主は別にアマゾンびいきではないのだが、アマゾンは圧倒的な品ぞろえで、値段も、他の店よりも多くの場合安い。おまけに、マーケットプレイスという仕組みがあり、最近では中古品も売っている。例えば、本など昔発行されて絶版になっているような、手に入らない本であっても、多くの価格帯の中の選択肢から購入できる。しかも、買った商品は、過失であっても1か月以内であれば返品が可能である。主がキンドルの不都合があった時に、カスタマーサービスにクレームした(キンドルを使って主が英書を読んでいる時に、知らない単語にカーソルを合わせると辞書が表示されていたのが、バージョンアップのバグがあり、表示されなくなった。これをクレームしたら、すぐに古いプラグラムを送ってくれた。)のだが、メールの相手先の社員らしき人物は、驚くべきスピードで対応し、アマゾンの顧客志向に驚いた。このような良心的な対応は、「オモテナシ」を標榜するものの、そんなものは実際にない日本!にあって、日本の企業との応対で主は、なかなか経験がなく、日本の小売店はもうすぐ駆逐されてしまうのではないか、そんな危惧を抱いていた。「モノづくり大国日本」と形容された物作りは、日本の独壇場だったはずだし、カスタマーサービスを含め、サービスのカテゴリーでも大きな競争力があったはずなのに、どうしたのか?、と思っていた。
それらを知るために、以下のアマゾンに関する本を読んでみた。他にもまだ出版されているものが多くあるが、地元の図書館に置かれているもののなかから、最近書かれたものを読むことにした。これら本を読むうちに、クラウドに関する知識を得た方が良いなと感じたのだが、図書館には適当な本がなかったので、こちらは自分で購入した。
本文の最後に、それらの本のアマゾンが商品のホームページに載せいているキャッチ・コピーをペーストしたので、こちらを読めば大体の概要はつかめると思う。
- ① 「amazon 世界最先端の戦略がわかる」成毛 眞 2018/8/9
- ② 「アマゾンのすごいルール」 佐藤 将之 2018/4/6
- ③ 「アマゾンエフェクト! ―『究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』」 鈴木 康弘 2018/4/12
- ④ 「アマゾンが描く2022年の世界 すべての業界を震撼させる『ベゾスの大戦略』」 田中 道昭 2017/11/17
- ⑤ 「イラスト図解式 この一冊で全部わかるクラウドの基本 第2版」林雅之 2019/4/20
これらを読んで感じたことを書く。
①の「amazon 世界最先端の戦略がわかる」は、著者がマイクロソフト・ジャパンの社長をされていた人で、非常にわかりやすかった。ジェフ・ベゾスの頭の中の考えを、いかに組織の成員全員に実現させる仕組みを作ったのかということがわかる。アマゾンは、総資産額が100兆円に近く、売り上げが20兆円ほどあるのだが、利益をほとんど上げていない。利益を出さずに、投資に回したり、販売価格の低下に還元している。
アマゾンは、自分で倉庫を持ち、在庫を抱えている。楽天は、実際に在庫を抱えて売っているわけではなく、会員の企業が商品を発送し、代金も受け取っており、手数料を取って仲介をしているだけだ。このため、事業の開始当初は、事業の拡大のスピードが速かった。しかし、楽天は場所を提供しているだけなので、商品価格を決定したり、輸送時間を短縮したり、1か月以内の返品が可能にするなど、顧客満足度を高める商習慣を変更するような方策を取ることは難しい。
アマゾンは顧客満足度を最大の目標に掲げていて、顧客にあらゆる購買の選択肢を最大化しようとする。従来の販売手法は、2割の商品が8割の売り上げを上げるという事実に着目し、効率性を重視してきた。ところが、アマゾンはその含まれない部分もカバーして、売ろうとしている。その方策の一つがマーケット・プレイスである。マーケット・プレイスでは、売り手の企業はアマゾンの倉庫に商品を納入するだけだったり、ホームページに載せるだけで、アマゾンの販売ルートを使える。それだけではなく驚いたことに、アマゾンはアマゾンの名前を使いたくない企業にも、アマゾンの倉庫を使わせ、アマゾンの流通システムを使わせるという。こうすることにより、広告や販売ルートの限られる中小企業でも商品を市場に供給しやすくなる。
アマゾンは、従来はB/S(貸借対照表)、P/L(損益計算書)だけが着目されていた会計の世界にキャッシュフローの概念を持ち込んだ。アマゾンは顧客からの入金と企業への支払いのラグにより、常に手元に多額のキャッシュを持っている。これがさらなる投資を可能にする。前払いされるアマゾンプライムは、顧客から別料金をとることで、1時間配達、配送料無料、さらには映画や音楽の視聴の特典を与える。プライム会員は、キャッシュをもたらすとともに、非会員の2倍購入するという。
アマゾンは、ネットの通信販売の会社だと思われがちだが、今では、通販は売り上げでも、利益の面でも今は小さい。AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)というのだが、アマゾンが事業を拡大するプロセスで拡大してきたコンピューターのシステムの遊休している部分を企業向けに利用させている。アメリカでは、クリスマスシーズンに非常に大きな売り上げがあり、その際にトラブルがあると信用問題になるため、その繁忙期に合わせた余裕のあるシステムの設計になっている。その普段遊休しているシステムを活用し、クラウド事業に使っている。そちらは、技術の進歩もあり、アマゾンは利用料金を60回も値下げ!しながらも、クラウドでは、マイクロソフト、グーグルを押さえて、40%のシェアがある。しかも、この事業はいったん始めると、手間もかからず、利益が確保しやすい。
端的に言い換えると「アマゾンの経営」は、これまでの「経営学」を書き換えるものだ!どこにもない。
②の「アマゾンのすごいルール」は、アマゾンジャパンの創業時から参加した人が書いたもので、社員目線のアマゾニアンの仕事ぶりが良く分かる。主は、アマゾンが社員の評価を細かい数字で管理していると聞いて、具体的なことを知らなかったが、詳しく書かれていた。
アマゾンは、アメリカの本社と打ち合わせながら、毎年高い目標を設定する。今年はこれだけやるんだという目標を時間をかけて決める、ここだけを読めば日本の企業と同じだが、これを徹底的に細かくブレークダウンする。例えば、倉庫新設の設備投資をする場合であれば、進捗を1年の週単位で計画する。本の販売で中次のトーハンを飛ばすのであれば、この交渉事を1週間単位で目標設定をする。1年間の目標を達成するためのプロセスを週単位に分解し、計画と実績を0.1%単位で比較している。出来なければ、原因を分析して後れを取り戻さなければならない。社員は、今週何をしなければならないかしっかり自覚している。
会議の資料と進め方も面白い。会議はA4で1枚か、6枚と決まっていてパワーポイントは使わない。多くの場合A4、1枚であり、記者発表の形式で言葉で書く。会議の出席者は、冒頭の15分間資料を黙って読む。15分経過後、説明と質疑を行う。質疑がなければ、賛成と見なされ、後日、批判的なことを言うことはできない。反対意見があれば、その場で言う。ジェフ・ベゾスがあってはならないという喩え話に「部屋の天井の高さが2メートル50センチという者と3メートルという者がある場合に、じゃあ2メートル75センチにしよう、といった安易な判断をしてはならない。実際に測らないとならない。」というのがある。日本では、中間をとったり、発言者を忖度することがしばしば起こるが、このようなことはもっとも忌み嫌われる。
人事の採用の話も面白い。毎年成長している企業であるため、採用は非常に頻度が高いが、ハードルは高い。求められる人物像は、「アマゾンを、今より高められる人物」でなければならず、採用はこうした人物を選抜する作業だからである。即戦力という生易しいものではない。面接は、直接の上司を含む6人の関係者が1対1で1時間弱かけて行う。このうち誰か一人でも異を唱えると採用されない。逆にこの採用面接は部署横断的に行われるために、例えば、食品のリアル店舗の運営の採用面接に応募してきた人物が、キャリアを説明するうちに、食品のリアル店舗では採用に及ばないが、過去の経歴から、倉庫内の商品の移動システムの保守管理の責任者として適任と考えられた場合、その部署の責任者と相談して、応募者に採用を打診するといったケースがあるという。
また、ひとつのプロジェクトの人数も面白い、夜食でピザを一緒に食べる範囲ということで、せいぜい10人まで位。また決裁も、関係者が少なくスピード重視で、たとえ10億円以上のものであっても、二日以内で決裁される。著者は、アマゾンは社員が愚直に仕事をする会社だと言う。その他、理不尽な人事評価が起こらない仕組み、社員が絶対に口に出さないNGワード(「こんなことができないのか。自分の力でやり遂げろ」)など、面白い。
③の「アマゾンエフェクト! ―「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか」の鈴木康弘は、IT畑でエンジニアや経営者をされてきた人で、セブンイレブンの創業者、鈴木敏文の息子である。この本は率直に書かれており、セブングループの敗戦史という見方もできる。著者は、総合スーパー、コンビニチェーン、セブン銀行を有するホールディングスの「ネットとリアルを統合する」というITオムニ戦略を推進しようとするのだが、過去の成功体験を捨てられない抵抗勢力の反対に苦労する。
しかも、時代は変わっていた。アメリカでは、IT技術者の75%は企業内にいる。残りの25%は、インテル、AMD、マイクロソフトや、グーグル、アマゾンなどであり、自社外で使われる製品製造や開発を行っている。日本では、IT技術者の25%が企業内におり、残る75%は富士通や、NEC,、NTTをはじめとする多くのIT関連企業で働いていて、企業がシステム開発をする場合、企業内のIT技術者が、企業外のIT関連企業に外注することが一般的だ。つまり、アメリカは自社で使うソフト開発は自社でやり、日本は外注するのが一般的なスタイルである。(日本のIT関連企業の売り上げから見ると、独自で製品開発をするというより、企業システムのメンテナンスやヘルプデスクなどに人材を送り込む派遣業や、ゼネコンの元請け、下請けといった趣がつよい。)
この外注というスタイルは、発注者と受注者の間で、責任が不明確になりやすい。企業で実務を担当している人間が、その企業のシステム部門で働いているわけではなく、企業のシステム部門の担当者は、実務が良く分からないで、外部のシステム開発会社(SIer=日本独特であるシステムインテグレーター)との仲介役になる。受注者のシステムインテグレーターは、よく理解のできない業務分析を聞きながらシステム開発を行い、やがて、コストの割にはあまり役に立たないシステムが完成する、という事態がしばしば起こる。
主は、日経ビジネスで次のような記事を読んだ記憶がある。つまり、システムインテグレーターは、システム開発の失敗の責任を経営者から追及される際、「土下座要員」としての価値がいつまでもなくならないので、この図式(=システム開発の失敗をめぐって、経営者と企業のシステム部門とそれを請け負うシステム開発会社が、責任の所在があいまいなままに手打ちをする場面)は続くだろうと、自虐とともに言うのである。
特に直近のこの10年は、クラウドが、コンピューターの世界をまた一変させていた。1980年代は、汎用コンピューター(メインフレーム=大型コンピューター)の時代で、富士通やNECなどは、汎用機とOS、プログラムの納入で大いに儲けていた。しかし、1990年に入ると、パソコンの性能が向上し、パソコンをサーバーにするクライアント・サーバーという形式、2000年になると、ネットワークコンピューティングが一般的になる。さらにこの10年のクラウドコンピューティングでは、サーバーの機能をクラウド側(=アマゾンや、グーグルなどの事業者側)で持ち、企業側で用意するのは、ノートパソコンやスマホなどの端末だけでOKという時代が来ている。これまで、企業自身が行ってきた機器やシステムのメンテナンスを、企業の要望に応じてクラウド事業者が代行してくれるのだ。
このような前提条件のもとで、アメリカでは自企業で使うシステムの開発は、社員が専念して自前で作る。アマゾンの場合、実に社員の半数がシステム要員である。もし、外注であれば、システムの改修には時間がかかるが、自前で行えばそのようなロスはない。アマゾンでは、日本で依頼するシステムの改修が重要な場合、その日のうちに、時差のあるアメリカのエンジニアたちが、たとえ深夜であっても対応する。
ところが、日本ではクラウドに対する取り組み自体も遅れているし、どの企業でも、システムを自前で持ちたがり、システムのメンテナンスはコンピューター技術者がやるもので、一般の社員はコンピューターを無縁なものと考えている。当然、システムの作り込みは、相変わらず開発会社に外注する。本来、システムと業務のやり方は、混然一体で同義なのだが、日本ではシステムをそのように考えている人は少ない。おかげで、顧客だったり、業務で使うシステムは使い勝手の悪いものとなっている。
ちなみに、標題の「アマゾンエフェクト」というのは、アマゾンのおかげでアメリカの多くの企業の経営が危うくなっていることを言い、「アマゾンショック」とは、実際に倒産したトイザらスなどを言う言葉である。なにやら、ユニクロですら、アマゾンの脅威に怯えていると書かれていた。これらの本を読んでいると、アマゾンがいつ銀行を始めてもおかしくないし、生鮮食料品の販売はすでに始めようとしている。どんな大会社が買収されてもおかしくない。すでにアマゾンに勝つことを考える時代は過ぎ、アマゾンをいかに上手に利用するかを考えた方が賢明というのが大方の相場のようだ。
ここで一句。アマゾン30代部長年収2000万円台、かたやジェフ・ベゾス個人資産15兆円、部長の報酬は、高いのか、少ないのか?
その差、75万倍! おかしいと思っても、どうしようもないよね (^^)/
おしまい
——– 以下は、本の説明 ——–
① 「amazon 世界最先端の戦略がわかる」成毛 眞 2018/8/9
●アマゾン1社さえ分かれば、最新のビジネス感覚が身につく●
アマゾンという企業を研究することは、これからの最新の経営学を学ぶことと同じです。 「ビジネスモデル」「キャッシュフロー」「AI技術」「会員サービス」など、ありとあらゆる革命がこの企業にはつまっています。 アマゾンは、あっという間にさまざまな業界に入り込み、それぞれの大企業を脅かす存在になりました。 いったい、それはどうしてなのか。アマゾンは何をしているのか。 この本では、「小売り」「資金」「クラウド」「会員サービス」「M&A」「物流」「テクノロジー」「組織」などの面から、元マイクロソフトの社長である成毛眞氏が徹底解説。 この1社さえ押さえておけば、世界で今何が起こっているのか、現代のビジネスマンや企業家が知っておくべき最新のビジネス感覚を身に着けることができます。
【本文より抜粋】 序章 アマゾンがなかったら生活できないかも アマゾンが秘密主義なのはなぜなのか アマゾンは、ローマ帝国
- 第1章 圧倒的な商品数と安い値段がどうして可能になるのか 「品揃えが大量で、安い」を実現する仕組みとは あらゆる商品が扱える「マーケットプレイス」という仕組み スタートアップを最初に取り込めると大きい 「低関与商品」市場はこれからますます広がる――アマゾンダッシュボタン
- 第2章 キャッシュがあるから失敗できる 驚異的なアマゾンのキャッシュフロー 赤字でも株価が下がらない仕組み CCCがマイナスという魔法から資金が生まれる
- 第3章 アマゾンで一番利益をあげているAWS アマゾンのほとんどの儲けをたたき出す、知られざる巨大ビジネス AWSの営業利益が、別部門の資金になる 大きくなりすぎると成長率がとまる理由
- 第4章 アマゾンの「プライム会員」とは何なのか 年会費は安くして、後から上げる サービス過多なのは、ライフスタイルに入り込みたいから
- 第5章 アマゾンから、効率のいいM&Aを知る ホールフーズのM&Aで、実店舗への乗り出しが現実的に M&Aのメリットをおさらいしよう
- 第6章 巨大な倉庫と配送力で物流を制す 海上輸送に乗り出し、輸出の中間業者を中抜き ラストワンマイルを制するものは、物流も制する
- 第7章 プラットフォームの主になるには 業界で打って出るのはプラットフォーマーになることがなにより第一 スーパーの脅威にもなる「アマゾンフレッシュ」 「卸の中抜き」は安値を出す基本――出版業界
- 第8章 アマゾンを底ざさえするのがテクノロジー アマゾンの真の凄さはテクノロジー
内容(「BOOK」データベースより)
「何が勝って、負けるのか」ビジネスの基礎知識も身につく!この一社を知ることは、最新のビジネス感覚を身につけることと同じ。
② アマゾンのすごいルール 佐藤 将之 2018/4/6
内容紹介
アマゾン ジャパンの立ち上げに携わった元幹部社員が初公開!
ジェフ・ベゾス直伝の「超合理的な仕事術」とは?
次々に革新的なサービスを生み出し、世界をリードし続けるアマゾン。
その強さの背景には、ジェフ・ベゾス直伝の「仕事術」がありました。
・会議冒頭15分間沈黙ルールとは
・パワーポイント使用禁止の理由
・10億円規模の新企画も、たった2日で決裁がおりるスピード感の背景
・必ず優秀な人材を見抜ける採用面接の質問集
・アマゾン社員が絶対に口にしてはいけないNGワード
・世界一の難関? アマゾンの入社試験とは
・絶対に「理不尽な評価」が起こらないアマゾンの評価制度とは
アマゾン ジャパン17番目の社員として、アマゾンの立ち上げを支えた元幹部社員が、
アマゾンの全社員が遵守する「最速で最高の結果を出す仕事術」を初公開!
アマゾンの飛躍を支える「門外不出のルール」が満載の一冊です!
内容(「BOOK」データベースより)
だからamazonは成功した!amazonの最大の武器は超合理的な「仕事術」だった。アマゾン ジャパンの立ち上げメンバーがジェフ・ベゾス直伝のメソッドを初公開。最速×最高の結果を出す仕事術と14の心得。
③ アマゾンエフェクト! ―「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか 鈴木 康弘 2018/4/12
内容紹介
- アマゾン・エフェクト(効果)とは、いまや世界一の億万長者になったジェフ・ベゾス率いるアマゾン・ドット・コムの快進撃の陰で、業績や株価の低迷にあえぐアメリカ企業が増えている現象をさす。その業界は百貨店やスーパーに限らず生鮮品、衣料品、家電量販店、コンテンツ産業など幅広い業態におよぶ。
- オムニチャネルを知悉した著者が解説する
デジタルシフト危機への対処法 - アマゾンの動きの影響を受けて対応を迫られたという意味で、いまから一二年前、日本で最初に〝アマゾン・エフェクト〟を経験したのは、おそらくわたしではないかと思うのです。
- わたしはそれまで 、ソフトバンクグループのヤフーの傘下で、書籍のネット販売を手がけるセブンアンドワイという会社を経営していました。それが一転、二〇〇六年に日本の流通業でイオン・グループと双璧をなすセブン&アイ・ホールディングスのグループに入り、セブンーイレブン・ジャパンの子会社に転じる選択をします。
- 当時、同社の会長兼CEO職は、わたしの父親である鈴木敏文が務めていました。しかし、移った理由はそこにあるのではなく、アマゾンが家電の販売を始めるなど、業容をどんどん拡張し始めたのがきっかけでした。目指すゴールとは「ネットとリアルの融合」でした。
- しかし、その近道を選んだはずの選択が大きな「読み間違え」であったことを、その後の一〇年におよぶリアルの流通業での苦闘の連続と、ネットの世界でのアマゾンの躍進により、思い知らされるのです。(まえがきより)
内容(「BOOK」データベースより)
- アマゾン・エフェクト(効果)。アマゾン・ドット・コムの快進撃の陰で、業績や株価の低迷にあえぐアメリカ企業が増えている現象をさす。業界は百貨店やスーパーに限らず、生鮮品や衣料品、コンテンツ産業など幅広い業態におよぶ。オムニチャネルを知悉した著者が解説。デジタルシフト危機への対処法。
④ アマゾンが描く2022年の世界 すべての業界を震撼させる「ベゾスの大戦略」 田中 道昭 2017/11/17
内容(「BOOK」データベースより)
- 小売り・流通に変革をもたらしてきたECの巨人・アマゾン。近年は、リアル店舗への進出にとどまらず、クラウド、宇宙事業、AI、ビッグデータなどの分野へも展開、米国ではアマゾンに顧客と利益を奪われることを意味する「アマゾンされる」という言葉が生まれるほどに、その勢いを増している。本書は、大学教授、上場企業の取締役、コンサルタントという3つの顔を持つ著者が、膨大な資料と独自のメソッドで、「アマゾンの大戦略」を読み解く一冊。