theory)がある。この理論は、白人至上主義の遺産が、米社会形成の根幹をなす法律や制度を通じて現代社会になお組み込まれていると主張するものだが、この理論を学校で教えるか否かでアメリカは激しく分裂している。(次が、ウォールストリートジャーナルに掲載された、概要である。申し訳ないですが、一部分しか表示されません。)

https://jp.wsj.com/articles/critical-race-theory-what-it-means-for-america-and-why-it-has-sparked-debate-11625214981

結局のところ、こうした先進国であるキリスト教国のヨーロッパは、その発展過程でアフリカを植民地として収奪してきた。アメリカは、やはりその発展過程でインディアンなどの先住民や、黒人のアフリカ奴隷を人間扱いせずに収奪してきた歴史を持つ「原罪」を背負っているという主張に収斂する。こうした考えは、ずっと前から(第二次大戦後の早い段階から)あったものだが、ここ近年明らかにその認知度や肯定度合いが、欧米社会で高まり、それが日本にも当然のごとく輸入されているように思えてならない。

ここにはいったいどのような力学が働いているのか? という疑問をずっと親父は持っていた。

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そこでこの本が出てくる。

要約すれば、4000年の歴史を持つユダヤ人が、ローマ帝国時代、ディアスポラ(民族離散)で、地中海周辺地域に散り散りになった。これが端緒である。このユダヤ人は、国への帰属意識より、ユダヤ教への信心の方が強い。つまり、世界各国に散り散りになったユダヤ人は、その国で虐待され、蔑まれながらも、選民思想が信仰の中心にあるため逆境をものともせず、信仰心を糧に生き延びる。ユダヤ人が正式に許された職業は、キリスト教徒が蔑んだ金融業(高利貸し)だけだった。お金を蓄積するにつれ、ますます蔑まれる度合いが高まった。それが極まったのが、ナチスの民族浄化政策である1933年のホロコーストである。 

他方で、19世紀末からエルサレムのシオンの丘へ祖国を打ち立てようとするシオニスト運動も始まる。

他方、北米大陸に渡ったユダヤ人たちは、石油精製、航空産業、映画産業など新しく勃興した産業で莫大な資産を持つようになる。しかし一方で、それがユダヤ人以外の国民の反感を招くようになる。

金持ちになり、政治力も持つようになったユダヤ人は、国境よりも大事な、自分たちが生きやすい状態を作り出すために策略を巡らせる。「そうだ。自分たち以外に、庶民の敵を作って目を逸らせばいいんだ!!」

最初、ユダヤ人がターゲットにしたのは、ヨーロッパの国民を支配していた国王(君主)たちだった。ユダヤ人は、第1弾として、フランスに「自由」「平等」「博愛」をスローガンに、1789年のフランス革命を成功させる。

フランス革命の成功で、かなり生きやすくなったユダヤ人が次に企んだのが、マルクス主義である! マルクス主義による1917年の共産主義革命よって、ロシアの皇帝ツァーを滅ぼし、ソ連を成立させた!! 日本に1941年に戦争をするように仕向けたルーズベルト大統領と取り巻きの連中は、ユダヤ人で共産主義者だった。

(2022/12/4 一部修正しました。)

その1 お終い 

その2へ

信用創造(通貨発行)の仕組みを全然理解していない 日本の主流派経済学者、小林慶一郎氏

新型コロナの政府諮問委員会の委員でもある日本の主流派経済学者の小林慶一郎氏が評論家の加谷珪一と、文芸春秋の「MMTは理論的に破綻している?」というタイトルで、YOUTUBEで対談されている。 小林慶一郎氏は「オオカミ少年と言われても毎年1冊は財政危機の本を出していくつもりです」と、自分の経済予測が的中してこなかったことを自虐的に日経新聞に語る正直な経済学者である。

小林慶一郎氏 コロナの政府諮問委員会委員 東京財団政策研究所研究主幹/慶應義塾大学客員教授

この番組はMMTの理論がどのように正しくないのかを考察する内容である。しかし、あまりにも誤解されている。ちゃんとMMTを理解しないで、批判している。 こんなにちゃんとMMTを理解しないで偉い学者の先生がしゃべっているかと思うと情けなくなってくる。 あんたら主流派の経済学者が、MMTを知りもしないで批判するから、いつまでたっても財政支出が増えず、日本は世界で一番成長できず先進国から途上国に転落しそうなところまでなっている。この責任がどれだけ重いか肝に銘じながら、発言をしてもらいたいところだ。

是非、小林慶一郎氏、(他の主流派の経済学者のみなさんも)エゴサーチするなりしてこの親父の説明に耳を傾けてくれ。


テーマは、《ハイパーインフレは絶対に起きない!?『MMT』を検証する》となっている。

冒頭の部分でMC役の加谷氏から、MMT理論にどのような印象をお持ちでしょうかと問われて、小林氏はこう答える。

「MMTはテクニカルに正しいところもある。貨幣を発行して、政府が債務を発行したらそれは誰が持つことになるのかと言う様なことを、バランスシートの行き先が誰になるのかということを説明していることは決して間違いではないですが、ただ、その結果として、一般の物価水準にどういう影響を与えるだろうかという経済理論の部分はあまり考えられていないような印象ですね。表面的な数字のやり取りだけを考えているという印象をもちましたですね。」

これを親父が聞いて思った。この小林先生、簿記のことをまったく勉強することなくしゃべっている。これでは、ふわーとした感想にしかすぎない。とらえどころがないので、反論のしようがない。また、物価水準にどういう影響を与えるかということは、供給力の範囲内で、通貨発行してもインフレにならないとMMTは通貨発行とは別のところで語っている。 もし、親父ならこう言う。

「MMTの通貨発行理論は正しい。日銀が日銀の中にあるA市中銀行の日銀当座預金口座に対し、100億円という通貨発行(信用創造)をするという取引を考えると、日銀は、100億円の「貸付金」という「資産」と、同額の「日銀当座預金」という「負債」を持つ。A市中銀行は、100億円の「日銀当座預金」という「資産」と、同額の「借入金」という「負債」をもつ。つまり、通貨発行と言いながら、A銀行に対し、100億円をくれてやるのではなく、A銀行は、日銀に返済の義務がある。ただし、この段階では、A銀行にベースマネーである「日銀当座預金」が《ブタ積み》になっている状態に過ぎない。 つぎに、政府が「国債」を100億円発行しするケースを考えると、A銀行は、「日銀当座預金」を使って「国債」を購入する。政府の国債発行の消化はこのように「日銀当座預金」を使って行われる。このため、市中の通貨の流通量、マネーストックには影響を及ぼさない。したがって、金利が上がるクラウディングアウトはない。 なお、変動相場制で自国建て通貨による国債発行は、供給力の範囲であればインフレを引き起こさない。むしろ、国債発行による財政支出が不足すると、日本のようなデフレをひき起こす。」

MCの加屋氏が、主流派の経済学の教科書は、信用創造を説明する際に本源預金のうち、流動性を準備率を10%とすれば、残りの額を貸し付けることで10倍の乗数効果が働くと説明されるとしたうえで、再び小林氏にコメントを求めた。小林氏はこう答えている。

「ぼくは実は説明の仕方を変えただけで、MMTが言っている信用創造のメカニズムと普通の経済学の教科書に書いてあるメカニズムと本質的には実はそんなに違いはないと思っています。 手順が違うだけです。普通の教科書に書いてあるように、銀行が預金をまず預かって集めました。貸し出します。それがまた返ってくる。ということの繰り返しでマネーが創造されていくことなんですけど。 MMTが言っている信用通貨論はまず銀行が貸し出しをします。貸し出しをすると貸し出したお金を、企業の預金口座に記帳すると。それは全然、現金は入ってない訳ですよね。単に貸し出しが100万円、その企業の預金口座に100万円入金したと記帳されるだけ。それがいくらでも増やせるじゃないか、とおっしゃるんですが、ただ最後には何が起きるかというと貸した企業の預金口座から企業が現金を引き出すかも知れない。現金を何らかの形で用意しなければならないということは同じなんですよね。だから結局、信用乗数が10倍位だとすると預金1万円に対し、10万円の信用創造ができるということは、結果として預金を集めて貸し出すというやり方であっても、先に貸し出しがあってその後支払いの準備に1万円を調達するというやり方であっても、結果として起きている信用創造は同じなんです。 だから、信用創造の仕方が違うというだけであって、言っている内容は、本質的な革命的な違いはある訳ではない、という風に理解した方がいいと思いますね。」

これはまったくMMT理論を正しく理解されていない。根本的に《金本位制度》の時代の説明が変わっていない。今は、通貨発行に際し、《金》の保有高という制約はない。小林氏は、順番を変えたら同じだと言うのだが、ここまでMMTを理解しないで批判するとは、無責任極まりないと親父は思う。 まず、信用創造には2種類ある。1つ目は、日銀が日銀の中で、日銀当座預金を市中銀行をあてにする信用創造がある。2つ目は、市中銀行が国民や企業に対し、貸付実行による信用創造をする。 なお、日銀の中にある日銀当座預金は、市中の流通通貨の決済には用いられない。日々の日銀・市中銀行間の決済、現金の融通、準備預金に使われる。小林氏は、現金を要求されたら、準備金を現金で用意する必要性を言われているが、この必要な現金は、日銀当座預金残高を使って、市中銀行は調達できる。 また、マネーが乗数効果で増えるみたいな言い方をされているが、当然ながら銀行の通貨発行は、借り手に与信力があるとき、かつ、借り手が借金をしようとするときにしか、マネーは生み出されない。日本のようなデフレの状態では、多くの企業や個人は借り手になろうとしない。なお、準備預金制度は、異次元の量的緩和により、日銀当座預金残高が何百兆円と莫大になり有名無実化している。 親父なら、こう言うだろう。

経済学の教科書に書いてある信用創造とMMTの信用創造はまったく違います。教科書に書いてあるメカニズムで、どの国も通貨発行していません。MMTは、現実に行われている取引を説明しているだけです。中央銀行の通貨発行は、「貸付金」という資産を得ると同時に、「通貨(=日銀当座預金)」という負債を抱えることと、中央銀行の中に口座を持つ市中の金融機関は、発行された「通貨(=日銀当座預金)」という資産と「借入金」という負債を抱えることが、同時に起こる取引である。 同じように、市中の金融機関は、取引相手の企業や個人の与信力を判定し、返済能力があると判断すれば、通貨発行(信用創造)できる。政府と市中の金融機関との関係と同様に、貸し手である市中の金融機関は、「貸付金」という資産を得ると同時に、「銀行預金」という負債を抱えることと、取引相手の企業や個人は、発行された「銀行預金」という資産と「借入金」という負債を抱える取引を同時におこなう。 政府と市中の金融機関の間で使われる「日銀当座預金」は、日銀のフリーハンドで増やし減らしたりできる。これに対し、市中の金融機関と取引相手である企業や個人との信用創造で生み出された預金は、返済されるとこの世界から消える。また、債権債務は、義務を伴うので、返済が滞ると、金融機関が返済の肩代わりをする必要がある。」

うっかりする人がいるかもしれませんが、「預金」は、普通は資産科目ですが、銀行にとっては立場が逆なので負債科目になります。

また、この動画は全編を見ようとすると有料のようでした。親父はお金を払っていませんので、無料で見れる20分ほどの範囲でこのブログを書いています。

おしまい

とても分かりやすい動画 《国と企業がお金を出し渋り、国民の財布が空になる》

ワニの口(NHKのHPより)

この動画ですが、結構わかりやすくて非常に説得力があります。 

昨年、財務事務次官の‎矢野康治氏が、日本はタイタニック号のように氷山にぶつかって沈没すると警鐘を鳴らしました。この《矢野論文》の中で、「ワニの口が広がり続けている」と税収が横ばいなのに、歳出だけが上の方向に伸びて広がっている、このままだと日本沈没だといったのです。

しかしこの動画は、「ワニの口」どころか「ワニ」そのものがいなかった、というものです。

動画の内容を親父流ですが、要約してみます。

  • 1.「ワニの口」の歳入には、税外収入や社会保障費の資金余剰などが除かれているのに対し、歳出には、他国にない「国債償還費」が含まれている。つまり、口が広がるように操作されている。(「国債償還費」については、詳細は後述)
  • 2.政府と企業がお金を使わないと、国民の財布にお金が回らず、国民は貯金を取り崩すしかない。(「ネットの資金需要」という表現が出てきます。政府と企業を合わせて、マイナス5%ほどの状態が、インフレにならず、かつ、国民にお金が回る状態になる。このマイナスが大きすぎるとインフレや金利上昇が起こる。今のアメリカがそうです。)
  • 3.1990年代のバブル崩壊以前は、政府と企業がお金をじゃんじゃん使ってマイナスにしていたので、国民に潤沢にお金が回っていた。
  • 4.1990年代のバブル崩壊以降になると、企業はバブル崩壊により投資を減らし、政府は財政危機宣言を出し、緊縮財政政策をはじめたことで、国民へお金が回らなくなった。
  • 5.高度成長期に、日本は世界一というほど高い貯蓄率を誇っていた。ところが、バブル崩壊以後、貯蓄率が低下した。この低下を、エコノミストは高齢化と人口減少が原因だと説明してきたが、それは間違いで、政府と企業がお金を使わなくなったからである。
  • 6.近年、企業の内部留保の増加傾向が定着したとことが、ますます国民の財布を苦しくしている。
  • 7.日本には、他の先進国にはない「国債の60年償還」というルールがある。このため、毎年の予算編成において、予算の15%以上を「国債償還費」に計上している。このようなことをしている国は日本以外にない。
  • 8.「国債の60年償還」というルールは、日本ですら有名無実化しており、現実に60年で償還していない。他の先進国と同様、償還時期が到来すると「借換債」と発行して、償還を繰り延べている。
  • 9.アメリカの現在の高インフレは、政府の財政支出を非常な高率で行ったのが原因である。会田卓司さんによると、政府と企業を合わせて5%くらいのマイナスが良いところを、コロナ対策でマイナス17%になるまで、財政支出をしたために現在のインフレを招いた。
  • 10.日本は、2000年以降、政府と企業の支出がゼロの時代が長く続き、コロナ対策で政府支出を増やしたものの、額が少なすぎる。

(なお、この対談は合計3回あります。冒頭に埋め込んだのは3回目で、上の要約につきましては、過去2回の内容が一部入っています。ご了承ください。)

おしまい

国債発行による国民へのバラマキとMMTのまとめ

世間では、国債発行で国民にお金をバラまくのは、国の借金を増やし子孫の代がこの借金を返済しなければならないという誤解がひろく信じられている。しかし真実は真逆で、国債発行をして、国民にバラまくのが通貨発行であり、これが30年来足りていない日本は経済成長が出来ず、そのためにGDPに対する国債残高の比率が世界中で一番大きな国になってしまった。

しかし、諸外国の国債発行残高の絶対値は、経済成長と同じ率で増えている。日本は、「異次元の金融緩和」と言い、中央銀行に「ブタ積み」しているだけで、国債発行で国民へお金を手渡すことをしなかった。この30年経済成長をしなかった。国債残高の比率が世界と比べてもっとも高い値になったのは、成長しなかったせいだ。

これを多くの主流派の経済学者や財務省それに追随するマスコミは、日本の国債残高の比率がGDPの2.5倍を超え、破綻寸前だとか煽るのだが、経済成長していないからこのように比率が高くなっている。諸外国の国債の残高はこの30年で2倍以上増えており、同時に、経済成長も2倍以上しているので、比率は増えていない。つまり、GDPの何倍までなら許容できるかという議論自体が無意味だ。日本のように経済成長できない国の比率はあがる。経済運営は、貧困さえ国民に強いれば何倍でも許容できる。

ところが、主流派の経済学者と財務省は、相変わらず経済運営を「入るを計って出ずるを制す」とまるで二宮尊徳がいうように、家計の台所と政府の台所を混同している。これまで、書いてきたように国債による資産の国民への移転は、日本という国に対する通貨の供給である。これが足りなかったばかりに、日本は成長できず、世界から落後しようとしている。

二宮尊徳、倹約が美徳のシンボル。政府が倹約しちゃあいけません。ほどほどが旨です。

《ここからは国債発行による資産の国民の移転が、通貨の供給だと正しく世間で認識されたとき、どのようなことが大事で、どのような制約があるのか考えたい。》

まず、大前提として国債の発行をして国民の資産を増やすにも当然限度がある。前に書いたが、日本という国の供給力(生産力)の範囲でしか可能でない。この30年間で、日本は供給力をかなり失った。日本企業は生産拠点を海外に移したし、日本で売られている製品のほとんどは日本製ではない。コロナで日本のGDPは500兆円ほどである。現在の需給ギャップ(生産力と購買力の差)が20兆円と言われているのに、岸田政権の当初予算に占める経済対策の規模は、1.2兆円と言われ、少なすぎる。

もし、国債発行が国民への通貨発行であり、それが経済成長に不可欠だと認識が改まったら、日本は蜂の巣をつついたような大騒ぎになり、「金よこせ」との大合唱が起こるだろう。「税金なんか取らなくてもいいじゃん」という声も出るだろう。だが、税金は格差をなくし、公平を保つために必須だ。

このため、とりあえず国債発行が通貨発行であり、適度にされることが必須だと認識が変わった時に、最初にすべき政策は、減税と社会保障費控除額の減少だろう。減税は、消費税の減税もしくは廃止が一番である。税の機能は、好景気が行き過ぎたときに徴税で景気を冷やし、不景気のときに税率を下げて景気を刺激するという働きのモノである。ところが、消費税は、好景気不景気に関係なく、消費に対する罰金であり、景気を悪化させる働きがある。また、消費税は、所得税や法人税のように景気が良いときに税率が上がり、不景気のときに税率が下がる「景気安定化装置(ビルトインスタビライザー)」とは真逆の働きをする。つまり、貧乏人に重い、金持ちに軽いという逆進性があり、不景気化、格差拡大のおおきな原因である。

また、社会保障費も30年間で、恐るべきほどに高負担になっている。こちらも、社会保障費の負担には所得の上限が決まっており、年収1000万円当たりの負担が一番大きいが、1000万円辺りをこえると、負担率が下がっていく逆進性がある。こちらも、まず税金のカバー率を上げ、国民の負担率を下げることだ。

そこから先の話と話として、科学技術に対する支援、インフラ整備、防災対策、教育支援、とくに学生ローンをやめて、給付型の奨学金、文化振興など、やるべきことは山のようにある。

ところが、政府がやろうとしているのは、特定の分野のみに裨益する政策、例えば、GOTOトラベルのような施策をやりたがる。これでは貧乏人には、一向にメリットがない。儲かるのは、大手旅行会社、プログラム開発のベンダー、大手旅館などだけだ。為政者は、いつまで、利権を眼中に置いているのかと思う。

そして、一番大事なことは、円を海外へ流出させないことだ。日本国内で生産することである。海外から何でも輸入して、良い暮らしを続けられると思っていたら大間違いである。今は、高度成長期の貯えで経常収支が良いが、エネルギー価格の高騰で貿易収支は悪化している。これに加えて生産がこれ以上落ちるとヤバイ。海外でも稼げない、国内でも生産できなないとなると死ぬしかない。やはり、海外展開している工場を日本へ呼び戻し、生産力を回復しながら新しい技術も自前で開発するしかない。そのために自由貿易とか、グローバリズムとか寝言を言っていてはダメだ。保護主義義的な政策へ転換すべきだ。いま世界は、グローバリズムの失敗のツケをどう処理しようかとせめぎ合っている最中だ。

おしまい

国債発行が国民を豊かにする

(2022/8/3, 2022/8/4 & 2022/9/15 一部、追記しました)

まず最初に、「国債発行が国民を豊にする」という説明の根拠をお伝えする。ここでは、2人のおっしゃっていることをお伝えする。私が書いているのは、お二人がおっしゃっている内容を、表現方法を少し変えて(分かりやすく)伝えているだけである。お二人に感謝申し上げる。

一人目は、どんぶり勘定事務所の神田知宜(かんだとものり)さんである。神田さんは、会計事務所を経営されている方で、こうした通貨発行の旧来の社会通念をひっくり返すような動画もさることながら、中小企業経営相談などの動画も多数アップされていてなかなか楽しい。通貨発行のプロセスについては、日本銀行と、日本銀行金融研究所がそれぞれ、信用創造(通貨発行)の手順を公表しており、そこから会計取引を簿記の仕訳で表したということである。 

二人目は、「目からウロコが落ちる奇跡の経済教室」著者中野剛志さんである。中野さんは、イングランド銀行の記述と、建部正義さんの「国債問題と内生的貨幣供給論」をもとに論述されている。中野剛志さんは、経済学者なのだが現在は経産省に勤めておられるMMTの中心人物のおひとりである。

中野剛志さんの本

お二人が言われる説明の具体的な根拠の部分は、最後に掲げた。読んでみようと思う方は是非、参照してください。

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それでは、国債の発行は通貨発行であり、国民を豊かにするということを説明する。

これを理解し、世間でも理解されるようになると社会の問題のほとんどが改善する。問題のほとんどがお金がらみだから。

日銀は、国債を発行、市中銀行に引き受けさせる際、日銀当座預金を信用創造(通貨発行)により市中銀行に供給し、それを元手にして市中銀行が国債を購入する。市中銀行にとっては、利子のつかない日銀当座預金の形で預金を持っているより、国債の形で資産を持っている方が利子がつくし、国債は元本割れのリスクもないので、市中銀行は国債を買わないという選択肢はない。必ず、国債を買う。こうしたこと、日銀が信用創造により市中銀行に資金を与えることでやっているという事実は、世間では全く知られていないと言っていいほどだ。 この国債発行と購入のプロセスを何故、日銀の人たちは世間に向かって大きな声で言わないのか。それをホームページに書いたり本で出版しているのに、なぜ言わないのだろうか。 おそらく通説と、驚天動地というか、地動説と天動説ほど違う事実を言うのは、その後の世間に与える衝撃の大きさを考えるからだろう。 しかし、この事実が、広く経済学者の間で理解されれば、経済の世界は180度変わる。すでに、欧米はそれを理解して、経済政策に取り入れている。 日銀の実務担当者よ、通貨発行、国債発行の真実を述べてくれ。

なおこの事実は、自民党の参議院議員西田昌司氏が、国会で取り上げ、日銀の担当者も、財務省の担当者も、さらには、鈴木俊一財務大臣も、国債の発行が国民に資産をもたらすということを認めている。ぜひ、皆さんもネットなどで、調べてみてください。


ここから、一連の具体的なプロセスを説明する。まず第1番目に、日銀がB銀行に、「国債」を購入するための「日銀当座預金」を通貨発行(信用創造)する。このとき、日銀は、「日銀当座預金」をB銀行にくれてやるのではなく、「貸付金」という債権の形で「資産」をもち、B銀行は「借入金」という形で「負債」をもつということに注意してください。

次に2番目に、政府が「国債」を発行して、B銀行が「国債」を日銀を経由して購入する。3番目として政府はその代金で、C企業から「スーパーコンピューター」(=「固定資産」)を購入する。「スーパーコンピューター」という例えにしたが、IR施設の建設でも何でも構わない。

なお、一連の取引を終了した後で、左右(借方と貸方)に同じ勘定科目が出てくる場合に相殺すると何が起こっているのかが一目で分かる。そのため、最初の段階から最後に消える勘定科目は、前もって抹線した。しかし、取引の時点では、勘定科目は生きている。最後に消し込んだという前提で見てもらいたい。

1-1 B銀行が、日銀の通貨発行(信用創造)により、日銀当座預金を手にする。

この部分が、日銀がB銀行に対し「日銀当座預金」を信用創造(通貨発行)する部分である。日銀は、日銀の中にあるB銀行の日銀当座預金口座に、1000億円振込むと同時に、「貸付金」という債権をもつ。B銀行は、1000億円の「日銀当座預金」という資産を手に入れると同時に「借入金」という債務を背負う。

B銀行(対日銀) (日銀当座預金)1,000億円 (借入金)1,000億円

日銀(対B銀行)  (貸付金)1,000億円   (日銀当座預金)1,000億円

これです!右端の部分です。日銀が、市中銀行に国債を買うお金を渡しています!それが国債と交換されています!

1-2 B銀行が国債を購入。代金を政府へ直接払えないので、日銀へ支払い。

B銀行(政府) (国債)1,000億円

B銀行(日銀)             (日銀当座預金)1,000億円

B銀行は、日銀当座預金を使って国債を購入した。日銀当座預金1000億円を手放し、国債1000億円という債権を手にした。(上の説明。以下同じ。)

日銀(B銀行) (日銀当座預金)1,000億円

日銀(政府)               (政府預金)1,000億円

日銀は、B銀行にある負債の日銀当座預金を消し、政府預金の口座に入金した。日銀は、B銀行から振り込まれた1000億円を政府の口座に振り替えた。

政府(日銀)  (政府預金)1,000億円

政府(B銀行)             (国債)1,000億円

政府は、B銀行に対し国債1000億円という負債を負い、政府預金1000億円という財源を手に入れた。

1-3 政府がスパコンを日本のC企業発注。支払いを日銀、B銀行を経由し、C企業へ支払い。

政府(C企業)(スパコン=固定資産)1,000億円

政府(日銀)              (政府預金)1,000億円

政府は、日銀の口座にある政府預金を払い出し、スーパーコンピューターを手に入れる。

日銀(B銀行)             (日銀当座預金)1,000億円

日銀(政府)  (政府預金)1,000億円

日銀は、政府から預金を受け取ったので、政府預金を増やすとともにB銀行の日銀当座預金を増やす。

B銀行(政府) (日銀当座預金)1,000億円

B銀行(C企業)  信用創造 →→→→→→(普通預金)1,000億円

B銀行は、日銀から日銀当座預金を受け取ったので、C企業の普通預金を増やす。つまり、政府が支払ったスパコンの代金1000億円を日銀経由で支払い、B銀行がC企業の口座に1000億円を記帳した。これも、世の中に存在していなかったお金が生み出されたという意味で、信用創造(通貨発行)であることに注意してください。

C企業(B銀行)(普通預金)1,000億円

C企業(固定資産)         →→→(スパコン=固定資産)1,000億円

C企業は有形固定資産であるスーパーコンピューターを国に渡し、対価を受け取った。

1-4 B銀行が、手にした日銀当座預金を元手に、借入金を日銀に返済する。

B銀行(日銀)(借入金)1,000億円    (日銀当座預金)1,000億円

日銀(B銀行)(日銀当座預金)1,000億円 (貸付金)1,000億円

2.これらの取引を相殺消去する。

政府(B銀行)              (国債)1,000億円

政府(C企業)(スパコン=固定資産)1,000億円

B銀行(政府) (国債)1,000億円

B銀行(C企業)             (普通預金)1,000億円

C企業(B銀行)(普通預金)1,000億円


(結論) 

政府は国債を1,000億円発行し、スーパーコンピューターを手に入れた。B銀行は、国債1,000億円の債権を手にし、他方、C企業に対し普通預金1,000億円という負債を手にした。C企業は作ったスーパーコンピューターを政府に売り(その分の固定資産が減少し)、普通預金1,000億円を手にする。政府には、単に、国債を1,000億円発行したという履歴が残るだけだ。

前にも書いたが、この国債の残高は償還する必要はない。時期が来れば、借換債を発行して、償還を繰り延べるだけだ。誰も困らない。国民は豊かになった。この時、日本全体で見ると、国債発行で1,000億円の資産が形成されている。つまり、国債発行は国民に対する通貨発行そのものである。

注意しなければならないのは、国債の発行による通貨発行は、その国の供給力の範囲でしかできない。供給力を超えてやると、インフレになってしまう。(逆に言うと、これまで日本は国債発行が足りなかったから、成長できなかった。国債をもっと発行してい入れば、少なくとも欧米並みに成長していただろう。そうすれば、国債残高のGDP比率が世界最高とはならなかっただろう。)

日本の供給力は、年々怪しくなっている。日本で売られている商品の殆どが、中国製や、その他の途上国で作られてものを輸入して販売している。この状態が今よりひどくなれば、国債を発行するとインフレになるので、この手は使えない。つまり、チャンスは日本に国力のある今しかない。

おしまい

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以下、お二人の根拠となる事項。

最初はどんぶり勘定事務所の神田知宜さんが、根拠として示していただいたものだ。 日銀は、ホームペーの《決済・市場》《日銀当座預金取引・当座貸越取引》《日中当座貸越基本要領》の3.の2同時担保受払の「(2)取引先が、日銀ネットを利用して新規に発行される国債(以下「新規発行国債」という。)を取得する場合において、当該取引先が希望するときは、当該取引先に、新規発行国債の取得と同時に3.に定める根担保として差入れさせる。この場合において、新規発行国債の取得にかかる資金の払込みのために必要なときは、日中当座貸越を行うものとする。」と書いている。また、日本銀行金融研究所が「日本銀行の機能と業務(日本銀行金融研究所編、有斐閣、2011年刊)」の第4章第4節「決済と日本銀行の役割」で、「国債の買い手である金融機関が,売り手から受け取る国債を担保に日本銀行から日中当座貸越を受け,同時にその資金を当該国債の買入代金の支払いにあてることができる仕組みで,流動性の節約に有効であることから広く用いられている。」と書いている。

二人目は、「目からウロコが落ちる奇跡の経済教室」著者中野剛志さんである。中野さんは、イングランド銀行の記述をもとに次のように論述されている。こちらは、とても読みやすい。

   ① 銀行 が 国債( 新規 発行 国債) を 購入 する と、 銀行 保有 の 日銀当座預金 は、 政府 が 開設 する 日銀当座預金 勘定 に 振り替え られる    ② 政府 は、 例えば 公共事業 の 発注 にあたり、 請負 企業 に 政府 小切手 によって その 代金 を 支払う    ③ 企業 は、 政府 小切手 を 自己 の 取引 銀行 に 持ち込み、 代金 の 取立 を 依頼 する    ④ 取立 を 依頼 さ れ た 銀行 は、 それ に 相当 する 金額 を 企業 の 口座 に 記帳 する( ここ で 新た な 民間 預金 が 生まれる) と 同時に、 代金 の 取立 を 日本銀行 に 依頼 する    ⑤ この 結果、 政府 保有 の 日銀当座預金( これ は 国債 の 銀行 への 売却 によって 入手 さ れ た もの で ある) が、 銀行 が 開設 する 日銀当座預金 勘定 に 振り替え られる    ⑥ 銀行 は 戻っ て き た 日銀当座預金 で 再び 新規 発行 国債 を 購入 する こと が できる。

  この プロセス から、 次 の 二つ の こと が 分かり ます。   第一 に、 銀行 は、 日銀 に 設け られ た 日銀当座預金 を通じて、 国債 を 購入 し て い ます。 集め た 民間 預金 を 元手 に し て 購入 し て いる わけ では ない の です。 です から、 銀行 の 国債 購入 は、 民間 預金 の 制約 を いっさい 受け ませ ん。   では、 この 銀行 の「 日銀当座預金」 は、 どこ から 来 た の でしょ う か。 それ は、 もと はと 言え ば、 日銀 が 供給 し た もの なの です。   さて、 そう だ と する と、 銀行 による 国債 購入 という のは、 日銀 が 政府 から 直接 国債を購入し て 当座預金 を 供給 する こと( 日銀 による 政府 への 信用創造)、 いわゆる「 財政 ファイナンス」 と ほぼ 同じ という こと になり ます。 もっとも、 財政 ファイナンス は、 法律( 財政法 第 五条) により 原則 禁止 とさ れ て い ます。 しかし、 銀行 による 国債 購入 も、 結局 の ところ、 日銀 が 供給 し た 当座預金 を通じて 行わ れ て いる の です から、 財政 ファイナンス も 同然 でしょ う。 「財政 ファイナンス は、 ハイパーインフレ に なる から、 絶対 に やっ ては なら ない!」 と よく 言わ れ ます。 しかし、 銀行 の 国債 購入 という 事実 上 の「 財政 ファイナンス」 は、 普通 に 行わ れ て いる の です。 でも、 ハイパーインフレ なんて 起き て い ませ ん ね。   いずれ に し ても、 政府 の 財政赤字 は、 民間 貯蓄( 預金) が ファイナンス し て いる のでは ない の です。   第二 に、 政府 が 国債 を 発行 し て、 財政 支出 を 行っ た 結果、 その 支出 額 と 同額 の「 民間 預金」 が 新た に 生まれ て い ます。 つまり、 政府 の 赤字財政 支出 は、 民間 貯蓄( 預金) を 減らす のでは なく、 逆 に 増やす の です。

中野剛志. 目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】 (ワニの本) (Kindle の位置No.1028-1038). KKベストセラーズ. Kindle 版.