消費税の仕組みをざっくり説明すると、売り上げた収入に含まれる消費税相当額と、課税支払いに含まれる消費税相当額の差額を納税しなければならないというものである。
現在のように消費税が10%の場合、上記を数式で表すと結局のところ、次の式へと変形することができる。
この取引が消費税の課税対象になるかどうかは、その形態により消費税法で決まっている。
事業者が従業員を正社員として雇用するなら、従業員へ支払う給与は、上記の非課税仕入(課税対象ではない)になる。この場合、正社員の給与は課税仕入にならないために、消費税の納税計算する際に控除できない。ところが、派遣職員や、雇用関係のない委託契約の場合、コストとみなされ、課税仕入が可能になる。つまり、消費税の納税額の計算で、支払い消費税相当額を控除することが出来る。
この説明をもう一度繰り返すと、正規社員の雇用契約は非課税取引に分類されている。他方、パート社員や個人委託などの場合は、課税取引に分類されている。この違いにより、この差が生じる。 おまけに、パート社員、委託契約のように直接の雇用関係がなければ、事業主は労使折半である社会保険料(健康保険と厚生年金)の事業主負担も免れることが出来る。
消費税の支払を節約するために、正社員を雇うより、非正規労働者を使おうという動機が事業者に強く働く。
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事業者が日本人の平均賃金(男女の賃金の中央値)である314万円を支払うために、事業者と被用者がどれほど税金や社会保険料、消費税を負担しているのかを書いてみたい。(314万円というのはかなり低いと思うかもしれないが、それだけ女性の労働者はパートなどが多く、平均賃金にするとかなり低い。)
結論から言うと、事業者(経営者)は、男女の被用者(労働者)のこの平均賃金である額面の給与314万円を支払うためには、別に社会保険料の事業主負担50万円と、消費税(314万円+50万円)×10%=36万円を支払わなければならない。つまり合計400万円支払わなければならない。そして、その314万円の給与を支払われた被用者は、所得税5万円、地方税10万円、社会保険料50万円を支払う必要があるので、手取りはわずか248万円になる。152万円が社会保険と税金で控除される!!!
被用者の手取り 314万円ー5万円ー10万円ー50万円=248万円
支払額400万円と手取り額248万円の差152万円(38%)が、社会保険料と税金として控除されるのは、あまりに多すぎないでしょうか。
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ところが、上記の消費税の納税額を求める計算式をじっくりと見て、勘のいい人は気が付くかもしれないが、輸出業者は売り上げに消費税が含まれないために(課税仕入しかないので納税額がマイナスになる。)、課税仕入に要した消費税額の還付を受けることが出来る。
消費税は、もとはと言えば、どこの政府も国際的に禁じられている輸出奨励金を輸出業者に与えるための方策(抜け道)として、最初にフランスで考えられた税金(付加価値税)らしく、EUで広がったということだ。
この付加価値税を真似して導入された日本の消費税だが、アメリカは導入しておらず、導入したEUと日本のみが不況にあえいでいるという指摘もある。この消費税は、つまり売上税であり、第2法人税(=赤字企業でも納税義務が生じる法人税の上乗せ的税金)というべきであり、売価が上がり、とうぜん消費に対する罰金的性質を持ち、景気を冷やすからだ。
このような内容が、下の動画で語られる。お二人は、踏み込みが足りない主流派(リフレ派)経済学者である明治大学教授の飯田泰之さんであり、税金は財源ではない、消費税は廃止すべきと主張する森井じゅんさんである。 信用創造(貨幣発行)の事実を正しく理解していないことが原因で、こういう中途半端に知恵のある経済学者が幅を利かしているのが、なかなか世論が変わらない原因だと親爺は思っている。
おなじく、こちらは森井じゅんさんと、もと通産官僚の室伏謙一さんである。こちらは、消費税廃止をすべきという点で考え方が一致している。