ゴーンさん逃亡 高野隆弁護士ブログの引用

ゴーンさん逃亡事件だが、弁護団に宮崎駿監督に似た雰囲気の弁護士がいるのをご存知の方は多いだろう。下の写真の右側が、その高野隆弁護士で、左側がよくテレビに登場する弘中惇一郎弁護士である。どちらも日本で一二を争う最高の弁護士と言われるそうだ。

NHKニュースから

その高野弁護士が、ゴーン氏の逃亡の後、彼に対する共感と日本の刑事司法に対する自己批判を痛切にブログで語っておられる。このブログに、驚くほどの数のコメントがついている。主が見るたびに数は増えていて、1月11日現在で、770個を超えている。次のリンクをクリックしてください。

刑事裁判を考える:高野隆@ブログ

「・・・残念ながら、この国では刑事被告人にとって公正な裁判など期待することはできない。裁判官は独立した司法官ではない。官僚組織の一部だ。日本のメディアは検察庁の広報機関に過ぎない。しかし、多くの日本人はそのことに気がついていない。」

「・・・手続きが進むにつれて、彼の疑問や不安は膨らんでいったようだ。一向に進まない証拠開示、証拠の一部を削除したり、開示の方法に細々とした制限を課してくる検察、弁護人に対しては証拠の目的外使用を禁じる一方で、やりたい放題の検察リーク、弁護人の詳細な予定主張を真面目に取り上げないメディア「公訴棄却申し立て」の審理を後回しにしようとする公判裁判所、いつまでも決まらない公判日程、嫌がらせのようにつきまとい続ける探偵業者などなど。

「・・・・大晦日の朝、私はニュースで彼がレバノンに向けて密出国したことを知った。まず激しい怒りの感情がこみ上げた。裏切られたという思いである。しかし、・・・・・この密出国を「暴挙」「裏切り」「犯罪」と言って全否定することはできないということである。彼と同じことをできる被告人はほとんどいないだろう。しかし、彼と同じ財力、人脈そして行動力がある人が同じ経験をしたなら、同じことをしようとする、少なくともそれを考えるだろうことは想像に難くない。」

「・・・・この国で刑事司法に携わることを生業としている私にとっては、自己否定的な考えである。寂しく残念な結論である。もっと違う結論があるべきである。

確かに私は裏切られた。しかし、裏切ったのはカルロス・ゴーンではない。

おしまい

 

 

行っちゃったゴーンさん 日本の刑事司法に思うこと

多くの日本人は、「警察に捕まったら人生おしまいだ。二度と立ち上がれない。」と思い、遵法精神に従って生きている。それは、警察権力がいかに乱用されているかうすうす気づいているからだ。

2007年に周防正行監督の映画「それでもボクはやっていない」があった。下は、アマゾンの斉藤博昭さんの映画レビューである。

  • 周防正行監督が10年のブランクを経て完成させ、これまでの作風を一変させた社会派の1作。電車内で痴漢の容疑をかけられた青年が、無実を訴え続けるも、証拠不十分のために起訴されて裁判で闘い続けることになる。監督が痴漢冤罪事件を取材して練り上げた物語だけあって、細部まで綿密にリアルな展開。これまでの裁判映画では描ききれなかったシーンがいくつも登場し、最後まで観る者を惹きつけて離さない作りになっている。
    留置場での日常は、経験していない人には驚きの連続だが、最もショックなのは「疑わしき者は有罪」という警察や裁判所側の姿勢。取り調べでの自白強要はともかく、冷静に判断しそうになった裁判官が急に左遷されてしまうエピソードが強烈だ。被告人の青年役を演じる加瀬亮を中心に、キャスト陣もそれぞれの役を好演。電車内での痴漢に関わらず、ちょっとした運命によって、その後の人生が一変してしまう怖さは、本作を観た人すべてが感じるはずだ。

 

電車で痴漢と指摘されて、線路へ逃げたという報道がよくある。あれは大人しく駅務室へ行き、警官に引き渡されると、ベルトコンベアに載せられたように、被害者の証言が100%採用され、確実に有罪になるからだ。否認すると、やっていないことの立証責任を被告側が負ってしまうのだ。

次は、2005年12月に起こった小学1年生の女児児童の殺害事件で、8年以上経過した2014年に逮捕された勝又拓哉被告(逮捕時32才)である。覚えておられる方も多いだろう。この事件、自白以外ほぼ証拠がないのだが、彼は、地裁と高裁で無期懲役を言い渡されている。(詳細は下のリンクをクリックしてください。)

こちらも、えん罪ではないかと疑う記事がたくさん出てくる。毎日、圧迫する取り調べを長時間すれば、誰でもおかしくなって捜査段階で自供することもあるだろう。まして世間知らずの若者であればなおさらだ。そして、自白すれば、証拠がなくても有罪にしてしまうというのは、裁判の機能ではないだろう。

栃木小1女児殺害で無期懲役判決。事件のあらましとこれまでの裁判

今市事件 法廷にたちこめる「霧」の正体

次は、ゴーン弁護団の高野隆弁護士のブログのことを書きたいと思っている。

おしまい

カルロス・ゴーン行ってらっしゃい! 《江戸時代の日本の司法》

日本でガラパゴス化しているセクターの一つに刑事司法制度がある。

よく言われるのは、刑事事件で警察に取り調べる際に、諸外国では弁護士が同席できるらしい。それで、日本の制度は海外から「中世のようだ」と言われる。刑事事件で起訴されると有罪率が99%以上あり、検察は有罪にならないと自分の能力を否定されると感じ、何としても有罪に持ち込もうとする。「推定無罪の原則」はない。これは逆に言うと、有罪に持ち込めないかも知れない案件は起訴しないことを意味する。巨悪が懸念されていても有罪の確証が得られないものは起訴したがらない。最近では伊藤詩織さんがレイプされたとTBS記者の山口敬之氏を訴えたことに対し、検察審査会が「不起訴相当」にしたのだが、他の力学の存在も疑わせるものの、典型的な例だ。結局日本の司法は、江戸時代以前の自白主義のままで、「自白が証拠の王」との考えが依然として変わっていない。これでは、取り調べ段階で何日も拘束し、睡眠も与えずに取り調べをすれば、取り調べに耐え切れずに、自白を強要される場合があるだろう。だから、99%の有罪の中には、えん罪が結構あるはずだ。

大体、裁判官が思いっきり上から目線で、事件を反省しない被告には量刑を重くして説教を垂れ、裁判の過程でも事実認定を争うより、自白を前提にして、どれだけ反省をしているかで、量刑が争点になっていることが多い。

結局は、法の作りが前近代的なのではないか。主のサラリーマン時代は、官庁系業務で経理畑が長かったが、こちらも国の会計法が様々な制約を加えているのだが、こちらも明治の制定以来、根本的な改正がされず、ボトルネックになっている。

実刑判決で2年半刑務所暮らしをしたホリエモンが、YOUTUBEでゴーンの裁判プロセスを予想していた。日本の司法に従事する、検察と判事の人事異動のコースを踏まえた説明をする。また、裁判記録を閲覧できないし、していないという前提だが「裁判は間違いなく地裁で有罪判決が出て、高裁、最高裁へと争うと結審までに10年かかり、判決は少なくとも5年の実刑になるだろう。65歳のゴーンさんは80才になるのではないか。検察は、日本で初めて導入された司法取引を使ってみたかったんでしょうね。ただ、日本の司法取引には問題があり、アメリカでは被告にも対抗措置がとれるイーブンな制度だが、日本の被告にはそれがない制度になっている。」というのが彼の見立てだった。

堀江貴文氏「有罪なら出所80歳」ゴーン被告が心配

こちら公判前整理と保釈について詳しい解説を聞ける。↓

おかげで、ゴーンを内部告発した西川前社長は、その後、役員報酬を不正受領したことが発覚した際、社長を辞任するのだが、検察の取り調べを受けることがなく、ゴーン側の弘中弁護士が「この違いは何なのか!?」と言うことになる。

下は、12月30日のYOUTUBEである。日本脱出のホリエモンの推理は当たっている。どうやらゴーン事件はうやむやにされそうだ、というのがホリエモンの見立てだ。

——-2020.1.11追記———-

ところで行っちゃったゴーンさんだが、日本側はICPO(国際刑事警察機構)をつうじてレバノン側に引渡しを要求したが、両国の間に犯罪人引渡し条約がないので引渡しは困難だろうといわれる。これは、日本はこの条約を締結している国が、米国と韓国のみしかないのだが、普通の国は、数十か国あるのが普通だ。これは、日本に「死刑制度」が残っているからだといわれる。特に、欧米諸国は死刑制度を廃止しており、死刑制度を残している国には、引渡し条約を締結しようとしないということだ。アジア諸国には、「死刑制度」が残っている国が多いのだが、日本が世界の趨勢から、遅れている感は否めず、先進国を標榜するのは止めた方がよい。

また日本の検察は、ゴーンさんの会見の前日に、キャロル夫人に逮捕状を出した。これに対し、夫人は

“I find this a belittling act from an alleged great democracy.”

と発言し、新聞社などは、「キャロル容疑者は『立派な民主主義と自称する国が、ささいなことをしている』とも発言した」と伝えている。しかし、正確に訳せば、「立派な民主主義と自称する(言いつのる)国が、価値を下げる振る舞いをしている」という感じだと思う。

ここで、注意してほしいのは、「立派な民主主義の国」ではなく、「自称」と皮肉を言っているところだ。言外で「民主主義でない国」と言っているのだ。大体外国人は、日本人のようにストレートな批判をしない。スマートな皮肉で、痛烈な批判をする。その皮肉が分からない日本人もいる。

おしまい

あまりにお粗末、日本のカスタマーサービス。ヤフージャパンの例。

昨今のキャッシュレス決済ばやりで、どこが一番主導権を握るかを考え、ソフトバンクが後ろ盾ということで、ヤフージャパン(=ペイペイ)を選択し、IDを取得したり、クレジットカードを作ったり準備した。ところが、IDを二つ取得し、それ自体は問題がないらしいのだが、ヤフージャパンとペイペイの連携でエラーが出て、買い物のポイントが反映されないという事態が起こった。

それで、11月中旬からカスタマーサービスと連絡を取り、対応をお願いしてきた。ヤフージャパンのカスタマーサービスは、電話がなく、メールだけである。それも、ホームページの非常にわかりにくいところに質問フォームがあり、それに書き込んで送信すると、こちらの質問内容を引用せず分からないようにして、メールの返事のみが来る。下が、質問をするページの入り口だが、さんざん顧客にQ&Aを読ませて解決させ、極力メールで質問をさせないような構成になっている。ちなみにAIのロボットがチャットで回答する機能もあるのだが、アホだ。他にもこの種のAIチャットを使う企業(確か、じゃらん?)を見るが、どの程度賢いのか経営者は分かっているのだろうか? 他方、GOOGLEとかアマゾンなどの外資のシステムはやはりよくできている。

ヤフージャパンのメールの内容は、バカ丁寧なだけで、内容空疎だ。書いてある内容は、どこかのひな型をコピペした内容ばかりで、お客への返事には、要約すれば「自分で操作して、自分で解決しろ」と書かれているだけだ。

他のイオンとか、ヨーカドーなども、ITに関する仕様が使いにくく、主は、顧客満足をまともに考えているとは思えず、今回のキャッシュレス決済キャンペーンの対象から外した。だが、PC事業の老舗のヤフージャパンも古いだけで、顧客のことをまともに考えているとは思えない。

気づいたことを列挙する。

① ヤフージャパンなのだが、クリックしているうちに関連企業を渡り歩き画面が遷移する。「パスワードなしで認証」が売りらしく、画面が遷移してログイン画面が表示されるたびにSMSで暗証番号が送られてくる。これが馬鹿げていて、画面の「戻るボタン」で前のページへ戻ると、もう一度SMSが送られてくる。調べて見ると、SMS1通送ると大体3円かかるらしい。下が、その画面なのだが非常にしつこい。おまけに何度もSMSを送ったあげく、「回数の上限を超えたので、時間をおいて操作してください」という意味のメッセージが出てくる。他の会社の例だが、家計簿を自動的に作成する「マネーフォワード」は、IPアドレスを使っていると思うのだが、普段使用している機器からのアクセスは、二段階認証していない。スマホでは指紋認証が使える。

 

② ヤフージャパンのカスタマーサービスの人たちは、顧客の画面情報を見ないで、メールで返信している。顧客からカスタマーサービスへの質問の送信画面は、テキストしか送れない。つまり、添付ファイルは送信できない。そして、個人情報を送るなと言っている。下が、この会社のポリシーなのだが、要は顧客の情報を社内でも限定した人物しか見られないような仕組みにしており、カスタマーサービスの人たちは、顧客の画面を見ないで回答している。それでは、一般的な回答しかしようがないわけである。

これでは、顧客のクレーム内容が直ぐに解らないのは当然だろう。幸いカスタマーサービスからの返事はメールで来るので、主はトラブルのあるヤフージャパンとペイペイのエラーが起こっている画面のスクリーンショットをたびたび添付して返信したのだが、そもそもスクリーンショットを送れとは、ホームページのどこにも書いていない。

対照的にアマゾンでは、次のようになっており、顧客情報にまったくアクセスせずに返答しているとは思えない。

③ ヤフージャパンでは、受け取った問い合わせごとに返信する担当者が変わる。ここでは、問い合わせの担当者をランダムに振り分け、返信する。今回のやり取りで、主が、最初たまたま2通に分けて問い合わせたところ、同じ人物からの照会と理解されなかった。その後、質問を何回かやり取りしたところ、4~5人の担当者から返信が来たが、横の連絡がなく経緯を知らないようで、同じような返事が返ってくる。

④ メールのみで、電話での問い合わせができない。ヤフージャパンとペイペイは別会社だが、ペイペイは、メールと電話の両方がある。このため、主は電話でペイペイに問い合わせたことがあるが、ヤフーに電話の問い合わせ先がないため、ヤフーに対する電話の問い合わせが代りにかかってくるそうだ。 ただし、ヤフーは顧客の画面を見ずに応対しているので、電話で聞かれたらもっと答えようがないだろうと思う。

⑤ 返信から時間が経ったら自動的に、馬鹿げた満足度を調べるアンケートがヤフージャパンから送られてくる。問題が何にも解決していないのに、このいい加減さは凄い。顧客が出した問題点の解決具合を知らずに、アンケートを送るシステムの仕様になっている。こんなことでは、フィードバックも何もしていないのだろう。

⑥ 最近あったニュースで、HDDが7000個以上オークションで売られ、情報流出するという事件があったが、このオークションとはほぼ大半がヤフオクだ。これはヤフー側にも責任の一端があるだろう。このような中古の記録媒体が何千と同じ売主により売られていれば、情報流出に気付くチャンスがあったはずだ。個人の中古売買では犯罪以外あり得ないし、業者が大量に中古品をデータ消去せずにアップしていれば、あきらかに情報流出の懸念があるだろう。出品者の書き込みを見れば、ある程度のことは分かるはずだ。また、コンピューターから出てくるデータをふだん分析していれば、内部に気付く人間が1人はいただろう。

企業側の責任という観点でいうと、メルカリで、主はインチキなSDXCカードを掴まされ、メルカリと相談しながら、売り手と返金交渉したことがある。SDXCカードは500GBの容量表示なのだが実際は30GBほどしか容量がないものだった。だが、パソコンでプロパティを見ると500GBと正常に表示されるので、「受取ボタン」を押してしまった。ボタンを押すと「我関せず」というメルカリのスタンスになり、「お客様が警察に訴えられるのであれば、わが社は協力します。」と言う。「ホームページのトップに偽物を売られたら、わが社は対応しますと書いている。これだけ被害者が情報提供したら、警察へ行くのは場所を提供しているお前だろう!」と思って、オーナーシップ(当事者意識)のなさにつくづく嫌になった。両方ともいい加減だ。

メルカリのキャッチフレーズ

結論:会社の幹部や経営層は、ちゃんと自社のシステムを使って買い物したり、オークションに出品したり、中古品を売ったり、システムを使い倒しているのか? 他の会社のシステムもさんざん利用したうえで、どこが使いにくいとか、どこに改善点があるかなど注視しているのか疑問に思う。カスタマーサービスを単なる顧客の不満のガス抜き、顧客のストレスのはけ口だと思っているのではないか。

「ワードプレス」というブログで世界のトップシェアを誇る会社があり、全社員約300人が全員在宅勤務らしい。この会社では入社するとまず最初の1年間はカスタマーサービスで働かされるそうだ。そして、顧客の要望と会社のシステムをよく知り、システムの開発を担当したり、他の仕事をするということだ。(このブログは、ワードプレスを使っている。)

おしまい

 

明石市が離婚家庭の子どもへ不払い養育費の立て替え

久々にマトモな政治家のニュースを聞いた!!

昨晩(2019年12月23日)放送されたNHKニュース9 で、泉房穂明石市長が、一人親になった離婚家庭に養育費の不払いがある場合に、市の事業として立て替えているというのだ。そのインタビューに答えてこういう。

「行政がしていかないと子どもの貧困というテーマは解決に向かわない。子どもに力を入れることが街のためだという考え。4人に3人以上の子どもは養育費を受け取っていないという。世界に類を見ない子どもに冷たいのが日本だ。こんな国は(先進国で)ほかにないから

この立て替え払いの方法も、なかなか良い。民間の保証会社と契約し、養育費を受けていない場合に、保証会社が立て替えて養育費を支払い、支払い義務のある者の給与をその保証会社が取り立てるというのだ。今後は、支払わない者への罰則の立法化も進めているらしい。

こういう見識のあるマトモな政治家が世の中にいるのだと感心した。また、地方自治でこういう取り組みもできるとは知らなかった。幼児教育の無償化ももちろんよいことだが、養育費をしっかり受け取れるようにすることは、こちらの方が貧困対策として緊急性が高いと思う。(下のチャートを見ると大阪市、湖南市でもやっているようだ。)こうした動きを広げることが、将来を担う子どもたちにとって重要だ。

エキサイトニュースが開きます

NHKのニュース9は、もともと、最高裁判所が16年ぶりに社会情勢の変化を考慮して、離婚した際の養育費の目安額を改訂し、年収によるが月額1~2万円増額したというものだった。主は、養育費の相場の算定表が月に4~5万円だったものが、それが1~2万円増えるとしても、上げ幅が少ないなあと思っていた。(養育費の支払い義務のある者と受け取る者の所得に応じて、相場の額は変わってくる仕組みになっている。)ところが、この養育費を、受け取っている割合は24%ほどしかないという。そのため多くの離婚家庭、多くは母子家庭で貧困レベルにある。

最高裁判所が発表した養育費の目安の算定表

ところで、この明石市長、2年前に市道の拡幅工事が進捗しないことを巡って、幹部職員に腹を立て、その幹部に「火を付けて捕まってこい!」的な発言をしたことが問題になり、市長を辞職へ追い込まれた。しかし、よく頑張っているという市民の署名が5千人分集まり、辞職後の再選挙に立候補、再選を果たした人物だ。この職員に対する言い方が、あまりに口が悪く、録音されたのだが、暴露された時期が選挙直前だったため、対立陣営のリークが疑われた。市長自身は、むしろ頑張っているという評価が市民の間で起こっていた。覚えておられる人も多いだろう。

産経新聞:「火を付けろ」暴言の明石市長、脅迫罪は不起訴

こちらは明石市長のツイッター。このおっさん、激情して「火を付けて捕まってこい!」といった発言といい、なかなかの人物だ!!

おしまい

法人税も消費税も納めていない! アマゾン

前回のアマゾン話の続きになるが、「出版の崩壊とアマゾン」(高須次郎 論創社)という本に、次のように書かれている部分がでてくる。

「アマゾンが高率ポイントを提供できるのは、日本の消費税や法人税を払っていないからという問題もある」

「・・・・先の日販からの回答にあるように、日販はアマゾン本社の子会社で北米以外の販売を統括しているのAmazon.com Int’l Sales, Inc.と再販契約を交わしており、当然、取引約定書も交わしている。アマゾンジャパンは、Amazon.com Int’l Sales, Inc.から業務を委任されているだけなのである。」

「アマゾン本社から運営を委任されているアマゾンジャパンは読者からの注文を受ける。日販は、出版社から調達した当該出版物を物流的には市川FC倉庫に納品し、請求書はAmazon.com Int’l Sales, Inc.宛で、目黒のアマゾンジャパン社に送付する。当該出版物は市川から読者に送られ、読者はAmazon.com Int’l Sales, Inc.の請求書(最近は納品書になっている)を受け取り、消費税込みの代金をAmazon.com Int’l Sales, Inc.に支払う。アマゾンから本を買った人なら気付いていると思うが、売主はAmazon.com Int’l Sales, Inc.で、輸入した形になっているのだ。現物は国内を出ることはないが、伝票上輸入になるのである。

「しかし本の場合は、消費税込みの代金を支払っているのに、Amazon.com Int’l Sales, Inc.は米国シアトルにある会社なので日本の消費税を納めないですむ。本来、取る必要のないものを支払わせてポイントの原資に充てているといえる。2014年4月から消費税が8%に値上げされ、日本の書店との格差は5%から8%になったので、さまざまな「サービス」の原資にできる。」

「法人税については、2009年に東京国税局が、アマゾン本社に対し03年~05年分について140億円分の追徴課税をした。ところがアマゾン本社の子会社のAmazon.com Int’l Sales, Inc.は、日本国内でインターネットを通じて書籍やCDを販売する際、アマゾンジャパン(東京都渋谷区)とアマゾンジャパンロジスティックス(千葉県市川市)に商品の発送業務などを委託、Amazon.com Int’l Sales, Inc.は支店などの恒久的施設を日本国内に持たないため、日本の顧客が買い物をした場合は、米国にあるアマゾン本社から直接購入したことになり、日米租税条約にもとづき日本に納税する必要がないと判断し、申告しなかったと主張した。日米課税当局間の話し合いの結果、米国側が押し切り、課税は取り消された。」

  • ちなみに、ネットからも参考にリンクをひとつ貼り付けた。
  • <消費税も法人税も回避! Amazonの「税ハック」に日本が学ぶべきこと=シバタナオキ>
  • https://www.mag2.com/p/money/287561
  • こちら、おそらくうまく開かないと思いますので、https://www.mag2.com/p/money/287561をペーストしてくださいね。

他にもあると主は思っている。例えば、キンドル。これもサーバーがアメリカにあるという理由で、日本の消費税の対象外になっていると思う。同じように、ネット配信で売られる楽曲などもそうだと思う。ネットであれこれ見ていたら、他の商品も同じように、消費税の納税をごく最近までしていなかったという記事もあったように思う。

おしまい

 

アマゾンの成功の秘密 と 日本の失敗のわけ

主は別にアマゾンびいきではないのだが、アマゾンは圧倒的な品ぞろえで、値段も、他の店よりも多くの場合安い。おまけに、マーケットプレイスという仕組みがあり、最近では中古品も売っている。例えば、本など昔発行されて絶版になっているような、手に入らない本であっても、多くの価格帯の中の選択肢から購入できる。しかも、買った商品は、過失であっても1か月以内であれば返品が可能である。主がキンドルの不都合があった時に、カスタマーサービスにクレームした(キンドルを使って主が英書を読んでいる時に、知らない単語にカーソルを合わせると辞書が表示されていたのが、バージョンアップのバグがあり、表示されなくなった。これをクレームしたら、すぐに古いプラグラムを送ってくれた。)のだが、メールの相手先の社員らしき人物は、驚くべきスピードで対応し、アマゾンの顧客志向に驚いた。このような良心的な対応は、「オモテナシ」を標榜するものの、そんなものは実際にない日本!にあって、日本の企業との応対で主は、なかなか経験がなく、日本の小売店はもうすぐ駆逐されてしまうのではないか、そんな危惧を抱いていた。「モノづくり大国日本」と形容された物作りは、日本の独壇場だったはずだし、カスタマーサービスを含め、サービスのカテゴリーでも大きな競争力があったはずなのに、どうしたのか?、と思っていた。

それらを知るために、以下のアマゾンに関する本を読んでみた。他にもまだ出版されているものが多くあるが、地元の図書館に置かれているもののなかから、最近書かれたものを読むことにした。これら本を読むうちに、クラウドに関する知識を得た方が良いなと感じたのだが、図書館には適当な本がなかったので、こちらは自分で購入した。

本文の最後に、それらの本のアマゾンが商品のホームページに載せいているキャッチ・コピーをペーストしたので、こちらを読めば大体の概要はつかめると思う。

  • ①  「amazon 世界最先端の戦略がわかる」成毛 眞  2018/8/9
  • ② 「アマゾンのすごいルール」 佐藤 将之 2018/4/6
  • ③ 「アマゾンエフェクト! ―『究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』」 鈴木 康弘 2018/4/12
  • ④ 「アマゾンが描く2022年の世界 すべての業界を震撼させる『ベゾスの大戦略』」 田中 道昭 2017/11/17
  • ⑤ 「イラスト図解式 この一冊で全部わかるクラウドの基本 第2版」林雅之 2019/4/20

これらを読んで感じたことを書く。

①の「amazon 世界最先端の戦略がわかる」は、著者がマイクロソフト・ジャパンの社長をされていた人で、非常にわかりやすかった。ジェフ・ベゾスの頭の中の考えを、いかに組織の成員全員に実現させる仕組みを作ったのかということがわかる。アマゾンは、総資産額が100兆円に近く、売り上げが20兆円ほどあるのだが、利益をほとんど上げていない。利益を出さずに、投資に回したり、販売価格の低下に還元している。

アマゾンは、自分で倉庫を持ち、在庫を抱えている。楽天は、実際に在庫を抱えて売っているわけではなく、会員の企業が商品を発送し、代金も受け取っており、手数料を取って仲介をしているだけだ。このため、事業の開始当初は、事業の拡大のスピードが速かった。しかし、楽天は場所を提供しているだけなので、商品価格を決定したり、輸送時間を短縮したり、1か月以内の返品が可能にするなど、顧客満足度を高める商習慣を変更するような方策を取ることは難しい。

アマゾンは顧客満足度を最大の目標に掲げていて、顧客にあらゆる購買の選択肢を最大化しようとする。従来の販売手法は、2割の商品が8割の売り上げを上げるという事実に着目し、効率性を重視してきた。ところが、アマゾンはその含まれない部分もカバーして、売ろうとしている。その方策の一つがマーケット・プレイスである。マーケット・プレイスでは、売り手の企業はアマゾンの倉庫に商品を納入するだけだったり、ホームページに載せるだけで、アマゾンの販売ルートを使える。それだけではなく驚いたことに、アマゾンはアマゾンの名前を使いたくない企業にも、アマゾンの倉庫を使わせ、アマゾンの流通システムを使わせるという。こうすることにより、広告や販売ルートの限られる中小企業でも商品を市場に供給しやすくなる。

アマゾンは、従来はB/S(貸借対照表)、P/L(損益計算書)だけが着目されていた会計の世界にキャッシュフローの概念を持ち込んだ。アマゾンは顧客からの入金と企業への支払いのラグにより、常に手元に多額のキャッシュを持っている。これがさらなる投資を可能にする。前払いされるアマゾンプライムは、顧客から別料金をとることで、1時間配達、配送料無料、さらには映画や音楽の視聴の特典を与える。プライム会員は、キャッシュをもたらすとともに、非会員の2倍購入するという。

アマゾンは、ネットの通信販売の会社だと思われがちだが、今では、通販は売り上げでも、利益の面でも今は小さい。AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)というのだが、アマゾンが事業を拡大するプロセスで拡大してきたコンピューターのシステムの遊休している部分を企業向けに利用させている。アメリカでは、クリスマスシーズンに非常に大きな売り上げがあり、その際にトラブルがあると信用問題になるため、その繁忙期に合わせた余裕のあるシステムの設計になっている。その普段遊休しているシステムを活用し、クラウド事業に使っている。そちらは、技術の進歩もあり、アマゾンは利用料金を60回も値下げ!しながらも、クラウドでは、マイクロソフト、グーグルを押さえて、40%のシェアがある。しかも、この事業はいったん始めると、手間もかからず、利益が確保しやすい。

端的に言い換えると「アマゾンの経営」は、これまでの「経営学」を書き換えるものだ!どこにもない。

②の「アマゾンのすごいルール」は、アマゾンジャパンの創業時から参加した人が書いたもので、社員目線のアマゾニアンの仕事ぶりが良く分かる。主は、アマゾンが社員の評価を細かい数字で管理していると聞いて、具体的なことを知らなかったが、詳しく書かれていた。

アマゾンは、アメリカの本社と打ち合わせながら、毎年高い目標を設定する。今年はこれだけやるんだという目標を時間をかけて決める、ここだけを読めば日本の企業と同じだが、これを徹底的に細かくブレークダウンする。例えば、倉庫新設の設備投資をする場合であれば、進捗を1年の週単位で計画する。本の販売で中次のトーハンを飛ばすのであれば、この交渉事を1週間単位で目標設定をする。1年間の目標を達成するためのプロセスを週単位に分解し、計画と実績を0.1%単位で比較している。出来なければ、原因を分析して後れを取り戻さなければならない。社員は、今週何をしなければならないかしっかり自覚している。

会議の資料と進め方も面白い。会議はA4で1枚か、6枚と決まっていてパワーポイントは使わない。多くの場合A4、1枚であり、記者発表の形式で言葉で書く。会議の出席者は、冒頭の15分間資料を黙って読む。15分経過後、説明と質疑を行う。質疑がなければ、賛成と見なされ、後日、批判的なことを言うことはできない。反対意見があれば、その場で言う。ジェフ・ベゾスがあってはならないという喩え話に「部屋の天井の高さが2メートル50センチという者と3メートルという者がある場合に、じゃあ2メートル75センチにしよう、といった安易な判断をしてはならない。実際に測らないとならない。」というのがある。日本では、中間をとったり、発言者を忖度することがしばしば起こるが、このようなことはもっとも忌み嫌われる。

人事の採用の話も面白い。毎年成長している企業であるため、採用は非常に頻度が高いが、ハードルは高い。求められる人物像は、「アマゾンを、今より高められる人物」でなければならず、採用はこうした人物を選抜する作業だからである。即戦力という生易しいものではない。面接は、直接の上司を含む6人の関係者が1対1で1時間弱かけて行う。このうち誰か一人でも異を唱えると採用されない。逆にこの採用面接は部署横断的に行われるために、例えば、食品のリアル店舗の運営の採用面接に応募してきた人物が、キャリアを説明するうちに、食品のリアル店舗では採用に及ばないが、過去の経歴から、倉庫内の商品の移動システムの保守管理の責任者として適任と考えられた場合、その部署の責任者と相談して、応募者に採用を打診するといったケースがあるという。

また、ひとつのプロジェクトの人数も面白い、夜食でピザを一緒に食べる範囲ということで、せいぜい10人まで位。また決裁も、関係者が少なくスピード重視で、たとえ10億円以上のものであっても、二日以内で決裁される。著者は、アマゾンは社員が愚直に仕事をする会社だと言う。その他、理不尽な人事評価が起こらない仕組み、社員が絶対に口に出さないNGワード(「こんなことができないのか。自分の力でやり遂げろ」)など、面白い。

③の「アマゾンエフェクト! ―「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか」の鈴木康弘は、IT畑でエンジニアや経営者をされてきた人で、セブンイレブンの創業者、鈴木敏文の息子である。この本は率直に書かれており、セブングループの敗戦史という見方もできる。著者は、総合スーパー、コンビニチェーン、セブン銀行を有するホールディングスの「ネットとリアルを統合する」というITオムニ戦略を推進しようとするのだが、過去の成功体験を捨てられない抵抗勢力の反対に苦労する。

しかも、時代は変わっていた。アメリカでは、IT技術者の75%は企業内にいる。残りの25%は、インテル、AMD、マイクロソフトや、グーグル、アマゾンなどであり、自社外で使われる製品製造や開発を行っている。日本では、IT技術者の25%が企業内におり、残る75%は富士通や、NEC,、NTTをはじめとする多くのIT関連企業で働いていて、企業がシステム開発をする場合、企業内のIT技術者が、企業外のIT関連企業に外注することが一般的だ。つまり、アメリカは自社で使うソフト開発は自社でやり、日本は外注するのが一般的なスタイルである。(日本のIT関連企業の売り上げから見ると、独自で製品開発をするというより、企業システムのメンテナンスやヘルプデスクなどに人材を送り込む派遣業や、ゼネコンの元請け、下請けといった趣がつよい。)

この外注というスタイルは、発注者と受注者の間で、責任が不明確になりやすい。企業で実務を担当している人間が、その企業のシステム部門で働いているわけではなく、企業のシステム部門の担当者は、実務が良く分からないで、外部のシステム開発会社(SIer=日本独特であるシステムインテグレーター)との仲介役になる。受注者のシステムインテグレーターは、よく理解のできない業務分析を聞きながらシステム開発を行い、やがて、コストの割にはあまり役に立たないシステムが完成する、という事態がしばしば起こる。

主は、日経ビジネスで次のような記事を読んだ記憶がある。つまり、システムインテグレーターは、システム開発の失敗の責任を経営者から追及される際、「土下座要員」としての価値がいつまでもなくならないので、この図式(=システム開発の失敗をめぐって、経営者と企業のシステム部門とそれを請け負うシステム開発会社が、責任の所在があいまいなままに手打ちをする場面)は続くだろうと、自虐とともに言うのである。

特に直近のこの10年は、クラウドが、コンピューターの世界をまた一変させていた。1980年代は、汎用コンピューター(メインフレーム=大型コンピューター)の時代で、富士通やNECなどは、汎用機とOS、プログラムの納入で大いに儲けていた。しかし、1990年に入ると、パソコンの性能が向上し、パソコンをサーバーにするクライアント・サーバーという形式、2000年になると、ネットワークコンピューティングが一般的になる。さらにこの10年のクラウドコンピューティングでは、サーバーの機能をクラウド側(=アマゾンや、グーグルなどの事業者側)で持ち、企業側で用意するのは、ノートパソコンやスマホなどの端末だけでOKという時代が来ている。これまで、企業自身が行ってきた機器やシステムのメンテナンスを、企業の要望に応じてクラウド事業者が代行してくれるのだ。

このような前提条件のもとで、アメリカでは自企業で使うシステムの開発は、社員が専念して自前で作る。アマゾンの場合、実に社員の半数がシステム要員である。もし、外注であれば、システムの改修には時間がかかるが、自前で行えばそのようなロスはない。アマゾンでは、日本で依頼するシステムの改修が重要な場合、その日のうちに、時差のあるアメリカのエンジニアたちが、たとえ深夜であっても対応する。

ところが、日本ではクラウドに対する取り組み自体も遅れているし、どの企業でも、システムを自前で持ちたがり、システムのメンテナンスはコンピューター技術者がやるもので、一般の社員はコンピューターを無縁なものと考えている。当然、システムの作り込みは、相変わらず開発会社に外注する。本来、システムと業務のやり方は、混然一体で同義なのだが、日本ではシステムをそのように考えている人は少ない。おかげで、顧客だったり、業務で使うシステムは使い勝手の悪いものとなっている。

ちなみに、標題の「アマゾンエフェクト」というのは、アマゾンのおかげでアメリカの多くの企業の経営が危うくなっていることを言い、「アマゾンショック」とは、実際に倒産したトイザらスなどを言う言葉である。なにやら、ユニクロですら、アマゾンの脅威に怯えていると書かれていた。これらの本を読んでいると、アマゾンがいつ銀行を始めてもおかしくないし、生鮮食料品の販売はすでに始めようとしている。どんな大会社が買収されてもおかしくない。すでにアマゾンに勝つことを考える時代は過ぎ、アマゾンをいかに上手に利用するかを考えた方が賢明というのが大方の相場のようだ。

ここで一句。アマゾン30代部長年収2000万円台、かたやジェフ・ベゾス個人資産15兆円、部長の報酬は、高いのか、少ないのか?

その差、75万倍! おかしいと思っても、どうしようもないよね (^^)/

おしまい

——– 以下は、本の説明 ——–

① 「amazon 世界最先端の戦略がわかる」成毛 眞  2018/8/9

●アマゾン1社さえ分かれば、最新のビジネス感覚が身につく●

アマゾンという企業を研究することは、これからの最新の経営学を学ぶことと同じです。 「ビジネスモデル」「キャッシュフロー」「AI技術」「会員サービス」など、ありとあらゆる革命がこの企業にはつまっています。 アマゾンは、あっという間にさまざまな業界に入り込み、それぞれの大企業を脅かす存在になりました。 いったい、それはどうしてなのか。アマゾンは何をしているのか。 この本では、「小売り」「資金」「クラウド」「会員サービス」「M&A」「物流」「テクノロジー」「組織」などの面から、元マイクロソフトの社長である成毛眞氏が徹底解説。 この1社さえ押さえておけば、世界で今何が起こっているのか、現代のビジネスマンや企業家が知っておくべき最新のビジネス感覚を身に着けることができます。

【本文より抜粋】 序章 アマゾンがなかったら生活できないかも アマゾンが秘密主義なのはなぜなのか アマゾンは、ローマ帝国

  • 第1章 圧倒的な商品数と安い値段がどうして可能になるのか 「品揃えが大量で、安い」を実現する仕組みとは あらゆる商品が扱える「マーケットプレイス」という仕組み スタートアップを最初に取り込めると大きい 「低関与商品」市場はこれからますます広がる――アマゾンダッシュボタン
  • 第2章 キャッシュがあるから失敗できる 驚異的なアマゾンのキャッシュフロー 赤字でも株価が下がらない仕組み CCCがマイナスという魔法から資金が生まれる
  • 第3章 アマゾンで一番利益をあげているAWS アマゾンのほとんどの儲けをたたき出す、知られざる巨大ビジネス AWSの営業利益が、別部門の資金になる 大きくなりすぎると成長率がとまる理由
  • 第4章 アマゾンの「プライム会員」とは何なのか 年会費は安くして、後から上げる サービス過多なのは、ライフスタイルに入り込みたいから
  • 第5章 アマゾンから、効率のいいM&Aを知る ホールフーズのM&Aで、実店舗への乗り出しが現実的に M&Aのメリットをおさらいしよう
  • 第6章 巨大な倉庫と配送力で物流を制す 海上輸送に乗り出し、輸出の中間業者を中抜き ラストワンマイルを制するものは、物流も制する
  • 第7章 プラットフォームの主になるには 業界で打って出るのはプラットフォーマーになることがなにより第一 スーパーの脅威にもなる「アマゾンフレッシュ」 「卸の中抜き」は安値を出す基本――出版業界
  • 第8章 アマゾンを底ざさえするのがテクノロジー アマゾンの真の凄さはテクノロジー

内容(「BOOK」データベースより)

「何が勝って、負けるのか」ビジネスの基礎知識も身につく!この一社を知ることは、最新のビジネス感覚を身につけることと同じ。

② アマゾンのすごいルール 佐藤 将之 2018/4/6

内容紹介

アマゾン ジャパンの立ち上げに携わった元幹部社員が初公開!
ジェフ・ベゾス直伝の「超合理的な仕事術」とは?

次々に革新的なサービスを生み出し、世界をリードし続けるアマゾン。
その強さの背景には、ジェフ・ベゾス直伝の「仕事術」がありました。

・会議冒頭15分間沈黙ルールとは
・パワーポイント使用禁止の理由
・10億円規模の新企画も、たった2日で決裁がおりるスピード感の背景
・必ず優秀な人材を見抜ける採用面接の質問集
・アマゾン社員が絶対に口にしてはいけないNGワード
・世界一の難関? アマゾンの入社試験とは
・絶対に「理不尽な評価」が起こらないアマゾンの評価制度とは

アマゾン ジャパン17番目の社員として、アマゾンの立ち上げを支えた元幹部社員が、
アマゾンの全社員が遵守する「最速で最高の結果を出す仕事術」を初公開!
アマゾンの飛躍を支える「門外不出のルール」が満載の一冊です!

内容(「BOOK」データベースより)

だからamazonは成功した!amazonの最大の武器は超合理的な「仕事術」だった。アマゾン ジャパンの立ち上げメンバーがジェフ・ベゾス直伝のメソッドを初公開。最速×最高の結果を出す仕事術と14の心得。

③ アマゾンエフェクト! ―「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか 鈴木 康弘 2018/4/12

内容紹介

  • アマゾン・エフェクト(効果)とは、いまや世界一の億万長者になったジェフ・ベゾス率いるアマゾン・ドット・コムの快進撃の陰で、業績や株価の低迷にあえぐアメリカ企業が増えている現象をさす。その業界は百貨店やスーパーに限らず生鮮品、衣料品、家電量販店、コンテンツ産業など幅広い業態におよぶ。
  • オムニチャネルを知悉した著者が解説する
    デジタルシフト危機への対処法
  • アマゾンの動きの影響を受けて対応を迫られたという意味で、いまから一二年前、日本で最初に〝アマゾン・エフェクト〟を経験したのは、おそらくわたしではないかと思うのです。
  • わたしはそれまで 、ソフトバンクグループのヤフーの傘下で、書籍のネット販売を手がけるセブンアンドワイという会社を経営していました。それが一転、二〇〇六年に日本の流通業でイオン・グループと双璧をなすセブン&アイ・ホールディングスのグループに入り、セブンーイレブン・ジャパンの子会社に転じる選択をします。
  • 当時、同社の会長兼CEO職は、わたしの父親である鈴木敏文が務めていました。しかし、移った理由はそこにあるのではなく、アマゾンが家電の販売を始めるなど、業容をどんどん拡張し始めたのがきっかけでした。目指すゴールとは「ネットとリアルの融合」でした。
  • しかし、その近道を選んだはずの選択が大きな「読み間違え」であったことを、その後の一〇年におよぶリアルの流通業での苦闘の連続と、ネットの世界でのアマゾンの躍進により、思い知らされるのです。(まえがきより)

内容(「BOOK」データベースより)

  • アマゾン・エフェクト(効果)。アマゾン・ドット・コムの快進撃の陰で、業績や株価の低迷にあえぐアメリカ企業が増えている現象をさす。業界は百貨店やスーパーに限らず、生鮮品や衣料品、コンテンツ産業など幅広い業態におよぶ。オムニチャネルを知悉した著者が解説。デジタルシフト危機への対処法。

④ アマゾンが描く2022年の世界 すべての業界を震撼させる「ベゾスの大戦略」 田中 道昭 2017/11/17

内容(「BOOK」データベースより)

  • 小売り・流通に変革をもたらしてきたECの巨人・アマゾン。近年は、リアル店舗への進出にとどまらず、クラウド、宇宙事業、AI、ビッグデータなどの分野へも展開、米国ではアマゾンに顧客と利益を奪われることを意味する「アマゾンされる」という言葉が生まれるほどに、その勢いを増している。本書は、大学教授、上場企業の取締役、コンサルタントという3つの顔を持つ著者が、膨大な資料と独自のメソッドで、「アマゾンの大戦略」を読み解く一冊。

⑤ 「イラスト図解式 この一冊で全部わかるクラウドの基本 第2版」林雅之 2019/4/20

スマートウォッチ HUAWEI HONOR BAND 4 購入《使えるようになるまで》

知人が2,000円台で買ったというスマートウォッチを持っており、アップルウォッチなどと値段が違うというので、主も欲しくなった。何やら、心拍数を記録したり、睡眠の品質を計測したりできるらしい。主は、椅子に長く座っている時に、「長座注意」してくれる機能がいいね!と思ったのが購入の動機である。

アマゾンで見ると様々に安い機種があり、聞いたこともないような中国製の中から、口コミを頼りにTUAYOOという会社の3,000円程度の製品を買った。下がその写真。

こちらは肝心の着信、メール、LINEの通知などが動作しなかった。また、文字盤のディスプレイもデフォルトのままで変更ができなかった!が、従来の腕時計とはまったく違っており、近い将来スマートウォッチが取って代わるだろうと感じさせる強い魅力を感じた。そのため、1度、同じ商品へ交換をしてもらった。交換は簡単で、手元の不良品は返品不要という連絡があり、「さすが日本企業と違って!、太っ腹!合理的!!」と感じる。しかし、やはり再度送られて来た製品でも不具合があり、結局のところ、アマゾンに返品、返金処理をしてもらった。

その後、たまたま、NHKの「クローズアップ現代」という放送を見て、通販サイトでは大量にサクラを雇って口コミが書かれているという報道があった。発売後間もない商品に1000個以上の口コミがあり、ほとんどが★★★★★というのは怪しい、これがそうだと気付いた。このため、口コミの数がなく、名前の通っているHUAWEIなら正常に動作するのではないかと考えた。具体的には、Huawei Honor Band 4という4,700円ほどの製品を購入した。

Huawei Honor Band 4

日本語の説明書がなかったり、日本製品のような詳しいマニュアル類は一切ないので分かりにくい部分もあるのだが、スマホにアプリを入れるとそちらは日本語であり、少し試行錯誤をしたものの、無事に使えるようになった。主のスマホは、4,5年前のエソニーのエクスペリアZ3という機種だが、問題なかった。

ただ、全然トラブルがなかった訳ではなかったので、苦労した点を紹介する。

スマホの着信、SMS、LINEなどは通知されるものの、gmailについては、うまく通知が来なかった。この点をHUAWEIに問い合わせようとしたのだが、メールの他にもLINEで問い合わせをする方法があり、主はこちらを試した。これは時間を問わず問い合わせができて、便利だ。ところが、このLINEチャットで問い合わせたところ、Honor Band4は、日本国内向け製品ではない(=海外モデル)ので、ここでは対応できないと書かれてあり、別に日本国内にある一般的なコールセンターのような場所の連絡先が書かれていた。

そこで、そのコールセンター(ファーウェイ製品全般を扱っている)に電話で問い合わせをした。そこでの対応がなかなか親切で、「わかる範囲になりますが、できるだけお教えします」「ちょっと、待ってください。実際に、Andoroidのスマホを手元に持ってきます」と言って、GMAIL側の設定方法を教えてくれた。要するに、原因は、GMAIL側の設定が「新着メールごとに通知する」というところにチェックが入っていなかったのが原因だった。通常のコールセンターでは、GMAILは、自社ではないソフトの説明になるので、対応してくれないことが多いと思われ、ここは親切だ。

上が、実際の通知の画面である。一番右側の写真を見ると、どうやら日本語のひらがななどは表示できず、漢字と英数字のみが表示されるようだ。主は、1度ファームウエアのバージョンアップをしたので、いずれ改善されるかもしれない。

使ってみての感想だが、睡眠の質(深い睡眠、浅い睡眠、レム睡眠、覚醒)を下記のように表示できたり、心拍数の1日をつうじた経過をスマホのアプリで見たりすることもできる。こちらは、問題のないちゃんとした日本語表示である。主は、まだ試していないがランニングやスイミングなどの履歴もとれるようだ。毎日さまざまなデータをとっても、充電は週1~2回くらいで済みそうだ。防水機能も優れていて、水泳時の記録をとることもできるようだ。

主が期待していた「長座注意」は1時間でちょっと長く、45分くらいならばもっと良かったのだが、時間が来ると振動で知らせるだけでなく、アイコンが体操を始め、楽しい。また、ちょっとしたストップ・ウオッチにも簡単に手元の操作ででき、昼寝の時間を計るのに重宝している。

おしまい

エブリバディ・ノウズ【日本病】「国債を刷れ 廣宮孝信」& MMT (現代貨幣理論)

「通貨発行益」のことを知ろうと、よく行く図書館で「国債」をキーワードに検索してみた。そこで、8冊出てきたのだが、そのうちの1冊に「国債を刷れ」(廣宮孝信 彩図社)という本が出てきた。

何を知りたいのかというと、日本では借金の残高1300兆円を超え、財政再建のために税金を集めて、借金返済をしなければならないというのが緊急の課題と、マスコミや政府が言うからだ。

一部であるが、「そうではない、日本の財政は健全だ。国債発行残高が高すぎるということはない。財政再建よりも、景気浮揚が先決だ」という経済学者もいる。具体的気に名前をあげれば、高橋洋一、森永卓郎の名が浮かぶ。

高橋洋一や森永卓郎が、日本はそれほど借金漬けでないという根拠として、政府と日本銀行のバランスシートと統合すると、資産の部の方が大きいという。下の図は、高橋洋一の「99%の日本人がわかっていない国債の真実」(あさ出版)という本から写したものだ。画の上段が、政府だけのB/S(バランスシート)であり、下が日銀を統合したB/Sである。(クリックしていただくと、見やすくなります)

上図からわかることは、政府の資産が900兆円、国債の負債がが1350兆円である。日銀を統合すると下の図になり、日銀の分が赤字で囲ったところだと思われる。日銀が保有する国債が400兆円で資産の部、それに対して日銀券(お札)を400兆円渡しているのが負債の「銀行券等」だ。緑で囲ったのが、徴税権750兆円となっているのだが、残念ながら高橋洋一は詳しくここのことろを説明していない。おそらく、政府には毎年の税収とは別に、徴税する権利を750兆円持っているということだろう。

ここで留意すべきは、下図の統合B/Sの負債の部、「銀行券等400兆円」に矢印のついた線が引かれており、「●実質的に債務でない ●利子負担なし ●償還負担なし」と書かかれている点だ。要するに、資産の部である「国債400兆円」に対し、負債の部に計上されている「銀行券等400兆円」(=国債購入のために刷ったお札)の実態は、返済を意味する性質のものではない、というのだ。

一方、主の危機感として、平成を振り返るトピックのNHKのニュースで、約30年前と現在の平均的家庭の所得を比較したものがあった。内容は、平均的家庭の所得水準は、30年前も今も約600万円で、報道の主眼は、貧困層(300万円以下)と1200万円を超える高所得者層が30年間で増え、中間層が減って格差が拡大しているというものだった。

このニュースを聴きながら、主は、格差のこともさることながら、30年間、平均所得が横ばいだったということの意味をNHKが、報道しないことに驚いた。30年間経過すれば、ほとんどの先進国の平均所得水準は、軽く倍以上になっているはずだ。中国やアジア諸国であれば、何十倍にもなっているだろう。そうしたなか30年間日本は全然変わらない、ここ数年人口減少しているとはいえ、30年前という長いスパンで比べると人口は若干増えているだろうから、その割合だけGDP(=一人当たりのGDP×人口)は微増ということだろう。この現象は、外国と比べると異様だ。

話を元に戻すと、高橋洋一も「国債を刷れ」の廣宮孝信も、言っている内容はほぼ近いものがある。ただ、高橋洋一は東大の理学部数学科を経て、経済学部の出身の元大蔵官僚である。経済を専攻して、言いにくいことをズバッというのがセールスポイントなのだが、数学的な説明を別にすると、やはり歯切れが悪い。逆に、廣宮孝信は、阪大の工学部電子工学科出身で、経済学の学位を持っていない。しかし、よく勉強しているようで、こちらの方が説得力がある。

かれが言うには、政府でも日銀でも、不換紙幣(兌換紙幣の反対で、政府なり日銀が紙幣発行に対し、義務を負わない紙幣)を発行するのは、江戸時代の通貨の改鋳、明治政府の太政官札発行など、普通におこなっていることで、すべて通貨発行益になる。悪性のインフレさえ起こさなければ、不換紙幣を刷って、景気を回復させよ、これがかれの主張だ。日銀や政府、学者は通貨の過剰発行は、第二次大戦敗戦後のハイパーインフレ同様になると、しきりに警告するのだが、その率は、たった300%で、ジンバブエやブラジル、ベネズエラなどの何万%というハイパーインフレと比べると極めて少なく、むしろすぐに日本はデフレ傾向になっているという。要するに、太平洋戦争のあとのインフレ率でさえ、300%で、困ったことになったのは、金持ちと企業が持っている債権の値打ちが1/3になったということで、大衆は、所得が増えればどうということもない。

この本を読んでいると、他の経済学者が書いたような、歯にモノが挟まった物言いではなく、明解だ。「通貨発行益」は、造幣局が発行する硬貨のみだと考える学者と、日銀が所有する国債や株式の利子や配当が国庫納付されるために、国庫納付金が「通貨発行益」と考える学者がメジャーだ。森永卓郎は、はっきりと通貨の発行自体を、「通貨発行益」と言うのだが、経済学者のなかでは、マイノリティーである。

いま日本で行われている国債発行は、政府が国債を発行し、日銀が直接引き受けると「国債発行が際限なくできる」という理由で、直接引き受けは認められていない。このため、政府が発行した国債を市中の金融機関が買い入れし、それを日銀が買い集めている。やっている中身は、日銀が直接引き受けているのと何も変わらない。

こうしてみると、日銀はマーケットが必要としている通貨供給しているのか、怪しい。こういう言い方をすると、通貨供給を増やしても、ヘリコプターからばら撒く訳には行かない、お金の借り手がそもそもいないのだ、という議論になる。そうではなく、それでは、この本のように政府が財政支出をもっとすればよいのだ。一部やろうとしているが、子育て、保育所もそうだし、何より、科学研究、社会福祉、ぼろぼろの学校校舎の建て替えなど課題は山積だ。直接の財政政策ではないが、最低賃金の大幅アップをやれば、公務員や、勤労者の給与も上がるだろう。廣宮孝信が言うように、極端なインフレさえ起らない範囲で、国債を刷って、貧困から抜け出さないとマズイ。

この本が書かれたのは2009年で、10年前だが、病状は徐々に悪化している。主が危惧するのは、日本がこのまま、財政再建を念仏のように唱えていると、国債を外人が買うようになる時代がくる。もうかなり来ているだろう。

そうなると、海外でハイパーインフレを起こした、ジンバブエやギリシャ、ブラジルのようになりかねない。バカな経済学者たちは、国債と為替がが暴落して、金利が暴騰するという。日本が、国力を今の調子で失えば、最後の最後はそうなる。その時に、主流派の学者が「それみたことか」となるのが恐ろしい。

単純に国債の残高だけを見て、「1350兆円もあるから、すぐに減らさないと」などといっているようではだめだ。例えば、ソフトバンクの負債が何兆円もあるのに、世間は高い評価を与えている。その理由は、負債の残高だけを見ているのではなく、相手科目の資産と、収益を見ているからに他ならない。負債の残高をグロスで見て、1350兆円と騒ぐのは、財務諸表の見方を知らない議論だ。 国の負債は、国民の資産のはずだ。 おまけに、国の借金は、企業よりさらに条件が良い。すなわち、通貨の発行権を持っているからだ。

こんな「基本のキ」の話、主流派の経済学者も気がついているんだろうが、言わないのだろうと思えて仕方がない。デフレ状況で、持てる者にとっては、資産の保全には何もしないことが一番良い方法だからだ。

廣宮孝信の分析に説得力があるのは、学位がないということが、それが妙な経済学の先入観やしがらみがないというメリットなのだろう。

世の中で幅を利かせているのは、法学部出身者、それも東大法学部出身者だろう。財務省のキャリアには法学部と経済学部出身者で差があり、法学部出身者が出世する。その経済オンチたちが「借金を次の世代に背負わせるな!」と間違った経済を語る。そう語ることで、かれらが握る「予算」のありがたみがまし、誰も逆らえなくなっている。

おしまい 参考:2013年に「国債を刷れ」の新装版が出ていた。

2019/5/25追記

最近の経済学の動向で、MMT(Modern Monetary Theory=現代貨幣理論)をよく耳にするようになった。MMTとは、端的に言えば、通貨を自国で発行している国では、国債の残高がいくらになろうと問題がなく、インフレになる前に、税額をアップさせればよいというドラスティックなものだ。

以下のリンクは、安達誠司がMMTを解説をしているものである。安達誠司は、リフレ派で主は高く評価している人物であり、著作も多いが非常に信用できるものを書いている。このMMTは、従来の経済学の枠組みから逸脱するものであり、当然ながら、安達誠司も懐疑的である。しかし、昨今、消費税を10%に上げるかどうか、政治の世界ではせめぎ合っており、幼稚園、保育園の無料化、低所得者層の大学奨学金の無償化などは、消費税のアップがこれらの財源とされており、消費税を上げずに財政出動する根拠にMMTが急浮上しているらしい。

本当におしまい

エブリバディ・ノウズ【日本病】その6 いうのもばかばかしいので最後にします

主は、日本は病気だと思っている。ちょっと前に書いていたのだが、これをシリーズの最後にしようと思う。

一時、KYという言葉が流行った。周囲の「空気を読めない人物」という意味なのだが、思っていることをストレートに口に出すことは、「大人げない」「気配りができない」奴と社会では評価されない。逆に上司を「忖度」することが出世に不可欠な要素である。

主もサラリーマンだったので、その辺はよく理解できるが、今の日本は行き過ぎではないか。誰も上司に意見を言わなくなった。逆に不祥事が起こるたびに委縮し、コンプライアンスが厳しくなる方向に向かい、前に(生産性をあげる方向に)進んでいかない。

1980年以前は、世界中が学生運動と労働運動で騒然としていたが、権力者はこれらの二つの運動を弱体化し抑えただけでなく、こうした運動に参加する価値を無力化する雰囲気づくりに成功した。権力に刃向かうことが、スマートでないという雰囲気が、社会にできた。学生運動は完全に消滅したし、労働運動はカッコよくない、ダサいと見なされるようになった。労働組合の弱体化と労働分配率の低下に相関関係があるという経済学者もいる。むかし、ウーマンリブという言葉があったが、もちろん今では死語となり、女性は意見を言わず可愛らしくあることに高い評価が与えられる。男もそうだ。あれこれ、理屈を言うと嫌われる。日本で「大人になる」とは、意見を表明せず、我慢できるということだ。

こうした風潮は、既存の日本社会に広く蔓延した。マスコミの一部は、存在意義を放棄して政権の犬になっていることを隠さないし、公務員も国民の方を向いていないところを大っぴらに見せる。大手企業の不祥事は後を絶たず、経営者には生産現場が見えていない。見えていても、見えないふりをして自分だけは退職金をもらって逃げ切ろうとする。いたるところで、老害が蔓延している。「出る釘は打たれる」と忖度して、全国民がものごとをうやむやにしてきた結果、日本は世界から取り残されるところまできた。

こうした傾向をテレビの番組から二つ紹介したい。

一つ目。池上彰がトランプ、プーチン、習近平を解説した番組(下のリンク)に、アメリカ、中国、ロシア、日本の高校生が出ていて、日本人の劣化がよく見て取れた。日本以外の高校生たちは、流ちょうな日本語で自分の意見をはっきり主張するのだが、日本の高校生は控えめで穏健な玉虫色の発言で、発言してもしなくても値打ちが変らないことしか言えない。

今の日本のスポーツ選手たちは、マイクを向けられたときに上手に答えられるように子供の時から練習するでの、そつのない受け答えができる。スポーツの世界ならそれでいい。政治や経済を語るときは、全く違わないとおかしい。

NTV:池上彰・加藤綾子が世界を動かす3人のリーダーを解説!

二つ目。この夏(8/15)、NHKスペシャルで「ノモンハン事件 責任なき戦争」が放送された。何が責任がないんだろうと主は疑問に感じたのだが、戦争を遂行した上層部に責任がないということだった。ノモンハン事件を簡単に要約すると、太平洋戦争の前、1939年に満州国を防衛していた関東軍が国境のモンゴルとソ連を越境攻撃した結果、双方が戦争状態になり、日本側は死者2万人を出した。この経緯が番組で紹介されていたのだが、二つに要約できる。① 国際情勢を読み違え、敵の戦力の分析が十分でなく過小評価 ② 軍首脳の中での責任体制が敗戦まで不明(形式的な責任体制はあるものの、作戦失敗の責任は常に現地に負わせていた。冷静な総括ができない)

79年前、モンゴル東部の大草原で、日ソ両軍が激戦を繰り広げたノモンハン事件。ソ連軍が大量投入した近代兵器を前に、日本は2万人に及ぶ死傷者を出した。作家・司馬遼太郎が「日本人であることが嫌になった」と作品化を断念した、この戦争。情報を軽視した楽観的な見通しや、物量より優先される精神主義など、太平洋戦争でも繰り返される“失敗の本質”が凝縮されていた。しかし軍は、現場の将校には自決を強要した一方で、作戦を主導した関東軍のエリート参謀たちをその後復帰させ、同じ失敗を重ね続けた。

NHKスペシャル「ノモンハン 責任なき戦い」

日本でもLINE、ZOZOタウン、メルカリのような新興企業が成功していないわけではないが、既存の企業や社会は、相変わらずガラパゴス化し閉塞している。スタートアップと言われる新興企業自体がアメリカや中国よりはるかに少ない。こんな状況の中で、東京地検特捜部がカルロス・ゴーンを逮捕した。すでに20日近く拘置所に拘留されており、先進国から日本の拘留期間は長すぎる(人質司法)、取り調べに弁護士が同席しないのは後進国、まるで中世のようだと驚かれている。日本の刑事事件の有罪率は99.9%と言われる。有罪に出来る案件しか起訴しているという背景があるようだが、逆に言うとかなり悪質で限りなくクロの事件でも立件しないことが多い、えん罪がかなりの率で含まれていると言われる。例が違うが、電車で痴漢と言われて駅務室へ行き、警察に引き渡されると、裁判で否認しても99.9%有罪にされるし、取り調べ段階で否認すればずっと留置され、罪を認めて和解を勧められるという。こんな司法はあり得ない。 主は見ものだと思っており、先進国から集中砲火をあびて司法制度が変われば良いと思っている。

おしまい