若者よ! マスコミを信じるな (2)

前回からの続き

④「ドイツの財政収支が均衡しているのは素晴らしい」ーーー             日本とは大違いだが、ドイツは、財政がほぼ均衡するところまできている。これを手放しで称賛するのは間違っている。 ドイツの経常収支が改善し始めたのは、旧東独の再建が一段落し、ユーロの流通が開始された2002年頃以降だ。通貨統合以前は、周辺国に対するドイツの相対的生産性上昇はマルク高で相殺されていたものが、統合後はドイツの輸出競争力上昇に直結したことが根底にある。要はEUの中で、ドイツが通貨統合のメリットを一番受けているのだ。この強すぎるドイツの輸出競争力に対して周辺国から批判が出ているが、ドイツ人は「ドイツに責任は無い」「ドイツの黒字は相手国にプラスの面もある」と、批判をはねのけている。 大英帝国がカリブ海やアフリカ、アジアを「低開発化」したように、ヨーロッパ統合が生み出した「ドイツ帝国」は、南欧の「低開発化」を促進しているようなものだ。このEUのシステムの内部にある限り、ギリシャがドイツや北欧のような「先進地域」になれる可能性は非常に低い。ドイツ一人の収支の均衡は、他の国の犠牲の上に成り立っており、EUの存続を不安定にするものだ。

⑤「知的財産の保護は重要だ。先進国が途上国に知的財産の保護を貿易交渉で求めるの当然だ」ーーー                                  知的財産の保護は重要と一般に考えられている。中国はあらゆるコピー商品を売っており、このようなケースでは権利が確かに保護されないとならない。 だが、アメリカが知的財産権の保護を貿易交渉で主張するとき、それはあらゆる成員にとっての本当に保護すべき価値なのか確認することが必要だ。すなわち、アメリカの言う知財の保護が、将来に向けて新しい知識の獲得のインセンティブになるのではなく、特定企業の既得権益の保護のためであり、今後の新たな研究開発の妨げる場合がある。特に製薬に関する特許は、単なる発見が特許を得ている場合があり、アメリカの製薬会社の既得権を守るだけで、その後の他者の研究開発を邪魔する働きをもつことがある。先進国のいう知的財産の保護は、本当に守るべき権利なのか、それともその権利を認めることにより、自国民が不当に高い輸入品しか買えなくなってしまうのか見極める必要がある。

⑥「アメリカは機会均等の国、アメリカンドリームの国だ」ーーー           アメリカが実際にアメリカンドリームの国だったのは、1980年以前の話だ。今は、世界で屈指の不平等国で、アメリカンドリームは蜃気楼のようなものだ。貧しい親を持つ子が貧しい階層から抜け出す確率は非常に低く、機会均等は失われている。1980年といえば、レーガン大統領が登場した時代で、小さな政府を標榜し、市場の力を信じ、あらゆる分野で規制緩和が進められた。レーガンの後は、父ブッシュ、クリントン、息子ブッシュ、オバマへと続くのだが、この間ずっと規制緩和は押し進められ、貧富の差が非常に拡大する。特に息子ブッシュの時代に二つの戦争(アフガン侵攻、イラク戦争)を行い巨額の財政赤字を抱えるにもかかわらず、富裕層に対する二度の減税により、アメリカの不平等は決定的に悪化する。いわゆる1%の大金持ちと99%の貧困層の分断だ。「トリクルダウン」という言葉があるが、上層部に減税をすることにより、その恩恵がしずくのように下層に浸透することを言う。だが、これは富裕層が増加させる消費額は、中流・下層の消費額を明白に下回るために、効果はほとんどなく不平等を拡大させるだけだ。市場が万能だという迷信は、ある特定の条件、すなわち、情報が完全に共有され、完全雇用の状態で、寡占がなく競争が保障され、外部経済がないなどの条件が満たされている場合のみだ。こんな試験管的な状態は、現実にはあり得ない。このため、市場自体が欠点を持つというより市場を機能させるためには、規制が必要なのだ。 基本的にアメリカは今では一部の金持ちが世論を操作するきわめて特殊な国だ。アメリカのいうことを金科玉条にしてありがたがる時代は、はるか昔に過ぎた。アメリカのいうことは「眉唾」と考えないと判断を誤る。 最近「ピケティ」が高い評価を受けているが、ピケティの資本主義に対する批判も同様の指摘だ。

つづく

 

 

 

brasileiro365 について

 ジジイ(時事)ネタも取り上げています。ここ1年、YOUTUBEをよく見るようになって、世の中の見方がすっかり変わってしまいました。   好きな音楽:完全にカナダ人クラシック・ピアニスト、グレン・グールドのおたくです。他はあまり聴かないのですが、クラシック全般とジャズ、ブラジル音楽を聴きます。  2002年から4年間ブラジルに住み、2013年から2年間パプア・ニューギニアに住んでいました。これがブログ名の由来です。  アイコンの写真は、パプア・ニューギニアにいた時、ゴロカという県都で行われた部族の踊りを意味する≪シンシン(Sing Sing)≫のショーで、マッドマン(Mad Man)のお面を被っているところです。  
カテゴリー: 経済学, 雑感 / 思うところ タグ: , , パーマリンク

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