歯がゆい! この国に金はある!! MMT

このコロナ禍で、休業補償など他国がするのに、日本は財政危機のためそれができないという記事が、まともな知識人からもいっぱい出てくる。例えば、次のような記事、これはAERA.dotのものである。

「この国にもう余力はない」 賃金8割支給がイギリスにできて、日本にできない理由

しかし、実際は違う。MMTという経済理論があり、これが経済学の常識を180度ひっくり返すものだ。これによると、自国通貨で国債発行する国であれば、インフレにならない範囲で国債をいくら発行しても何の問題も起こらないという。 むしろ、このコロナ禍の場合、さらなるデフレが予想され、国債を発行して、困った人に給付したり、休業補償したりすることで、デフレのショックを和らげられるというものだ。

ところが、このMMT、天動説時代の地動説のようなもののため、異端扱いされる。だが、この説が正しいことは、皮肉だが日本の経済状況が一番のサンプルだ。日本は、バブル崩壊後、何度も何度も財政出動(”too late, too smasll”と言われた)したが、一向に景気が回復せず、国債残高が1100兆円を超えたがデフレのままだ。

日本で、MMTを主張するのは、京都大学の藤井聡教授、青木泰樹教授、中野剛志氏、三橋貴明氏などと少なく、国会議員でもれいわ新撰組の山本太郎氏、自民党の安藤裕氏などである。

だが、主は、主流派の経済学を時代遅れの天動説だと思っている。いまのように地動説をバッシングしていると、おおぜいの国民の命が失われる。 今回のコロナ禍で、欧米各国は、赤字を恐れず国債を乱発していち早く経済復活を果たすだろう。しかし、日本が赤字拡大を恐れて国債の発行を渋れば、ますます日本は沈んでいく。 

下の表は、財政支出と成長率の相関を表した表なのでが、見事な相関関係が見て取れる。なお、右上の一番高いところは、中国である。

タマノオヤ @jazz01438195さんのTWITTERから

もう一度言う。この国にはお金は十分にある。これまでどおりの日本に金がないと主張しているのは、生活に困らない裕福な人たちばかりだ。さいごに、藤井教授が紹介するMMT理論の動画を貼り付ける。

《オカネは、銀行で借りて、つくられる [ 誰でもわかるMMT(現代貨幣理論) ] 藤井聡(京都大学大学院教授)|週刊クライテリオン 藤井聡のあるがままラジオ》

おしまい

新型コロナ 国民全員に毎月10万円配っても何の問題もない!

国民は日本が借金まみれで、あまりに借金が多く、1100兆円もあるためにこれ以上、政府を頼るわけにはいかないと思っている。

しかし、これは財務省がマスコミを含めて洗脳をしてきた結果であり、この新型コロナの危機にあたり「国民全員に毎月10万円配っても何の問題もない。」のだ。

その理屈を説明すると、財務省が国民を脅す国債は国の借金であり、この借金は、返す必要があるというが、そうではない。国債は借り換え(償還期限が来れば、新発債を発行して借り換え)ても良いし、本当に償還する場合でも、お札をすればよいだけである。

こうしたお札を刷って借金を返すという技は、国民にも企業にもできない技だ。国民、企業は「入りを量って出ずるを制する」(入ってくるお金以上にお金を使ってはならない)を意識して生活しているが、国の場合には事情が違う。我々は日々、お金を使っているが、これは国が発行したもので、国は経済の成長に合わせてお金を発行している。この国による通貨の発行を「通貨発行権」といい、これは国にだけ認められた権利だ。昔、この通貨発行は、兌換といって、国が所有する「金」の範囲でしか発行できなかった。これを金本位制というのだが、この縛りは昭和の時代になくなっている。

また、国が国債を発行する(国が負債を負う)ということは、国債を買った人や企業ににとっては、資産(債権)の増加になる。

つまり国が負った負債なのだが、これは国には通貨発行権があるので、いつでもチャラにでき、国債を買った側に資産が増えるメリットがある。

ただ、この技が使えない国がある。それは自国通貨で国債を発行できない国、例えば、イタリア、スペインなどはEUに加盟しユーロを使っているので、勝手にユーロを発行できない。同じくギリシャだが、通貨ドラクマを放棄したため、ユーロを使わざるを得なくなって破綻したわけだ。あと、アルゼンチンなどはドル建てで国債を発行しているので、ドルを刷るわけにはいかない。

また、主流派の学者は、終戦直後の日本や、軍事独裁政権時代のブラジルなどをあげ、通貨供給を極端に増やすとハイパーインフレが起こると警鐘をならすのだが、それは政府自体が終戦直後の荒廃した供給力のない時代の話なので、牽強付会(無理なこじつけ)というものだ。

よく大量に国債を発行すると、信認を失い、金利があがるというが、日本は約30年間、1100兆円の国債を発行してきた結果、金利は下がりつづけ今ゼロである。確かにマーケットの信用を失ったギリシャが金利40%をつけて、引き受け手を探したという話があるが、これも日本にとって牽強付会だ。

ただ、お金を配ると言っても限度があるのは当然だ。日本のGDPは530兆円/年ほどだが、ここに毎年200兆円配ればインフレになるだろう。インフレになりそうになった時に初めて、消費税や所得税などをあげれば、経済活動は冷える。今は、経済活動を温めなくてはならない時期だ。

新型コロナの対策で、国民一人当たり10万円を全員に一月配れば12兆円。これを半年やると、72兆円になるが、金持ちに配ると意味がない。ただ、全員に毎月10万円を配って、金持ちも勤労者も確定申告させれば、半分以上は戻ってくるだろう。

低所得者層に30万円を配るという案が当初検討されたたが、このとき負担は20兆円程度とか言われていたので、毎月10万円を6か月配っても、40兆円くらいだろう。当然、家賃や学費などの他の支援も必要である。

GDP530兆円に対し、40兆円を国がだしてもインフレにならないだろう。新型コロナの影響で、日本は20%以上のGDPが減り、間違いなくデフレになるだろう。その状態で、40兆円出しても、デフレだろう。

しかし、当の日本の財務省は、10万円を1回だけ配って終わりにしたいと考えているだろう。そんなことでは、日本で生き延びるのは、議員、地上波のテレビ局と財務省だけだろう。

ちなみに、動画の登場人物をごく簡単に説明すると、藤井教授は最近まで、安倍内閣のブレーンをされていた。安藤議員は、コロナが始まってどんな景気対策をするかという時に、他の議員たちとともに消費税の凍結を首相に進言した人だ。三橋貴明さんは、安倍総理と食事をしながら消費税を上げないようにという話をして、やっと人気が出始めた時に、家庭の夫婦げんかで奥さんにビンタをしてしまい、奥さんが警察に行き、警察に逮捕されたら、その日の夜のニュースに「家庭内DV!!!」という記事がそこら中に載ったという方である。

以上が、2つの動画の内容の主なものだ。

 

おまけ

これらの動画や他の動画を見ると、面白いエピソードがいっぱい出てくる。どうやら、安倍首相も麻生財務大臣も最初は、日本の景気回復にはお札を一杯刷ればよい、消費税は上げない方が良いと思っていたらしい。しかし、徐々に考えが変わっていき、財務省の意向に従っているという。

その原因の一つは、国税庁の存在。また、モリカケ問題の発端は財務省のリークで、泥を財務省が被ることを引き換えにして、政府に消費税を上げさせたのではないかという。

なお、何故、財務省がそれほど財政再建にこだわるかということだが、財務省設置法に「健全な財政の確保」、財政法第四条に、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」という言葉が入っているからだと分析する人がいるという。これが本当なら、財務省、法律バカですね。さすが、東大法学部出身者の集まり。すぐに条文自体を、現実に即して改正しなければならない。

他によく言われるのは、もし財政規律をゆるめて日本経済が復活したら、財政規律をうるさく長年言ってきた財務省の掛け声は何だったのか、と問われるのが嫌だという説もある。要は、日本経済が復活して困るのは財務省というわけなんですね。

ところで、マイナンバーはすでに導入済みだし、コンピュータの事情も昔と大違いだ。

国はすでに国民全員にマイナンバーを振っているので、全員の所得を把握している。今回の給付のデータを源泉徴収義務者(企業)に伝えるようにすれば、確定申告ではなく、源泉徴収も可能だ。

今回の新型コロナの対応で、日本はコンピューターの活用がいかに遅れているということがバレてしまったが、この機会に、企業による源泉徴収制度を改め、国がコンピューターシステムを作って税額を計算して、その結果に基づいて、企業は納付だけするようにすればよい。コンピューターの進化は、たとえ1億2千万人の納税計算でも、パソコン1台あれば出来るレベルのシンプルなものにしてしまった。大げさなシステムはまったく必要ない。クラウドでちゃちゃっと作ればよい。時代はもうメチャかわっている。

ハンコ文化も止めればいいですね。

テレビの報道などで、政府の助成金などを求めて、中小企業などの事業者が政策投資銀行やら市中銀行へ出向いている様子が写される。このとき、紙の書類の束が画面に映って、これにも驚く。いつまで、紙の束で仕事をするつもりなのか、時代錯誤でしょ。紙で受け付ければ、もう1回コンピューターに入れる手間が必ずあるでしょ。

おしまい

 

SINKING 沈む国 《日本経済が「コロナ危機」にこれほど弱い根因》

2010.5.14 ——————-

当初以下のように書いていた。しかし、アトキンソンさんいう日本の生産性が上がらないのは中小企業が原因だとしても、いきなり中小企業に廃業を求め、その従業員を生産性の高い企業で働くように集約するのが良いとしても、労働者の流動性には時間がかかるので、負の影響(例えば、自殺者が出るとか)が大きいと思うようになった。

つまり、現下のコロナのような問題を抱えているときに、この機会を捉えて、中小企業を切り捨てる政策をとると、労働者が新しい職場をすぐに見つけられるとは思えない。多くの生活ができない人が生じるのは確実な情勢で、まずはその人たちを救うことが最優先だと思う。

そのためには、まず財政拡大をして、人々を救い、経済を回復させる必要がある。そして、経済再生を果たしたときに、中小企業の生産性を高める方策をとるべきだ。

2020.4.26 ——————-

デービッド・アトキンソンさんが、意味深長なことを書かれている。

今回の新型コロナの件で、国力のない国が大きなダメージを受けているという話なのだが、国力のない国には、中小企業が多すぎるという。

《各国とも多少の違いはありますが、小規模事業者が多いという共通点があります。それが原因で生産性は低迷し、女性の活躍は進まず、貧困率が上昇し、GINI指数で見た格差が拡大し、財政も悪化、さらには少子化も進行するという諸問題を抱えています》

日本経済が「コロナ危機」にこれほど弱い根因   ←クリックして下さいね。

その国の頭文字を並べると、SINKINGになるという。つまり、・・・

  • S スペイン
  • I イタリア
  • N 日本
  • K 韓国
  • I イギリス
  • N ニュージーランド
  • G ギリシャ

わかりますよね。つづきは、東洋経済に書かれたアトキンソンさんの文章を読んでください。アトキンソンさんは、財政赤字に対する評価や、為替レートの影響などについて、触れられないのが残念ですが、彼の主張はとても的を得ていると思います。

なお、主は、財政の悪化が、財政支出ができない原因の全てだと考えているわけではありませんが、《財務省》のいう巨額の財政赤字が足枷になっているということが、広く日本社会でコンセンサスを得ているのは間違いありません。

しかし、国が自国通貨でいくら借金してもインフレにならなければOKというMMT理論(現代貨幣理論)も言われています。現実に、MMT理論の登場以前の何十年間も、日本は財政赤字を続けていますが、インフレになるどころか、デフレを脱却できていません。

これは、財務省やマスコミが信奉するクラシックな経済学が間違っており、今回のコロナによる各国が積み上げる財政支出によって、インフレになるのかならないのか、壮大な社会実験を意味すると思います。

おしまい

 

「深層」カルロス・ゴーンとの対話 郷原信郎(小学館)

郷原信郎の「『深層』カルロス・ゴーンとの対話」を読んだ。サブタイトルは、「起訴されれば99%超が有罪になる国で」である。なかなか読みごたえがある。この事件の「深層」が良く分かる。(以下、基本的に敬称略)

郷原信郎は、もともとカルロス・ゴーンの逮捕以降、容疑事実を含め検察の捜査や対応を批判してきて、それを書物の形で出版する予定だった。それが、ゴーンの2019年末のレバノン逃亡が起こり、改めて原稿を書きなおしたのがこの本である。最後の部分に、分かりやすいかと思ったので、出版元の小学館のキャッチ・コピーをペーストした。

まず、主が感心したのは、郷原信郎の経歴だ。Wikipediaによると、郷原は、東大の理学部の地質学科をでて、鉱山会社に入社、1年半で退職した後、司法試験に合格して、検事に任官している。メジャーな法学部出身者より志たかく、良いのではないか。別に安倍政権の批判なども徹底的にしており、彼の巨悪と徹底的に戦うぞという正義感には、つよく惹かれる。

何点か感じた点を書く。

① 日本の検察をはじめ、司法は、あまりに幼稚なロジックだけで判断しているように見える。「科学的」に判断するという姿勢が感じられない。「自白偏重」、「人質司法」という姿勢は全くそうだし、被告の主張を聞き入れず、検察が作ったシナリオに沿って調書を作成することだけに腐心し、検察が握っている証拠を被告側へ開示をしないなどと読むと、日本の裁判制度すべてが疑問に思えてくる。当然だが、「推定無罪」の原則に立ったうえで、科学的、合理的に検察は罪を立証すべきだ。検察は、手の内を隠して裁判を進め、ほとんどの証拠物件を押収された被告の手元には反証するにも資料がない、そのような状況で進む裁判で、判事は検察に有利に取り計らう。—– この本に中に次のような記述がある。

「刑事弁護人の経験から言えば、「推定『有罪』の原則」が働いていると言ってもよいほどだ。「推定無罪の原則」からは、検察が、起訴の段階の証拠で有罪を十分に立証できない場合には、一定の期限を設定して、それまでに証拠が提出できなければ無罪となるのが当然だ。しかし、実際には裁判所は、検察に補充の証拠収集や立証の機会を与える。その結果、公判が長期化する。結局、弁護人が「無罪」の証明をしない限り、無罪判決はなかなか出ないというのが日本の刑事裁判の実情だ。」

② この本を読むと、明らかに日産内部のクーデターに検察が乗ってしまったことがわかる。西川氏が日産のCEOになって以降、業績の悪化が激しく、今回のコロナも考えると倒産してもおかしくないほどだ。西川氏はすでに、ケリー氏が暴露した報酬の割増受領の責任を取らされ、辞任している。しかし、カルロ・ゴーンが、CEOを辞任し会長になった時に、西川氏を後任者に置いたものだ。その西川氏がCEOになると同時に、業績が悪化し始め、ゴーンも「これではまずい」と感じ、西川氏の責任を考慮し、交代させることを考え始め、身の危険を察知した西川氏がクーデターを考えたのだろう。

実際の司法取引をおこなったのは、法務担当役員のハリ・ナダ氏と秘書室長の大沼氏であり、西川氏がこれを知ったのは逮捕の1か月前とされている。しかし、西川氏はもっと早い段階で知っていたと思われる。この司法取引の詳細も公判が始まるまで秘密にされるのだが、これも問題だろう。

③ なぜ、特捜部はこのような、会社のクーデターに加担したのか疑問がわく。これについて、著者は、特捜部長の森本宏氏の名をあげている。大阪地検特捜部が起こした、フロッピーディスクの日付の改竄(村木さん事件)という、不祥事で危機に陥った特捜部の地位を取り戻そうと、2017年に就任した森本氏が、スーパーゼネコン4社のリニア談合、文科省の局長の受託収賄、秋元司衆議院議員のIR汚職を指揮し、一定の成果をあげたと世間から評価される。しかし、これらの捜査は検察の常識を超えるものだという。その延長線上に、ゴーン事件があり、この捜査手法は常軌を逸しているが、これまでは結果がついてきたので、今回また検察の「私物化」が行われたのではないかという。

④ 全体ととおして、日本の司法制度全般が、他のセクター(教育や医療、コンピュータなど)も同様だが、世界とかけ離れているとしか思えない。判断の根拠に合理性よりも、村社会の掟が優先し、ロジックなしでも日本では許されているが、世界に通用しそうにない。本書からそのように感じた「取り調べでの検察官の言動」を引用する。

郷原 「取り調べ時の検察官の態度だが、あなたの説明を聞く耳を持っていたか。言い分を聞こうとする態度だったか?」

ゴーン 「私の言うことはまったく耳に入れようとしなかった。ただ、私の言うことに対抗するためにどうするかということで聞いていた。意見を変えさせるために。弁護士にも言われた。逮捕しているから起訴は決まっているから、説明しても無駄だと。検察官は、ただ起訴を正当化する理由をあら探ししているだけだった。」

また別の場面で、郷原 「それに対して何か反論はしなかったか?」

ゴーン 「彼らにとってはどうでもいいこと。私の主張を聞く耳がない。こちらの論理や説明は聞かない。私の話を聞くためではなく、私にとってダメージになる材料を私の口から引き出そうとしていた。議論をしようとすると、『あなたは賢すぎる』と言った。『私はあなたのように賢くない』、という言い方。『ただ、検察にはたくさんの人間がいるから、集まったら勝利するのだ』」と。・・・

録音テープがあるはずだし、こんな様子の取り調べはあまりに情けない。

合掌。

おしまい

—– 以下、本書のコピー —–

〈 書籍の内容 〉元特捜検事が10時間以上にわたり聴取!
田原総一朗氏 「この事件は、日産と経産省による正義を装ったクーデターだとはっきりわかった」
堀江貴文氏「これは、日本の司法制度が間違っている、と世界に伝えるチャンスだ」
両氏推薦!

特捜検事として数々の事件を手がけた著者が、ゴーン氏本人に計10時間以上もの単独インタビューを敢行、検察庁の悪慣習「人質司法」の異常性、日産の奇策「内部告発・司法取引」のガバナンス上の大問題、マスメディアの検証なきリーク報道について、プロの目で聴取を行った。その赤裸々な証言から、法曹界、産業界、マスメディアに向けて大きな警鐘を鳴らす1冊が誕生した。

  • ●証言であぶり出された「深層」とは
    ジェット機に踏み込む逮捕画像はフェイク!?
    検察による「人質司法」の生々しい実態
    「自白するまで家族に会わせない」検察の常套手段
    ヤメ検弁護士と検事の不気味な関係
    ヴェルサイユ宮殿で結婚式を挙げていない 
    ゴーンを叩き潰そうとしたのは誰か
    「ルノーとの合併回避」は口実だった!? 

 

 

 

 

官僚がいつまでたっても間違いを訂正しない意地 新型コロナ 消費税

消費税にまつわる官僚が間違いと指摘されても一向に変えようとしない点を書いてみたい。

消費税は1988年に3%でスタートした。この時、消費税の表示方法に、外税方式がとられた。つまり、本体価格が、100円であれば、税込み103円と表示する方法だった。

ところが、この表示方法、税額が分かりやすいメリットがあるものの、消費者は税額を常に意識させられる。 このため、諸外国では税額をことさら明らかにしない、内税方式が普通だ。主は、いろんな国へ行ったが、本体価格と税額の両方を明示している国を日本以外に知らない。

そんなこともあり、当時結構、財政当局(財務省&国税局?)が、制度設計のマズさを批判された覚えがある。

しかし、消費税は、3%から4%、5%、8%、10%へとアップしてきたことは周知のとおりだが、相変わらず本体価格、税額を明示する方法が取られている。つまり、外国のように支払い額だけを表示する内税方式はとられていない。

つまり、当局のスタンスは、納税主体によって、内税であろうと、外税であろうとどちらでも構わないというものだが、その結果、街では100円と表示されていながら、内税で100円だけ支払えばよい場合と、外税で110円支払わないとならない場合とあり、店ごとに違っている。おかげで、消費者はつねに購買するたびに、消費税を意識する。

今回の新型コロナによる不況の対応として、消費税の0%化を強く主張されている、京都大学の藤井聡教授がテレビで興味深いボードを紹介されていた。下のチャートがそうなのだが、消費税率を上げるたびに、消費の伸びが鈍化するというものだ。

 

とくに、昨年10月の10%へのアップは、税額が計算しやすくなったために、一段と消費者の購買意欲の低下に拍車をかける効果があるという。まさにそののとおりなのだが、外国のような完全な内税方式をとってこなかったことも、要因のひとつだと思う。外国には、税率が日本より高い国がいっぱいあるはずだが、国民は税額を全く意識せず、支払っている。そのため、かりに税率がアップしても、意識せず支払っているはずだ。

日本の官僚は、1回決めたらやり直さないというのではなく、日々転換して、制度なりをつねに改善すべきだ。

ちなみに、消費税を上げても、税収は増えていない(景気は良くなっていない)という表を貼り付ける。

NIPPON.COM 《消費税「導入」と「増税」の歴史》から

おしまい

 

NHK BSスペシャル リアルボイス 「韓国 大衆食堂から韓国の本音が聞こえる」

【NHKのホームページから番組案内の引用】

  • 日本と韓国の間には従軍慰安婦問題や徴用工問題など、難しい問題が横たわる。日本の書店には嫌韓本が並び、韓国を「優遇措置の対象国」から除外する輸出管理強化措置がとられ、韓国では猛烈な日本製品の不買運動…、日韓関係は悪化の一途を辿る。そんな中、韓国の人々の「本音」を探るため訪れるのは韓国各地の食堂。地元の食材を使った特色ある料理を仲間と囲みながら本音を語り合う場所で、両国関係の未来に向けたヒントを探る。【語り】宇崎竜童

https://www4.nhk.or.jp/bs1sp/x/2020-02-14/11/32453/3115800/

NHK HPのスクリーンコピー

デリケートな問題に真正面から取り組んだ番組があるんだなあと思った。

主は、今日の日韓関係を生み出した原因は、朝日新聞にあると考えている。朝日新聞は、慰安婦報道をねつ造だったと2014年に公式に謝罪したこと、これまでの村山、河野談話などの政府見解は、学者もそうだが朝日新聞が形成した世論の影響が大きいからだ。朝日新聞が自社の金で韓国に賠償すべきと思うし、自分で韓国と交渉してこいと言いたいくらいだ、そんな風に思っている。

だが、今回の日韓の問題は、韓国内の保守とリベラルの極端な対立、韓国人の儒教からくる潔癖性などの性向などがあると思う。しかし、なにより韓国人は日本に対して植民地支配への消えない恨みを持っている。ほぼ経済面では日本を抜いたと思っている韓国民は、いつまでたっても謝罪しない日本を許せないというのが、根底にありそうだ。

もちろん、日本人の一般的な考えは、韓国の賠償権は請求権協定で解決済みであり、個人賠償を日本に求めるのは国際法違反だというところにある。また、もし個人の請求権を認めると、韓国のみならず、中国や北朝鮮から何十万という請求が起こる可能性があり、到底認められないという事情もある。

しかし、慰安婦問題だけではなく、南京事件をはじめとする戦争責任自体の評価を政府が十分に行ってきたとは思えない。学者がそれぞれの立場で勝手なことをいうのは仕方がないことだとしても、そもそも太平洋戦争が侵略戦争だったのか、我々は総括された評価を教育されず、あいまいなままだ。毎年、終戦の8月には、日本が原爆投下の被害者だったという報道が大きくなされるが、侵略戦争をしたという観点からの報道は少ない。

WIKIPEDIAの日本の戦後賠償の項目を読むと、戦後賠償は複雑な外交交渉を経たことが分かる。中国はサンフランシスコ講和条約の対象にならず、賠償権を放棄したと書かれており、韓国は戦勝国ではないので、どちらにも、経済援助(ODA)の名目で支払って解決してきたはずだ。太平洋戦争は悪くなかったのか?

この番組を見た感想だが、韓国はアメリカ、中国を重視している(50%以上?)ものの、日本をまったく重視して(1%未満)いない。今回の日本側の輸出規制は、韓国が日本に頼っていた製品の内製化を促す良い機会と考えられている。大衆食堂で食事をする韓国人たちは、許せないのは日本人ではなく、日本政府だと多くが口にし、問題は政権同士のプロパガンダだと理解している。しかし、韓国人はすでに反日感情を露骨に表明することなく、むしろ、余裕を持って静観している。

もちろん、こうした韓国の姿勢の背後には、戦後の反日教育があり、日本が戦争の評価をあいまいな玉虫色のままに放置してきたことが大きいだろう。

「銃・病原菌・鉄」でピューリッツァー賞を受賞したジャレド・ダイヤモンドという生物学者のジャーナリストがいる。進化生物学の権威でもある彼は、「文明崩壊」、「人間はどこまでチンパンジーか?――人類進化の栄光と翳り」などのゼストセラーを次々に書いている。彼の近著「危機と人類」で、日本の過去の、明治維新と太平洋戦争後の復活を称賛する一方で、30年間成長できない現状にフォーカスし、「日本の危機」だとしてを取り上げ、日本の歴史観に辛らつな批評をしている。

この「危機と人類」のアマゾンの読者レビューには、次のように書かれている。

  • 「(ジャレド・ダイヤモンドは、)日韓併合は非道な行いと捉え、南京大虐殺の被害者が数十万人いて、写真にしっかりと記録されているとし、朝鮮や他国の女性を性奴隷にし、多数の朝鮮人に対し事実上の奴隷労働を強要したと叙述しているが、反日新聞をソースとしたのか、韓国の新聞をネタにしたとしか思えない。日韓請求権協定や日韓慰安婦合意についての言及はない。それでいて誠意ある謝罪がないとも言い、韓国の主張を丸呑みしている。ホロコーストについてはドイツは謝罪をしたが、賠償に応じていないことも無視している。 歴史家として失格だ。朝日新聞は英文で慰安婦事件の訂正文を出すべきだ。

主は、この読者と同感なのだが、ジャレドダイヤモンドのような、世界的にもっとも影響力のあるジャーナリストさえ、このように書くという事実に驚く。日本人の平均的な意見を踏まえたうえで、彼の著作に正しく反映されているとはとても思えない。外国からは、日本人の考え方とは全く違う、日本に対して否定的な捉え方が一般的にされているではないかと思う。

韓国では、若者の失業率が10%を超え、経済運営も失敗していると日本では報道されることが多いが、文在寅大統領が4月に再選される可能性がないとは言えないだろう。主は、文政権が政権から落ちて、野党が政権をとることを望んでいるが、それにもまして、日本の政権は慰安婦を始め、徴用工についても、南京事件についても、朝日新聞ともども、歴史の再評価と見解を、外国に対しても、自国民に対しても改めて表明すべきだろう

おしまい

 

ゴーン事件・日本の司法取引制度 映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」から

ゴーン逃亡事件は、日産経営陣が社長陣の犯罪を司法取引制度を使って、検察に不正を訴え出たことが発端だ。つまり、西川前社長たちのグループが、日本で認められている「捜査公判協力型」の司法取引を使い、自分たちの罪を軽くしてもらうことと引き換えに、ゴーン社長陣の犯罪の証拠を提供したはずだ。

ところが、この司法取引制度を弁護士事務所のブログは次のように評している。

一方で、ドラマなどによく出てくる「自己負罪型」といわれる、被告の知っている情報を捜査当局に提供することで自分の罪を軽くしてもらう司法取引は、日本の制度では、認められていない。つまり、ゴーンさんの立場からは、西川陣営の不正を知っていたとしても、それで刑を軽くしてもらう手段がない。訴えた西川陣営だけが、刑罰の減免を受けられる。(現に、不正な報酬を手にした西川前社長は、その件について起訴されない)

このような背景があるのだが、ホリエモン(堀江貴文)が日本とアメリカの司法制度の違いを理解するのにスコセッシ監督、ディカプリオ主演の「ウルフ・オブ・ウォールストリート」が分かりやすいと、YOUTUBEで勧めていた。

この映画、ウォールストリートでのし上がってきた新興の株式ブローカーを描いており、ディカプリオが主演で、めちゃ面白い。女性まみれ、ドラッグまみれで破天荒なのだが、達者なセールストークで顧客から金を巻き上げ、どんどん成功のステップを登っていく。しかし、最後はお定まりの逮捕劇。被害を捜査していたFBIが、司法取引を使って、部下たちから社長の犯罪の証拠を得る。様々な罪状を足し算するとディカプリオは懲役20年以上になる。一計を案じる主人公のディカプリオ。結局、罪人を一網打尽にし、被害者へお金を戻したいと考えるFBIの勧めに従って、ディカプリオも自分の持っている犯罪の証拠をFBIに提供することを決心する。ただし、本当に仲の良かった一人については、証拠をFBIに渡さなかった。結局、彼も司法取引の恩恵を受け、3年の懲役刑になる。その3年は、仲の良かった仲間を守った代償だった。

というのが、あらすじだ。ゴーン事件と対照すると、日本にもアメリカと同様の「自己負罪型」の司法取引制度があるなら、ゴーンが知っている証拠を検察に提供することで、彼の罪が軽くなる可能性があるはずだと言うことだ。

ホリエモンは、この司法取引に関する制度改正の契機となった、えん罪で刑務所に入った村木厚子さんの郵便不正事件について、「村木さん事件を考えれば、顔を見たこともない係長が、村木さんを主犯にすることで、自分の刑を軽くしようと試みることが想定され、えん罪を生むのではないか」という反対意見を国会の参考人として述べている。しかし結局、原案どおり法律が成立した背景がある。

ちなみに村木さんは、えん罪事件の検察の取り調べの過酷さを「全くの素人である私が、レフェリーもセコンドもいないリングで、取調官と二人きりで闘わせられるようだった」という興味深い表現でされている。

おしまい

 

 

《カランジル》ブラジルの刑務所 月1の面会日、セックス部屋がある!

(2022/9/18 一部リンクが切れていましたので、リンクを削除しました。)

ゴーンさん逃亡事件で、日本の拘置所の処遇が、人権にもとるという指摘を声高にした。そういえばブラジル映画で見た刑務所には、面会日があって、奥さんや恋人とセックスができる部屋がある。ブラジルの刑務所は、定員の倍以上詰め込まれ最悪だが、日本とは根本的に違う。ひさびさのブラジルネタです。

映画「カランジル」のカバー

ブラジルの刑務所には面会日があり、家族や子供、友人がぞろぞろ刑務所の囚人と会う日がもうけられている。その日には、何と奥さんや愛人とセックスする部屋まで用意されている!!

ブラジルの刑務所は、収容定員の倍以上の囚人が詰め込まれていて、最低だ囚人同士の暴力やレイプも茶飯事だ。一方で、なにより、刑務所の中で何でも買える。お金で寝床を買えるのみならず、テレビや携帯電話、趣味の道具、何でも揃う。とりわけ、ドラッグが蔓延しており、刑務所で薬物中毒になって売人になる者がいる。そんな刑務所なのだが、刑務所の中でサッカー大会があったり、人気歌手が慰問に来て、壇上からコンドームをばらまいたりするし、ゲイの囚人同士が結婚式をあげたり、それなりに自由に過ごしているといえなくもない。

「映画感想 * FRAGILE」から

「映画感想 * FRAGILE」から 右が主人公のドクター、エイズの専門医だ

そうした刑務所を舞台にした映画《カランジル》がある。カランジル刑務所は実在し、1992 年にはサンパウロのこのカランジル刑務所内で暴動が発生し、鎮圧のため刑務所内に警察が突入した。クライマックスが、囚人 111 名が死亡した事件であり、それまでの人間ドラマが描かれている。

映画のDVDのカバー写真は、暴動を起こした囚人を真っ裸にして、運動場に集め、座らせている場面である。暴動の鎮圧に警官たちは、気違いのように銃や機関銃を乱射する。その囚人たちを無差別に虐殺する様は、普通の人間(警官)が、恐怖とともに圧倒的な権力を握ると、何を始めるのか思い知らされる。(このときの警察の行動に関した裁判が、2016年末まで行われ、警察の無罪が確定している。)ブラジル映画、なかなかいいす。切ないっす。

下は、何か所かネットで見つけた、関連情報です。

① 刑務所で確かめ合う愛=女囚との特別面会は少数

こちらは、ブログ「おもしろランキングの広場」から。その冒頭部分の抜粋。ソースはブラジルに住む日系人向けの日本語新聞である「ニッケイ新聞」に掲載されたものらしい。

「【Revista da Folha 2005.11.27 ←ブラジルの現地紙】ブラジル国内の刑務所では世界でも稀にみるセックス面会日が設けられ、夫婦や愛人との愛を確かめ合うことができる。面会日は毎月最後の土曜日で、刑務所内の特別面会室で二時間甘い時間を過ごす。ただし時間切れを知らせるけたたましいサイレンで現実の厳しい世界に引き戻されるのが玉に傷だが・・・。」

② Mais ou Menos(まあまあ)の世界 ブラジル

こちらは、「ブラジル、アマゾナス州とマナウス市、ZFM(マナウス・フリーゾーン地域)に関する情報サイト」のPDFからである。こちらは、長く詳しい情報を読むことができる。

ちなみにMais ou Menos(マイゾウ・メーノス=まあまあ)と言うのは、英語でいえば、plus or minus と考えてもらえばよい。ブラジル人に限らず外人は、面と向かってBad! とは言わないので、否定的な表現をするときに手のひらを上に向け、肩をすくめてよくこういう。

「《第32章 刑務所は楽園》 法律の世界でいえば、極端なのが刑務所の中での囚人の扱い、ここにも“マイゾウ・メーノスの世界”があり、金で扱いが変わってしまう。金があれば、テレビ、ステレオ、冷蔵庫なんでも不自由しない程度の物を持ち込み、優雅に刑務所生活をしている囚人がおり、拳銃や麻薬まで手に入れている囚人もいる、女性は面会時に性器内に携帯電話や薬物を忍ばせて入ることが頻繁にニュースで報道されている。リオ・デ・ジャネイロでは刑務所内に豪華なベッド、バス付寝室、大型 TV、ステレオ付きの囚人の部屋が発見され全国ニュース大騒ぎ、即刻解体されたニュースが TV で放映された、いったいどうやって改築したのか想像を絶する。さらに刑務所内に事務所を設けて携帯電話で麻薬組織を操っている者までいる刑務所内には犯罪組織のグループが出来ており、護身料を払ってグループに入り命を守ってもらっている、いずれかのグループに属さないと拷問、性的暴力を受け何時殺されるかわからないことになる。・・・・」

③ ブラジル・刑務所面会お作法

「あめでぃお」さんのブログ「これでいいのだ!★サンパウロ」から。

「さて。
マリアちゃんからブラジルの刑務所についていろんな事を教えてもらいましたよ。
まず、びっくりしたのが
面会の前のチェックでございます。
荷物検査はもちろん、刑務官の前で真っ裸になってスクワットをするというのです。
前を向いて3回、後ろ向いて3回。
この試練に耐えなければ、愛する元銀行強盗の夫に会えないので
うら若きマリアちゃんも1・2・3、1・2・3と毎回行うそうです。」

「驚くべきブラジルの刑務所、なんと
二人きりになれるベッドのサービスまであるというのです。
コンクリート製の2段ベッド、目隠しに白いカーテンはあるけれど
マットレスのようなものはございません。
ついでに時間制限もございません。
更に驚くは、なんと希望すれば避妊具まで刑務所からもらえるそうです。
なんと心憎いサービスでしょう。
ここでの注意点はただ一つ。
「声を出すな。」
そんなことまで、このマリアちゃんは頬を赤らめ教えて下さったそうです。」

④ カランジル/実録!囚人虐殺事件

「ナイトウミノワ」さんのブログ「映画感想 * FRAGILE」の「カランジル/実録!囚人虐殺事件」から。

このブログの写真は、ここから張りつけさせてもらった。とても詳しく、分かりやすく書かれています。この映画をよく知りたい人におすすめです。「・・・囚人が鎮圧部隊バンザイと叫ばせられたり、・・」「刑務所内で暴動が起こり警察が鎮圧したと聞けば、それは囚人が悪いのだと思われてもしかたないでしょう。
でも実際はそうではない、政治家と警察の問題について斬り込んでいき、囚人の目線で事件を描き、隠された真実を暴こうとする熱意に感銘を受けました。」と結ばれています。

おしまい

ゴーンさん逃亡 検察の情報リークとマスコミ報道 & 郷原信郎弁護士「検察の大失態」

昔から問題になっているのだが、主が、今回のゴーンさんの会見で初めて気づいたことがある。それは、日本の報道機関の報道の姿勢と内容についてである。

彼は会見で、検察が守秘義務違反をしながら、捜査情報を意図的、大量にマスコミにリークし、マスコミはその情報を無批判に報道する結果、一方的に「悪者」にされたという。一方の弁護側は、被告を守る立場から情報をマスコミに流すことは少ないので、世間は「ゴーン=悪者」と思っている。主の周囲でも、この事件が話題になることがあるが、「国外逃亡しておいて、日本の司法制度を批判するのは何事か!」というのが、多数派である。ただ、これは検察の持っている捜査情報が大量に、一方的にリークされ続けた結果に他ならない。多くの国民が、検察の情報操作を受け入れているのだ。もちろん、なぜ検察がそのような情報操作をしたがるのかというのは、最終的に「有罪」の判断をしたときに、世論の反発を受けたくないからだ。

国家公務員法第100条で国家公務員に対していわゆる守秘義務を課しており、検察が捜査情報を流すのは法律違反なのだ。

ところが、日本の事件報道では、事件直後から犯人とされる人物が歩く防犯カメラ映像などが流されたり、認否情報が流されるのが、ごく一般的な報道である。殺人などの粗暴犯に限らず、経済事件などでも、事件発生時から、マスコミは被疑者の映像や背景などをじゃんじゃん流す。われわれも、それが当たり前だと思っている。事件が起こったら、犯人と思しき人物を速やかに特定し、いかにその人物が悪いかをマスコミに断じてもらいたいという我々の願望のような長年の「刷り込み」が底流にある。

しかし、ここで考えなければならないのは、逮捕され、起訴され、有罪判決が下されて初めて犯罪者となるわけで、事件が起こった直後は、単なる被疑者または被告人だ。刑が確定するまでは、「推定無罪」であり、人権が守られなければならない。事件直後、捜査もしていない段階で、被疑者の情報が報道されること自体が、オカシイのだ。 ところが、日本の事件報道ではそうなっていない。 逮捕される前でも、ただちに犯人扱いした報道がはじまる。

主は、約10年前になるが4年間ブラジルで暮らしたことがある。ブラジルで、ニュース番組の事件の報道が、「日本より簡単だな、短時間だな」と思っていた。外国の事件報道では、事件直後から被疑者を犯人扱いせず、刑が確定するまでは、掘り下げた報道をしないのだと思う。

この日本の事件報道のあり方は、被告の人権が守られていないという観点で、弁護士会でも問題にしていたり、過去に国会でもとりあげられている。

マスコミ側も取材に必死で、事件が起こるたび、検察官や警察に張り付き、捜査情報をもらうことに必死で、批判的な記事を書こうものなら、次に情報をもらえないので、捜査機関に追従的な記事にならざるを得ない構図がある。マスコミにとって、大事件は、ホリエモンの言う視聴率を稼げる「メシウマ」であり、情報源は、検察サマサマだ。

マスコミも妙な(というか「間違った」)正義感を振りかざし、被疑者をバッシングする記事を書けば、読者に読んでもらえると思う姿勢そのものが、間違っている。

ところで、このゴーンさん事件、もう一つ説得力のある人の動画を見つけた。東大の理学部を出て弁護士になった、異色の郷原信郎弁護士で、東京地検特捜部の勤務経験もある。この動画の中で、「ある日本人が北朝鮮で裁判にかけられ、北朝鮮から逃げ出す機会があるときに、あなたは北朝鮮で身の潔白を証明しろと言えますか?」というくだりがある。北朝鮮に失礼?かもしれないが、とても理解しやすい。 また、裁判の争点整理手続きの中で、弁護人側が提出した書類にゴーンさんが会見で明かさなかった政府関係者を、「官房長官」と書かれていると述べておられる。

 

おしまい

 

アマゾン やっぱり税金払っていなかった!!

アマゾンが税金を納めていないということを前に書いたが、アマゾンが平成29年と平成30年12月期の法人税として300億円を納税したとの記事が2019.12.22に新聞に出ていた。下がその産経新聞のリンクである。

アマゾン、納税へ方針転換 法人税2年で300億円 売上高を日本法人に計上

世界的な経済政策を調整するのは、OECD(経済協力開発機構)だが、その租税条約では、住民や企業の「恒久的施設」に対して課税する仕組みになっている。アマゾンは、日本の支社や倉庫を「恒久的施設」ではないと理由づけ、法人税を従来日本政府に支払ってこなかったのだが、ようやく支払うことにしたということだ。しかも、従来のロジックでは、アマゾンの業務に何かと支障があるから変更したというのが理由だ。

成毛眞さんの「amazon」(2018/8 ダイヤモンド社)では、「世界が悩む、アマゾンへの課税問題」とのタイトルで項だてをして、ネットで売買が完結するKindleや映画のサービスへ消費税を納税してこなかったと書かれている。こちらを国税庁が課税するようにしたのは、ようやく、平成27年10月のことだ。

国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について

他にもアマゾンをはじめとする外資に有利な条件は今でもあり、ソフトウエアの開発費がそうだ。日本の税法では、ソフトウエアの開発費は、資産の形成と見なされ、一括損金に計上することはできない。つまり、耐用年数(一般的に、5年間)にわたって償却しなければならない。日本では単年度では、1/5しか経費として認められない。ところが、アメリカの税制では、このソフトウエアの開発費は、支払い年度ごとに全額損金計上できる。これを利用して、アマゾンは日本でのソフトウエアの投資を、日本には恒久施設がないとの理由で、アメリカの決算に含めて計上してきた。当然、日本で法人税を納めてこなかった。

こうしてみると、アマゾンは、日本企業よりずっと有利な条件で、1998年の日本上陸以来20年以上、競争してきたことがわかる。当然だが、このことは他の外資にも当てはまるだろう。アップルの音楽配信がそうだし、スターバックスも世界中に展開しているのでそうだ。

おしまい